「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

ワクチンの優先順位

福祉施設の利用者が感染すると
悲惨な集団感染を引き起こした

リスクゼロに挑む 福祉の人たち
社会では
3密とソーシャルディスタンシングを叫びながら
老人施設では
日々 着替え 食事 排泄 入浴・清拭 環境整備
当たり前にある生きる営みを 触接で介助する

リスクゼロに挑む福祉の人たち
省けない
回避できない
拒否できない
相当の覚悟をして 厳しい職務に励む

リスクゼロに挑む福祉の人たち
利用者が罹らぬように
外から入るその元を 
制御するのが 防疫の基本中の基本
水際は 施設の玄関口
水際は 家庭の玄関口

リスクゼロに挑む福祉の人たち
一日たりとも 24時間緊張は解けぬ
私生活を 厳しく自制する
在宅ケアやデイサービスの従事者は
家族と住む 地域に住む利用者だけに
感染リスクは 自ずと高い
だから もしものことが起こらぬよう
私生活も 厳しく自制する

リスクゼロに挑む福祉の人たち
いつも医療従事者が注視され ものも金も動く
日本医師会の政治力は とほうもなく大きい
福祉関係の政治力は とてつもなく小さい
厚労省の 専門家会議でも分科会でも
福祉畑の委員は 誰もいない
医療対策と経済優先の政策は 
いつも福祉の現場が 軽視され後手に回される

リスクゼロに挑む福祉の人たち
社会の目を向けてほしい
ワクチンが 優先的に接種されるよう
エッセンシャルワーカーにも 優先的に接種されるよう
強く強く 切望する

〔2020年8月20日書き下ろし。なぜリスクゼロに取り組む福祉の現場や従事者の姿を報道しないのか。厳しい現場でリスクゼロに挑むエッセンシャルワーカーにも優先的にワクチンを!〕

付記
医療従事者、高齢者を優先=コロナワクチンの接種計画―政府
政府は19日、新型コロナウイルスのワクチンが実用化された場合、医療従事者や高齢者、基礎疾患を持つ人へ優先的に接種する方針を固めた。21日に新型コロナウイルス感染症対策分科会を開き、接種計画の大枠を取りまとめる見通しだ。
新型コロナのワクチンをめぐっては、世界各国で開発が進んでいる。政府はこれまでに米国や英国の製薬大手と、ワクチン供給を受けることで基本合意。早ければ来年初めにも日本で接種が開始される可能性があるという。
こうした状況を踏まえ、政府はワクチンの接種順位を定めた計画を策定する。十分な医療提供体制を確保する観点から、感染リスクにさらされる医療従事者を優先。重症化する可能性が高い高齢者と、糖尿病や高血圧など基礎疾患がある人も対象に加える。
分科会では当初、妊婦も優先接種の対象に挙がっていた。しかし、政府関係者によると、新型コロナのワクチンは臨床試験で、頭痛や発熱などの副作用が生じる確率が、他のワクチンと比べて高いことが判明。このため、政府は妊婦への接種を優先扱いとせず、本人の意向確認を徹底するなど慎重に対応する考えだ。
政府は9月上旬にも接種計画を正式決定。費用は全額を国費で賄う方針で、新型コロナ対策として確保した予備費から、実施主体の市区町村に関連経費を充当する方向で調整する。(時事通信社2020年8月20日)

食べ残し禁止令

旭川にいた
半年ぶりに ホテルに泊まる
6時半 レストランがあいた
バイキング方式
並べられた料理を取るには
マスクと衛生手袋を着用した
豊富なメニューを前にして
今朝は軽めにと思いつつ
品定めをするうちに
食欲には勝てず 盛ってしまう

2月 あるホテルでの出来事
食事する席の後ろで
大声を出してしゃべっていた
中国人の中年の男が
並べられたバイキング料理の前で
大きなくしゃみをした
悪びれることもない態度に
不快さと不潔感を感じた

