コミュニティ・スクールと地域づくり:その光と影―仙台市立七北田小学校「地域共生科」の実践紹介―

〇学校教育に関して、国や教育委員会の主導のもとに、「地域に開かれた学校」から「地域とともにある学校」(づくり)への転換が図られている。それは、学校・家庭・地域・行政(教育委員会)の四者が一体となって、四輪駆動で進められている。その有効なツールのひとつに学校運営協議会制度と学校支援地域本部事業がある。

〇学校運営協議会制度は、一定の法令上の権限や責任を持ちながら、保護者や地域住民が学校運営に参加するための制度(仕組み)である。2004年9月に導入された。学校運営協議会は教育委員会の下部組織として各学校に設置され、その指定は教育委員会が行う。学校運営協議会の委員は、教育委員会が任命し、その身分は非常勤特別職の地方公務員である。学校運営協議会の主な役割は、①校長の作成する学校運営の基本方針の承認(必須)、②学校運営に関する教育委員会または校長に対する意見(任意)、③教職員の任用に関する教育委員会に対する意見(任意)、である。これらの承認や意見は委員の合議による。学校運営協議会を設置している学校は通称「コミュニティ・スクール」と呼ばれる。
〇国や教育委員会はいま、コミュニティ・スクールの普及啓発や導入促進に積極的に取り組んでいる。その一環として、2011年2月に、コミュニティ・スクールを指定する教育委員会の教育長を中心に「全国コミュニティ・スクール連絡協議会」が創設された。また、2012年3月には、文部科学省によって「コミュニティ・スクール企画委員会」と「コミュニティ・スクール推進員」(CSマイスター)が設置されている。さらに、2015年12月には、中央教育審議会によって、「全ての公立学校においてコミュニティ・スクールを目指すべきであり、現在任意設置となっている学校運営協議会の制度的位置付けの見直しも含めた方策が必要」である旨が提言された(「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)」)。
〇2016年4月現在、コミュニティ・スクールの指定校数は2,806校を数える。学校種別の内訳(括弧内は全公立学校に占める割合)は、幼稚園109園(2.6%)、小学校1,819校(9.3%)、中学校835校(8.9%)、義務教育学校(小中一貫校)7校(31.8%)、高等学校25校(0.7%)、特別支援学校11校(1.0%)、である。294市区町村および9道県の教育委員会がコミュニティ・スクールの指定を行っている。そのうち114市区町村が域内全ての小・中・義務教育学校をコミュニティ・スクールに指定している。
〇学校運営協議会制度を導入した学校では、その成果として、①学校と地域が情報を共有するようになった、②地域が学校に協力的になった、③地域と連携した取り組みが組織的に行えるようになった、④特色ある学校づくりが進んだ、などが挙げられている。その反面、①制度に対する一般の教職員や地域住民の認知度や関心が低い、②制度を導入する地域や学校種別に偏りがある、③学校運営協議会では学校側からの説明や報告が多くなりがちで、協議が形骸化している、④学校運営協議会の取り組みを計画的・継続的に進めるための人材育成や財政的な措置が不十分である、などが指摘されている。

〇学校支援地域本部事業は、地域住民等の参加により、学校の教育活動を支援する仕組み(本部)をつくり、さまざまな学校支援活動を実施する。とともに、その活動を通じて地域住民の生涯学習や自己実現を促し、地域の連携を強化し、地域の教育力の向上を図るものである。2008年度に国の委託事業(都道府県・指定都市に委託、都道府県は市区町村に再委託)としてスタートし、2011年度からは国・都道府県・市町村が3分の1ずつ負担する補助事業として継続されている。学校支援地域本部は、原則として中学校区に設置され(標準は1中学校、2小学校。1学校毎の設置や複数校区をまたぐ設置も可能)、基本的には「地域教育協議会」「地域コーディネーター」「学校支援ボランティア」によって構成される任意団体である。地域教育協議会は、学校支援の方向性について議論し、情報共有、共通理解を図る。地域コーディネーターは、学校側とボランティアの連絡調整を行い、学校のニーズに応じてボランティアを派遣する。学校支援ボランティアは、学校管理下における学習支援、部活動指導、環境整備、登下校安全確保、学校行事支援などの活動に参加する、ものである。
〇2015年8月現在、学校支援地域本部事業を実施する市町村は642を数える。学校支援地域本部の設置数は4,146本部、本部事業を実施する学校数(括弧内は全公立学校に占める割合)は小学校6,568校(32.4%)、中学校3,039校(31.5%)、高等学校35校(1.0%)、特別支援学校70校(6.6%)、である。
〇学校支援地域本部事業の推進を図るためには、①本事業に対する学校・教職員や保護者、地域住民等の理解の促進、②学校支援地域本部の設置状況の地域格差の改善、③地域コーディネーターや学校支援ボランティアの資質・能力の向上と養成・確保、④生涯学習関係機関・団体との連携・協働による地域の教育力の向上と地域の活性化、などの方策を講じる必要があるとされる。

