阪野 貢 のすべての投稿

年寄りの反乱

携帯の着信音がした。
「大家さん、いたかい」
「三日とあけずに、どうしたい」
「大家さんの怖い話を、角のご隠居に話してみたら、もっと怖い話を聞きましてね」
「おやおや、わざわざ会いに行ったのかい」
「吉祥寺の駅前に繰り出すようなバカな真似はいたしません」
「ニュースじゃ、アーケード街の混雑ぶりはいつも以上だって。まったく極楽とんぼが、集団発生しているようなもんだね」
「ほんとに、何にも考えていないか、他人様のことより自分は大丈夫って自信なんですかね。今日一緒に歩いていた友だちが高熱出してひっくり返ったら、大変だって騒ぎ出すのが目に見える」
「いまさえよければ明日の事なんぞどうなろうと知ったことかと、まるで尻をまくって啖呵を切るヤクザのようだね。それがいまの安倍さんの支持者だってさ」
「世も末ってよく言ってたけれど、ここんところの世の中見てると、危ねえってあっしでも思いますね」
「ところで、怖い話っての聞かせておくれ」
「はいはい。あっしは、去年の暮れから民生委員を拝命いたしましてね」
「なんだい、初耳だよ」
「コロナのお陰で、ご挨拶にも行けずすみません。訪問すれば、このご時世迷惑をおかけするということで、流行る前から訪問活動は自主的に自重しましょうということで」
「ほう、民生委員とはご苦労なことでありがたいね。昔は地元の名士が名誉でしていたようだったが、いまではあんたでも大事なお役目いただけるとは、嬉しいね」
「ほめてんだか、けなしているんだか、どっちなんです?」
「いやいや、けなすどころか困った人にはあんたみたいに情の深い人がそばにいればどんなに助かるもんだか、そう思うと嬉しいね。私もそろそろお世話になるからよろしく頼みますよ」
「大家さんの言ってることも一理ありかな。あっしは新米のペイペイだから、何十年もしていて偉そうにしている人に逆らうなんてあり得ない。従うことしかできない空気が充満していて、好き勝手いってるあっしでも、借りてきた猫のようにおとなしくしてますよ」
「そうかい、それは世渡りの大事な心がけだ。決して生言っちゃいけませんよ」
「はいはい。文句があっても口には出さず、大家さんに接するように猫かぶります」
「言ってくれるね。爪は出さずに研いときな。ただし私には決して向けちゃいけないよ」
「さすが大家さん。今日も話の道筋をつけていただきました」
「なんだい?」
「研いだ爪をいつ出すか、ってことです」
「それとご隠居の話が絡むのかい?」
「お察しの通り。国のお偉い人がえばっているのは国の金を自由に差配できるからでしょ。麻生のじいさんも、自分の金でもないのに出し渋る。財務大臣やってきて、あのじいさんが何かお国のお役の役に立ってきた? デフレをなんちゃらしますって、結局何一つできずに、いまだ頭の悪さをそのままに居座り続けてるのも、安倍さんと同じでどうでもいい存在だから、若い連中には無視できる。でも無視できない御仁がいらっしゃったというわけ」
「それでどうした?」
「急がせないで、話は序の口。いまの民生委員は心配事の御用聞き。暮らしや身体に不安を抱えている人に少しでも安心してもらいたい。何かあったら助け船を出しますよって、顔を見ながら訪問するんだけれど、いまは電話でどうしていますか、困ってることありますかって、声の御用聞きをしてるんです」
「ほう、それはいいね。皆さんさぞ心細い思いで暮らしていなさる。大事なことだね」
「ご隠居さんも、数年前に奥さんに先立たれ、その後軽くあたって外出が不自由だから、ときどき用足しのお手伝してあげてるところ」
「うん、なかなかできることじゃない。私も気にはかかっていたんだが、そこまで手は出せなくてね。ありがたいね」
「褒められて恐縮しますが、こないだの大家さんとの話を世間話のかわりにしましたら、電話口で堰を切ったようにしゃべくるんです。もともと口数の少ない人が、バンバン怒りをぶつけてくるので閉口しました」
「そりゃよっぽど腹にすえかねたことがあったんだろうね」
「あっしも黙って聞くしかなかったんですがね。そもそもリーマンショックのときに、麻生のじいさんが首相をしてたそのときに、会社が倒産。そこを追い出されて、近所に越してきたといういきさつを話しながら、今度の30万円がなんで幻になったのかって、語ってくれたという次第」
「あれは不評をかこって、安倍さんも外堀埋められ引っ込めざるを得なくなった。全国一斉に非常事態宣言したので、その迷惑料だと10万円に差し替えたって、この間の話だね」
「そこで、是非この話を大家さんにもしておくれって頼まれましてね。嘘か誠かはともかく俺の推察ではと語り始めたんです。俺も小さな会社を経営してきたから裏の経理の抜け道くらい知っておかないと、日銭を稼ぐ仕事は難しい。それに百人もの従業員の生活がかかっている以上、自分だけなんとかなるって考えるのは愚の骨頂。それでもリーマンショックで体力持たず、従業員とも泣く泣く別れてきたっていうんだね。そこで、30万円の最初の提案では、ここ数ヶ月の内収入が半減した給与の明細書を持ってきたら支給するって言ったでしょ」
「そうそう。それでその給与の年収だの月収だの額に応じて出すだの出さないだの、手続きがめんどちいって言うんで批判が起こって、今度の10万円という流れだろう」
「そこで、30万円がそのまま支給されることになったとしたら、このコロナ不況に乗じてあくどい経営者は、どうするかというのが、ご隠居の怒りの元なんです」
「どうするんだね?」
「あっしらみたいに額面通りに、はいそうですかって、偉い人に言われたら素直に従いますが、ここで大事なのが〈半減した給与の明細書〉。それを会社が偽って発行し、従業員が申請して受け取る。給料は正規に払われるから実質の損害は全くない。もらった30万円を山分けする。給与の半額が30万円なんてことはないから、お互い損はない。会社の経理をごまかすことができれば、この非常事態時、事は暴かれることはない」
「おいおい、それも怖い話だね」
「問題はこれから。30万円の件は回避できても、次の10万円。これも考えようでは、悪知恵を働かせて、銀行振り込み詐欺の要領でもらえない人が出てくることもあながち否定できないって」
「う~ん。金がつきまとうとろくでもないことを考える輩が必ず出てくる。これも世の習いか。そこで怒りの矛先は、その悪い奴らなのかい」
「それもそうだけど、それ以上にいま困っている人を助けるための対策を講じられない、いまのだらしない政府への不満と不信という次第」
「私のように世の中のことをさも知ったかぶりをして、何食わぬ顔をしている者に較べたら、ご隠居の怒りはリーマンショックの辛さを身にしみて知ってるだけに、麻生さんの失敗とあわせて、安倍さんの数々の失敗は心底許せないんだろうね」
「ほんとに困っている人に、いまお金を渡すことができなかったら、何のための国なのか。困っていない連中が牛耳るこの国に未来はないと、そう嘆いていました。返す言葉もありません」
「いまこの国を護っているのは、命をかけた本物の人間。〈人でなし〉の化けの皮を剥がす時がようやく来たね。60年代、70年代の安保闘争をしてきた世代、日本の高度経済成長を支えてきた世代の多くが年寄りになっている。その連中がこぞって〈反乱〉を起こす時が来たかも知れない。大きな時代の変わり目に黙って世相を見てるなんぞいかがなものか。年寄りを侮ってはいけないよって」
「おっと、過激な発言!」
「世の中にもの申すことが、最後のご奉公。高齢者の投票率が高い以上、政権をひっくり返す力はあるが、それにしても不甲斐ないのが野党の面々。小粒ばかりで落ち目もいいとこ。政権なんぞ夢のまた夢。結託してぶちかます熱い思いも政策もなく、蚊帳の外で騒ぐばかりの烏合の衆」
「ご隠居も、身の程をわきまえて暮らしてきたけど、もう我慢ならないと」
「安倍さんたちにその身の程を押しつけられ、10万円もの施しを与えるのだから黙って受け取れとばかりの傲慢さ。もう堪え切れなくなったのは、その世代が自律した生き方をしてきたご隠居のような人たちだからじゃないかね」
「年寄りの我慢ならないちいちゃな怒りが、津々浦々に広まっていくと、ほんとに〈反乱〉
が起こるかもしれませんね」
「それはね、まず〈人でなし〉の政治から、人間らしさを取り戻すということだね。日本のことだけに執着してはいけない。このコロナウイルスをやっつけることは、人類の生き残りをかけた今世紀最大の戦い。全人類が病原菌に晒される前で、思想・信条・宗教・性差・年齢・地域・国を論じて何になる。悪夢ではなく、現実に起こっていること。人種差別のひどかったときに活躍した黒人大リーガーのジャッキー・ロビンソンが〈不可能の反対語は可能ではない。挑戦だ〉と語って、黒人の公民権運動に大きな影響を与えたというけど、不可能を可能にするための挑戦権は、年寄りにも10万円以上の価値として与えられているのが、民主主義という社会なんだよ。」
「お見それしました。大家さんの研いだ爪初めて見せていただきました。あっしの10万円、授業料代わりに納めたいほどのご高説、ありがたく拝聴しました」
「それじゃ後で請求書を届けるから、10万円忘れず入金してください」
「おっと、支払いは勘弁してください。安倍さんとは早々に縁は切っても、あっしとは金の切れ目が縁の切れ目にならぬようお付き合いください。また電話します」

