「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

人望を失う

どこがちがったのか
どこでちがったのか
どこからちがったのか
どこもちがったのか

正しいと信じた
正しいと攻め立てた
正しいと責め立てた

不正に吠えた
不正に抗った
不正を正した

不義が見過ごせなかった
不義を咎めた
不義を叩いた

不実が許せなかった
不実を問いつめた
不実を追いつめた

己に嘘はなかった
己を律してきた
己に恥じることはなかった

熱を帯びるほどに
人心は冷めていった
声高に叫ぶほどに
人心は離れていった
言葉の力を失うほどに
人心は戻らなかった

負けたのは誤算ではなかった
負けたのは気負いが鼻についた
負けたのは世相を読み切れなかった
負けたのは人望が薄かっただけだった

〔2021年11月3日書き下ろし。立憲の敗北の検証を。そして党の心機一転を〕

尻に火が付く

一週間前 座談会の素稿のチェックを依頼した
先週末 期限までの提出を催促した
期日までに 戻ってきたのは半数だった
昨日メールの通知音を聞きながら 待っていた
なぜか 虚しさを感じていた

原稿の添削作業が 追いつかない
まだ 終章の原稿も未完成
追加のインタビューも これからだ
入稿まで一ヶ月 カウントダウンが始まった

時間はあるようでない
一週間デスクに張り付くのは 今週限り
来週は 大学のゲスト授業が2本と泊まりの出張
再来週は 羽幌・留萌・網走・月形と丸々留守をする
混み出すスケジュールに焦りを感じた

やるべきことをやるしかないか
一つひとつ丁寧に やり遂げてゆこう
締め切りまでには 仕事は終わる
いままでもそう暗示をかけて 仕事をこなした
問題は 心に余裕をなくした自分を見ることだ
ただ それすら楽しむ自分がいるから 始末に負えない
だから 尻に付いた火は消さずに突っ走ろう

〔2021年11月2日書き下ろし。頼まれると二つ返事で引き受ける。まだ大丈夫だと追加する。結果11月は超多忙となった〕

投票所混んでました

11時前最寄りの中学校の体育館に
妻と連れだって出かけた
体育館の入口から投票の列があった
受付を済ましてその列に並ぶ

遅々として進まない列に喜ぶ
蜜の状態に不快な態度をする人もいる
小選挙区の投票を済ましてさらに長くなった列につく
50メートルほどの列が5重に折られて待つ
原因は投票用紙と交換する手続きを一人でこなしてること
比例区と最高裁判所裁判官国民審査の投票用紙を
配るところが追いつかない
こんな風景もなぜか嬉しい

子どもの手を引いた若い夫婦や高校生らしき若者
老若男女が体育館を埋めた風景は初めての経験だ
裁判官審査で×をつける人はメモを用意してきた
ようやく用紙が渡され投票を終えた

玄関に向かうと入口の外にまで列ができていた
所要時間20分十分楽しんだ
11時現在の全国の出足は振るわぬようだがここは違った
この動きが本物ならば変わるかも知れない
そんな期待を初めてもった投票所の空気だった

結果は与党293野党162
おちょくられても懲りない人たちに落胆した
票に取り込めなかった立憲への不信票だった

〔2021年11月1日書き下ろし。さてお手並み拝見といたしますか。立憲はトップを替えて出直すしかない〕

矍鑠と生きる

夫に先立たれシングルマザーで店を持った
いまも仕切る心配性の88歳
たくさんの薬を飲むという
塩っ気のあるのは御法度だ
黒ニンニクを作りおやつ代わりに食べる
これを食べてから風邪引かなくなった
そう豪語する声に押されて3個も食べた

かくありたい
ともかく人が寄ってきた
来るとなれば手作りのおやつが並ぶ
アメリカンを入れるカップも個別に用意する
コーヒーが薄いのは胃を守るための処方箋
話題には事欠かない情報通
人を楽しませるのが一番嬉しそう

そうはいかない
サ高住に入居させられたご近所さん
通院の帰りに寄り道する
昼飯が出ないからここで済ます
戻っても寂しいのだと知っている
戻ると認知が進みそうだとも知っている
毎月20万円も払って健康は担保できない
不安を抱えて会いに来る
帰りたくないとこぼし泊めてほしいと哀願する
同情では済まされぬ
だからキッパリ断る

やるもんだ
毎年1本の苗木から大ぶりの菊を丹精込めて育てる
その技ぶりは見事としか例えようがない
今夏の猛暑にも負けず毎日水をたっぷりやったという
店の横や裏に十数鉢が所狭しと並べられていた
毎年老人施設の晩秋を飾る花となる
今朝も車で取りに行くというので付いてきた
選んでいる間の講釈を聞くのも楽しい
我が家にも小ぶりでまだ蕾の多い一鉢をお借りした
部屋に飾るとなぜか嬉しい

