阪野 貢 のすべての投稿

次代へと福祉をつなぐ人となる

一人ひとりの生き方と暮らし方を
決して粗末にしてはいけない

新しい福祉実践計画 「きずな」が動き出す
市民の目線で 福祉の今日と明日を考える
市民のおもいを束ねて 
いまできることを考え 動く

子どもも大人もお年寄りも 幸せづくりのパートナー
人を信じることで 生きる根っこが太くなる
人と手をつなぐことで 生きる歓びが湧いてくる
 
笑顔と感謝であふれる「きずな」をみんなで紡ぐまち
我が事のように福祉でまちづくりするまち
自信と誇りを抱きしめ生かされるまち
わたしのまち のぼりべつ
あなたのまち のぼりべつ
 
わたしも あなたも
次代へと 福祉をつなぐ人となる

〔2022年1月20日書き下ろし。昨日登別で講演した際エピローグで紹介した詩。ふる里の人へおもいを託した〕

食と募金

国道36号線沿で50年も前から営業してきた
エビ天丼の美味い店が閉店するという
甘エビをふんだんにのっけた丼は空きっ腹を満たした
母によくおごってもらった店だった
天ぷらを上げた時に残った天かすは無料だった
その横に募金箱が置かれてあった
店主は年に数回社協を訪れて集まった浄財を渡した
ポケットマネーから出されたお札がいつも混じっていた
累計300万円を超えていると初めて聞かされた

登別温泉街の調理師が集う会がある
去年イベントをして3万円の益金が上がった
これをどこに寄付しようかと相談した結果
NPO法人ゆめみ~るが運営する子ども食堂に決めた
会は益金に7万円上乗せして贈った
調理師会とNPO法人とのつながりが生まれた
第六波のコロナ禍が道内各地に急激に拡大する中
着々と子どもたちへの食事会の計画は進む
調理師会が子どもたちにプロの味を披露する

ゆめみ~るは市内でも43%と高齢化率の最も高い地域のある
ゆめみ~るは食で地域支援しようと15年前に有志で立ち上げた
元コンビニをコミュニティ食堂に改装して始まった
多くのボランティアが参加して出来ることから活動を広げていった
校区に放課後学童保育がなかった時分には場所と人を提供した
その活動が功を奏してようやく校区内に設置された
食堂に来られない高齢者のために配食サービスも始めた
子ども食堂で子どもたちに何か美味しいものを食べさせてと
配食に伺ったボランティアが高齢者から1万円を手渡された

登別を観光だけじゃなくて福祉のまちにしたい
強く願ってきた熱いおもいは一人ひとりの心に届く
食を通して福祉への参加の機会をつくってきた老店主
料理のプロとして子どもらに技と心意気を伝える調理師
慎ましい暮らしの中から子どもへのまなざしを向ける高齢者

登別社協が市民と協働して実践してきたきずな計画
17年の時を経てだれもが参加する福祉文化を育んできた
ひとりの小さな幸せを希望に紡ぐきずなでまちづくり
「ど真ん中に子どもの笑顔が見える」が福祉でまちづくりの原動力
市民の浄財と心ある行動が子どもの未来を約束する

〔2022年1月19日書き下ろし。子どもに真正面から向き合える人でありたい。それが福祉と教育に生きるということではないか〕

文章をいじる

若者が書いたレポートを熟読する
右手に赤ペンをもって臨む
最初の3ページは徐々に真っ赤に彩られてゆく

若者の考察のあら探しを愉しむ
ゆうに2時間の時間を要した
集中力が徐々に落ちて何度か中断する

若者の伝えたいことを深読みする
一つの言葉にひっかかり前に読み進めない
違和感を覚えたままでは引き下がれない

若者の言い回しに困惑する
主語はどこだろうかと探し始める
長文はどこで切ったらいいのだろう

仕事へのおもいは溢れんばかりだ
言葉も率直なおもいを飾って損をする
意地悪ではないと思いつつ直しが入る

要は事実と意見を明確に分けなければならない
要は根拠と推察を明確に示さなければならない
要は読み手が正しく理解し納得しなければならない

ただのレポートではない
読み手に行動を喚起する文章だ
個人のレポートではない
書き手により組織が動く文章だ
熱いおもいを込めたレポートだ
添削の手を緩めてはならない文章だ

だから真剣に臨む
それが若者への礼儀である
そこで若者が育ちゆくと信じる

〔2022年1月17日書き下ろし。まだまだ終わらぬ添削作業。その途中の様子を書き残す〕 

役立たずの人材論

人手不足がいつも話題になった
若者の定着率の悪さが話題になった
どこもかしこも喉から手が出るほどほしがった

コロナ禍の不況と労働環境のデジテル化は
人手が余って早期退職を募集する
大手の体のいい首切りだ

ここは頭数は揃っていた
正職は半分にも満たなかった
あとは派遣か臨職だった

代わり映えのしない事務をこなせばよかった
与えられた仕事をそつなくするだけだった
競合する相手がいない分上司からのノルマはなかった

頭数が揃っていても役に立つ人材は何人いるのか
役に立たなくても組織のバックがあればよかった
役に立とうと無理しても見返りはたいしてなかった
役に立つフリだけの処世術を身につければ事足りた