〔2020年4月19日書き下ろし。民主主義的反乱を起こすには、どんな手立てがあるのやら。年寄りの死んだふりは、そろそろ止めにしませんか〉

アフリカの危機

迫り来る恐怖に ただ身を震わせる
避けられぬ恐怖に ただ立ちすくむ
確かな恐怖に ただあっけにとられる
襲い狂う恐怖に ただ身を委ねる

なんの兆しもなく 静寂の闇をついて 
突然黒雲が湧き上がり
猛烈な風と雨のように コロナウイルスが舞った 
アフリカの大地に 染み渡るように
彼の地に生きる者たちを 情け容赦なく叩いた  

その風を
その雨を
凌(しの)ぐことはできなかった
生身を晒(さら)すしかなかった

高熱を出し 起き上がることは二度となかった
乳飲み子は 母の乳房にすがったまま 動かなかった
男は 大地に並べられた家族に 覆い被さっていた
村には 乾いた風が 枯れ草を巻いて吹くだけだった
 
町は すでに死に至っていた
市場の人混みは いつしか絶えていた
貧しき者たちの住み暮らす家々からは
強い死臭が 風に漂っていた 
道路には 自転車が乗り捨てられ 車は焼けていた
商店は 略奪の残骸だけが残されていた
行く当てもなく 夢遊病のように歩く女がいた
食べ物を探す 子どもがいた
新型コロナの危険を知らせる緊急ニュースが 
どこからともなく虚しく聞こえてくる

身を護るすべを持つ者たちだけが
したたかに生き残る
無防備な貧しき多くの者たちが
運命に身を任す
アフリカの大地が 新型コロナに冒されていく
いま 生の選別が始まる

〔2020年4月19日書き下ろし。貧富の格差がより鮮明になることに、無力感と罪悪感を痛く感じる〕

付記
アフリカ、コロナで30万人死亡の恐れ=国連委
[ヨハネスブルク/ワシントン 17日 ロイター] 国連アフリカ経済委員会(UNECA)は17日、アフリカで新型コロナウイルス感染により少なくとも30万人が死亡し、2900万人が極度の貧困に陥る恐れがあるとして、1000億ドルの支援を呼び掛けた。
アフリカ地域54カ国でこれまでに確認された新型ウイルス感染者数は2万人以下と、比較的抑制されている。ただ世界保健機関(WHO)は16日、アフリカ地域の新型ウイルス感染者数は向こう3─6カ月で1000万人に膨れ上がる恐れがあると警告した。
UNECAは報告書で、アフリカ各国政府が打ち出す感染拡大抑制に向けた措置について4段階のシナリオを想定。何も対策が講じられなかった場合、人口約13億人のアフリカ地域で、年内に12億人以上が感染、感染により330万人が死亡すると予想。各国が厳しい感染拡大抑制策を実施する最善のシナリオの下でも、1億2280万人が感染、230万人が入院、30万人が死亡するとした。
また、アフリカでは人口1人当たりの病床数が1.8床と少ないことも対応が難しくなる要因の1つとして挙げた。人口1人当たりの病床数は、例えばフランスでは5.98床となっている。ただアフリカでは人口の約60%が25歳以下と、若年層が多いことはプラスになるとした。
新型ウイルス感染拡大でアフリカ経済は最大で2.6%のマイナス成長に陥る恐れがある中、UNECAは感染拡大により、500万─2900万人が1日1.90ドル未満で生活する最貧困層に陥る可能性があるとしている。
国連のグテレス事務総長はこの日、世界銀行と国際通貨基金(IMF)が開催したテレビ会議方式の会合で、アフリカ諸国は新型ウイルス感染拡大に対応するために2000億ドルを超える資金が必要になると指摘。世界の債権国に対し、最貧国だけでなくすべての途上国に債務の一時支払い停止を認めるよう呼び掛けた。(2020/4/18 REUTER 配信)

