「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

83歳が描く終活の里づくり

NPO法人理事長Y氏のビジョンに 強いインパクトを受けた
御年83歳は いまも矍鑠(かくしゃく)としてリーダーシップを発揮する
登別市内で 地域食堂「ゆめみーる」を仲間とともに運営する
いまはフードバンク事業を興し 母子食堂を構想企画する
食堂の2階は 子どもたちの学習室
隣の空き家を 子どもの遊び場に開放する
地域で子育てしようと 子どもを大事にしてきた法人だ
「実は500坪ほど隣に土地を買ったんですよ」

案内されて現場に立った
古い家屋も解体し 更地にしていた
「ここに老人の終の住処を建てようと思ってるんです」
「老人アポートのようなもの?」
「立派な家にいても、一人ぼっちになって寂しい思いをしている人がずいぶんいます。空き家にするところも目立ってきてます。いっそ元気なときに断捨離で財産整理をして、同じような境遇の人たちと肩寄せ合って暮らすのもいいかなと。墓じまいではなく家じまいですね。そんな人を対象に、終活の家を建てようかと考えてるんです」
「すごい! サ高住よりも自立性が高くていいですね」
「アパートでも戸建てでもいいんですが、人生の残された時間を穏やかに過ごす小さな家づくりです」
「食堂もあるから、自炊が難しくなったら食事のことは心配ないですね」

こんな暮らし方を求める人がいれば 近い将来実現するだろう
子どもらの声を身近に聞きながら 一緒に時を過ごす
独り身なのか 夫婦世帯なのかで 家の大きさも違ってくる
戸建てを 横につなぐ回廊をつけるのも楽しい
支援が必要になれば NPO法人の仕事づくりにもなる
隣の畑も活用できると Y氏のビジョンは広がる
木立に囲まれた更地に いつか終活の里が実現する
更地に立って 二人で空想を巡らした

「ただ私もそろそろ自分の終活を始めなければなりません」
このビジョンを引き継ぐ人たちが 新たな在宅福祉を創る担い手となる
83歳は 「ゆめみーる」現場のいまも福祉人だと痛感した
敬愛してやまない先駆者の生き様とビジョンを 強く心に刻んだ
久しぶりの里帰りは 突き動かされる熱いものに満たされていた

〔2021年9月14日書き下ろし。発想も行動も凄い! 圧倒されます〕

アベ化警戒発令中

民主主義崩壊前線が 日本列島を覆っています
北から南にかけて ただいまアベ化警戒発令中です
特に山あり田畑あり海ある地方は 警戒してください
ヒョウ(票)が降って 地場産にダメージを与えるでしょう
危機を感じたときには ためらわず非難してください
都市部は 無関心層が上空を覆ってバリアになっていますが
曖昧な一部では 忖度注意予報が出されています
一時金品が飛び交う場合には 大きめのバッグを準備してください
日時と氏名と物量を記載の上 音声と共に保管してください
警戒が解除になった場合に 潔白を証明するブツになるでしょう

バカバカしくて メインがない総菜前選です
派閥のドンの成り行き次第で 雲行きが危ぶまれます
アベ化を叫ぶ三つないし四つの低気圧が 発達します 
複雑に入り込んで前線を形成し 月末にかけてさらに発達するでしょう
終盤 温暖と寒暖が交差する首都圏は特に警戒が必要です
風向き次第で その後の日本の成り行きを左右するとの大方の予想です
他方でお祭り騒ぎもどきで収束するとの 楽観的な予想もあります
どちらにしろ ジタバタしても仕方のないことです
腹をくくって 台風の目が育つのをじっくり待ちましょう

〔2021年9月12日書き下ろし。いま雷と大雨と強風が一気に窓を打った。小粒でインパクトのない総裁選は、ゴマすりごっこを見せつけられて辟易する〕

涙は乾かない

9・11から20年
ミャンマーの軍政の容赦ない制圧
香港の市民活動家を弾圧する鉄槌
世界はコロナに紛れて 凄惨な人民闘争が始まる
独裁者たちに犠牲を強いられ 逃げ惑うのは女と子ども
涙は乾き間もなく 阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄を見る

アフガンは またも恐怖が支配する
銃を手に タリバンが市民を威嚇する
逆らう者を 情け容赦なく掃討する
アルカイダは ジハードの下に市民に紛れ自爆する
涙は拭う間もなく 世界に怒りと失望が広がる

