「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

自助・共助・公助

自助の蓄えは 日々目減りする
自助の手は 日々痩せ細る

共助の頼りは 日々疎遠となる
共助の支え手は 日々老いる

公助の求めに 日々経費が嵩(かさ)む
公助にすがり 日々手をあわす

自助できるものは ハイクラスなり
共助に手を貸さぬものは 地域と縁あらず
公助を有効に使えるものは 受けよく豊かなり

自助できぬものは 身を縮める
共助に身を委ねるものは 心苦しい
公助にすがるものは 身を貶める  

自助を求めて その責任を問う
共助を求めるも 地域は疲弊する 
公的扶助を求めても ハードル高し

格差社会は 人の心を卑しくする
貧富の差別は 人の心を弄(もてあそ)ぶ
コロナが加担し 人の心を蹂躙する

されど 心弱き者たちよ
心くじけそうになろうとも
揺り戻しの スイッチを押そう
そこから 弱き者たちよ
人の心を取り戻す
揺り戻しの 小さき声をあげよう
いまこそ 弱き者たちよ
人の暮らしを取り戻す
揺り戻しの 波動を起こそう

〔2020年9月17日書き下ろし。政治に翻弄される弱き者たちが、自助という名目で生きるに瀕してはならない〕

後ろめたさ

報われぬ世と 嘆くとも
分断の世を 抗(あらが)いながら
差別の世に 人として生きたい

ただいつも 後ろめたさがつきまとう
声するだけの 自分の無力に
書くだけの 自分の非力に
口先だけの 自分の卑力に

だからいつも 後ろめたさが強くなる
動けぬ エネルギーの枯渇
憤るしかない 自己完結
悟ったフリする 自己欺瞞

いつまでも 後ろめたさは責め続ける
世の非道を傍観する 加害者として
世の不正を見逃す 加害者として
世の不義に目を背ける 加害者として

それでも 後ろめたさが人の道を示す
後悔とは違う 懺悔
弁解とは違う 内省
詭弁とは違う 良心

後ろめたさの功罪
忘却した罪過を 白日の下に晒す
無関心を装った罪過を 社会に問う
利己的に生きた罪過を 一人ひとりに課す

〔2020年9月17日書き下ろし。雑感「相模原障がい者施設殺傷事件」が指摘した「後ろめたさ」を自問する〕

しょいっこじじいの悲哀

むかしむかし
あるところに しょいっこじじいがおったとな
背中のカゴに 何でもしょってしまうとな
どんなおもていいもんでも しょってしまうとな

それが えれ~い評判ばとったんだそうな
そこで いじくそわりいいじいじいが
わるふざけして ためしに 
おもていい ほんとおもていいもんばしょわして
おもしろがったんだそうな

しょいっこじじいは 負けじとばかりに踏ん張ったそうな
それば見てた 別のじじいが
もうひとつといって のっけたそうな
そんでも しょいっこじじいは 根性見せて踏ん張ったそうな
それば見てた ほかのじじいが
もうひとつといって のっけたそうな
しょいっこじじいは やっとこさ歩き出そうとしたそのときに
別のじじいが もうひとつ のっけたそうな
それが とどめのいっこになって 
しょいっこじじいは 見事にひっくり返ってしまったそうな
それを見て まわりのじじいたちが 
ざまあないなと 高笑いしたそうな

やっぱりおまえさんには 無理なこっちゃ
ひとりでかつごうと 強欲ばるからひっくり返るんだ
これからは 分をわきまえて かつげばいいと言ったそうな 
この大きくなったお荷物は 強欲じじいみんなで力を合わせて 
老いたからだでかつぎましょうと 言ったそうな