〇2014年度において、コミュニティ・スクールの指定を受けている小・中学校のうち、学校支援地域本部事業にも取り組んでいる学校は約4割を数える。今後、「地域とともにある学校」づくりや「学校とともにある地域」づくりを学校ぐるみ・地域ぐるみで推進するためには、コミュニティ・スクール(地域住民等の学校運営への参加。意思決定機関)と学校支援地域本部(地域住民等による教育活動等への支援。実施機関)の連携・協働を進め、その機能の統合化・一体化を図ることが求められている。

〇以上が、学校運営協議会制度と学校支援地域本部事業についての概要と動向である(図1、図2参照)。

コミュニティ・スクールと地域づくり/9月1日

〇個性的で魅力的な学校づくりや地域づくりには、各学校や地域の特性や実態に応じた柔軟性と多様性が確保されることが必要かつ重要となる。柔軟性と多様性が学校や地域の豊かさを創るのである。
〇国や教育委員会による学校運営協議会制度と学校支援地域本部事業の取り組みは、保護者や地域住民の学校経営への参加を促す。とともに、具体的な内容とマニュアル化された方法を「上から」示すものでもある。その徹底の仕方によっては、画一的で硬直的な学校づくりや地域づくりが進められ、学校や地域がコントロールされる契機となる恐れなしとしない。すなわち、学校運営協議会制度と学校支援地域本部事業は、この両義的性格を持ち合わせているのである。校長が取り仕切る学校の運営基本方針の承認や学校管理下における学校支援ボランティアの取り組みは、住民の参加・協力と住民に対する管理・統制の両義性が想起される。唐突な言い方であるが、政治的・経済的・社会的分野における「地方分権」(権限移譲)や「規制緩和」の“光”に照らされて大きく伸びる“影”に留意したい。
〇住民は地域の主役である。しかし、学校づくりや地域づくりに関しては「素人」である。そこで先ずは、住民が学校運営協議会制度や学校支援地域本部事業について関心を持ち、理解を深めるための取り組みが必要かつ重要となる。加えて、学校運営協議会委員や学校支援ボランティアなどがその役割や責任を果たすために、如何にして意識・態度の育成と資質・能力の向上を図るかが問われることになる。そこに求められるのは、主体的・自律的な「人づくり」とそれを推進する「教育づくり」である。それは、上意下達の管理主義システムではなく、ボトムアップの民主的なシステムや体制に基づくものでなければならない。それ故にまた、活力ある学校づくりや地域づくりには、「協調」「協働」する住民に加えて、監視や批判、要求をリードする「自律した」「闘う」住民の存在が必要かつ重要となる。
〇学校経営や学校支援においては、学校や地域の現状や実態を踏まえ、教職員や保護者・地域住民等の思いや願いが適切に反映されることが肝要である。そのためには、例えば、如何にして教職員と保護者・地域住民の対等な信頼関係と共働体制を構築するか、教職員の専門性を重視するとともに保護者・地域住民のエンパワメントを形成・支援するか、PTAや青少年団体等の社会教育関係団体をはじめボランティア団体や自治会といった住民組織などのネットワーク化を図るか、なども問われることになる。そこに通底する視点や考え方のひとつは、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)のそれである。教職員と保護者・地域住民等が社会的に豊かにつながり(「ネットワーク」)、それに基づいて互いに信頼しあい(「信頼」)、お互いさまの支え合い(「互酬性の規範」)によって学校や地域の諸問題が解決され、より良いガバナンス(共治)が進み、学校や地域の活性化が図られるのである。
〇また、加えて、特別支援学校におけるコミュニティ・スクールの導入が少ない現状を考えるとき、如何にして学校と地域が共働し、基本的人権(教育を受ける権利、教育を受けさせる義務等)の尊重や、ノーマライゼーションやソーシャルインクルージョンの思想に基づいた共生の学校づくりや地域づくりの推進を図るかが厳しく問われる。
〇いずれにしろ、学校の教職員や保護者、地域住民などによる内発的で自律的な学校づくり(学校経営)や地域づくり(地域経営)を進めるためには、いま改めて学校運営協議会制度と学校支援地域本部事業の意義やあり方などについて厳しく検証する必要がある。