今朝のバイキングの肉料理は
カバーのついた専門容器に入れられ
外気からガードされ 保温されていた
和食のおかずには ガードはないが
量が少なめに よそわれ
なくなるとすぐに 補充された
客はみな意識的に 離れた所に席を取り
会話することもなく 静かな食事の時間となった
 
8月 中国の習近平国家主席が
食べ物の浪費を禁じる号令をかけた
全国的な節約キャンペーン「食べ残し禁止令」
15年 都市部の飲食店の食べ残しは 1800万㌧
3千万人から5千万人の 1年間の食料に相当する量
途方もない数字に 驚くしかない
宴会で 食べきれない量が出され
食べ残すことが習慣化されているという
主食の米や麦の食糧自給率98%を越える中国
日本に多くの食材を輸出する 大生産地で大消費地

これからも 輸入に頼るしかない日本の食料・飼料
今朝のホテルの食べ残しは どこに?
残飯処理で 家畜の餌になることも…
ただ 飽食の国日本こそ
「食べ残し禁止令」
心がけたいと おなかをさすった

〔2020年8月19日書き下ろし。コロナ感染防止対策を施したホテルのバイキングの朝食の風景と、ふと「飽食の国日本」を感じた〕

したつもりやったつもり

困っていたようだから
困ってる人だけ助けると
不公平って騒ぐから
みんなに10万円配ったよ
よくやったでしょ

仕事休ませちゃ困るようだから
仕事なくしちゃもっと困るようだから
助けて救ってって騒ぐから
手間はかかるけど支援金出したよ
よくやったでしょ

店休ませてしまったようだから
危ない潰れるって騒ぐから
せめて家賃の足しにと 一時金出したよ
よくやったでしょ

心配しているようだから
罹った人だけ助けたら
私も俺もって騒ぐから
検査の数を増やしてあげたよ
よくやってるでしょ

旅に行きたいようだから
観光の人だけ助けては
しかめっ面されて騒ぐから
特権いろいろ取り揃えたよ
よくやっているでしょ

一時しのぎの気休めにもならぬお足
みんな子どもらの未来の借金
たった一度したきりで
さもしましたと よくやってると
息巻く方々
自画自賛の 大判振る舞い
したつもりやったつもりで 
厚かましくも 評価をねだる
町場の景気は 好転どころか
悪化の坂を 転がり落ちる

コロナ禍の熱帯夜
左団扇の心地よい風に
満足げな顔する したつもりの方々
多くの下々は 
感染と暮らしの不安に そそのかされて
今宵も つもりつもった悪夢にうなされる

〔2020年8月17日書き下ろし。昨日の続編。したつもりでただいま休暇中の方々。仕事しなくても給料は出るし、中にはたっぷり資産もあるから心配無用だって〕

責任感が強い

男は責任感が 人一倍強かった
休まず仕事することこそ 本望だった

男は責任感の 塊だった
休むことは 罪深いと思った

男は責任感の重圧に 耐えていた 
休まず励んだから 判断ミスが重なった

ただ男は責任感を はき違えていた
自分がミスったことには 
なに一つ 責任は感じなかった

さらに男も取り巻きたちも
日本語を 正しく理解できなかった

責任とは 自分が引き受けて行わなければならない任務や義務
いつも途中で投げ出し 矛先を変えた
責任とは 自分がかかわった事柄や行為から生じた結果に対して負う義務や償い
不都合が生じると 隠蔽と嘘を重ねた
責任とは 法律上の不利益または制裁を負わされること
憲法の解釈変えて 法治国家の土台を揺るがし続けた

男は責任の重さを ほんとは知っていた
でも 責任を負うことはしなかった
だから 責任をとって辞することもしなかった
なぜなら 責任の所在を曖昧にし 責任転嫁することに
不思議と 長けていたからだ