民心と民力

携帯の着信音が鳴った
「大家さん、いたかい」
「いたかいって、厳戒令もどきが出たからね。どっこも行く当てなんてありゃしない」
「退屈の虫がなってるかと思って、電話したんだよ」
「ありがたいね、久しぶりだよ。いつもばあさんとしかしゃべってないから」
「おや奥さんと話すの? そりゃ奇特ってもんだ」
「なに危篤? バカ言ってんじゃない、ピンピンしてらあ」
「いやいやそうじゃなくて。夫婦の会話も途切れるばかりで、世間じゃコロナ離婚が流行ってるって。だから、奥さんとしゃべるだけでも、救われるかなと」
「なに言ってるんだ。もうかれこれ50年連れ添って、お互い空気みたいなもんさ」
「いま空気っておっしゃいましたね。今日は空気のような話で、大家さんの含蓄(がんちく)を聴きたいもんだと」
「空気? なんだい、それは。どうせ暇だからしゃべってごらん」
「安倍さんが、10万円をバラまって言ったあげくに、麻生のおっさん、リーマンショックのときの自分の失敗棚に上げ、もらいたかったら手を上げろと、ここまでおちょくって、ほんと頭にきてしまって電話したしだいで」
「年金もらうもんや公務員、金持ちだけじゃなく、施し受けるの恥ずかしいもんは、手を上げるなと言ってるようなもんだろう」
「仕事にあぶれて、家賃も払えずに今日まできました。お金をいただきたくまいりましたって顔して、頭を下げにいけっていうのかい。役所の窓口に2㍍間隔で並んで、手続きしますって。もしも外出自粛が続いていれば、こんな行列できること考えてもいない。年寄りも障がい者もみんな並んで、手続きしますって、麻生のボンクラよく言うよって」
「あんたは、もらいに行かなきゃいけないよ。なんせ家賃が一番大事」
「このご時世、空気を読まなきゃ。家賃より命あっての物種、もうしばらく勘弁して」
「わかってるよ、待ってあげます、もらうまで」
「まったく、死んでも金の亡者にはかなわない。地獄の果てまでついてくる。
安倍さんも、かってないほどスピーディにやります宣言していたけれど、いつも自分勝手な言い分に、かってないほどあきれるばかり。こんども麻生のおっさんにブレーキ踏まれて、どうなることかわからない」
「やる事なす事、ダイアモンド・プリンス号から外れてばかり。ドイツのメルケルさんの爪の垢を煎じて飲ませたいほどの、恥ずかしい小粒のリーダー。だらだら小出しするばかりで失態続き。しまいには小池さんと吉村さんらに主役を奪われ、面子をつぶす」
「そもそも30万円没にして、10万円に鞍替えしたのは、世間と政界の空気を読み間違えて、挙げ句の果てにあの読売と産経に三行半を渡された。読売が支持率42%、不支持率47%、産経が支持率39・0%。不支持率44・3%と、安倍政権を支えてきた新聞が、ここに来て世間を見限る空気をつくって、終局間近と警鐘を鳴らす始末です」
「これ以上安倍・麻生のコンビじゃもたないと、金魚の糞の公明党も反旗を翻して超談判というわけかい」
「さすが長老、お見通し。いまテレビで、混乱を招いたことを国民の皆様にお詫びしますって、記者会見が始まったよ。国民の信用を失った男が役人の書いた原稿丸読みながら、医療従事者へ熱くエールをおくっている。支援の中身なんだこれ? さもいま取り組んでいますと言うけれど、いくらでも先にやれたことばかりで、呆れかえって開いた口がふさがらない」
「いまつけたよ。昨日の全国一斉の緊急事態宣言の後始末の会見かね。厳しい現実に立ち向かうことより、未来を変えるために2週間自粛を要請して、人との接触を最低7割から8割減らしたいと、また訴えてるね。未来を語るには、今できることに最善を尽くしてなんぼのもの。それをあんたはやってきたのか。不安をここまで広めた責任、いまさら国民に覚悟を強いても、額面通りに受けとめられない。経済ばかりに目を向けて、失態の空気が読めないやつを担いできた自民党も官僚も、緊急事態への備えも覚悟もその程度と国民に知らしめた。〈長期化の覚悟を促す予見性をもった指針を〉と記者が質問したけど、連休後の抑制の結果を見てから、専門家の意見を聞いて判断するとは、先行き不安を人にかつけて責任逃れのいつもの論調、これじゃあ心許ない。そもそも臨床でない感染症の専門家というだけのこと。専門委員会のメンバーはいつものイエスマンとしか映らない。疑えば切りがないけど」
「そもそもゴールデンウイークの人出を心配してるというけれど、ほんとに動くって思っているのかな。これだけ動くなといっているのに、旅行に行く前提自体がおかしくない。この見識からして、そもそもおかしいとは思っていないのが不思議」
「国民みんなで全力で乗り切りましょうと言ってる先から、旅行に行くバカなやつは必ずいるから気をつけて、みんなで監視し合いましょうというのが本音。そんなやつをほっといてはならない。日本人の誠実さや勤勉さ、高い遵法性を利用して、巧みに情感に働きかけてソフトタッチに誘導しながら〈互いに監視させる〉のがねらいだね。国も国民も信用おけないし、いっそのこと自分らで自衛するのが効果的と言ってるわけで、これが国家監視システムってことなんだね。10万円は、空気を読んでそのシステムに参加する協力金ですとは、恐れいったね。穿(うが)った見方をすれば、ここでもう国民は半分騙されて、これから先は政権の思うままに操られていくというわけさ。戦時中〈非国民〉と言って密告と差別の生まれた国だからね。侮れないのが、大義をかざして私利私欲に奔走する政治家というしたたかな連中さ」
「えっ、怖い話になってきた。大家さんも伊達に年は喰ってない。いまの空気を深読みできるって、さすが鋭い!」
「10万円、いま急ピッチで作業を進めていますって、昨日の今日の話で、申請手続きの簡素化促して早く手渡したいっていうけれど、この内閣まだまだ一波乱起きそうな予見がするね」
「この金の出所も、国が国民に借金して作るって。この国債って借金も後世に垂れ残していくだけのこと。まったくいい気なもんだね」
「医療の崩壊だって、防ぐためにいろいろやってますと言い訳がましく並べ立ててはいたけれど、リスク抱えて頑張る現場に、マスク代の466億円投入して、医療物資の増産や医療報酬の上乗せも危険手当で足すことぐらい、いくらでもできたはず。なのに、昨日生産を催促した企業との電話会談。もしも余ったなら備蓄物資で国が買い取りしますと、企業に気配りばかりして、おべっかいしてる安倍さんを、見るのも腹に据えかねる。いままでの失態はしっかりと記録しておいてほしいね。ほんとにやるべき手立てをだらだら先延ばして、いまさらやってますといわれても、はいそうですかとは素直にいえない。一国の首相に、全く信用がおけないとはなんとも情けない限りだ」
「思わせぶりは得意の安倍さん、いつもその気にさせといて賺(すか)すのは超一流。人としてどうかねと思う振る舞いも目に余る。人ではないかも知れないね」
「どうやら人ではない人たちが、政界にはゾロゾロいるようで、〈人でなし〉の世の中になっていくんでしょうね」
「大家さん、〈政治はスピードと責任を〉と言った以上、もう安倍さんとそのお友だちには表舞台から降りていただく準備をしていただきましょうよ」
「いまは地方が面白い。国を相手にドンドン喧嘩をしてこき下ろすぐらいの覚悟を持って、知事さんたちには頑張ってほしいね。そのためには地方で知事さんと議員の尻を、思いっきりひっぱたくぐらいの切迫した空気を作らなきゃいけないね。地方に財源よこして、地方の裁量に委ねることが、いま〈いのちと地方の働き手を守る〉最大の方策。獲得のために知事さんらのここが踏ん張りどころだ」
「地方の空気が、いま塞ぎ込んでいる場合かよって、ポジティブに政治を考えて変えてゆく、そんな力がみんなに伝染していくといいですね」
「国の政治が失った信頼は、いまこそ地方や地域で人を信じていこうという空気を逆に生んでいく。民が強く結束する〈民心と民力〉で、活路を見出すことになるといいね」
「民心と民力を読み違えたことで、政治が変わる予兆(きっかけ)になったかもしれない」
「長期化の覚悟は、すでにできてきただろう。政治家の目先のご機嫌取りの半端な政策はもう無用。誰がなにをどうしたのか、これまでのことの経緯と結果をしっかりと記憶に残しておきましょう。次の出番がないように、逆に監視をしなけりゃいけません」
「そんな空気が巷に広まるように、あっしも口コミに精出しましょう。空気づくりには、これがSNSより一番手っ取り早く広まります」
「よかったね。口は災いの元ともいうが、あんたの口の軽いのが少しは世間の役に立つのかと思うと嬉しいね。政治家の口は腐ってもタイならず、か」
「お褒めに与(あずか)りましたので、空気を読んでここらでタイがいにしておきましょう」