〇ところで、学校と地域の連携・協働をめぐってはこれまで、学校と地域を並列的あるいは領域的に捉える傾向があったといってよい。例えば、福祉教育に関して言えば、「学校における福祉教育」と「地域を基盤とした福祉教育」という思考がそれである。学校や地域における豊かな学びと快適な暮らしを創造するためには、地域ぐるみの学校経営支援と学校ぐるみの地域経営支援の「共働」を必要不可欠とする。筆者がかねてより主張してきている「市民福祉教育」が含意するところである。
〇ここで、学校と地域の連携・協働(相互支援)のもとで、全学年に「地域共生科」という新たな教科を設定し、「社会の中で、よりよく生きる力」を育むためのカリキュラムの研究開発を行った仙台市立七北田(ななきた)小学校の取り組みの概要を紹介することにする。それは、市民福祉教育のあり方や、「地域とともにある学校」づくりや「学校とともにある地域」づくりの方向性などを追究するためである。
〇地域共生科についての研究開発は、2009年度から2011年度の3年間、文部科学省の「研究開発学校制度」による学校指定を受けて行われたものである。2009年9月には、「七北田小学校支援地域本部」(通称:にこにこ本部)が設置されている。2010年度からは、「生活科」(第1学年~第2学年)の授業時数の約半分と「総合的な学習の時間」(第3学年~第6学年)の全授業時数が地域共生科の授業時数に充てられている。なお、七北田小学校は、1873(明治6)年に創立された古い歴史を持つ学校であり、2016年5月現在の児童数は648名、学級数は23学級(特別支援学級を含む)を数えている。

