「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

みんな与党になればいい?

先の選挙の総括せぬままにドングリの背比べ
誰がなっても変わらぬ野党というだけの存在理由
党内改革掲げても分裂するのは想定内
すでに賞味期限は切れていた

立憲の代表が決まる
荒海に乗り出す船長の舵取りは未知数
連合貴族から司令され古参が蠢(うごめ)き壁となる

盛り下がった代表選挙気迫に乏しい内輪の論争
闘いし者は要職に就きまずは船出となった
すでにさじは投げられた

政権奪取などあり得ない
夢のまた夢いつまで見てるおつもりか
すでに党員までも見下り半を押す体たらく

野党への不信
政策のちぐはぐさ
政論のつまならさ

いっそ誰かのように与党に鞍替え
与党野党の区別がなくなったらどうだろう
二大政党の米や英を真似るより
専制政治の日本型の議会政治はいかがだろう

中国やロシア如きの人権無視を超えてゆく一党独裁
チマチマするより野望抱いて大同団結
そこで世の中どう変わるのか試してみよう

野党与党の垣根を越えた挙国一致お勧めます
維新も公明批判して自民党内野党を目指してます
立憲も連合の傘下でいるより居心地はきっといい

閉塞した世の中を根底から変える起爆力となる
大政翼賛会もどきが生まれ憲法を改正し軍隊と懲役制度が復活する
治安維持法もどきが制定され人権侵害が当たり前となる
政財界は金儲けにこぞって走り戦争待望論を現実にする
巷では誹謗中傷密告で体制批判は御法度即刻投獄される

いかがです?
野党の存在理由をしっかり認識しアピールしませんか
聞いてくれるなんて努々(ゆめゆめ)考えるなかれ
正義は勝つなんて思い込みこそ敗因でした
努々命懸けで闘ってきた先人たちを忘れるなかれ

〔2021年12月2日書き下ろし。8日真珠湾攻撃から80年の節目を迎える。身の毛もよだつ過去の失政を想い起こそう〕

おばんと漬物づくり

里のばあちゃん
腰はだいぶ曲がってきたが 野良仕事が楽しみだった
ちっさな畑に 食べ切れんほどの野菜ば作った
健康づくりの体操よりも 好き勝手の方がよっぽど性に合った

今年も春を楽しみに 畑仕事の段取りしていた
でも腰の案配さ悪くなって 耕すことができんかった
そろそろここらが潮時かと 寂しくなった
「おばん、畑どうした?」
事情を聞かれた
「なんなら耕して畝(うね)さこさえてやろう」
有難い申し入れに 素直に頷(うなず)いた

今年も種さ蒔けた
おがってくる野菜と話しっこしながら
しみじみと野良仕事できる喜びを噛みしめた
「おばん、畑の始末しておいたよ」
お礼にとおがった立派な野菜を漬物にして届けた
「おばんの漬物、本当にうまいな」
そう言ってもらえるだけで 作った甲斐があった
「おばん、この味教えて。今度手伝わせて」
そう言われて なぜかほっこりしてきた
「おばん、いつでも手を貸すから言ってきてや」
そう言われると 春耕しに気をもむこともなくなった

里で暮らすということは 
善意を地域で回すということ
畑を耕すことの当たり前が途切れた時に
老女は心の拠り所を失う

〔2021年12月2日書き下ろし。人は何か生きがいや張り合いがなければ老いを友にするしかない。この逸話を元に何か仕掛けられないか。アイデアが浮かぶ〕

福祉の歴史を創るひとたち 

市民がつくり担う 地域福祉実践計画
次の中期計画づくりに 参集したひとたち
様々な立場から論議し カタチづくられてゆく

そのひとたちこそ 計画の価値を証明するひととなる
計画策定の目的と実践目標を 正しく理解する
吟味された事業を通して そのおもいを実現しようとする

そのひとたちこそ 実践を担うひととなる
地域を活性化する計画は 市民がつくる福祉となる
その魅力を 広く多くの市民に知らせるメッセンジャーとなる

そのひとたちこそ 労を惜しまず動くひとである
故郷を次世代に引き渡し 継承するための行動提起である
現実の福祉課題に向き合い 迷うことなく多くのひとを巻き込む
故郷へのおもいがひとをつなぎ 暮らしを支える福祉の風土づくりに挑む