こうして 老いさらばえるしかないじじいたちが
のしてえらぶるところと あいなったそうな
しょいっこじじいは 文句も言えず 
だまってついて行きましたとさ

〔2020年9月16日書き下ろし。亡霊のような者たちの権力がある限り、亡国へ旅路はまだ続く〕

キャリーケースを押す

幼子は 目の高さの
黒いキャリーケースを押す

歩道の段差で つまずきながら
三歳児は めげずに押す

見かねて母親が 手をかけると
かぶりをふって 手を払う

父親は 空の乳母車を押しながら
女児の動きを 見守る

サッポロファクトリーからの道すがら
旅行者然とした 三人家族

幼児の 果敢な挑戦を
目を細めながら 追い越す

家族連れが 札幌の街を歩く
ただの 昼下がりの風景
観光地札幌の日常が
穏やかに 戻ってきただけ
 
秋の札幌は
疲れた心と身体を 癒す街
秋の札幌は
食欲を満たす食材が 豊富に溢れる街

マスク越しに
ようこそ札幌へ

〔2020年9月15日書き下ろし。道内の観光地の疲弊度は限界。来る方も迎える方もコロナ感染予防対策を万全に。Welcome SAPPORO! Welcome HOKKAIDO!〕

何のおもいもわかず

日本丸の船長が 決まった
コロナと不況の海に 漂う〈いま〉
前船長が頼れる人だと 太鼓判を押す
そこが 一番恐ろしい

日本丸の船長を 決めた
建前と本音の海に 乗り出す〈いま〉
傀儡もどきの 船長らしい
舵は一つとは 限らない 

日本丸の船長は 決められた
国民無視の政治の海に 挑む〈これから〉
ひとり 俺がボスだとばかりに 
解散風を 吹聴する

日本丸の船長は 決められない
手強い派閥の海に あらがう〈これから〉
誰がそばについても 安心できぬ
問題ないとは もう言えぬ

日本丸の船長は 決めたい
コロナと不況の海に 進路を取る〈これから〉
叩き上げの根性が いかばかりのものか
家業にしてきた者への しなやかなあてつけ

日本丸の船長は 決めるしかない
舵取り次第で荒れる海に 覚悟する〈これから〉 
逆らう船員は 下船させると言い放つ
その強気が 墓穴を掘らぬよう

日本丸の船長は 決まった
短い航海になるやもしれぬ海に 出でし〈いま〉
激務に耐えるだけの タフさが試される
団塊の世代の輝く星か それとも流れ星か

〔2020年9月14日書き下ろし。自民党総裁が今日の午後管義偉氏に決まった。心動かぬ決定に、期待感がないのはむしろ幸いかもしれない〕

Congratulation!

大坂なおみ
全米オープン
Congratulation!

「私はアスリートである前に、一人の黒人の女性です。
私のテニスを見てもらうよりも、いまは注目しなければいけない大切な問題があります」
アスリートは 政治や社会運動から距離を置くべきか
違うと 毅然と言い放し 試合放棄という行動に出る
「●●の仕事をしている者は、政治を語ってはならないのか」
選手も市民であり 発言する権利を有することを
シンプルに分かりやすく 見事に言明する

全米オープンへの参加宣言
「7枚のマスクを持ってきた」
黒人差別の被害者の 名前入りマスクを着用する
人種差別への 抗議のメッセージを発信し
決勝までの7試合に挑む 決意表明
「自らの身には起きていないからといって、それが起きていないということではない」
「あなたがどんなメッセージを受け取ったのか。それの方がもっと大事です。
私はみんなに話を始めてもらうことが重要だと、そんなふうに感じています」
国際社会の耳目を集めた
「彼らが必要とすることは、なんでも手伝いたい」
「7枚じゃ足りないことが、すごく悲しい」
準々決勝後の 犠牲者の遺族からの感謝にそう答えた
タフな決勝戦を制し 有言実行に感服する間もなく
勝利後のコメントも 秀でていた
核心を突いた ほとばしる柔らかな生きたことばを 
すでに身につけた 22歳の女性だった

黒人の差別問題という一点から 果敢に切り込む
日本の若者たちへの 強烈なメッセージ
社会問題に無関心な者たちへの 喚起のメッセージ
ひとりの人間として 
いかに考えるべきか
いかに行動すべきか
いかに生きるべきか

優勝は 
スポーツを通して培われてきた
人間的な 社会的な 成長を雄弁に語る
優勝は
意志力が 発言力とその発信力を鍛え
ファンの垣根を越えて 
世界中に 共感のムーブメントを起こす

「新しいなおみも、古いなおみもいない。
自分をどうやって成長できるかだけだと思う。
全ての失敗から学ぶことはある」
優勝インタビューの〆で語った
人間的成熟を目指す 
若いアスリートのポジティブな態度に
歓喜と共に 
また魅了された 