〔2020年4月17日書き下ろし。時世の変わり目。冷静な分析と判断、そして地方の暮らしと医療の防衛と発信がいま地方政治に求められ、いまこそ重要である〕

付記
10万円は要望する人に給付と麻生氏
麻生財務相は全国民に向けた一律10万円の給付について、一方的に支給するのではなく「要望される方、手を挙げる方に配る」と述べた。(2020/04/17 12:16 共同通信)

コロナとの闘い 政治はスピードと責任を
新型コロナウイルスとの闘いが一刻を争う展開になってきた。安倍晋三首相が緊急事態宣言の対象地域を全国に広げたのはその危機感のあらわれだが、裏付けとなる医療行政や経済対策は停滞したままだ。スピードの欠如は国民の生命と財産を危うくする。果断な対応が闘いを決するという覚悟で臨んでほしい。(2020/4/17 日経・吉野直也)

ドライブスルー検査始動 厚労省、遅すぎた追認 感染追跡に限界 方針転換余儀なく
新型コロナウイルスの検査を巡り、厚生労働省は「ドライブスルー方式」での実施を認める事務連絡を出した。経路不明の感染者が急増し、感染経路をたどることで拡大を抑え込む従来方式の限界が明らかになり、消極姿勢を改めることを迫られた。緊急事態宣言の対象が全国に広がる情勢下で、担当官庁が不作為を重ねる余裕はない。(2020/4/17 日経)

日本の安倍政権だけが「コロナ危機で支持率低下」という残念さ
新型コロナウイルスによる感染拡大に全く収束の兆しが見えない。安倍晋三首相率いる政府の対策は後手に回ってばかりだ。4月14日発表のNHK世論調査では、内閣に対する支持率は前月より4ポイント下がって39%と、ここ数年で最も低い水準となった。
支持率39%というのはそれほど低くはないように思われるかもしれないが、世界に目を向けると、異様な数字であることがわかる。次のリストをみてほしい。
【新型コロナ感染拡大後の直近の支持率(増減)】(支持率の高い順に)
●アンゲラ・メルケル首相(ドイツ):79%(11UP)
●メッテ・フレデリクセン首相(デンマーク):79%(40UP)
●マルク・ルッテ首相(オランダ):75%(30UP)
●ジュゼッペ・コンテ首相(イタリア):71%(27UP)
●スコット・モリソン首相(オーストラリア):59%(18UP)
●文在寅(ムン・ジェイン)大統領(韓国):56%(17UP)
●ボリス・ジョンソン首相(イギリス):55%(22UP)
●エマニュエル・マクロン大統領(フランス):51%(15UP)
●ドナルド・トランプ大統領(アメリカ):49%(5UP)
●安倍晋三首相(日本):39%(4DOWN)
●ジャイール・ボルソナル大統領(ブラジル):33%(2DOWN)
これは筆者が、欧米の主要国のリーダーに対する直近の支持率をまとめたものだ。右端の数字は新型コロナウイルスの感染拡大前との変化である。これをみると、どのリーダーも支持率を大きく上げているのがわかる。主要国で支持率が下がっているのは、わが国と、「どうせ誰かがいつかは死ぬ」「ちょっとした風邪」と一切の対策を拒否しているブラジルのジャイール・ボルソラノ大統領だけだ。(以下省略)(2020/4/17 プレジデントオンライン・岡本純子)