そこなんだ
近くに来ればみんなが立ち寄る憩いの場
おしゃべり三昧で笑いこける賑わいの場
世話焼きに忙しい振る舞いの場
でもご近所さんがいなくなる
顔見知りもいなくなる
みんな先に旅立った
うまいもんをこさえても食べる人がいなくなる
田舎料理だといいながら手間隙かけて心を込めた
喜んでもらえたならいくらでもこさえた
いまじゃみんな鬼籍に入って叶わない
サロンのような集まりも閑古鳥が鳴いていた
だから時々お邪魔する気さくな人を歓待する

そこだった
88歳は人生を皺に刻んだ
昔気質の人情味をあったかく刻んでいた
男にはマネできない女の気くばりだった
時に厳しくマジに世話焼きだった祖母の姿を重ねた
矍鑠(かくしゃく)として生きた祖母の生き方に重ねた

〔2021年10月29日書き下ろし。懐かしいおもいは昔気質というにふさわしい人との出会いにあった。人とつながることの確かさを学んだ〕

無用の長物アベマスク

こんなことだと思ってた
こんなことしか残せなかった
血税はいまもボタボタ落ちてゆく

役人は不始末マスクで隠す
管轄違いと知らんぷり
血税はさらにドンドンつぎ込まれる

処分のしようのない大量マスク
使う気などさらさらない
血税は次々バカを見る

115億円相当の在庫と聞いた
保管料8ヶ月で約6億円
血税は無駄金と成り果てる

120億円もの金があったらどう使おうか
児童養護施設の子どもたち
貧困で食べることもままならない子どもたち
病弱で遊びにすら行けない子どもたち
本当に困っている子がどれだけいることか
そう使われてこそ生きた金となる

そもそもこのマスク
有効活用はかるならまだまだ使える
アフリカの感染は公表以上の惨状か
国際支援で生かす道なら救われる
国策で懸命に作った人も救われる

きみはこの事態を許せるか

〔2021年10月27日書き下ろし。腹立たしい安倍政権時の無策の上の無駄遣い。会計検査院は職員を増員して徹底的に調べるべきだ。東京五輪のチェックも厳しくして浪費を明らかにしてほしい。札幌五輪誘致に反対する〕

政府配布の布マスク、8200万枚・115億円分余剰 検査院
新型コロナウイルスの対策事業について会計検査院が検査し、介護施設などに配るため政府が調達した布マスク約1億4千万枚のうち、今年3月末時点で約8200万枚(約115億円相当)が倉庫に保管されていたことが26日、関係者への取材で分かった。昨年8月~今年3月の保管費用が約6億円に上ることも判明した。(日経2021年10月27日)

人を選ぼう

党で選ぶな 人を選ぼう
党の公約なんて バブル同然あてにはできぬ
党の公約なんて やりたいことの羅列だけ
当選しても 逃げ口上で信用できない
できない やらない きかないのは 当たり前
政権取れば 自由に勝手に決める
不都合なもんは ただ捨てるだけ

党で選ぶな 人を選ぼう
自分の選択を 信じよう
政治家選びを 賭け同然ではままならぬ
自分の価値観と違うのは まず捨てよう
新人は 直感を信じるのも面白い
当選回数で 選ぶのも面白い
既得権の有無は 回数がままならない世界です
古い順に 切っていくのも捨て方です

党で選ぶな 人を選ぼう
綺麗事の言葉を並べ ドロドロの本音と中身を隠す
党の言いなりに へいこらかしずくしかないか
党にへつらい 金と出世を願うしかないか
党を改革する志なんか すでに捨ててしまったか
そんな議員は山ほどいるから 原石を見つけたい

党で選ぶな 人を選ぼう
党が公認したならいいのかなって疑おう
党の一体誰が公認したんだ
党のお墨付きなどあってなきもの同然 
この際廃棄しましょう

党で選ぶな 人を選ぼう
ジバンも怪しい
カンバンすらない
カバンは空っぽ
だからホントになってほしい人材が出られない
二世三世家業を継ぐ血統主義のこの世界
まずは劣化した人たちから落としてみようか
少しは空気が変わる予感がする

そこで相談だが
きみはいままでと違う風景を見たくはないかな
さあ選挙に行こう!

〔2021年10月28日書き下ろし。31日は衆議院議員選挙。若者たちの投票率を上げたい〕

北海道に来るなら

人を見下した面(つら)は見たくもない
ダミ声なんて聞きたくもない
北海道に来るなら
ほっかぶりでもして来るがよい

言葉が軽く無知が際立つ
棘ある言葉で心をいたぶる
北海道に来るなら
黙って観て食って帰るがよい

人望少なく不遜になる
これ以上何も求めぬ何もするな
北海道に来るなら
ただのジイジイとして来るがよい

米づくりに必死に取り組んだ姿も知らぬ
温暖化のお陰だとバカ言ってるんじゃない
北海道に来るなら
田んぼに入って援農するのがよい

こんな輩が副総裁さまでお通りなさる
こんな輩が首相さま財務大臣さまでよく持った
北海道に来るなら
肩書きみんな取っ払って来るのがよい

人間長くやり過ぎた
タダの人が偉くなったと勘違いした
北海道に来るなら
恥の垢を拭って来るのがよい

人心をこれだけ不快にして粋がる
人心をこれだけ邪険にして偉がる
北海道で二度と語るな
不逞な言動で侮るな
農民を二度となめるな
知見のかけらすらない
地球の温暖化は漫画で学べ
正味期限が切れて無理かも知れない
それなら北海道にはもう来るな