◆地域共生科の目標
地域社会の具体的な事象や課題に対する学習と地域社会づくりの体験活動を通して、地域社会に対する愛情を深め、地域社会の課題に対して主体的に取り組み、さまざまな価値観や考えをもつ人々と共生するために必要な基礎的・基本的な知識及び技能を身に付けさせるとともに、他者の考えや社会的価値観と照らし合わせながら、自ら考え判断する能力や、社会貢献活動のための基礎的な能力を育成する。
◆地域共生科で育みたい力
地域共生科で育みたい力は「社会貢献力」「思考力」「知識・技能」である。社会貢献力は、地域社会を構成する人々や事象に関心をもち、その一員として地域社会の課題に主体的に取り組み貢献する能力である。思考力は、地域社会の課題を他者の考えや社会的価値観と照らし合わせて自ら考え、話し合い、判断する能力である。知識・技能は、地域社会に貢献し、共生するための基礎的・基本的な知識・技能である。
◆地域共生科の学習ステップ及びサイクル
地域共生科は5つの学習ステップ及びサイクルをもつ。すなわち、地域を知る→地域を調べる→地域を考える→地域に発信する→地域で行動する……→地域を知る、である。実際の地域社会づくりに参画する活動を「地域で行動する」として、特に重視する。
◆地域社会と学校の学びの循環
児童に地域社会づくりの活動を体験させ、自分たちの活動が地域貢献につながっているという意識をもたせる。これにより児童の自己肯定感を高め学習の社会的意義を実感させる。また、このような児童の活動の積み重ねが、地域社会の活性化や地域社会のよりよい地域社会づくりにつながるものと考えている。さらに、児童の活動は地域の人たちの地域貢献への意欲を喚起し、学校に対して、地域の教育力を積極的に提供していただけるようになると考えている。これを「地域社会と学校の学びの循環」と呼び、地域共生科の授業を進める原動力とする。
◆各学年の学習プログラムの概要(学年/授業時数/単元名/活動の概要)
1年/50時間/まつりだ わっしょい!! inななきた~子どもの力で 地域を元気に~/地域の人々とともに、“まつり”をつくる。地域の人々を明るく元気にするには、どうしたらよいか考え、自分たちで作ったおみこしを担いで地域に飛び出す。
2年/50時間/見せるぞ! おにいさん・おねえさんパワー~つくろう えがおの町~/幼稚園や保育園(所)に行き、小さい子どもとのかかわり方を学ぶ。園児を楽しませる遊びを考え、園児や園のために自分たちでできることに挑戦する。
3年/70時間/おじいちゃん おばあちゃん わたしたち~いっしょに笑おう いっしょに学ぼう~/地域のお年寄りと交流したり、アンケート調査を行ったりして、お年寄りを理解する。お年寄りと共に学び合い、高め合えるような教室をつくる。
4年/70時間/すぎだっちゃ! 七北田~見つけよう 伝えよう 私たちのふるさと~/地域の昔のくらしを調べたり、歴史の跡を辿ったりして、ふるさとのよさを理解する。創作劇などの表現活動をとおして地域の人々にふるさとの魅力を伝える。 
5年/70時間/よりよい未来を思い描こう~つくろう! 素敵な自分 素敵な地域~/地域を支える人々の生き方や願いにふれ、理解したことをコミュニティFM局の番組から発信する。そして、よりよい地域社会づくりのために自分たちができることを考え、実行する。
6年/70時間/私たちでつくろう 住みよい七北田~“つながろう! みんなの街”プロジェクト~/地域社会の課題を調べ、関係機関などと連携しながら、地域社会の活性化に貢献する。活動をとおして地域社会における共生の意義を理解する。
特別支援/70時間/わたしたちの町~地域の人となかよくなろう~/地域で活動する人々とふれあい、地域とのつながりを深める活動に取り組む。
◆学習・指導の形態と指導方法
グループ編成
地域共生科では地域社会づくりに参画する体験活動を学校内外で多く実践していくことから、友達や顔見知りの方々に限定されない学習が日常的に展開されていく。学校内においても、より多くの他者とかかわり、他者の考え方を吸収したり受け入れたりする経験を積ませるために、意図的に学級枠を外したグループ編成を行う。
「パートナー」の導入
地域共生科では、パートナーと共に学習する時間を設けている。パートナーとは、児童と共に一つの目標に向かって話し合い、共に創り上げていく大人のことである。パートナーは、話合いの中で児童の考えが一般的な常識から外れることのないように導く役割も果たす。パートナーには児童が気付くことのできない視点から意見を述べてもらい、より現実味のある話合いにしていくようにする。また、児童の自己満足で終わる学びではなく、社会でよりよく生きるための資質と能力を養うことを目指していることから、パートナーを活用することで児童は思考を深めると共に、より現実に生きる考え方を学ぶことができるのではないかと考える。
パートナーを交えた話合いにおいては、折り合いながらよりよい考え方に変えていく合意形成の場や、友達やパートナーの考えを聞きながら自分の考え方を批判思考する場が生まれていくことをめざしている。大人ならではの支援や巧みな切り返し等を期待すると共に、児童に意図的・計画的に深みのある思考の場を与えたいと考えている。
オリエンテーション、振り返りの確実な実施
児童に地域共生科の学習の意義を理解させ、一年間の学習の見通しをもたせるために、学習の始めに「地域共生科 学習の手引き」を活用しながらオリエンテーションを行う。
最終的に自己の生き方についての考えを深め、自己を生かす能力を養うことをめざすことから、学びの各段階に児童が自分自身を振り返る場を設ける(自己評価・他者評価)。パートナーから賞賛してもらったり、児童が互いに認め合ったりする場を意図的に位置付け、有用感を得ること、またその積み重ねによって児童自身の自己肯定感が高められていくことを意識した指導を行っていく。
◆評価方法の基本的な考え方と具体的な評価の方法
評価方法の基本的な考え方
指導と評価の一体化を図ることを念頭に置き、地域共生科における児童の学習や体験活動の様子を適切に評価する方法を確立し、児童の変容や成長を評価し、自己の課題の把握や自己肯定感の高揚につなげる。
具体的な評価の方法
信頼される評価にするために、評価の観点、方法を教師間で確認する。学習段階の中で、重点を置いて指導することを中心に評価する。
児童の発表や話合いの様子、学習や活動の状況などの観察による評価。児童のレポート、ワークシート、ノート、作文、絵などの制作物による評価。児童の学習活動の過程や成果などの記録や作品を計画的に集積したポートフォリオ。評価カードなどによる児童の自己評価や相互評価。教師やパートナー等の記録による他者評価、などの評価方法を適切に組み合わせる。