退陣間近

まじか
4兆円すら出し渋り
30万円 あれだけ物議交わしてチャラにする

まじか
無駄遣いの極みのマスク 惜しげもなく税金投入
マスクの配布 世界中でちゃらけていたのに
先にチャラにするなら 少しは分かる

まじか
世論の内閣支持率 軒並み株価と同様下落する
上がり目探して 最後の手段
この政権ではもたないと
自民党の若手やら 幹事長やら 公明党やらで
徒党を組んで 全国民に10万円 12兆円を出すこと要求
金持ちは 鼻で笑って見抜きもしまいが
貧乏人は ありがたいと手を合わせ
与党の評判あがると 計算する浅ましさ 
どうなりますか お手並み拝見いたしましょう

まじか
グダグダ内閣に取り巻くお友だち
これからは 身勝手な政治判断許されず
不信の風吹く包囲網 身動き取れず 
政権の凋落 ここから始まる
ただ政界の混乱と総選挙を避けるため
陥落まで 身辺整理に2ヶ月の猶予は必要か

まじか
退陣間近
もう誰もかばってはくれない  
もう余計なことはしなくていい
もう余計なことは言わなくていい
ここまで 決めたふりしてよくやりました ご苦労様
これで ただの人となって 
ゆったり妻と寛(くつろ)ぎなさい

〔2020年4月16日書き下ろし。内閣の退陣が間近に迫っている兆候を感じませんか? 与党内で次の内閣を誰にするのか、魑魅魍魎の世界だけにすでに動いていることでしょう〕

幼児のいのち最優先

コロナ禍で仕事するため 仕方なく保育園に預ける
緊急事態宣言の中 東京に隣接する横浜市
その中で起こった 市役所の許されぬ失態
「検査の調査結果が出てから」
そんな悠長な対応が 平然となされる 
他人事よそ事 通り一遍のマニュアル対応
一体誰がそんな手順を書いたのか

保育士の感染が確認されたのは 8日夜
市は連絡受けて 保護者へは保健所の調査結果が出てからと 
翌日の登園を促す
9日早朝 園は保健所の調査を待たず 保護者に連絡
濃厚接触者がいるため 現在休園
12日 市は18人の感染確認 医療機関に勤務するリハビリ専門職も感染
市は「院内感染の疑いが十分にあり得る」と報告
13日に「横浜市私立保育園園長会」が対応改善要望書を提出
15日 12日のような事態がいつでも起こる危機管理体制にも関わらず
市は「園内での感染リスクが高まる状況ではなかった」ため適切と弁明
その日 林文子市長は記者会見で市の対応の誤りを認め お粗末さを披露する

この間1週間 東京の感染者は毎日増え続け 
横浜市も切迫していく状況は 手に取るようにわかっていただろう
民間がこんな失態したならば 公権を笠に着て 名前公表 営業停止 厳罰処分
でも市は 正当化の協議に時間を割いて 事態の収拾市長に委ねる 
釈明は「濃厚接触者や休園の必要性など正確な情報を伝えるためだった」
不適切な対応には「心配する気持ちに配慮が足りなかった」
子を持つ親の気持ちを逆なでしてまでも 
「配慮が足りなかった」とは よく使う決め台詞
そもそも保育の担当部署が 
この程度の危機意識しか持ち合わせていないことが発覚
各部署のリスク管理と情報共有の有無が問われる
いつもの改善不能な縦割り行政システム
配慮が足りないのではなく もともと配慮してこなかっただけのこと
責任回避の弁解がましい 心がこもらぬ 役所の回答 
コロナ禍で だれもが罹患する危険性を孕(はら)むこの事態
この程度の判断で乗り切ろうとする浅はかさが 行政の行政たるところか

新型コロナの拡散は 油断は許されぬ
感染しなくてよかったのではなく
感染しないように防止する
この一点で 取り組むその最前線で指揮する保育行政の失態
情報操作や隠蔽が疑われるような この根本的な体質は
横浜市役所ばかりのことではないだろう
行政というぬるま湯の中で 
文書(条例や規則など)で事務仕事をこなす次元とは全く違う
異なる次元のコロナ禍での事態には 柔軟かつ迅速に対応しかない
正確な情報と事態への具体的な対応が 市民に正しく周知されることで 
さらなる深い理解と強い協力が 得られることと心得たい

この教訓を 国も地方公共団体もどのように生かすのか
後手に回って 甚大な被害が出てからでは遅すぎる
子どものいのちを守ることこそ最優先
最前線で頑張る人を ガッツリ応援してほしい

〔2020年4月15日書き下ろし。あえて横浜市の失態を取り上げたのは、コロナ禍での未知なる事態での行政の従来の方法では判断を誤ることがありうる事例として、他の公共団体への注意を喚起したかった。3新聞の見出しと報道時間にも注目を〕

付記
「判断は適切」と横浜市 保育士の感染公表阻止
横浜市の認可保育園で保育士の新型コロナウイルス感染が判明した当日に市の担当者が保護者に感染を伝えないよう園側に求めていた問題で、市は15日、「判断としては適切だったが、保護者の不安な気持ちに寄り添えていなかった」との見解を示した。
市は「保健所の調査を待ち、休園の必要性などを正確に伝えるためだった」と主張。ただ、今後は調査前に休園や保護者へ連絡することを検討するとした。
市によると、保育士が感染した横浜市神奈川区の保育園では、職員37人全員と園児13人が濃厚接触者と判明した。保育士の陽性が分かったのは8日夜だったが、3月30日に発熱や頭痛の症状があったものの熱が下がったため、同31日~4月3日まで勤務。その後は自宅待機していた。(共同通信 2020年4月15日 14時6分)