社会的使命感など持ち合わせてはいなかった
社会的責務すら求められてもいなかった
社会的評価が低くなってもさほど問題なかった

こんな働き方をしてませんか?
心当たりのある方はまだ良心が残っています
心当たりのない方はどっぷり浸かっています
心当たりがあっても御身大事が優先します

人に関わる仕事ならどうしましょう?
心当たりがあれば相手は近寄ってはこないでしょう
心当たりがなければ相手にされていないでしょう
心当たりがあっても組織が責任をとってくれます

〔2022年1月14日書き下ろし。行政や福祉そして教育に関わる人材って? 役立たずが役立たずのままに居座っていることの社会的損失はいかばかりかと〕

トンガ沖で海底火山大噴火

「1783年に起きたアイスランドのラキ火山などの大噴火では、火山灰が北半球に広がり、世界中が低温状態に陥った。欧州大陸では穀物の不作が続き、89年のフランス革命の遠因になった、との研究がある。影響は日本にも及び、天明の大飢饉(ききん)(82~88年)の被害に拍車をかけたといわれる」(朝日新聞2022年1月16日「地球冷却化」を懸念する人々)

「1991年のフィリピン・ピナトゥボ火山の噴火と似ている。噴火規模を0~8で示す火山爆発指数(VEI)も同じ6程度の可能性がある」と指摘した。ピナトゥボ火山の噴火では、噴出物が成層圏に大量に放出され、太陽の光が遮られて世界的に気温が下がった。2年後には記録的な冷夏となり、日本では米が大凶作となってタイ米を緊急輸入する事態になった」(朝日新聞2022年1月16日)

真夜中携帯のアラームで眠りが妨げられた
津波警報が太平洋沿岸に発令された
15日13時トンガ沖で海底火山が爆発したニュースが流れた
気象庁は津波などの影響は低いと判断していた
瞬時に1960年のチリ沖地震を想い出した
幌別(登別)の浜まで友だちと見に行った
二階の家屋を越し破壊する津波の凄さを間近に見て恐怖を感じた
近所の一つ上の小学六年生の男の子が巻き込まれて死んだ
南半球の地震が北半球まで影響するとは驚愕だった

朝ネットで気象衛星ひまわりからの写真に見入った
高く上がった噴煙は大規模な噴火を物語っていた
吹き上げられた火山灰は成層圏に達していた
数年後地球を冷やし穀物の不作を招くだろう

不作で飢饉を誘発する事態を想像すると空恐ろしい
世界は2年経ってもコロナウイルスに痛めつけられる
日本は正月明けから第六波が襲い急速に列島を席巻する
トンガの海底火山の噴火が追い打ちをかけるかも知れない

地球は何の前ぶれもなく突然牙をむく
防ぎようのない自然の気まぐれに翻弄される
畏敬の念を失った人間の傲慢さへの裁きなのか

いまも津波警報は解除されることなく
1メートル越の津波が東北沿岸に押し寄せる
NHKは実況報道を続け注意を喚起する
明日は1995年に発生した阪神淡路大震災の日
自然の戒めを強く心にとめていきたい

〔2022年1月16日書き下ろし。不穏な空気を感じた。地球は一つである〕

ボランティアコーディネーターの現在地

かけ声ばかりの地域包括ケアシステム
課題は在宅福祉を支えるボランティア
目論見は大きく外れて取らぬ狸の皮算用

地域で戦力になる人がそもそも少なくなった
高齢化が進みボランティアされる側になる
おもいはあっても身体がついていけなくなった
年金支給まで現役を続けなければならなくなった
若い世代や中年世代も時間にお金に余裕はなくなった
家計の足しにとパートで頑張る人も少なくない
他人の事より我が暮らしが優先される

世間体など気にしてられない
体裁などつくろうのもバカらしい
見栄を張ってもすぐに剥がれる
気苦労ばかりで見返りもない
世間体など一銭にもならない

ありのまんまで暮らすのが一番
他人と関わらなければ妬まれることもない
他人の面倒に巻き込まれることもない
他人に口出しされてもほっとくしかない

ボランティアコーディネーターは
打開策もなくボランティアを募集する
仕事だから仕方なくボランティアを募集する
イベントは福祉団体と老人クラブに動員かける

ボランティアコーディネーターは
現状を嘆くだけで動くことはない
福祉へのビジョンもなくおもいもない
地域の人を惹きつける魅力もない
コーディネートする力量がそもそも欠けている

ボランティアコーディネーターは
ボランティア研修会を企画した
講師の講話を退屈そうに見ていた

〔2022年1月15日書き下ろし。ボランティアコーディネーターの現在地、心当たりは?〕

ボランティアの勘違い

ボランティアが好きだった
ボランティアは喜びだった
ボランティアに期待された

忘れることができなかったあの日
失態だったと自分を責めた
大丈夫と背中に触れた手があたたかかった

あなたにとってよきことと思って動いた
思い違いから始まった
あなたが遠慮しているものと思って動いた  
はやる気持ちが空回りした
あなたの困った顔も気にかからなかった
ひとり合点と気づいたときは遅かった

