「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

道内も25日から3回目の緊急事態宣言

関わる老人施設で小耳に挟んだ
2学期が始まった途端に
近隣の小学校の三つの学年で
学級閉鎖になった
市内の数校が同じように学級閉鎖になった
子どもたちは自宅待機を余儀なくされた
施設の職員の子が感染したり自宅待機したら
シフトの変更を余儀なくされる
子ども感染は働く親や職場へも大きな影響を及ぼす
日々の感染者がどれだけ社会的な損失を与えているのか
子どもへの感染を避けることの大事さを知らされた

コロナは小学校だけではない
札幌市内で保育所のクラスターが絶えない
高校でも大学でもクラスターが起こっている
苫小牧で開催された全国高校選抜アイスホッケー大会
8月3~8日に 全国から26チームが参加した
クラスターが発生し 138人に達した(23日現在)
道内外の選手120人と教職員11人
大会関係者7人の感染が確認された。
デルタ株の感染力は 決して侮れない
鈴木道知事が秋元札幌市長に尻を叩かれて
ようやく国に緊急事態宣言を要請した
9月12日までには解除などあろうはずもない
今週末から来月の予定は全部ぶっ飛んだ
自宅軟禁を余儀なくされる
いつまでも政治的駆け引きで無駄なあがきを繰り返す
多くの政治家の矜持は すでに捨てられ屑となった

いまパラリンピックの開会式の真っ最中(24日20時過ぎ)
TOKYOは感染拡大の真っ最中
自宅療養者は死との闘いの真っ最中
営業規制中の飲食店は死活をかけた真っ最中
子どもらは大人に感染させられる真っ只中

自宅療養中の中年の男が入院できず症状が悪化する
かかりつけの医師も救急隊員も為すすべなく家族に覚悟を伝える
ようやく入院先が見つかるが時すでに遅く数日後息を引き取る
医師は見放さず受け入れ先を最後まで諦めずに頑張る
都知事はキャリアアップの為にだけ動くサディストの如し
都知事は人ひとりの命の重さすら理解できない愛猫家
チマチマした対策とお願いの札を掲げてパフォーマンスを繰り返す
都内の体育館を野戦病院に仕立ててオリパラの医師と看護師を動員すれば
死にゆく命をどれだけ救うことができるだろうか
いまでも遅くはない
酸素センターでやってます感を出すようなレベルで偉がらないで
野戦病院をとっとと設営して助かる命を見捨ててはならない

小池都知事はパラリンピックに都内の小学生を観戦させると意気込む
だあれもほめっちゃくれない意地だけで子らの命をコロナにさらす
無観客の舞台をせめて子どもを入場させることで賑わいを演出する
競技場の観客席からでは遠くにいる選手の表情は見えないだろう
丸川五輪相が奨励するテレビ観戦の方が迫力と感動は倍増する
政治家の薄っぺらな言葉の裏に命の危機を感じる感覚を取り戻そう
コロナ禍で生きる生きてゆく動物的生存感覚を再生させた
子どもたちに伝えるべき残すべき感覚と知見こそ
政治家の反面教師として果たしてきたコロナ禍の大きな教訓である

国立成育医療研究センターがまとめた「子どもの状態を観察する4つポイント」
・機嫌が悪い
・食欲がない
・顔色が悪い
・呼吸の様子が「息苦しそうではないか」
「息を吸う時に胸がぺこぺことへこむ、陥没するような呼吸になっていないか」
さらに意識がはっきりしない、おう吐を繰り返す
担当の保健所やかかりつけ医に早めに相談してください

〔2021年8月24日書き下ろし。無観客の席に子どもを座らし体裁を繕う。なんという政治的動員だろうか。IOCよ、札幌には招待できぬ〕

不作為な教育者たち

広瀬爽彩(さあや)さんのご冥福を心よりお祈りいたします

少女は助けて欲しかった
誰も本気で助けようとはしなかった
少女は信じたかった
誰も少女の言葉を信じなかった
少女は川に入った
少年らはヤバいと思った
少女は転校した
学校は肩の荷を下ろした

2月厳冬の旭川の街で死に場所を探す
公園でうずくまり凍死した
3月雪が融け発見されたときはまだ凍っていた

文春砲で教育委員会や学校の対応のまずさが曝かれた
市教委は釈明に追われた
おぞましい事件の実相が次第に浮かび上がってきた
警察の事件の処理も加害者の処分も疑義を生んだ
いじめというレベルを超えた凄惨な事件
一人のか弱き少女が受けた性的虐待
助けを求めても真剣に受け止めなかった担任教師
不作為を決め込んだ市教委と学校管理者