保育士感染、横浜市が情報口止め「調査結果出てから公表を」 市長が謝罪
横浜市内の保育園で、保育士が新型コロナウイルスに感染したと確認された日に園が保護者らに情報を伝えようとしたにもかかわらず、市が保留するよう求めていたことが15日、明らかになった。林文子市長は同日、市の対応の誤りを認め、今後は速やかに保護者に知らせる考えを示した。市によると、同市神奈川区の私立認可保育園で8日夜、20代の女性保育士の感染が判明した。連絡を受けた市は園に、翌日は通常通り開所し、保護者らに対しては保育士の行動について保健所の調査結果が出てから伝えるよう要請した。
園は、当日の連絡や休園を検討したが、市の指示を受けて対応を保留。翌9日早朝、保健所の調査を待たずに独自の判断で、園関係者が感染したことを保護者らにメールで連絡した。登園した園児はいなかったという。その後、園の職員37人全員と、保育士が担当したクラスの園児13人が濃厚接触者とされ、休園となっている。
市の担当者は、情報提供の保留を園に求めたことについて「濃厚接触者や休園の必要性など正確な情報を伝えるためだった」と釈明。一方で「心配する気持ちに配慮が足りなかった」と不適切な対応だったことを認めた。林氏は15日の定例記者会見で「保育所が閉めたいとおっしゃるんだから、直ちに閉めるべきだった」と述べた。
この問題を巡っては、保育園長らでつくる団体「横浜市私立保育園園長会」が13日、市の対応改善を求める林氏宛ての要望書を提出。要望書で「情報操作や隠蔽(いんぺい)ともとれる対応を直ちにやめ、保育所が保護者へ公表することを妨げない」よう求めていた。(毎日新聞2020年4月15日最終更新 19時55分))

保育士感染で横浜市「公表控えて」 園長会「隠蔽だ」
保育士が新型コロナウイルスに感染した事実を保護者に伝えようとした横浜市内の私立保育園に、市が公表を控えるよう求めた上、翌日も開園するよう指示していたことが15日、分かった。市私立保育園園長会は市の対応を「情報操作や隠蔽(いんぺい)だ」と批判。市は「適切な判断だった」としつつ、「保護者の不安に寄り添えていなかった」と釈明している。市が同日に会見を開き、明らかにした。
市などによると、同市神奈川区にある西寺尾保育園で8日、勤務する20代の女性保育士の感染が判明。園はその夜、区に報告し、すぐに保護者に感染の事実を伝えようとした。だが区から連絡を受けた市は、公表を控えるよう求めるとともに、翌9日の開園を指示した。園は独自の判断で、9日午前6時頃、保護者にメールで感染を報告し、登園を保護者の判断に委ねた。結果、登園する子どもはいなかった。
一方、市は保育士が3月まで担当していた園児13人と職員37人の計50人を濃厚接触者と特定。9日夕になって、10日から18日まで休園することを決めた。
事態を重く見た市私立保育園園長会は13日、改善を求める要望書を提出。「感染状況の公表は園児、職員らの命を守るために必須であり、情報操作や隠蔽は到底、許されない」と市の対応を厳しく批判した。
15日に会見した市は「保護者への公表は、保健所の調査結果が出るまで待つよう指示したもの」と説明し、隠蔽には当たらないと主張。開園の指示は、感染が判明した8日の時点では園内での感染リスクが高まる状況ではなかったためとした。その上で、保護者の間に不安が広がったことを認め、「今後は園関係者の感染が分かった段階で休園とすることも検討する」と見直しを示唆した。
林文子市長は15日の定例会見で、開園を求めた市の対応は間違っていたとの認識を示した。会見ではほかに、同市磯子区の保育園でも保育士が感染し、休園していることも明らかにされた。(神奈川新聞 2020年04月15日 22:09)

参考
横浜市で新たに18人の感染を確認 院内感染の疑いも
新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、横浜市は12日、10~90代の男女18人の感染が新たに確認されたと発表した。調査中の1人を除いて軽症。このうち男女3人は市内の同じ医療機関に入院する60、70代の患者だった。
市によると、この医療機関に勤務するリハビリ専門職の女性の感染が既に判明していた。市は「院内感染の疑いが十分にあり得る」として、3人以外にも感染者がいないか引き続き調査する考えを示した。
このほか、市内の別の医療機関に勤める20代の男性看護師の感染も判明。この看護師を含めて計10人の感染経路が不明という。(神奈川新聞 2020年04月12日 18:15 )

泣く子と寛容

乳飲みが泣く
大きな声を張りあげて 懸命に泣く
不安の中で 母を呼ぶ
乳がほしくて 母を呼ぶ
おしめが濡れて 母を呼ぶ
かまわれたくて 母を呼ぶ

乳飲み子が泣く
しゃくりあげながら 懸命に訴える
母のぬくもりを探しあて
くしゃくしゃになった泣き顔が
目にいっぱい涙をためた泣き顔が
ほどけ緩んで 笑顔に変わったその一瞬
言葉にならぬ 愛らしい甘えた声に早変わる

周りを気にする若い母
冷たい視線を痛く感じつつ
身を縮めて 辛抱強くあやし続ける
ようやく 二人に安堵の一時が訪れた

コロナ禍で 乳飲み子を連れ歩かねばならぬ母
不要不急の外出自粛が要請されても
家に子どもを置いて 用を足すことなどありえない
コロナ禍で 乳飲み子を連れた母親に
世間は冷たく視線を注ぐ 
コロナ禍で やむにやまれずする外出に
強い不安と恐れをもって 我が子をギュッと抱きしめる

コロナ禍で そんな母子を守りたい
乳飲み子の泣き顔に 元気をもらおう
コロナ禍だからこそ 無事な成長を祈りたい
乳飲み子の泣き顔に 勇気をもらおう
コロナ禍に出会った 母子に言葉をかけよう
乳飲み子の泣き顔に ありがとうと

乳飲み子の泣き声こそが 懸命に生きている証
母子の明日の仕合わせが 約束された日となるように
乳飲み子の泣き顔を しっかりと目に焼き付けたい
コロナ禍に冒された社会に
乳飲み子の泣き顔が 寛容のこころを呼び起こす

この災難に立ち向かう あるべき人の道を指し示す
乳飲み子は 寛容のこころの拠り所
母子もまた 社会とともに
コロナ禍の時代に生きる力を 育てられて強くなる

〔2020年4月14日書き下ろし。乳飲み子の泣き声を久しぶりに聞いた。外出を自粛された中で、否応なく連れ歩く母に向けられる視線の冷たさをせめて温かさに変えることができれば、ギスギスした気持ちが少し和らぐ。乳飲み子が社会の寛容のこころに訴える〕

倒れる前に

独居の老男がいた
卒寿に近い 男だった
連れを亡くして もうかれ15年
子どもらも とうの昔に家を出て
年に数度の里帰りにしか 滅多に顔は合わせない

男は 年相応に患ってはいたが
独り暮らしは 気ままで性に合っていた
家事はそこそこ 間に合っていた
7年前に 子どもが心配するので免許証の更新は諦めた
いまじゃ三輪自転車で 散歩がてらに乗り回す
近所の人らは 
たまに寄って声をかけてくれたり
余分に作ったから手伝ってと おすそ分けしてくれる
互いに干渉することもなく 気楽なつきあいも気に入っていた
一日でも長く 妻と二人で建てたこの家で 暮らしていたいだけだった

