阪野 貢 のすべての投稿

解決できない

解決困難
孤立するのか
自助努力の限界

解決困難
放置するのか
地域の福祉活動の限界

解決困難
丸投げするのか
行政の制度と施策の限界

あえて解決しようとしない
問題を抱えた人をほっとかない
問題を起こした人を無視しない
問題を蔑(さげす)む人を批判しない

あえて解決策の是非を論じない
無理せずその人と一緒に悩む
焦らずその人と一緒に考える
力まずその人と一緒に試してみる

あえて結果を求めない
関わることで福祉を身近にしてゆく
関わる過程が人と地域を福祉でつないでゆく
関わる人たちが福祉に疑問を膨らませてゆく

〔2022年2月7日書き下ろし。解決努力を求める現状に対して、少し間を置いてみた〕

今冬一番のドカ雪の朝

冬一番のドカ雪
札幌は大雪警報発令中
朝カーテンを開けると30センチの雪が車を埋めていた
数人が雪かきをしていた
やっても切りがないと諦めて戻ってゆく

すでに雪かさは50センチを超えてきた
天気予報では夕方まで警報が続く
問題は石油ストーブの吸排気口だ
外からは回って行くことは困難を極める
窓からまめに雪をかくしか手はない
道具は床拭きの簡易モップが役に立つ
パウダースノーだから軽いので救われる
そろそろ雪かき用のブラシを車から取ってこなくては
簡易モップの限界が見えてきた

除雪車はまだ入らない
入っても集雪する場所がない
排雪しながらの作業はいまは無理
国道12号線もノロノロ運転で渋滞中

風もなくひたすら静かに降り続ける
大雪への備えが不完全な札幌は交通機能をマヒさせる
JRも高速道路もストップし交通網は遮断される
火事や不完全燃焼での事故が心配だ
緊急事態が起これば車は言うことをきかない

コロナには休みはない
今日も札幌は2千人近くの感染者を数える
不穏な空気を感じながら雪空を見上げる

〔2022年2月6日書き下ろし。こんなドカ雪は30年前に一度体験した。地下鉄だけは動いていたので、職場に出たら3分の1しか出勤してなかった。役所は機能不全を起こしていた。今日は日曜なので役所も休みだが、コロナに休みはない。対応している方々に改めて感謝しかない〕

「希求」の発刊は生涯の想い出

法人五十年を記念し出版した『希求』が納品された
包まれた紙を破き真新しい本を手にした

ジャケット中野章氏の版画「夏の丘」が飛び込んでくる
紺碧の空が限りなくBlueに広がり
白い雲が湧く遠方の防風林を背景に
収穫を迎えた黄色の小麦畑と
手前に青々とした畑が広がる
雄大で豊饒な北の大地の夏がひときわ美しい
空には白抜きされた「希求」の二文字が映える

ジャケットをとりハードカバーを見る
角背製本された赤地の布の上製本
師の自筆の書を表紙に「希求」裏表紙に「和顔愛語」と
筆跡をそのまま凹ませて刻まれていた

予想以上のお洒落で品のある装丁に心が奪われた
予想以上の本の重さに手応えを感じた
予想以上の感慨と感動が心を走った

600ページ近い本は
師の五十年の福祉に生きた人生の軌跡と感謝
今春経営を譲る若い世代への願いと期待
師の人間性が溢れた一冊は
「希求」におもいのすべてを託した
福祉の道を求めてやまない次代への継承本

帰宅後編集に関わった感謝をメールで伝えた
すぐに返信があった
このように素晴らしい本を発刊できたことは
生涯一番の想い出だと
達成感と充実感に心に満たされていた
喜びは感謝以外言葉にならない
そう綴られていた

〔2022年2月5日書き下ろし。昨日納品された。「希求」と題して、多くの福祉人への師のメッセージでもある〕

18歳の子ども食堂

18歳の誕生日を今日迎えた
堂々と生きよと祝福した

8時間後
もう18歳だからね
遊びも趣味も夢も本気で生きてく!