世の中は すでに疲労困憊していた
熱波の中 働きずくめのマスクの群れが
コロナ禍の中で 安全に休める場所もなく
不安と恐怖を抱きながら 
閉塞した社会で 必死に希望の出口を探す

男は 無責任という衣に着替えて
今宵も静かに寝入る

〔2020年8月16日書き下ろし。人一倍責任感が強いと初めて聞かされた。その解釈がそもそも違うことに気づかされた〕

付記
甘利氏、首相の疲労蓄積を心配 
自民党の甘利明税制調査会長は16日のフジテレビの番組で、新型コロナウイルス対応のため、連続勤務となっている安倍晋三首相の疲労蓄積を心配した。「ちょっと休んでもらいたい。責任感が強く、自分が休むことは罪だとの意識まで持っている」と述べた。甘利氏は首相側近。12日に1時間近く2人で会談している。(毎日新聞2020年8月16日)

心の詩になる

あなたに添う
優しく語る
あなたのことばに
ただ耳を傾ける

あなたに添う
穏やかに返す
わたしのうなづきが
静かに伝わる

あなたと添う
時の隔(へだ)てを 越えて
無為なることばは
心の通い路に 立たせる

あなたと添う
ありのままを 受け入れて
紡ぎあうことばは
夢の通い路へと 導く

あなたと添い遂げる
遠くない明日に
織りなすことばが
ふたりの人生の
心の詩(うた)になる

〔2020年8月15日書き下ろし。敗戦記念日。いまも詩い続ける人がいる。共に生ある限り詩う人にも伝えたい〕

北の空に南の空に

北の空に オスプレイ
我が物顔で 飛び回る

北の空は オスプレイ
俺の空と 爆音残す

南の空に オスプレイ
自由気ままに 飛び交う

南の空は オスプレイ
米の領土と 笑って誇示する

敗戦後75年
北も南も 空が侵略された
北も南も 空は占領されている

治外法権 放置して
カタチばかりの民主主義
無惨に形骸化し 一党独裁を容認する
平和憲法 解釈変えた集団的自衛権 さらに拡大
コロナ禍に乗じて 戦争を企む者どもが 
不気味に 敵陣基地への先制攻撃 論じ合う

敗戦75年
北も南も いまも外地だった
北は 内地の意向に 従うだけだった
南は 内地に抗いながら 翻弄され続ける

沖縄独立論
米のいいなりの内地から
尊厳ある暮らしの自治を 求めて動く
北海道独立論
内地の政治的支配からの 脱却か
内地の経済的支配からの 自立か

〔2020年8月14日書き下ろし。東京(内地)にご機嫌伺いする卑屈な態度は無用。敗戦後の引き揚げ者や移住者にとっての北海道は、自立再建の地であった。祖父母は樺太敷香を追われた引き揚げ者である〕

付記
「思いやり予算」は日本から要請 地位協定改定避け、負担は実現
1978年度から始まった在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を巡る交渉で、日米地位協定で支払い義務のない基地従業員の労務費などについて、日本政府が「法的に容認されない」と認識しながら負担に応じた経緯が13日までに機密解除された米公文書で判明した。基地管理権や裁判権といった地位協定で米軍に保障された広範な権利を維持する必要があるとして、日本側が協定を改定せずに負担を実現するよう要請し、米側と合意していた。
日本側は駐留費負担を巡る国会議論が協定見直しに波及すれば、日米関係を悪化させると懸念していた。(共同通信社 2020年8月13日)

隔離と監禁

母は 認知症を十数年患った 
7回忌の盆を 迎えた
まだらの時は 夕方コロッと豹変した
介護施設では 人形を抱きながら徘徊した

もしも母が
コロナの感染を疑われ 隔離されたら
どんな行動を取るのだろうか

陽性が判明したら 
果たして病院は受け入れてくれるだろうか
なぜ入院しているのか
その理由すら理解できず
環境が変わることで 混乱するだろう
病室を出て 徘徊し始めたら
看護の目は届くだろうか