米国は テロとの戦いを熱狂的に支持した
日本は 自衛隊を後方支援で出動させた
莫大な戦費と甚大な犠牲は 平和一つ残せなかった
戦地に流れた涙は 乾くことさえ許されなかった

平和ボケした日本は 社会の分断と経済格差を放置する
戦争の悲惨さを知らぬ者たちが 政治を蹂躙する
核の非道さを知ってもなお 政治家は嘯(うそぶ)く
恐怖や不安を煽る政治は 国防意識を防衛費に上乗せする 
不都合な事実を隠蔽する政治家は 不信を増殖させる
借金地獄の財政は 悪化するばかりで制御不能に陥る
弱き者たちの涙は 政治への小さな抵抗と知るよしもない

子らの明日を剥奪する政治は 暴走しはじめる
子らの流す涙は乾く間もなく 希望が遠ざかる
アフガンやミャンマー そして香港の子らのように

〔2021年9月12日書き下ろし。右翼の台頭を隠さぬ総裁選。それぞれの主張の中に見え隠れする「戦争できる国づくり」に加担してはならない。支配者は、銃は持たない〕

キッズボランティアのその後

9・11 20年前のこの日 
テロで犠牲になった多くの御霊に 哀悼の意を表します
テロリストを統(す)べる者を 厳しく糾弾します

9月 介護スタッフの求人を出した
市内の女子高校生が二人 早々に施設に来た
手には エントリーシートを持っていた

一人は 小学生の頃施設でボランティアしたという
キッズボランティアOGだった
いまは コロナ禍で子どもたちの活動はストップしてる
幼稚園児から小学生まで 200人近くが登録してる
放課後 いつでも好きなときにやってくる子どもたち
介護士の小さなお手伝いボランティア
1時間程度の活動が 子どもには楽しげだ
入所者も嬉しそうに 子どもの様子を見守る

施設長は オープンチャットで全職員におもいを伝えた
コロナのおかげで 瞬時に情報共有できるツールとなった
グッドニュースも みんなで分かち合えるのがいい

子どもの頃から福祉を体験してもらうことで
将来福祉を志す若者が増える
本当に素晴らしいことです

続けて 職員への感謝を忘れない 
大変な業務の中 子どもたちを受け入れてくださる
スタッフの皆さんに 感謝します

さらに活動支援へのモチベーションを高める
コロナ禍ではありますが
何かできることを考えましょう

福祉教育の担い手が 今日も現場で汗する
働く後ろ姿は 子どもに大事なメッセージを伝える
次世代へ 福祉の心と手をつなげる介護士たち
その社会的使命感を太くする エピソードが生まれた日
理事長はスマホを見せながら 素直に喜びを語った
エントリーしてきた子の 適性を願わずにはいられなかった

テロはいのちの冒涜であり こころと文化の破壊である
子どもはいのちの希望であり こころと文化の創造である
子どもの夢は明日の世界であり 新しい時代を開く力である

福祉の入口に立った高校生らへ 熱くエールを贈りたい

〔2021年9月11日書き下ろし。心配事が消えた朝。昨日聞いたいい話。やっぱり子どもらが福祉やボランティアに関心を持つのは嬉しい。それを支える現場があってのことかと〕

期待と信用

早期の緊急事態宣言解除
期待はしてない
期待はするなって 
誰もがそっとつぶやく

野党の政策協定
信じていない
信じるなって
外れたボスが嘲笑(あざわら)う

自民の総裁選ごっこ
期待はしてない
期待はするなって
猿山のボスらがほざく

人気に頼る総選挙
信じていない
信じるなって
当落は己の沽券でしかない

ダメ出しするリベラルたち
期待はしてない
期待はするなって
正論では誰も動かぬ

居残った老獪なボスたち
信じていない
信じるなって
落選の嘆き節が聞こえた

選挙後の自民の政治
期待はしてない
期待はするなって
新リーダーは手のひらを返す

〔2021年9月9日書き下ろし。猿山に群れるボス選びの遊びに、つきあわされるのは苦痛だ〕

崩壊する思考

焦点が合わない
言葉が噛み合わない
心が乱れる
思考散漫

理解できない
判断できない
心が動かない
思考拒否

関心がバラつく
刺激が足りない
心が呆ける
思考中断

興味を失う
文章が読めない
心が乾く
思考排除

意欲が湧かない
体がだらける
心が離れる
思考停止

時間が過ぎる
虚空が広がる
心に響かない
思考放棄

認識が疎(うと)い
意識が浮遊(う)く
心に感じない
思考崩壊

〔2021年9月8日書き下ろし。情報化社会の大量な情報を漫然とみているわが身の思考の崩壊が始まる〕

オリ・パラ閉幕にあたっての声明

5日「東京五輪開催に反対する作家/小説家/作曲家/学者/ジャーナリスト/元外交官の集まり」が、声明を出した。
賛同者のひとりとして、政府に要求してきた三つのことを転記する。