そのひとたちこそが 熱いおもいにかられたひとである
福祉を考える・動く・変える
そして 歴史を創るひととなる

〔2021年12月1日書き下ろし。2つのマチの実践計画に携わりながら、策定に参集する多くの市民にエールを贈りたい。機能不全を起こしている「協議体」の話題を聞くたびに、この熱気をどうして引き出せないのか疑問に思う〕

札幌五輪誘致に反対する

札幌冬期五輪誘致に向けて 市は大会概要案を29日公表した
大会経費2千800億~3千億円 市の負担は450億円
運営費を2千億~2千200億円と見込んだ
運営費はスポンサー収入などでまかなう 
税金は原則投入しないと明記した
取らぬ狸の皮算用 そうならない時の保険はない
札幌市内だけではなく 全道各地で種目を担う分散大会
だから全道規模でアンケート調査を実施するという
結果は誘致の是非にはならぬという怪奇な調査
高い経費と手間をかけ いいとこ取りして誘致の正当化を図る

札幌五輪誘致に反対する
一つは 五輪をなぜ開催するのか
東京五輪に見たIOCの露骨な商業主義と高圧的な態度が目に余る
五輪憲章すら踏みにじるIOCに加担することは許されない

二つに 東京五輪の経費を含めた検証が済んでいない
膨大に膨らんだ経費は 都民の意向を無視して負担される
経費圧縮を叫んで誘致した者たちは みな本番までには辞任した
誘致した責任は 見事に拡散しあやふやとなった
8年後の政治と経済の動向を予知することは出来ない
秋元克広市長も そのときにはその職にはいないだろう

三つに 必ず金儲けの美味しい話で道民を釣る
リスクを隠し 経済効果を煽り立てる
これこそ商業主義化した五輪の本質ではないか
東京の惨敗を見ても 学べぬ者たちの楽観主義が怖い

四つに IOCは「クライメート(気候)・ポジティブ」を義務づける
具体的にはまだ示していないが 対策経費が必要となる
冬期間暖房が欠かせない北海道の現状を把握すべきであろう
その上でリスクが生まれてきたなら 道民に規制を強いるのか

五つに 誘致の気運が高まるとは思えない
IOCの貴族気取りの金の亡者を 札幌に招くことなど許されない
IOC主導の東京大会に嫌悪感を憶えた人は 反対の意を示すだろう
国すら手玉に取るIOCは 札幌など赤子の手をひねるほど簡単だ
IOCの横暴な振る舞いを 決して許してはならない
その空気を察して アンケート調査で盛り上げたいと画策する
なんと見え透いたお粗末な企てか

目的を見失い アスリートを巧みに利用したIOCの卑劣さ
緊急事態宣言の最中 反対の声を踏み潰し強行したIOCと言いなりの国
五輪の恥部を見せつけた東京の教訓を 決して忘れてはならない

※「クライメート(気候)・ポジティブ」:地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減量が排出量を上回ること。

〔2021年11月30日書き下ろし。IOCの金権主義に懲りずに誘致を進める札幌市。アンケート調査も既成事実を積み上げるだけのこと。五輪の目的を歪ましたIOCを拒否する〕

付記
道民調査で招致是非決めず 30年札幌五輪で市方針 議会、他都市の意向参考
札幌市は2030年冬季五輪・パラリンピック招致に向け、来年3月にも全道規模で行う住民アンケートについて、結果だけで招致の是非を決めない方針を固めた。秋元克広市長は15日の定例記者会見で「(結果は)非常に大きなウエートを占める」と述べる一方、市議会や道内他都市の意向なども踏まえて最終判断する考えを示した。19年試算から最大900億円削減する開催経費は「招致決定後に増えることは許されない」と強調した。
住民アンケートは、20歳以上を対象に実施する。秋元市長は全道規模とする理由を「帯広市なども競技会場となるほか、冬場の観光客誘致など道内全体への効果も期待しており、道民の意向を把握したい」と説明。郵送やインターネットによる調査を検討し、世代や性別などのバランスを考慮する。(北海道新聞2021年11月16日)