一人娘を失った母親の訴えは悲痛である
「『10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみてください』これは、教頭に言われた言葉です。
私は、爽彩がいじめに遭っているのではないかと、学校、教育委員会に何度も相談しました。学校、教育委員会は、爽彩も、家族も、だれも相談することはなかった、いじめの認知には至らなかった、などと繰り返し主張しています。教育委員会の態度は、『いじめ』をもみ消そうとしているようにさえ見えます。…第三者調査委員会は、だれが、どこで、どんな調査をしているのか、全く公にしていません。貴重な情報を持っている人がいても、これでは情報を提供する先がないに等しいと懸念しています。今後、もし、何か情報をお持ちの方がおられたら、旭川いじめ事件を担当する弁護団に、情報をお寄せ頂きたいと思います。爽彩のメッセージを後世に伝え、教訓として残すため、どうか、皆さまの中で情報をお持ちの方がおられたら、弁護団に情報提供して下さいますよう、お願い申し上げます」

第三者委員会辻本純成委員長の談話に強い違和感を覚えた
「地域の人たちが安心して暮らせるよう、役に立つものを残したい」
地域の人ではなく 子どもが学校で健やかに育つよう
広瀬爽彩さんの死に 教育者と加害者は真摯に向き合うことではないか
不信を抱かれる第三者委員会の透明性と迅速かつ適切な調査が急がれる
市教委や学校に与することは決してあってはならない
母親へのすみやかな納得できる報告が待たれる

〔2021年8月22日書き下ろし。母親の手記を是非読んで欲しい。第三者委員会の事実の究明は旭川の市教委と学校教育のあり方を検証すると信じたい〕

付記
聞き取り調査、7月にも着手 旭川中2死亡で第三者委
旭川市内で3月に遺体で見つかった当時中学2年の女子生徒について、いじめとの関連を調べる市の第三者委員会の第2回会合が4日、市内で開かれ、関係者への聞き取り調査を来月にも始める方針を決めた。空席だった委員長に市内の弁護士の辻本純成氏を選出、委員に新たに弁護士3人を追加し、計11人へ体制を強化する。
今後は聞き取りのほか、女子生徒を巡るトラブルを見聞きした可能性がある生徒らへのアンケートも行う。委員長に就任した辻本氏は「地域の人たちが安心して暮らせるよう、役に立つものを残したい」と述べた。(北海道新聞2021年6月5日)

「加害者にも未来がある」教頭の言葉に涙…”いじめ”調査めど立たず
北海道旭川市の公園で当時14歳の女子中学生が遺体で見つかった問題で、8月18日に開かれた遺族の弁護団の会見で、遺族の手記が公開されました。遺族は「何があったのか知りたい」とし、情報提供を求めています。
この問題は2021年3月、旭川市内の公園で当時14歳の広瀬爽彩さんが遺体で見つかったものです。広瀬さんは2019年4月に旭川市内の中学校に入学後、6月に複数の小中学生に囲まれる中、川に飛び込む自殺未遂を起こし、8月に別の中学校へ転校。2021年2月に行方不明となり、3月に遺体で発見されました。旭川市教委は4月に「いじめの重大事態」と認定し、いじめがあったのか第三者委員会で検証を進めています。遺族は真実を知ってほしいと実名と手記を公表しました。…(北海道新聞2021年8月19日)

旭川中2死亡「事実究明願う」文科相
萩生田光一文部科学相は20日の閣議後会見で、旭川市内で3月、中学2年広瀬爽彩さん=当時(14)=が遺体で見つかり、いじめを受けていた疑いのある問題について「適切に一つ一つの事実が究明されることを願っている」と述べた。萩生田氏は市教委、道教委に対し、これまでも「迅速かつ適切な調査」を指導してきたと説明。第三者委員会による結論を待つ考えを示した。母親の代理人弁護団は18日、同市内で記者会見し、生徒の氏名や、母親の手記を公表していた。(北海道新聞2021年8月20日)