〔2020年9月13日書き下ろし。深いことを分かりやすくコメントする彼女に言葉力をいつも感じる。英語教育に熱心な文科省や中教審の方々には、大きな課題。国語力すら心配な日本の子どもたち。自由意思とその表現力をいかに保障するのか。12日の総裁選の討論を聞いていて、保身的な答弁を繰り返す方への信頼はいかがなものかと心許ない〕

付記
コートを正義を守る場に変えた
〈アスリートと社会問題の歴史に詳しいグランドバレー州立大のルイス・ムーア准教授の話〉大坂選手が過去の犠牲者の名前に言及することで、人びとは彼らの事件について考えざるをえなくなる。マスクの着用は、テニスコートを社会的正義を守るグローバルなプラットフォームに変える。いまの大坂選手には、人びとの注目を引きつけるテニスの才能がある。それを生かし、人種差別に関する世界的な意識を高めているのは素晴らしい。
 大坂選手を見て私が思い出すのは、1950年代に黒人の女子選手として初めて4大大会に勝った故アリシア・ギブソンさんのことだ。ギブソンさんは「公民権運動における自分の役割は素晴らしいテニスをすることと、素晴らしい人間になることだ」と口にしていた。(朝日新聞9月13日「大坂なおみと7枚のマスク」の記事の一部) 

ラブレター

ラブレターの小宇宙
好きが 新世界を創る

ラブレターの魅惑
好きが 動揺を誘う

ラブレターは 恋心が量られる
愛の本気度 上昇中

ラブレターは 恋心を熱くする
唯一無二へと 昇華する

ラブレターは 恋心を夢路に誘う
ひとりよがりの 赤い糸

ラブレターに 恋心を熱く描く
大胆に繊細に 言葉を綴る

ラブレターは 恋心が詩(うた)になる
ひとり芝居の 回転木馬

ラブレターは 恋心の終着駅
一歩通行 行き止まり

ラブレターは 恋心に恋する
短編のラブストリー

ラブレターは 恋心を明かす
なぜ恋をしたのか 理を越えた情動

ラブレターに 恋心を告る
人生を賭けた 一発勝負

ラブレターの返信
…× …? …!  

〔2020年9月12日書き下ろし。好きなことへの純なラブレターが、いまはいい〕

ラブソング

ラブソングは 書けない
過去に戻るタイムマシン
青春の一片(かけら)

ラブソングは 書かない
美辞麗句で飾る
薄っぺらな独白

ラブソングは 歌えない
想い出にふける
淡い青春賛歌

ラブソングを 書きたい
熱く突き動かされる
おもいを取り戻せるのなら

ラブソングを 歌いたい
熱く歌いあげる
音域を取り戻せるのなら

いまは ラブソングを 聴くだけ
歌詞の一つひとつを噛みしめる
静かに愛せる時間は 残されていると

〔2020年9月10日書き下ろし。老いを労りあう残り時間を感じながら、ラブソングを聴く〕

夢なき政争

「こんちは、いましたか!」

「あがっておいで」

「さっそくあがらせていただきました」

「すいませんね、お休みの時にお呼びだてして申し訳ない」

「溜まっておいででしょう」

「お察しの通り。あなたしかおりませんからね」

「いやいや、そうおっしゃられると、ありがたい限りです」

「先月の安倍さんの辞任表明から、次の人を選ぶ一連の流れに、政治の末期と末路を思い知らされています。安倍さんの政治の検証なんぞきっとしないでしょうし、辞めた人は叩かないみたいな変な世間の空気も相まって、また派閥がのしてきて高齢の方々がここぞとばかりに雁首並べて、仕切りを入れる。怖い国になりました」

「やっとお辞めになったかと思ったら、もう出来レースに早変わりとは恐れ入りましたね。管さんで決まりでしょうね。本当に風見鶏のように、アベノミクス継承宣言に何の批判もなくなびいていくその図は、見事としか言いようがありません。雛壇に三人あがっての記者会見もお葬式みたいで、気持ち悪かったし、外された二階さんも滑稽でしたね」

「自分らの力を誇示する政局は、最高の舞台になる。ああして演出しちゅうところにドンの力を強烈にアピールして面目躍如たる場にしたところから、管さんの悲哀が始まったような気がしますね」

