〇筆者(阪野)の手もとに、詩人であり随筆家である長田弘(おさだ・ひろし)の『長田弘全詩集』(みすず書房、2015年4月。以下[1])がある。[1]には、長田の詩集18冊、詩篇471篇が収められている。
〇今年の「夏の甲子園」が終わった日、[1]のページを何気なくめくっていた。「夏の物語―野球―」が目に留まった。(255~256ページ)
〇「愛する」も目に留まった。(412ページ)
〇そこで、ふと思った。「まちづくり」は、「町」「住民」「行政」「モノ」「事業」「計画」「開発」「整備」「運営」といった “ 乾いた ” 名詞では語れない。「まちづくり」は「動詞の物語」であると‥‥‥。
まちづくり―動詞の物語―
まちづくりは
まちの課題や可能性を見つける
まちの明日への希望を語り合う
その一歩を踏み出し、分かち合う
まちづくりは
まちの魅力や伝統、文化を育む
まちの新たな暮らしを築き合う
互いの心に寄り添い、励まし合う
まちづくりは
誰かがその行動や営みを創り出す
人と人がつながり、学び合う
互いを尊重し、支え合う
だから、まちづくりは
愛するという動詞である
〇「まちづくり」は、そこに暮らす人々が、こうした動詞を重ねながら、自らの手で明日という日の物語を紡ぐことである。「まちづくり」という白いボールを追って、誰もが一人の担い手になって‥‥‥。