仕事には一つも触れていない
フリーランサーはそれが似合う
夢の実現のためにトライする
それが仕事といつかなる

遊びも本気にならなきゃ
生きてる気はしない
中途半端に遊びがわかったふりする
呆(ほう)けるものとはきっと違う

趣味も本気にならなきゃ
生きてる気はしない
中途半端にあれもこれもと手を出して
粋(いき)がるものとはきっと違う

中学にはほとんど行かなかった
校則を身にまとい大人たちは少年をイラつかせる
指導とばかりに大人たちは少年をいたぶる
理不尽な振る舞いで大人たちは少年の心を折る

いろいろあった少年時代にさよならする
青年になる日を前に母と語った
しんどいおもいをしている子がいる
飯さえ食べられない子らがいる
俺子ども食堂してもいいか?

反面教師たちが真っ直ぐな気持ちを育ててくれた
反面教師たちの狭い世界を逸脱して自らを磨く
反面教師たちには想像できない人の道を歩き始める

〔2022年2月4日書き下ろし。末孫の誕生日を祝す。夢の途中はドラマチックだ〕

なぜ先生に従うのですか

先生の言葉にはいつもぬくもりがありますか
先生が教えているときはいつもわかりやすいですか
先生が子どもに接するときはいつも公平ですか
先生が諭すときはいつも厳しくそして優しいですか

先生はミスったら間違えをすぐに謝りますか
先生は意見が違うと不機嫌になりますか
先生は依怙贔屓(えこひいいき)してませんか
先生は勉強してますか

なぜ先生というだけで従うの?
信じてもよさそうだから
子どもを守ってくれそうだから
教える人はえらそうだから
良い悪いよりもルールだから

なぜ先生というだけで従うの
信じることができなかったらどうしよう
守ってくれないどころか意地悪されたらどうしよう
勉強もせず適当に教えていたらどうしよう
困った時に相談に乗ってくれなかったらどうしよう
陰で親の悪口言っていたらどうしよう
気に食わない子だって無視されたらもう学校には行けない

子どもを丸ごと抱きしめる
子どもが好きでしょうがない
子どものこころを守ってあげたい
子どもと一緒に成長したい

子どもに信じてもらうのではない
子どもを信じるしかない
信頼の糸はそこから紡がれていく
発する言葉は命令ではなくいたわりとなる

〔2022年2月3日書き下ろし。広瀬爽彩さんが亡くなって1年。ご冥福を祈りたい。彼女のそばにたったひとりでも信じてくれる教師がいれば救われただろう。無念!〕

付記
旭川中2死亡 学校側、本人聴取せず 加害側証言でいじめ否定
旭川市内で昨年3月に凍死して見つかった中学2年広瀬爽彩(さあや)さん=当時(14)=が2019年に複数の生徒らからわいせつ行為の被害を受けてトラブルになった際、学校側は広瀬さんに一度も聞き取りをせずに、いじめの疑いを否定していたことが2日分かった。加害者側への調査だけで判断した学校の対応を道教委も問題視している。
広瀬さんは中1だった19年6月、自身のわいせつな画像をスマートフォンで送らされ、その後、市内の公園で複数の生徒らとトラブルになり、川に入って自殺未遂をした。
広瀬さんの母親や旭川市教委などによると、学校は現場にいた複数の生徒らを調査し、非行(わいせつ)の被害を受けたと市教委に報告した。広瀬さんはトラブル後、短期間入院。学校は本人への聞き取りを申し入れたが「治療の妨げになる」と病院に拒否され、その後も行われなかった。調査結果について学校側は母親に対し、「広瀬さんから話は聞けてないので加害者の証言のみの報告になる」と説明。20年3月の市教委への報告書でもいじめに該当するとの記載はされなかった。この件について学校と市教委は「第三者委員会の調査中でコメントできない」としている。(北海道新聞2022年2月3日)