横浜市長選の先を見すえる

22日20時の開票を待って NHKが当確を速報した
市民は 衆愚政治に陥ることを断固拒否した
市民の政治不信を如実に表した 正当な結果だった
IR・カジノ誘致反対からコロナ対策批判へと 選挙戦の訴えは変化した
度重なる政権の失態が 自民党独裁政治を否定してゆく

勝てると信じた首相には この結果は予想外だった
メンタルの強い首相には 受け入れがたい結果だった
為すすべのない首相には 総裁選も結果は見えてくる
諦めきれぬ首相には 衆院解散の結果を当てにするしかない
短命を避ける首相には 最後の望みは総選挙の結果しかない

すでに政局となった
引き起こしたのは 市民の賢明な政治的判断
一自治体の市長選挙ではなくなった
国政を変える 大きな渦が生まれる予感がする
横浜開港以来 この街が国政を左右する
首相の選挙区でも 支持者の離反が起こっていた
国政を変えるキャステンボートを握るのは 横浜市民だ

国政に送り込まねば 自民党はひっくり返る
なんと軽快で豪快なことか
自治体は単なる自治体ではないことを 証明する
なんと愉快で爽快なことか
国政を変える大きなチャンスを 国中に知らしめる
なんと痛快で欣快のことか

立憲は決して調子に乗らぬ事だ
実力で勝利したわけでは決してない
立憲が勝ったのではなく 人物で勝利したのだ
今までのぐうだらした野党共闘では 勝ってこない
立憲の党利党略の選挙戦略では 市民は動かない
自分の首の心配ばかりの烏合の衆では 心許ない
立憲はリーダーに覚悟がないから 不信が募るばかりで支持できぬ
ここで浮上できぬなら 解党してまた出直しするしかない

勝因は 自民党支持が割れたのと首相の不人気で票が動いただけ
それでも 横浜市民の国政変革への可能性はあなどれない
日本の夜明けを告げた横浜の意気地を 是非見せて欲しい

〔2021年8月22日書き下ろし。感染拡大でのパラオリの開催の是非の判断は国政選挙でなされる。自民党凋落の兆しが見えてきた。20日アップした「衆愚政治を阻止する」再読を〕

人間狩りが始まった

タリバンに反旗をひるがえす市民のデモに
容赦なく重機関銃が撃ち込まれる
覆面をした黒装束集団はテロリストそのもの
逃げ惑う市民をせせら笑うように銃を懐に抱く
逃げ遅れた母は 背を丸め怯えた子を抱く
情け容赦なく反タリバン勢力を排除する

カブールではタリバンの指導者が会見する
「民間の報道機関は自由で独立した活動を続けていい」
イスラム原理主義を懐に抱いて穏健を装う
イスラムの価値に反しないこと
タリバンの神を押しつける
公平であること
タリバンの歪んだ思想を押しつける
国益や国家統合に反しないこと
タリバンの殺戮の理由を押しつける

3つの条件そのものは理不尽そのもの
そもそも国際社会は国家として承認してない
タリバンの兵士たちは勝手な裁量で狩りを始める
宗教と銃で自由意思を蔑(ないがし)ろにする残虐な暴力的支配
人権すら認めない婦女子への教育や社会参加への否定と排斥

銃を持つ手は正義の使者
反サリバンの殺戮に意気込む
鬱憤を晴らす狩り場となった
誰でもいい
殺したかった

聖戦でもなんでもない
ただのごろつきの殺戮集団
殺す理由はいくらでも作った
逃げ惑う人間狩りこそ快感だった
狂気の者たちに凶器を与え存分に殺しを楽しませた

全ては聖戦であり正義の戦いだと勝利に酔う
ミャンマーの軍事クーデターと相通じる恐怖政治が始まった
赤子といえども殺すには容赦ない
殺したいから殺すという麻薬のような快感を覚えた
敵は人とは思わず人でなしが指揮を執る
言葉と行為が離反した者たちが狂気の世界を生きる
アフガンはテロの温床となり世界中を恐怖に陥れる
聖戦での殉死は神に召される名誉を与える
決して死ぬことを恐れるなと人間兵器を送り込む

戦え! 正義は我にあり! 殺せ!
戦え! 聖戦だ! 死に物狂いで殺せ!
戦え! 怯(ひる)むな! 殺せ!
戦え! ためらうな! 殺せ!