治療と称して
施設に留め置くだろう
施設でのクラスターの多くは 
施設丸ごと閉鎖の結果だった
札幌の老健「茨戸アカシアハイツ」の集団感染
陰性の利用者は 別の所に移すことも出来ず
家族の切望も 拒否された
行政は 一人ひとりの死と向き合い
感染対策が遅れたことへの 検証が急がれよう

もしも母が感染したら
隔離室に入れられ
宇宙服もどきの格好の介護士に
身の世話をやかれる
まるで別世界の環境は
理解不能 思考混乱
強い恐怖感にかられ 助けてと叫びながら
母ならきっと 飛び出すだろう
果たしてあなたは 部屋を施錠しますか?
隔離ではなく 監禁です

介護現場の介護士たちの苦渋を知らずして
行政は黙して 介護現場に丸投げを続ける

〔2020年8月13日書き下ろし。厚労省の分科会や官吏のデスクワークでは、想像することは皆無なのか。どうしたらよいのか是非知りたい〕

寂しいお盆

「おいででしたか」

「お待ちしてました。上がってください」

「まずは、お線香をあげさせてください」

「いつもお参りいただき有難うございます。お供えまで有難くいただきます」

「いえいえ先代には、どれほどうちの親父もお袋もお世話になったことか、こうして代わりにお線香をあげられるだけでも、ありがたいです」

「そうおっしゃっていただいて、今年も無事お盆を迎えることが出来ました。さあさあ冷たい物でも」(2人席を立って茶の間に行く)

「大家さんにはいつもお世話になりまして、今日も遠慮なく寄していただきました」

「こちらこそ、宅のとりとめのない世間ズレしたお話を聞いていただいて、本当にご迷惑をおかけするばかりで、申し訳ありません」

「いえいえそんな、私の方がいつも教えを請うばかりで、感謝しております」

「ボケ防止には、おしゃべりが一番といいますが、女の私には茶飲み友だちがおりますので十分は間に合いますが、宅は家に籠もっていますので、あなたがおられるだけで本当に助かっているんです」

「何バカなことを言っているんです。酒の用意をお願いします」

「はいはい、今日はごゆっくりされてください」

「有難うございます。お言葉に甘えまして」(ビールと肴が運ばれてくる。ビールをコップに注ぎ、杯を掲げて飲み始める)

「今年は子どもらも、戻っては来られないというから、寂しいお盆ですね」

「やっぱりあれですか、帰省に規制がかかって気勢が上げられない」

「来ましたね、さっそく。そうなんですよ。こんなに東京で感染が一気に広がって行くなんて思いもしませんでしたからね。それを最初の流行とは質が違うなんてわけの分からん理屈をこいて、判断は好きにして押しつけた。GOTOキャンペーンが止められない。困った内閣です」

「いろんな知事がうちにはご遠慮くださいみたいなことを、遠回しにおっしゃっていますが、ダメージをもろに受けたのは沖縄の離島。知事は緊急事態宣言を出っしゃったわけで、あれを見ちゃうと、うちさくるなって、やっぱり警戒心は強まりますよね。GoだのStayだの犬でもあるまいし、うざったらいこって」

「そこなんだね。曖昧なことしかいわないから怖さが増して、時に攻撃的もなるから、余計に怖い」

「青森に帰省した人の玄関口に、なんで戻ってきた、すぐ帰れって書いた紙があったって。ショック受けますよね。何百年もの間同じ土地で先祖代々生きながらえてきた地縁が、いとも簡単に壊れていくんですね、哀れというか」

「ただね、そう思ってもしちゃいけないって、普通じゃ自制心とか道徳心とかが働くところだけども」

「とおっしゃいますと」

「いえね、本心みんなそう思っているだけのことで、そうした人を表立って批判できないところに、世間は追い込まれているんじゃないかと。田舎は特に高齢者も多いから、自衛しなきゃいけないのでしょう」