会話がなければ 老いるのが早いと
数年前から 民生委員に進められ
デイサービスに 週に2回通っている
介護度はまだ1だというと 
周りはみんな元気だねと 感心される
先のことをくよくよ考えるより
いまを大事にすることが 長寿の秘訣
そして毎晩欠かせぬ晩酌 良薬口に甘し

男は悟る
自分の暮らしは100% 自力できるわけがない
だから 他人(ひと)の力や 公の支援を受けて
なんとか暮らしていけるだけ「
足腰が弱くなったとしても いまを支えてくれて
しばらくここで暮らしていける
これが仕合わせというものなのだと しみじみ思う

人の手借りず我慢して 意地を張って暮らした先に
突然倒れて 一致も察知もいかなくなったら
もう 周りは差し伸べる手立てがない
だからいま しっかりと支えてもらえるここで
暮らしていける喜びを 噛みしめながら
今朝も 無事に目覚める

コロナ禍対策108兆円は いま使うべき金
倒れし前に 万全の支援の体制取ることで
大事あるときの立ち直りは きっと早い
倒れし後に どんな支援も焼き石に水
後の祭りで 金も時間も手間も余計にかかる
小さなところは立ち直れず 再起不能と知るべし

倒れた後の始末の見せ金ひけらかしても 誰も信じず 
安倍内閣・自民党 見限るタイミングを探るだけ
事の甚大さに 若手議員ようやく気づきあらがう
そうしなければ 次の議席はありえない
長老政治に 三行半を渡す覚悟ができたなら
懐柔されぬよう 名を公表して 動くべし
一時のパフォーマンスでは 次はないと腹くくろう
安倍一党が 徐々に崩れていくさまを 注視したい

ぺしゃった後の始末を吹聴する前に
いまぺしゃらぬように あらゆる手立てを講じるべし

〔2020年4月13日書き下ろし。経済のV字回復言う前に倒れぬよう手立てをつくすことこそ本分ではないのか。そもそもの起点がズレたまま。ようやく若手から赤に近いカードが出された〕

浮世離れ/やんなっちゃった

浮世離れ

外出自粛ができる人は
自宅待機のできる人
ミュージシャン星野源「うちで踊ろう」の動画に合わせ
愛犬を抱いたり 読書をしたり
東京・富ケ谷の自宅で くつろぐ余裕を
首相官邸のインスタグラムとツイッターに投稿する
自宅待機を呼びかけるメッセージがついていた
星野源には よもや予期せぬもらい事故

民は 明日の生活どうなることかと 不安いっぱい
休業要請された 飲食店や歓楽街の営業者 
倒産も すでに覚悟の上の自粛協力
一方で 民のいのちを預かり守らざる得ない人たちは 
警察・消防・医療・介護・食料生産・食品製造・販売、輸送に配達などなど
365日休みなど あるはずもない
運営自粛も許されない
夫婦揃って 浮世離れもここまでくれば ご立派の一言
これから毎日 自宅に籠もって自粛され
そのままどうぞ 第一線から外れてください

いのちと暮らしを護ると 乾いた言葉で公言したが
下々の民の言葉に 聴く耳持たぬ人だけに
民が何を言おうと 馬耳東風
いま介護の現場では 必死に罹患防止に取り組んでいる
いま医療の現場では 必死にリスク抱えて治療に取り組んでいる
いま輸送の現場では ドライバーが不眠不休で生活物資を送り届ける
365日休みなく 厳しい勤務シフトに耐えている
自粛したくともできない
過酷な労働を強いられた人への 配慮に欠きし無神経
彼らの心情や社会的責務に 寄り添うことは決してない
彼らのおもいを逆なでする 優雅な動画を拡散させて
一体何をしでかしたのか それすらわからぬ ボンボンに 
いよいよ迫る 国の命運 
あなたは 預けられますか

民とズレた政治感覚を いつまで寛容気取って放置・放任されるのか
コロナ禍の緊急事態だからと 捨て鉢になるには早すぎる
この闘いは この国に住まう民を生かすことにしかない
いまこそ 民よ 覚醒せよ!

〔2020年4月12日書き下ろし。特権階級の優雅な暮らしの一端を民に見せていただき感謝。これがボディブローのように効いてくるのを待ちたい。日本に住み暮らす多国籍の民と共に生きる道を示そう〕

 
やんなっちゃった

時の内閣 大事なときに
仕事する人 そっぽ向く
ここぞとばかり 策を練る
みんな 駄作で墓穴掘る
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

コロナ禍 拡がる危ないときに
仕事できずに 共倒れ
その先 V字回復アリナミン
あっても飲めぬ人ばかり
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

お茶を飲むのも 離れて二人
お話しするのも 離れて二人
お食事するのも 離れて二人
別れ話に花が咲く
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

学校行けずに 子はゴロリ
親も会社に行けずに ゴロリ
じさまもばさまも いつでもゴロリ
みんな太って動けない
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

ビッグマウスに ちっちゃいマスク
やる気まんまん から回る
思いついたら 我慢ができず
言った先から 焼き入る
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

こんな歌でも 歌わん限り
やりきれなさが 募ります
それでも みんな元気を出して
この世に生きるほかはない
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

〔2020年4月12日書き下ろし。講談家牧伸二がウクレレ片手に世情を風刺し一世を風靡した。だれか続きを書いてください〕

つばぜり合い

国と都が 面子をかけたつばぜり合い
軍配は 都が有利と大方予想と
国は威信をかけて 後出しで ほころび繕う
緊急事態宣言受けた他の県は 様子眺めるだけで無言を通す

民のいのちを人質に 政治家同士のバトルが続く
泥試合の行き着く先は 不安と恐怖が入り交じる 
制御不能の事態なり
経済を優先する政権の失地挽回 すでになし
いまはいのちを守ることに 一念専念すべきとき
訳のわからぬ108兆円 世界に劣らぬと豪語したる金
いのちを守るいまこそ使え
いのちさえ守れた先にある試練 民は受け入れ
復興に その力を示すだろう

いままでの対策は 迅速性や大胆性が欠落し 
そのしょぼさが 日本をさらなる危機へと落とし入れた
いまは 言い訳などは聞きたくない
やれるべきこと やるべきことを 間髪置かずに実行あるのみ
その責任は 内閣と異見も言わずに追従したギインにあること明瞭なり
安倍内閣の退陣も コロナ禍の最中にこそ相応しい
腐心と不信を抱かれる者に 民のいのちを預けることは国難そのもの
亡国へと誘ういまこそ 民は声をあげていのちを守れ