歯車を動かす

赤ちゃんも子どもも
男も女も
若者も年寄りも
父さんも母さんもそうでない人も
一人ひとりが世の中を動かす歯車です

世の中をよくしたい
それぞれの歯車は目的を持って動きます
それぞれの歯車は役割を担って動きます
たくさんの歯車が複雑に噛み合って動きます

歯車の歯は欠けていきます
一生懸命動いてみんなのために働いたからです
少し休んでもらいましょう
他の歯車たちが挟んで一緒に動きます
動かなくなったらさよならします

世の中や人の為になりたい
それぞれの歯車は持ち味を生かして動きます
それぞれの歯車は生きがいを探して動きます
たくさんの歯車が夢を絡まして動きます

歯車の歯が生まれた時から欠けていました
でも大丈夫です
他の歯車たちが挟んで一緒に動きます
その歯車が欠けてきたら休んでもらいます
代わりに他の歯車が一緒に動きます
だから大丈夫なんです

歯車の大きさはみんな違います
ちっちゃな歯車もでっかい歯車も
集まって上手に噛み合って世の中を動かします
そのとき楽しいとか嬉しいとかって感じます
でも時々辛いとか苦しいとかって感じます
それでも一緒に動いて世の中を明るくします

歯車は少しずつ成長していきます
やりたいと思ったことが出来るようになります
世の中のことが考えられるようになります
人としての心の持ち方が身についていきます

君もひとりの大事な歯車です
君は世の中の大事な歯車になります
君が人として大事な歯車にならなければなりません
君の夢を叶えるためにも大事な歯車になってください

〔2022年2月2日書き下ろし。世の中で歯車としてどんな生き方をしてきたのだろうか。子どもらにその存在の大切さを知らしめたい〕

理非曲直の世界

事に当たって考え方を確かめる
言葉の使い方を確かめる
普段の行いを確かめる

道理に合っている根拠は何か
正しいと主張する根拠は何か
善を為すと考える根拠は何か

失言は自分を守る嘘か
失笑は蔑む傲慢さか
失敗は責任転嫁することか

自己本位の価値観が正当だと訴える
自己中心の倫理観が人道だとうそぶく
自己主義の道徳観が教育だとすり替える

自己の覇権統制を万全にする
自己の強権体制を維持する
自己の独裁政治を継続する

征服欲は尽きることはない
支配欲は涸れることはない
自己愛は事を為すモチベーション

自己超克を拒否する者たちが
世界を混沌へと加速させる

※理非曲直(りひきょくちょく):道理にあっていることとはずれていること。道徳的に正しいこととあやまったこと。
※自己超克(じこちょうこく):フリードリヒ・ニーチェによって提唱された言葉である。自己が置かれている現状を超えるような価値を創造したり道徳を形成することから、人間としての本来あるべき自己を形成していくということである。

〔2022年1月31日書き下ろし。ロシアの侵攻、中国の圧政、北朝鮮の挑発、米国の凋落などなど、きな臭い世界の状況はその指導者がしのぎあう結果である〕

転がり落ちるように

まん延防止等重点措置は万全ではない
水際防疫も米軍に簡単に突破された
米軍がまき散らしても米国産とはわからない

感染力が強いオミクロン
症状は風邪程度でおさまらない
弱いウイルスでは決してない

東京は30日1万5895人の感染者
病床使用率48.5%
緊急事態宣言の要請検討の50%の目安に近づく
医療現場のひっ迫は想像以上に早いスピード
国や専門家も判断や対策は追いつかない
第6波に何の準備をしてきたのか
ただ傍観してきた無作為のツケが回る
3回目のワクチン接種も回避するには到底間に合わない
検査キッドも不足しPCR検査も予約待ちで混乱する

早期発見
早期隔離
早期治療

3つの連続した対策は崩壊する
転がり落ちるように重症化し死に至る
医療者の懸命な救命治療がまた命綱となった
緊急事態宣言のカウントダウンが始まる

絶望的な状況の中
能天気な札幌市長は冬季五輪の誘致を心配する

〔2022年1月30日書き下ろし。コロナ対策が後手に回り国民の命を危うくする事態に、いつものように悠長に対策を論じている政治家はすぐにでも転がり落ちてほしい〕

わかった!