「叩き上げの田中角栄さんのような庶民派とは、全く違う感覚の人のように思えますが」

「官房長官のような黒子でいるのがお似合いだった人が、どう変わるのか関心はありますが、取り巻きがああしたパフォーマンスをしているだけに、前途多難でしょう」

「国民は、安倍さんに愛想を尽かして飽きてしまったから、誰でもいいと思う気持ちがいま充満しています。その道筋を四人の爺さんたちが付けてくれて、逆らえきれない下々の議員は、後で仕打ちを受けぬよう、吹いた風に乗っかるだけのこと。右でも左でもない風任せの 議員さん、その正体が丸見えですね」

「そんな中で、岸田さんが貧乏くじを引いてしまったというわけですか」

「あの人ってああして自己主張できるんだって、初めて思いましたね。禅譲だって言われ続けてて素直に従ってきたものの、安倍さんからも見事に袖にされた。自分の主張がない人のようにキャラクターが固まって、国民受けが最悪だったにもかかわらず、政治は国民の人気投票じゃないからと我慢をしてきて、いざそのときが来たら、足下をすっかり崩され陸の孤島に立っていたという、何とも言い難い。戦う前に敗将となってしまった」

「舞台は、すでに人事に移りましたね」

「菅政権の人事は、もう派閥の圧力が強くて、そのパワーバランスを取ることで憔悴するでしょうね。下手な人事をすれば、すぐに反旗を翻す手強い派閥集団ですからね」

「無派閥の管さん、だれがゴッドファーザーになるか、人事で見えてきますか?」

「彼の自由にさせないために、派閥のドンたちは裏で何をしでかすのか、素人には全く読めません。二階さんが幹事長になれば選挙を仕切れるので、金も人も思うがままで、かなり有利になります。ここを外せるだけの度胸はないでしょう。外した途端、はしご降ろしにかかりますからね。財務、麻生さんだけは、勘弁してほしい。膨大な赤字財政の立て直しを誰に委ねるのか。ここは管さんの手腕に注目したいですね。連動する経済の復興は、やはり梶山さんの続投でしょうか。朋輩に支えてもらいたい思いは強いでしょう。弱点は外交ですが、米大統領選挙の結果次第では、4年間の反動で世界は再編成・再構成が起こるでしょうから、万全な対応を求められる外交能力の高い人が必要になるでしょう」

「コロナ感染症の対策は、この総裁選のせいでなにかいま小康状態が続いていますが、厚生労働も重要ですね。なにせ経済と直結する労働こそ、暮らしの基盤ですからね」

「厚労省が、後手後手で批判されることが多かったのは、専門家がこぞって正解を出せなかったことと、政治判断の稚拙さが絡まっての結果ではなかったかと、いまはそう思えますね。ただ、面白い動きをするのではないかと期待されるのは都知事の小池さん。なにせ管さんとは犬猿の仲ですから、オリンピックもコロナ対策も経済復興も、どんなバトルをしでかすのか、こちらも目が離せません」

「それは楽しみですね。政治家はバトルしあってなんぼの世界。忖度ばかりで、野党も力不足でバトルどころか、はなっから相手にされず、軽くあしらわれて負け戦ばかりで、不甲斐ない」

「自民党の総裁選の裏で、野党が結束し直して党首選びの最中ですが、話題性にこれだけ薄いのは、全く期待感がないからでしょうね。お茶の出がらしは誰も飲みたくない。そんな風に感じさせていること自体、当の本人たちには分かっていない。もっと多くの議員が立候補するかと思いきや、たった二人では政論も乏しく、まあ好きにしてって冷め切っています」

「ほんとにそうですね。先日ワイドショーを見ていたら、コメンテーターが盛んに、私たちはとか国民はとか、頭に付けてさもさもらしく語っているのを聞いて、なんだかわけもなく腹が立ちました」

「それはきっとあなた方に代弁してとは頼んでもいないのに、私たちはって一体誰のことを言ってるのということですね。本来ああいう立場で自分の論を展開するのに、私たちではなく、あくまでも私という一人称で論ずるべきなんですよ。そう語るのは、皆さんの思いを代弁していますという思い上がりでしょうか。あるいは媚を売るような方々のそんな態度に、きっと我慢がならなかったのでしょう。好きに話すは自由ですから、聞いている方が判断すべきです。ただ私たちはとか、国民はとか、決めつけたような言い回しは止めてほしいですね。私は私でいいんです。私たちでどっかで責任放棄している。これは議員の方々も同様ですね」