「していいこととしてはならないことの何かギリギリのところで暮らしているようで」

「普通ならどこどこの家の息子が東京から帰ってきたなんて、普段は見向きもしないし、息子も近所周りして挨拶することもなくなったから、知ることもない。でもこのご時世、近所で監視が始まった。おや見慣れない人、見慣れない車ってなことになると、詮索センサーが一斉に動き出して、情報が集まってくる。伝え聞いた正義感に燃えるもんが、一言忠告に出向くと息巻いて、まあまあと押しとどめるそぶりしながら、背に腹はかえられないとばかりに、背中を押している。その家のもんとは多少しこりを残しても、仕方ないとあきらめる。ほとぼりの冷めた頃に、謝りの一本を入れればいいだろうと高をくくる」

「とりあえずこうするしかなかったからごめん、ってことですか」

「いいね。今日のキーワードは〈とりあえず〉ですよ」

「えっ、〈とりあえず〉ですか」

「そうそう、いまの内閣のやってることは、世間のやってることと大差ない。〈とりあえず内閣〉ってとこですね。やることなすことその場限りで、とりあえずそこんところを繕っておけば、いいだろうとすればするほど、仕立てが下手だからすぐにほつれる。ほつれたらまたとりあえず何の考えもなしに、縫いつくろう。その繰り返しで、指導力も政策企画能力も推進力も何もないことがバレてしまった。十兆円の補正予算も、解散選挙で勝つためのばら撒き軍資金で準備はしたが、東京を含めて全国に感染拡大しちゃって、どうすることもできなくなった」

「広島と長崎の原爆の記念式典でも挨拶の中身が上書きされただけだと非難は受けるは、長崎では何しに来たのかと遺族会には詰め寄られるはで、弱り目に祟り目でしたね」

「記者会見もそこそこに出ていったのは、もう話すべき〈言葉〉がないということ」

「どういうことで」

「安倍さんの言葉には、心に響くものがないから、天下の読売新聞の世論ですら、救いようのないくらい支持率ガタ落ちで、不支持に至っては54%とかばいようがない。威勢のいいフレーズはあったけれど、そもそも〈言葉の力〉がない。だから国会を開けない」

「独善的な米国やブラジルの大統領と別格としても、ともかくコロナの対応は失態続きで評判は悪いですね。感染者や亡くなった人の数では、世界でも少ないのに、その指導力は全く最低レベルですね」

「確かに数から見ると少ないから普通は良くやっているって評価されて当たり前だけども、政策としては成功しているとは言い難いから、皆さん不満をこんなカタチで吐き出して、政治を担う者たちに檄を飛ばしているのかもしれない」

「えっ、エールですか?」

「逆もまた真なり。そういう風に解釈して煙に巻くのが上手いから政治家ともいえますね。決して過ちを過ちとは認めない。もう一つ、誰かに責任を押しつければ一件解決」

「いやはや、黒いものを赤だと言いくるめるこれも〈言葉の力〉ですか」

「彼らはそうだと思い込んでいるから、たちが悪い。日本語を歪曲させて、不正義を正義に変えるくらいは朝飯前でしょ。そもそも政治に正義はあるのかと、広島の〈黒い雨裁判〉で不信感というより怒りさえ感じましたね」

「これが選挙前の判決ならば、公訴取り下げを平気でやる人。広島の原爆記念式典で控訴しませんと挨拶したら、支持率グッとアップしたものを、そのあたりの政治感覚のズレが、はっきり見えたということですか」

「おっしゃるとおり。ただね、いまひとつ考えなければならないのは、怖い数字です」

「数字というと」

「コロナの世界の感染者が11日に2千万人を超えたとニュースがありましたが、1千万人を超えたのが6月29日なんです。たった1ヶ月半で倍になり、亡くなった人も70万人も超えているという深刻な事態です。日本も、5月の25日に緊急事態宣言が解除された時には1万7千人弱で820人の方が亡くなっていましたが、今日5万人を超えましたね。7月からここ1ヶ月で倍に感染者が増えているんです」