第一に、オリンピック・パラリンピックの強行に見られるような新型コロナ対策の混乱につき、政府は深く反省し、今後は政策の立案・実施に当たっては国民の声に真摯に耳を傾けること。
第二に、コロナ渦の中で社会的弱者への配慮を手厚くし、誰もが生きやすい社会を作ること。
第三に、オリンピック招致運動以来、一貫して関与してきた大手広告企業が国際社会において日本人の倫理観、価値観に深刻な疑問を抱かせたこと、少なからぬ不祥事、混乱をももたらしたことなどにつき、政府から独立した中立的な調査委員会を設け、これら諸問題の実態につき、検証を行うこと。

五輪終われば 検証なんてお茶を濁してスールする
総裁選でトップが変われば 五輪なんて過去のこと
組織委員会解散すれば 誰も責任なんて取るはずない
上級職員は 大枚の報奨金でホコホコしながらグッドバイ
うだうだと いつまでも五輪に構っていられない新政権
総選挙は コロナ対策と経済回復で危機回生に全力投球

五輪終われば 総裁選でお遊び始まる
ワクチン担当すこぶる失敗しても 人気トップで総裁目指す
派閥のドンらは バカ騒ぎの裏で暗躍し傀儡探す  
聞く耳持たぬ者たちは これからも平気な顔して統治する
敵失に野党は埋没 掲げた政策ビジョンにもなぜか虚しさ募る

五輪終われば ひたすらコロナが残る
ワクチン接種の推進と集団免疫力の浸透が 社会の希望と主張する
規制を徐々に解いてゆく その先に経済が回ってゆくと信じてる
その光を見せれば IOCとバッハの醜態どうでもよくなる
五輪の後始末に汲々とすることなく 旧態依然とした政治は回る

五輪終われば 規制された日常が戻る
12日解除予定の緊急事態宣言は 延期されるだろう
コロナからの解放まで 力をためてじっと待つ
忍耐とルール順守が 希望をもたらすと信じたい
庶民のド根性が 社会を動かすエネルギーに点火するその日まで

五輪が終われば アスリートも日常に戻る
世界から集まったオリパラの選手の無事を祈る
感動のお礼と苦難が待ち受けている人へエールを贈りたい
IOCと政府と東京都の貪欲な願望を 満たすだけだった
共生を貶(おとし)めた五輪は 二度と誘致してはならない
共有された教訓だけは 歴史に深く刻もう

橋本聖子組織委員長 30年の札幌五輪誘致に意欲を示す。
恥辱に塗れた東京五輪の評価なく 懲りずにバッハの手先となる
札幌市民のひとりとして IOCの金満主義と専制者の触手を拒否する

〔2021年9月6日書き下ろし。5日パラリンピックが閉幕した。意地を張らずにテレビ観戦すればよかったと後悔する。観客の声援があればもっと素晴らしいパフォーマンスが発揮されたことだろう。開催を強引に決定した者たちこそ糾弾されるべきだと確信がいった〕

付記
札幌五輪でも組織委会長に 橋本氏、依頼あればと意欲
東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は6日の記者会見で、2030年の札幌冬季五輪招致が実現し、組織委会長の就任を求められた場合、受諾する考えを示した。「依頼があれば、ぜひ受けたい」と意欲的に語った。
30年冬季五輪は、札幌市が開催を目指している。橋本氏は新型コロナウイルス禍で開催された東京大会を通じ「良い経験をさせてもらった」と強調。同時に「今度は完全な形で、フルスタジアム(満席)で国民の笑顔があふれる大会を目指したい」と述べた。(北海道新聞2021年9月6日)

試練を心に刻もう

コロナが 夢の実現を阻むバリアとなった日々
社会が一変して 夢を失いそうになった日々
それでも君は コロナに屈せずいまも夢を追う

当たり前の青春がCloseされた
青春をEnjoyできない
青春がBlueになった
でもPassionは青春を翔(かけ)る

コロナで 留学を拒まれ悶々とした日々
何を求めて何をするのか 自問した日々
そこに君は 夢を持つことの喜びを知る

青春を踏みにじられても
確かな夢があるから 耐えられる
叶えたい夢があるから 諦めない
夢の先に見る夢があるから 前に進む

コロナが 夢の実現を止めてしまった日々
世界が 人流を阻(はば)んでしまった日々
それでも君は いつか飛び立つことを夢見る

君の青春を生きる
夢への一歩 渡航の支度を整えよう
数年遅れても 取り返す胆力を鍛えよう
焦ることなく いまの暮らし方を大事にしよう

地力ある君は きっと賢く生きるだろう
浮き世の荒波にもめげず いのちの限り生きるだろう 
さりげない日々が戻る頃 青春の光を浴びるだろう

22歳 誕生日おめでとう!