〔2021年10月26日書き下ろし。どんどん失言しよう! 朝日新聞の選挙分析が狂うように祈りたい〕

付記 
北海道のコメ巡る麻生氏発言「断じて許されない」農民連盟が抗議
自民党の麻生太郎副総裁が衆院選の街頭演説で、北海道産米が地球温暖化の影響で品質が上がったかのような発言をしたことに対し、道農民連盟の大久保明義委員長が26日、「全道挙げて品種改良を重ね、『北海道ブランド米』としての地位を確立した結果であり、生産者の努力と技術をないがしろにするような発言は断じて許されない」とする抗議談話を発表した。
談話では、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとする政府の目標に触れ、「地球温暖化を肯定するような言葉を発することは、自民党副総裁の発言としてあるまじき由々しき事態」と批判。そのうえで「温暖化防止対策に取り組んでいる企業や国民にとっても耳を疑うような発言だ」と指摘した。
麻生氏は25日、道内で街頭演説し、道産米について「昔、北海道のコメは『やっかいどう米』と言うほどだったが、今はやたらうまいコメを作るようになった。農家のおかげか、違う。温度が上がったからだ。温暖化というと悪いことしか書いてないが、いいことがある」などと発言した。(毎日新聞2021年10月26日)

改悛の情なし

己の勢力を保持するためには
危ない子分と群衆に檄飛ばす

己の為にしか動かないさもしさは
子飼いの子分を捨て置けない

己の嘘と悪行を封じ込め
子分は捨て身で体当たり

己に刃向かえば口汚く攻めたてる
子分にも巣くう猜疑心

己の利己心を満たすだけ
子分は頭数を稼ぐだけ

己の為にだけに訴える
改悛の情など一片もなき強欲さ

落とそう
理念なき信義にも劣る者を
落とそう 落とそう
国益を損なう者たちを
落とそう 落とそう 落とそう
民主主義の元凶と群れる輩を

〔2021年10月25日書き下ろし。己の足下が心許なく精力的に動く全国行脚の応援演説の姿は難病を理由に辞任したとは到底思えない。卑劣さすら感じる〕

毒が回る

アレルギー体質ではない
何を食べても無事だった
22日の昼は新そばを仲間と味わった
いつもの鴨南蛮せいろ大盛り
香りも喉越しも最上だった

夕方発疹が出た
またかと思った
8月から月に一度お会いする厄介者
夏は確かに虫に刺されたが傷口がエグい
両腕の数カ所がうんで完治まで1週間を要した
9月はさらに進展して両足にまで及んだ
虫刺されではないと確信するが
かゆみがとんでもなく強くてしんどかった
かかりつけの医院も旗日の連休を挟んで休み
手元にあったかゆみ止めを塗布して1週間でようやく治まる

今回症状が違うのに気がついた
両肘がかゆいサインを発した
両手腹背中首と所構わず侵略する
今朝小さな水膨れまで出ていた
こりゃヤバいとかかりつけの医院を検索
またも職員研修で休院と出た
近隣の皮膚科を検索してすぐに走る
診察した医師は頭をひねり院長を呼ぶ
庭仕事しましたかと尋ねられた
この1週間は出張で庭に出ることもなかった
虫に刺された症状!?
ダニ? でもこの出方は?
中堅の医師もやってきて3人で協議
原因がつかめぬまま症状を見て診断が下された
飲み薬と塗り薬を処方された

もしかして虫に刺されたのかも知れない
刺された意識を感じることなくやられてしまった
鈍感になった皮膚の痛みのセンサーが診断を迷わせる
3ヶ月も皮膚炎にたかられるとは思いもしなかった
虫の毒の一針が全身を回り抗いきれずに発疹を生ずる
微量であっても苦しめるに十分な毒の効用は恐るべし

世間に毒を振りまいてきたブーメラン
そう苦笑いしながらかゆみに耐えるしかない
因果応報にしては可愛いほうだと笑うしかないか

〔2021年10月23日書き下ろし。痛みよりも痒みはいやらしい。一日も早い回復を待つしかない。25日夜現在まだ居座っている〕

自分を生きる

ハラハラドキドキする子だった
ただただ真っ直ぐに育っていった

変な子だった
おもろい人がさらにおもろい人を寄せてきた

明るい子だった
くじけそうになっても顔を上げ前を向いた

芯の強い子だった
叩かれてもいつか立ち上がっていた

情の深い子だった
弱い人は決してほっとけなかった

金には執着しない子だった
ただ転んでもタダでは起きなかった

不思議な子だった
ピンチには必ず誰かが手を貸した

子育てには苦労した子だった
山あり谷ありから生きる力のある子を育てた

世の流れを逆手に楽しむ子だった
これからも人生を愉快に生きるだろう

身一つで頑張る子だった
いつかきっとたくさんのご褒美をもらうだろう

誕生日おめでとう!
ありのままの自分を生きよ

〔2021年10月25日書き下ろし。長女への祝いのメッセージ、お許しを〕