「それでも、重症者が少ないとか医療崩壊はしないとか、旅行は随意にとか、感染地区の営業は規制をかけますとか、この夏みんな中途半端にやり散らかして、特に何もしないことにしたんですかね」

「国会を開いても、打つ手もない。ただ腐(くさ)されるだけで、そこで余計な言葉でも吐いたものなら、その尻拭いをみんなこぞって忖度させられる。開くはずはないでしょ」

「コロナには勝手に一時休戦。まずはジムで体力づくり、健康維持で次に備えるという、優雅な夏休みをされておられるのですね」

「一致も察知も行かない日々、日銭を稼ぐのに汲々とされてる方や、夏休みにどこにも行けずに家で過ごす子も、この熱暑の中辛抱して暮らしているにもかかわらず、議員は選挙区に帰省して軍資金集めに奔走してることでしょう」

「ホットなニュースです! 米国とドイツが共同開発しているコロナのワクチンの臨床試験が順調なら、暮れには有効で安全なワクチンが大量につくられそうです」

「それは嬉しいですね。一刻も早くワクチンの供給が始まれば、犠牲者も減りますし、その先の経済の見通しの段取りも付けやすくなりますね」

「先が見えることで、暮らしを立て直すという目標がはっきりしますね。ワクチンの開発が成功なら、ほんと素直に嬉しい。研究している人たちって、マジに人類の救世主ですね」

「おっしゃるとおりです。人間の叡智というのは侮れない。研究者の並々ならない精進と研究への真摯な姿勢に感謝するしかありません」

「なにかこうして酒を酌み交わしているのは、申し訳ない気がしますが」

「いえいえ、ご先祖さんもさぞ気をもんでいたことでしょう。少しでも明るい兆しが見えたことを伝えるいい機会となりました。このまま無事ワクチンの開発、製造が進みますよう、とりあえず乾杯しましょう」

「それでは、とりあえず遠慮なくいただきます」

〔2020年8月13日書き下ろし。ワクチン開発のグッドニュースが入ってきて、不安が少しでも解消されることが、今日の救いになりました〕

付記
新型コロナの政府対応「評価せず」66%…読売世論調査
読売新聞社が7~9日に実施した全国世論調査で、新型コロナウイルスを巡る政府のこれまでの対応を「評価しない」は66%(前回7月3~5日調査48%)に上昇し、同様の質問をした2月以降6回の調査で最も高くなった。「評価する」は最低の27%(同45%)。安倍首相が新型コロナへの対応で指導力を発揮していると思わない人は78%に上った。
安倍内閣の支持率は37%で前回調査(7月3~5日)の39%からほぼ横ばいだった。不支持率は54%(前回52%)となり、2012年12月の第2次安倍内閣発足以降で最高となった。不支持が支持を上回るのは今年4月調査から5回連続だ。
政党支持率は、自民党33%(前回32%)、立憲民主党5%(同5%)などで、無党派層は46%(同46%)だった。
今年のお盆期間中の帰省に対する考えを聞くと、「(新型コロナウイルスの)感染が拡大する恐れがあるので自粛すべきだ」が76%に上り、「感染防止策を徹底していれば問題ない」の22%を大きく上回った。
政府が、7月から旅行代金の割引などで観光を支援する「Go To トラベル」事業を開始したことについては「適切ではなかった」が85%に達した。この夏の旅行について聞くと、「都道府県をまたいで旅行する」が12%、都道府県をまたがず「近場へ旅行する」が15%で、「旅行は控える」が67%に上った。政府は、観光需要を喚起するため、旅行費用の半額を補助する「GoToキャンペーン」事業を8月上旬にも開始する方針だが、国民の間では依然慎重な人が多いようだ。
国内で新型コロナウイルスの感染が再び拡大する「第2波」への不安を「大いに感じている」とした人は57%(前回6月5~7日調査52%)に上昇した。「多少は」38%(同39%)と合わせ、不安を感じている人は95%に達した。(読売新聞オンライン2020年8月9日)