東京の都知事の動きも政治的
オリンピック開催に血眼上げて 開催延期を誇るより
使った金はもう戻らぬと諦めて いまこそ都の財政総動員
価値ある政策を 思い切って打つがいい
北海道の鈴木知事のように 国の支援を当てにして
なんの手立ても打たないままに 道民はよくやったと評価する
そんなバカなことは 起こってなるまい

打つべき手は打って始めて 打開の道は開けうる
政治家として 生き残りをかけたサバイバル
勝負できぬなら 卑怯者根性無しと 
蔑(さげす)まれぬよう 覚悟せよ

〔2020年4月11日書き下ろし。いまさら休業補償を西村経済再生担当大臣が言い出す始末。往生際の悪さがこの政権の正体なり。民もいい加減に自民党への依存体質捨てようか〕

焼け石に水

東京は 尋常ではなくなった
コロナ禍は その場しのぎの国の施策を薄笑う
緊急事態宣言後 感染者の数は毎日更新された
休業補償拒絶した 国の休業要請 
2週間様子眺めの悠長な構えは 甘いの一言
業を煮やした 都知事は 迅速果敢に動く
50万円では 家賃にも満たない額であっても 
ないよりましのお願いに どれだけ功を奏するかはわからない
飲食店は死活問題 多くの店は開けるしか手立てはない
それでも都知事がましなのは 
しっかりと 事態の逼迫性(ひっぱくせい)を訴える
記者会見の仕切りも さすがメディアの出身者
ツボを心得え 自分の言葉で語り さばきも上手い

愛知も京都も 独自で緊急事態宣言するも
国の判断の甘さを ここでも露呈
宣言したにも関わらず 一体何をするのか 何をしたらいいのか
皆目誰にもわからない
コロナ禍後の 経済のV字回復をアピールするばかりで能がない
コロナ禍対策で 国が成すべき道筋と 具体的な中身はしょぼすぎる
世界の情勢見てきていながら 経済優先で中途半端なことしかできず
周りに集いし〈有能な者たち〉 この数ヶ月どんな分析・進言してきたのやら
国難とアピールしながら 集めしブレーンの程度が問われる

初動に躓(つまづ)き 支援金の出し惜しみとマスク配布の誤算で
やる事なす事 民の信頼と納得は得ること叶わず
内輪の危機感抱いた若手の党員にも 突かれる間抜けな失政
容赦なく批判の矢面に立ち 疲労困憊 
統制能力の限界は 誰の目にも明らかだ
ぶち上げた108兆円も なんの予算か意味不明
安倍政権の政府対応は でたらめで滅茶苦茶と揶揄(やゆ)される

記者会見中も 夜間の外出自粛要請することで
警察官が職務質問することがあるのかと問われた
一瞬薄笑い 侮蔑の様相見せるも 
職質ではなく 協力を要請するかもしれないと  
強い取締の前兆に さしたる関心示さず 安直に答える
この程度の要請で終始するかは 予断できない
そこに 改憲の突破口にとする悪巧みが 平然と浮上し
この機に乗じて 自民党総裁の意を受けて 論議を加速する
悪あがきは 許すまじ  

焼け石に水の政策は 頓挫するのは目に見えた
だから都知事は 批判を覚悟で勝負をかける
強いリーダーシップを 国との折衝で示して 政治力を鼓舞する
コロナ禍は 政治家の命運を分けるもう一つの戦いなのだ
お友だち内閣 忖度閣僚では すでに勝負はついている
民が 退陣の潮時を感じるセンサーは 日々増幅していく

政権擁護する者が かばいすぎるのも いと哀れなり
どれだけ 隠謀謀略をめぐらそうと
政治は 結果でしかない

〔2020年4月11日書き下ろし。小池百合子都知事が休業要請を発表した。要請や協力金には不満も残るが、切迫した事態を訴える都民へのアピールには説得力がある〕

付記
「政権は誰のために何をお願いしているのか」
★緊急事態宣言が出た後の政治家の発言から見えるもの。政治家自身は初の緊急事態宣言をどう受け止めたのか。自民党幹事長・二階俊博は取材に「人の接触を7~8割減らしていくという総理の発言があったが、自民党内でもそういった動きが今あるか」の問いに「人の接触を7割とか8割とか8割5分にするとかって、そんなことはできるわけがないじゃないですか。それは国民の皆さんのご協力をお願いすると、こういう早く言うと、お願いベースですよね」との受け止めを示した。
★副総理兼財務相・麻生太郎は、来週テレビ電話会議で行われるIMF(国際通貨基金)総会、G20財務相・中央銀行総裁をはじめ一連の会議で低所得国債務救済のため、日本がIMFの大災害抑制・救済基金「CCRT」への資金拠出を準備していて、その原資は緊急経済対策の108兆円から拠出される。
★コロナ対策担当の経済再生相・西村康稔は、緊急事態宣言発令の対象地域となった7都府県知事とのテレビ会議で、休業要請を2週間程度見送るよう打診していた。また首相・安倍晋三は、外出自粛要請に関連して、職務質問を活発化することなどを警察に要請することはありうるかと問われ「取り締まりの対象には、罰則ありませんから、取り締まりの対象ということでは、警察が取り締まることはありません。ただご協力は要請させていただくということはあるかもしれません」とした。また、7日の会見では「例えば最悪の事態になった場合、私が責任を取ればいいというわけではありません」と答えた。これは責任を取ったことのある人が言っていい言葉だろう。
★国民に一体何をお願いしているのか、緊急事態ではないのか、経済対策は誰のためか、そして宣言の拡大解釈や恣意(しい)的な運用はないか。安倍政権の政府対応は、でたらめでめちゃくちゃだ。(K)※敬称略(日刊スポーツ2020年4月10日「地獄耳」から)

「きょう国内感染者600人に」
10日、国内で新型コロナウイルスへの感染が確認された人は、これまでに600人となり、一日に感染が確認された人数が初めて600人に達しました。
10日は緊急事態宣言が出されている7都府県のうち、東京都で189人、埼玉県で53人、福岡県で39人の感染が確認され、いずれも一日の感染確認としては、いずれも過去最多を更新しました。
このほかにも大阪府で80人、神奈川県で37人などの感染が発表されています。(日テレNEWS24 2020年4月10日)