〇七北田小学校の取り組みについて先ず注目されるのは、新たな教科「地域共生科」を設定し、「社会の中で、よりよく生きる力」を確実に育むためのカリキュラムや学習内容、指導方法、評価方法などについての研究開発である。「社会の中でよりよく生き、よりよい社会をつくる能力」の育成を図るためには、全教科・全領域における取り組みを総合的・有機的に進めることが必要かつ重要となる。地域共生科の設定は、学校と地域の連携・協働体制を継続的なものにするであろうが、運営の仕方によっては教育の画一主義や硬直化をもたらす可能性もある。それは、子どもや保護者、地域住民などの日常の生活現実に根ざしたカリキュラム形成などに、保護者や地域住民が如何に関わるかを問うことでもある。保護者や地域住民がそのカリキュラム形成に関わる際には、文部科学省が進める道徳の「特別の教科」化をめぐる動きについても思い起こしたい(小学校は2018年度、中学校は2019年度から完全実施)。一定の価値観や規範意識の押し付けについてである。
〇いまひとつ注目されるのは、「体験活動と学習の重視」「地域社会と学校の学びの循環」「パートナー(ゲストティーチャーとは異なる)の導入」である。これは、学校内での授業や学びのあり方に再考を促すものであり、教職員や保護者、地域住民などの関係を問い直すものでもある。ただ、その際、子どもの体験活動が一面的で抽象的な社会貢献や地域づくりを促すだけのものでは意味がない。また、保護者や地域住民の学校支援活動が同じく一面的で限定的な学校経営や学校づくりを期待(依頼)するだけのものでも意味がない。そこには、学校と地域の豊かな「共働」関係は生まれない。学校や地域住民が抱える多様で厳しい生活課題と向き合い、その歴史的・本質的な要因を考究し、その解決策について追究するなかでこそ、地域コミュニティを構成する様々な個人(子ども、高齢者、障がい者、外国籍住民等)や組織・団体などとの真の「共働」関係が構築されるのである。


(1)コミュニティ・スクールと学校支援地域本部事業については、文部科学省のホームページと次の文献を参照。
①金子郁容・鈴木寛・渋谷恭子『コミュニティ・スクール構想―学校を変革するために―』岩波書店、2000年12月
②文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室『コミュニティ・スクール事例集』2008年3月
③佐藤晴雄編著『コミュニティ・スクールの研究―学校運営協議会の成果と課題―』風間書房、2010年3月
④コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議『コミュニティ・スクールを核とした地域とともにある学校づくりの一層の推進に向けて~全ての学校が地域とともにある学校へと発展し、子供を中心に据えて人々が参画・協働する社会を目指して~』文部科学省初等中等教育局参事官付、2015年3月
⑤文部科学省初等中等教育局参事官付『コミュニティ・スクール 2016―地域とともにある学校づくりのために―』(コミュニティ・スクールパンフレット)2016年
⑥文部科学省初等中等教育局参事官付『コミュニティ・スクールって何?!~魅力からつくり方まで、お教えします~(「学校運営協議会」設置の手引き)』2016年7月
⑦佐藤晴雄『コミュニティ・スクール―「地域とともにある学校づくり」の実現のために―』エイデル研究所、2016年8月
(2)仙台市立七北田小学校の「地域共生科」については、文部科学省の「仙台市立七北田小学校報告書(要約)」(『平成23年度研究開発実施報告書(平成21~23年度指定)』所収)を参照。