「国民がって、言った先から言葉が朽ちるって感じですね」

「仰るとおりです。だから議員の言葉に信頼を置けない。今回のようにやっていることも、石破落とし見え見えの姑息な選挙方法。党員選挙じゃ勝てないと二階さんは素早く判断。さらに国会議員の票を集めるのに、派閥のパワーバランスを利用するという、見事な策略。タヌキですね」

「公明党さんも、派閥もどきでは?」

「管さんはそこも抜け目はない。問題ありません。管さんもかなりのタヌキでしょう。でなければ無派閥でここまでのし上れない。問題ありません、すでに説明されていますって、いけしゃあしゃあと記者の質問に答えるときのあの口調、これからも続けるでしょうね」

「記者も記者で突っ込みが足りない。東京新聞の望月さんのような記者は出てこない。みんな子飼いのペットのように従順で、発表されたことだけ流すオウム返しの得意な方ばかり。反骨のジャーナリストって、いまいるんでしょうか?」

「そこですね。私はどこに判断のものさしをもっているのかを、毎度確かめていかないと、自分で考えることもおぼつかなくなってしまいます。問題はメディアが同調圧力に屈してしまうという事態です。偏った情報が世の中にまかり通ることを、一番恐れています」

「そのためにも、自分の判断を右寄りでも左寄りでもない前を向いて考えることが大事なんですね」

「上手いことを仰いますね。その通りです。どうも考え方が右だとか左だとかで政治を語るだけでは、テレビに出てくる顔見世興行のコメンテーターばかりが増えるだけのことですからね。私らはもっと前を向いて建設的なことを考えていきましょう。政治に夢をみたいですね」

「政治に夢を、ですね。だからこそ、自分の意見を持つことが大事になるんですね。こうして大家さんとお話することで、自分の考えが見えてきます。だから大家さんから声がかかると二つ返事で伺うのも、いまの自分の立ち位置を確かめることができるからと、そう思いますね」

「私もあなたと話していると、押しつけになるのではと思いながらも、つい楽しくて本音で語ってしまいます。こんな語り場こそほんとは必要なのに、地域からもなくなっていることが、一番問題なのでしょう。雄弁に語る方があっても、何やら批評家めいて誰かの受け売りだとすぐにバレてしまいます。政治と地域づくりや役所や住民のまちづくり、そんな自由な語り場がなくなったから、余計に政治の劣化、地域づくりの形骸化が起こっているんでしょう。地域に核になる人が育たないことが問題です。あなたのような人が一人でも育ってくれると、もっと地域も元気が出ると思うのですが」

「いやいや、買いかぶりです。でもこうして大家さんとお付き合いしていただくためにも、まちづくりにもしっかり身を置きたいと思います。民生委員の仕事も大事なお役目なんですね。それじゃ管政権が決まった折にでも、またお邪魔します。今日もありがとうございました。」

「あいわかりました。こちらこそ楽しみにしております。ところで、内閣が発足したら、すぐに衆議院解散ってなこともあり得ますよ」

「えっ、それもありですか!」

「利にさとい者たちは、なんでもありです」

〔2020年9月10日書き下ろし。波乱万丈の政治の世界。明日はまだ未定。だから目を離せない。離しちゃいけない。〕

プッツン

なぜあれだけ こだわったのだろう
どうして 頑なに意地を張ったのだろう

プッツンと切れた
とたんに なぜどうしてだけが
き・え・た

なぜあれだけ 無理強いをしたのだろう
どうして 異言を拒んだのだろう

プッツンと切れた
とたんに なぜどうしてだけが
に・げ・た

なぜあれだけ 情熱を注いだのだろう
どうして 視界を狭くしたのだろう

プッツンと切れた
とたんに なぜどうしてだけが
と・ん・だ

悔しさが
の・こ・る
虚しさが
し・み・る
赤とんぼが
わ・ら・う

〔2020年9月9日書き下ろし。座を降りた途端、振り返りたくない残滓。栄華の跡に吹く秋風に赤ンボが舞う〕