〔2021年9月7日書き下ろし。孫娘の誕生日。今年も無事祝いの詩を贈ることに感謝したい〕
 

新たな呪文

神聖な森だった
悪行の身を森に入れてはならなかった
立つ者は身を清めなければならなかった
水垢離(みずごり)を取らねばならなかった
元凶を断つ呪文を唱える
清めよ ベアウソアイカニ
消えよ ベアウソアイカニ

濁汚の世だった
権力を傘に着て異論を排除してきた
数で押し通し民主主義を崩壊させた
対立は反日と敵視し分断した
暴政を断つ呪文を唱える
清めよ ベアウソアイカニ
消えよ ベアウソアイカニ

神聖な審判だった
コロナの流行は自然の戒めだった
科学的知見を超えた挑発だった
犠牲者への罪を犯した罰だった
傲慢を断つ呪文を唱える
清めよ ベアウソアイカニ
消えよ ベアウソアイカニ

辛辣な戦いが始まる
傀儡は権力にしがみつき見放された
影で操る者たちが浮かび上がった
影に纏わり付いた者たちにも鉄槌が下される
邪悪を断つ呪文を唱える
清めよ ベアウソアイカニ
消えよ ベアウソアイカニ

悪霊を封じ込める新たな呪文
清めよ ベアウソアイカニ
消えよ ベアウソアイカニ
悪政を追い払う新たな呪文
清めよ ベアウソアイカニ
消えよ ベアウソアイカニ
新政を期する新たな呪文
清めよ ベアウソアイカニ
消えよ ベアウソアイカニ

〔2021年9月5日書き下ろし。呪文でも唱えなければ、やってられない気持ちの悪い総裁選。妖怪もどきが徘徊始める〕

後ろ盾を失う

後ろ盾とは
力のないものがよその力を借りること
力のないものがよその力を当てにすること
力のないものがよその力で支配すること

後ろ盾は
中央のトップクラスの権力のあるもの
地方の小賢しいものをねじ伏せられるもの
地方への資金のパイプを調整できるもの

後ろ盾があると
力のないものは力があるフリできる
力のないものは力があると勘違いする
力のないものが力の使い勝手を間違う

後ろ盾とは
あれば人を生かす力にもなるが
あればあったで人を縛るものとなる
あれば仕事に自信を持つ力にもなるが
あればあったで人を操るものとなる
あれば地位安泰の力にもなるが
あればあったで改革の芽を潰すものとなる

後ろ盾を失うと
力がないだけに求心力を失う
力がないだけにただの人となる
力がないだけに次はきっとない

北海道が新たな後ろ盾を求めると
地方自治 変わらぬ中央依存
地方分権 名目だけの決定権
地方経済 続く内地の統制支配地 

〔2021年9月4日書き下ろし。中央のトップダウンで決まった道知事。道の自民党も太いパイプを失った道知事もどう対処するのか、地方でも政治ドラマが始まった〕

付記
菅首相退陣、鈴木知事「後ろ盾」失う 道政運営に影響必至/事業停滞に懸念も
鈴木直道知事が「後ろ盾」としてきた菅義偉首相が退陣することで、知事の道政運営に影響が及ぶのは必至だ。知事は道内の脱炭素化を目指す取り組みに国から手厚い支援を受けるなど、首相とのパイプを活用する一方、新型コロナウイルス対策ではその意向に強く配慮してきた。国との連携が必要な事業の今後の停滞を懸念する声も出ている。
「突然の話で大変驚いたのが率直な思い」。知事は3日の記者会見で、首相の退陣表明を受けて険しい表情で述べた。首相がワクチン接種に注力したことを「トップリーダーとして間違ってない」と評価する一方、退陣による道政運営への悪影響については「これからも、国政を担う人からの北海道への力添えはいただく」と否定した。 (道新2021年9月4日)