コロナワクチンの初期試験で抗体 ファイザー開発、英科学誌に発表
【ワシントン共同】米製薬大手ファイザーのチームは12日、開発中の新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種した人に、ウイルスに対抗する抗体ができたとする臨床試験の初期成果を英科学誌ネイチャーに発表した。
ワクチンはドイツの企業ビオンテックとの共同開発。7月末に3万人対象の臨床試験が米国で始まった。順調なら10月にも米食品医薬品局(FDA)の安全性や有効性の審査を受け、認められれば年末までに最大1億回分、来年末までに13億回分の製造を目指すとしている。日本政府は開発に成功した場合、来年6月末までに6千万人分の供給を受けることでファイザーと基本合意している。(共同通信社 2020年8月13日)

ペーパー教師誕生

教職課程のある大学ならば
必要単位を 取得させると
文科省は 教員免許交付する

教育実習することで
教師に不向きとよくわかり
免許だけでもとりあえず
だから 子どもに迷惑かけません

教育実習することで
教師の仕事を垣間見て
免許だけでもとりあえず
それも 資格のひとつです

教育実習した後で
教師への憧れ 見事に砕け
免許は取っても 
使い道は ありません

教育実習した後で
教育への志 見事に挫(くじ)かれ
免許は取っても
虚しさだけが 残ります

教育実習する前に
教える不安で
ドキドキしてた
教育実習しているときは
教室の片隅に黙って座る子に
毎日言葉をかけました
それしか できません
教育実習最後の授業
その子が初めて手を挙げて発表しました
それだけのことが 心に響きました
教育実習したことで
その子に
先生になってごらんって
背中を押されたように感じています

コロナ禍で 教育実習できません
文科省 実習なしで
教員免許交付します

採用後の落伍者が 目に浮かぶ

〔2020年8月11日書き下ろし。実習で教える人としての資質を試すことなく、採用されれば現場に入る。教師のなり手は不足中。さらなる質が問われそう〕

付記
教育実習なしでも教員免許 コロナ禍特例、文科省が通知
学校現場での教育実習の受け入れがコロナ禍で難しくなっていることを受け、文部科学省は11日、今年度に限り、大学の授業などを教育実習の代わりに単位として認める特例措置を発表し、全国の教育委員会などに通知した。「真にやむをえない場合」の措置だが、今年度は「教育実習なし」でも教員免許が取得できるようになる。
◇教育実習の特例措置についての文部科学省通知(骨子)
・教育実習の期間の全部または一部を、大学による実習などで代替できる(可能な限り、教育実習と組み合わせる)・大学による実習も困難な場合、教職課程の認定を受けた教育実習以外の科目で代替できる・特例措置を活用する学生がいることを念頭に、都道府県教育委員会は初任者研修などで十分に配慮する(朝日新聞2020年8月11日)

きみがただいるだけで

コロナ禍の夏
きみは生まれた

きみがただいるだけで
世界は どうしてこうも明るくなるのだろうか
きみがただいるだけで
ひとは どうしてこうも優しくなれるのだろうか

きみといるだけで
どうしてこころが安らぐのだろう
きみといるだけで
どうしてこころがぬくもるのだろう

きみが泣くと
世界中の悲しみを みんな集めたよう
きみが笑うと
世界中の喜びを みんな集めたよう

きみの小さなその手には
大きな愛を 握っている
きみの大きなその瞳には
大きな希望を 見つめている

きみとは会えなくても
きみがすこやかに育ちますよう
祈っています

きみとは出会うことがなくても
きみが仕合わせになりますよう
動く人に なります

〔2020年8月10日書き下ろし。敗戦の日を前に、世界中の子どもたちがすこやかに育ちゆく平和な世界をつくる誓いを、犠牲になった御霊に捧げます〕