旅の友老いる

旅には必ず同伴させた
こいつとのつきあいも
丸五年過ぎた

コロナ禍で旅は激減した
こいつも少し骨休みができたと思った
動き回った旅の疲れは取れなかった

たった五年で老いてゆく
いいやつだったが反応が遅くなった
しまいに固まって手こずらせた

入力するたびにストレスになった
すでに寿命が来ていた
ネット検索だけは現役だった

旅先で原稿を書くのは難しい
浮かんだ言葉が消えてゆく
旅の友との縁も切らねばならない

PCの劣化は商業ベースで消費を促す
Windows11もこのタイミングできたか
さてさて思案の時を迎えた

消費時代に生きた世代は新製品に弱かった
購買欲を刺激され新しいものを求め続けた
ワープロからPCまで14台を消費した

これから五年どれだけ旅があるというのか
モバイルを持ち歩く仕事があるというのか
そこにものほしげな自分がいた

〔2021年11月29日書き下ろし。レスポンスが劣化して買い換えを迫られた。ただ動いているだけ有難い。最後まで頑張ってもらおうか〕

オミクロン株の脅威

南アフリカ・ハウテン州 首都プレトリアやヨハネスブルクがある
新型コロナウイルスの新変異株が 見つかった
隣国ボツワナや香港 さらに欧州へと拡散している
イギリス・ドイツ・イタリア・オランダでも 見つかった

WHOは新変異株「B・1・1・529」を「オミクロン株」と名付けた
免疫を回避する性質や高い感染力を持つ恐れがあるという
再感染の危険性が増すなか 南アからの渡航禁止を告げ防疫体制をしく
最も怖いのは「オミクロン株」は PCR検査で検出不可だという

日本国立感染症研究所は
「細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある」という
容易に感染しやすいウイルスに変異してきたということだ
日本は水際の防疫体制の強化が唯一の防御策だ

検出には手間も時間もかかるだろう
感染経路の把握も難しい
飛行機に同乗した客すべての検査もきっと後手となる
過去簡単に突破された検疫が強化されているのか疑わしい

ワクチン接種の証明書などゴミ化する
潜伏期で症状が出なければスルーする
観察期間の縮小で安全性を担保できるはずはない
欧州を含め出入国の厳戒体制に覚悟をもって臨んでほしい

感染が収まっているかのように見えるなか
政治家は取り損ねた金の回収にパーティー三昧
円高でも経済の回復を願ってばら撒かれる国債の札びら
うだつの上がらぬしけた野党の内輪の代表選びの滑稽さ
暢気極まりない世相に活を入れる「オミクロン株」が登場した

新型コロナも易々とは退陣しないしたたかなウイルス
新兵器を開発しては攻撃の手を決して緩めない
追撃兵器の開発は後手に回り犠牲者の山をつくる
北海道の人口に匹敵する
518万8018人(27日現在)の死を無駄にしてはならない
北京五輪も東京以上の感染進撃を受けるかもしれない
IOCバッハと中国国家主席習近平の危機管理が攻撃の的となる

テレビニュースで クローズアップされた男のしたり顔
政治資金回収パーティーをしていた知事だった
何の実績を挙げずとも 誇らしげに壇上で挨拶する
取り巻きたちは おこぼれをもらうのに触手を延ばす
さもしいパーティーの裏で ウイルスは静かに牙をむく

〔2021年11月27日書き下ろし。「オミクロン株」を侮ってはならない。一層の危機管理を強化せねば、国難を招く。政府の危機管理能力は決して高くない。だからこそ検証し穴を埋める対策を迅速に整備しなければならない。なにが政治パーティーだ〕

雪の朝

カーテンを開けた
夜明け頃から降り出したのだろう
窓の下の車は白く化粧していた

19日3番目に遅い記録の初雪だった
みぞれ混じりですぐに消えたという
ちらつく日はあったが積もらなかった

鉛色の空から絶え間なく降り続ける
近景の食品加工会社の看板もかすむ
国道12号線は行き交う車も少ない

重い雪ならドンドン積もる
軽い雪だから大丈夫だろう
車の雪を払うブラシを出すのを忘れていた

道北の町ではすでに1メートルの積雪だという
空知の月形町も昨日44センチ積もったと電話が来ていた
ドカンと降ると後の始末に追われる

ポプラの葉が全部落ちたら根雪になるという
まだ下の方に枯れ葉がはりつく
そういえば今年は雪虫を見ていなかった

異常気象がいつのまにか通常になる
地球の気候がドンドン変わる
暑くても寒くても人の暮らしが叩かれる

窓外はまた降り方が強くなってきた
寒風に乗って冬の到来を告げる
北の暮らしは3ヶ月間雪と寒さにジッと耐える

〔2021年11月27日書き下ろし。3日前から道北では記録的な大雪に見舞われた。小樽も積もった。昨日雪雲は南下して、積雪の多い地方を覆った。今朝は我が家までやってきた〕