子どものこと わかってるってほんとかな
教えること わかってるってほんとかな
学ぶこと わかってるってほんとかな
世の中のこと わかってるってほんとかな
自分のこと わからないってほんとだよ

子どものこと わかったつもりになっている
教えること わかったつもりになっている
学ぶこと わかったつもりになっている
世の中のこと わかったつもりになっている
自分のこと わからないってほんとだよ

わかったつもりの分だけ 子どもの心は離れる
わかったつもりの分だけ 教育は手抜きされる
わかったつもりの分だけ 社会を甘く見る
わかったつもりの分だけの 自分でしかない

子どものこと わかろうとしてるってほんとかな
教えること わかろうとしてるってほんとかな
学ぶこと わかろうとしてるってほんとかな
世の中のこと わかろうとしてるってほんとかな
自分のこと わからないってほんとだよ

子どものこと わかろうとする分だけわかってくる
教えること わかろうとする分だけわかってくる
学ぶこと わかろうとする分だけわかってくる
世の中のこと わかろうとする分だけわかってくる
自分のことも わかろうとする分だけわかってくる
 
子どもをわかるのは 子どもとわかり合うこと
教え学ぶをわかるのは 子どもがわかるということ
世の中がわかるのは 子どもと夢をわかちあうこと
自分がわかるのは きっと共育がわかってくるということ

〔2022年1月30日書き下ろし。今朝の朝日新聞の「折々のことば」(鷲田清一)に触発された。教師のわかったふりの分だけ子どもは不幸になる〕

付記
いちばん必要なのは「わかっている」人ではなくて、現役でやっている人、つまり今でも「わかろうとしている人」です。五味太郎

ステルスオミクロン日本上陸

不気味に変異したウイルスが忍び寄る
防御しても為すすべもなく突破される
当初の目論見は崩れ重症者も死者も出る

爆発的な感染拡大に茫然自失の体を晒す
専門家も行政も2年の経験値は用を為さず
ひたすら現状の対処療法にあたふたする

全国各地で過去最大の感染者数を日々更新する
予防対策の第3回ワクチン接種の実施も心許ない
検査もままならず自宅療養の号令をかけるだけ

保育園や学校で濃厚接触した子は母にすべてを任される
幼子は理解できずに不安とストレスをためて涙する
自宅療養を余儀なくされた感染者は悪化に不安を募らせる
在宅ケアを受ける人も介護者も疲弊するばかり

医療機関にもかかれず苦しむ人がドンドン増える
治療薬の量も投与されているのかも情報は皆無だ
感染拡大を煽るよりも実情に報道の基軸を置くべきだ

特に障がい児者やケアを必要とする家庭へのサポートを重視すべきだ
そのためにはエッセンシャルワーカーに頼るしかない
この困難な状況を少しでも改善し解消するには人の手しかない
国会で論じるべき〈いま〉からっぽやみの弁しか聞こえてこない

自治体は多くの業務がコロナ関連で忙殺される
優秀かつ専門的な能力集団とは言い難い自治行政の体制も
コロナ禍で行政手腕を鍛えられていくしかない

まん延防止等重点措置では従来の抑制効果は厳しい
経済活動と感染抑制の両立はいまさらながら難しい
「ステルスオミクロン」が大手を振って〈いま〉拡散する

※べんこふる:お弁チャラを言う。お世辞を言う。
※からっぽやみ:役立たず。怠け者。

〔2022年1月28日書き下ろし。岸田首相とも頻繁に接触する磯崎官房副長官が、新型コロナウイルスに感染した。東京はこの日1万7631人、死者3人を確認した。1日の感染者8万人を超えた〕

付記
▲オミクロン株の派生株の一つはPCR検査で発見しづらく「ステルスオミクロン」と呼ばれているそうだ。欧州やアジアで拡大し、日本にも上陸した。より感染力が強いという分析もある▲新型コロナウイルスの流行が始まって2年。さまざまな変異株が生まれたが、感染急拡大の局面での新顔登場には身構えざるをえない。これまでの対策で十分か。検討が急がれる。(毎日新聞2022年1月28日余録一部抜粋)