思いやりを行動に移すのがボランティア
あなたをわかったつもりで動いた
困っている人に手を差し伸べるのがボランティア
あなたが受け入れたと思って動いた
できることをしてあげることがボランティア
あなたに確かめもせず走ってしまった

あなたに学んだ
一方的に助けられるのは辛いことだと
あなたに教わった
一方的に求められるのは哀しいことだと
あなたに支えられた
一方的に事を進めるのはボランティアではないと

気落ちした背中に添えられた手のぬくもり
あなたの優しさに助けられた
あなたの寛容な心に慰められた
あなたはわたしと痛みを分かち合った

〔2022年1月13日書き下ろし。過去の自分の失態を想い出す。ボランティアするからこそ相手から学ぶことの大切さを知らされた。共生とは何かを〕

生かされて生きよ

智慧ある子に育ってほしい
さらなる願いは幸せになってほしい
他に何も求めることはない贅沢な願い

野に咲く花のように可憐だった
芯はブレずに逞しかった
愛する人ともようやく出逢えた

我信じる道に生きてゆく
背中に痛む人のおもいを負って
いま為すべきことにベストを尽くし懸命に働く

のんびりする時間はこれからもきっとない
凜として求める人たちの苦痛に添う
真心こめてその辛さと痛みに向き合う
すべては信頼を得てはじめて事は成される

優しさと強さを辛き者たちに注ごう
さりげない一言が心をつなぐ人となる
信じることが人間力を育ててゆく
屈しない精神力が勇気を与える

尽きない熱いおもいがいまを変える
予期せぬ事態に遭遇しても乗り越えよう
苦楽をともにするパートナーに支えられ
生かされて人とつながって生きよ
気持ちよく心豊かに生きよ
よかれとおもう自分を精一杯生きよ

〔2022年1月13日書き下ろし。我が子の誕生日への祝詩。親バカである〕

雪が舞い風が吹く

11日から12日道内一円暴風雪が吹き荒れた
札幌では太い街路時がぶっ倒れた
湿った雪が電線を切断し停電が起こっていた
今朝にかけて湿った雪が駐車場を覆った
愛車に綿帽子のように積もった雪を払う
除雪車が入る時間を見計らって移動する
近くの店の駐車場をいつものようにタダで利用する

所用があって車を出して市中まで国道12号線を走った
北海道の大動脈12号線でさえ除雪はままならない
道はザクザクでハンドルを取られ二車線が一車線化する
左に寄れば融けた水が逃げ場を失い水しぶきをあげる
凍った雪にタイヤがブレて対向車への危険を増す
いつもなら30分でいける市内でも1時間なら御の字だった
ノロノロ運転で神経を使って疲れが倍加する

仕事を終え戻りは南郷通に変えて車を進めた
路面はまだ12号線よりかましだった
渋滞は時間の経過と共に長くなってゆく
どんなに先を急いで追い抜いても長い列に引っかかる
そんな車を右手に見ながら無駄なあがきと笑ってみた
南郷18丁目で三車線にようやく出られた
12号線への合流口までもう一息だった

強い風が車体を揺らす
相撲中継していたラジオから突然臨時ニュースが流れた
岩見沢と美唄の高速道路の閉鎖がいま解除されたと
札幌放送局が全国中継に割って入る
JRは当然のように間引きか運転見合わせが続く
新千歳空港も朝から離着陸ができない状態だった
道内の交通網は一気に遮断されていた

家に戻ると駐車場ではまだ除雪車が動いていた
あきらめてタダの駐車場まで車を運んだ
1時間後除雪車の音がやんだ
駐車場のいつもの場所に愛車を戻した
風はさらに強くなりマスクを飛ばす
明日は旭川までバスで移動の予定だが
果たして天気はどうなることやらお手柔らかに願いたい
北での移動の予定は決定にあらず冬はいつも未定なり

〔2022年1月12日書き下ろし。12月末までの穏やかな冬は血相を変えていつもよりも力を増して北の暮らしをオミクロン株を伴って厳しく打ち付ける。負けないぞ!〕

ことばはわたし

ことばが生まれた
ことばはあなただった
ことばでわたしは幸せだった

ことばが伝わった
ことばはわたしだった
ことばがあなたを包んだ

ことばが甘えた
ことばはあなただった
ことばでわたしは抱っこした

ことばが甘かった
ことばはわたしだった
ことばがあなたを安心させた

ことばがたどたどしかった
ことばはあなただった
ことばでわたしは戸惑った

ことばがつまった
ことばはわたしだった
ことばがあなたを不安にさせた

ことばが多くなった
ことばはあなただった
ことばでわたしは動かされた

ことばが喜んだ
ことばはわたしだった
ことばがあなたと強くつながった

〔2022年1月11日書き下ろし。言葉を覚えてゆく幼子との親子のあたたかい会話。コロナ禍で出会った母子の会話にほっこりした〕