いまも生きる五せる

食わせる
選挙で勝った政治家を税金で食わせる国民の無気力さ

飲ませる
国民に煮え湯を飲ませて粋がる政治家たちの傲慢さ

握らせる
権力を握らせていいように懐柔される国民の非力さ

抱かせる
国民に疑念を抱かせて愉しむ政治家たちの豪放さ

威張らせる
俺が俺がの者たちを威張らせておく国民の無干渉さ

投票を棄権した40%の者たち
賢明な判断を放棄した者たち
民主主義の根幹を貶めた者たち
無抵抗のまま支配される者たち
政治を変革できぬそもそもの元凶
主権を守れぬ国民にも非がある

悪しき習いの「五せる」は
またしてもしたたかに生き延びる

〔2021年11月25日書き下ろし。役人懐柔の「五せる」を今風に解釈した。「抱かせる」の本来の意味は卑猥だ〕

仕事を積み上げる

今日は午後から 出版会社で打ち合わせ
1年がかりの原稿を ようやく入稿する
編集指示を出しながらの確認作業は心躍る
装丁にも凝ってみた
納品は2月初めを予定する
恩師の喜ぶ顔を想像するのが一番だ

ここ10日間 出張で忙しかった 
机の上には 送られてきた書類が山となっていた
昨夜ようやく整理が終わった
ポストイットに仕事の期限をメモする
月形町あずましプラン策定委員会で検討される資料のチェック
次に檜山管内の町社協担当者と協議する事業資料のチェック
登別の第4期きずな計画の全市計画素案のチェック
間隙をぬって授業後の学生の感想文へのコメント書き
整理ケースに まずはいったん保管した

12月10日までが 勝負となる積み上がった仕事
期日が来れば終わっていると いつも楽観する
この時期に溜まるのは 承知で動く大事な仕事
地域の暮らしに直結するだけに 気を抜くことは許されぬ 
1月の日程も これらの関連で埋まってゆく
読書三昧の生活からは 当分遠ざけられる

積み上がった仕事があるだけ嬉しい
仕事が終わったらきっと寂しくなる
積み上がった仕事は人生のお駄賃
仕事に打ち込み誠意を尽くそう
積み上がった仕事は関わる人間が魅力だ
仕事ぶりと成果を喜び合いたい

〔2021年11月25日書き下ろし。集中する時にはガッチリやるしかない。段取りがすべてだ。共に動くひとがいるのは最高の喜びだ〕

忍従を強いられる

ホームヘルパーが忍従を強いられている
町内に住む独り暮らしの老女の家事援助
老女はあたってマヒが残った
それでも自宅で暮らしたかった

そこに通うのは苦痛になった
内地に住む娘が時折りやってきては
クレームの限りを尽くす

金を出して雇っている家政婦
命じたままにしなければならない下僕
見下した横柄な態度に心が折れた

怒声を浴びせいたぶる
感謝の欠片もない
割り切れない感情労働

気力は萎み
心は凹んで
意欲は失せる

このままではヘルパーを助けられない
不当な言動に抗議し契約を破棄する
それはできるのだ
ただできないジレンマの中に立たされる

町内にヘルパーの事業所はたった一つ
支援を得られなければ老女は孤立する
頼りの在宅支援ネットはここにしかない

福祉を担う事業所とヘルパーが老女の救い手
福祉の理念を掲げる以上捨て置けない
娘の心ないクレームに老母の心も折れてゆく

大きなジレンマを抱えて在宅支援は危機に瀕する
貴重な福祉の人材が理不尽な言動で離職を迫られる
クレーマー化する消費者意識の高い者たちは
老いた親を日々介護することなく他人に預ける

聴く耳持たぬクレーマーは
今日もどこかでえげつなく吠えている

〔2021年11月24日書き下ろし。小さな町で起こっている事態に苦慮する。えげつない者たちが平然とヘルパーをいたぶる〕