道端にうずくまった母と子は
恐怖の世界にどれだけ生きることができるのだろうか
国外に脱出できても果たして生きていけるのだろうか

〔2021年8月21日書き下ろし。殺しを洗脳された狂気の兵士たちは重機関銃を手に殺戮の限りを尽くすだろう。タリバンの恐怖政治が始まった〕

付記
独メディア記者の家族殺害 「タリバンが捜索、襲撃」報道
ドイツの国際公共放送ドイチェ・ウェレ(DW)は19日、同放送の記者の家族1人がアフガニスタンで、イスラム主義勢力タリバンに殺害され、別の1人が重傷を負ったことを明らかにした。タリバンは現地でこの記者を見つけ出すため、一軒ずつ捜し回っていたという。ただ、この記者は事件当時ドイツにいた。少なくとも3人のDW記者の家が襲われたとしている。
DWは「タリバンはカブールや地方で記者の組織的な捜索をしているようだ。我々には時間がない」とし、政府に対応を求めた。
タリバン幹部は17日の記者会見で「民間の報道機関は自由で独立した活動を続けていい」と述べていた。ただ、「イスラムの価値に反しないこと」「公平であること」「国益や国家統合に反しないこと」などの条件をつけていた。
また、ドイツ政府は20日、カブールの空港に向かっていたドイツの民間人の男性が撃たれたと発表した。手当てを受け、命に別条はないという。(朝日新聞2021年8月21日)

安倍チルドレンは戦々恐々

チルドレンは戦々恐々
大して運動することもなく ブームに乗っかり当選した
大した仕事しなくても 3期も税金喰った
大そうな菅首相の不人気 一気に被る

チルドレンは地盤軟弱
大して地元に貢献しなくても 労せずして当選してた
大した仕事できずとも どこでもバッチが物を言う
大そうな見得を切った分 一気に剥げ落ちる

チルドレンは一発勝負
大して自力はなくとも 勝ち抜くのか
大した勝ち馬に乗って 勝ち抜くのか
大そうな総裁選を見極めて 勝ち抜くのか

チルドレンは散る奴隷
大して仕事せぬがゆえに 軍資金も集まらぬ
大した功績残せぬゆえに 一兵卒から昇格できず
大そうなふりして見せても ただ散るだけのあだ花か

散る奴隷は失業対策
大して実績なきタダの人 失業問題降りかかる
大した見込み違いで ハローワークは当てにはできぬ 
大そうな成りして見せても 台所は火の車

失業対策はコロナ失政
大して苦労なき分 巷の失業の悲哀を学ぼう
大した政策なき分 巷の困窮を肌で感じよう
大そうな大義なき分 巷の怒りを身に受けよう

コロナ失政で落選決定
大して落選しても 本意の政治を学ぶチャンスとなる 
大した落選だろうが 本気で政治を目指す座標軸となる
大そうな落選でも 本物の政治家を育てる土壌となる

※自民党が政権復帰した2012年衆院選の初当選組は「安倍チルドレン」として一大勢力を築く一方、不祥事の多さから党内で「魔の2期生」とやゆされた。17年10月公認された97人のうち小選挙区で59人、比例代表で23人の計82人が3選を果たした。

〔2021年8月20日書き下ろし。落選も運が悪いと思えば済むが、本気で政治家を目指す原点回帰。まずは人間らしさはどこから生まれてくるのかを問おう〕

衆愚政治を阻止する

乱立する候補者
IR賛成の現職市長の林文子
IR反対の前国家公安委員長小此木八郎
元長野県知事田中康夫
元神奈川県知事松沢成文
誰が抜け出すのか
22日の投票日まで 目が離せない

コロナ禍や緊急事態宣言下の 横浜市長選
なりふり構わず 現職首相もてこ入れする
三百万人の横浜市民が 誰に投票するのか
どんな物差しで計るのか 確かめたい
リーダーを選ぶチャンスは これしかない
衆愚政治のお粗末さは 市政でも国政でも懲りてるはず
地方自治を 市民の手に取り戻すには
衆愚にならぬよう 心しなければならない

政治家の公約は 空手形と全く同じ
隅に書いた公約を重要だと すり替えるのは常套手段
騙されぬよう 賢く判断するしかない
全国が注目する市長選は 国政選挙の前哨戦
衆愚であるかどうか 三百万人の市民が試される

横浜市長選は 地方自治のあり方を問う
疲弊している自治体の これからを示唆する
政治への不信感を募らす市民が 政治に覚醒する
棄権は衆愚となる意志表示 絶望的隷属か

政治は人なり
衆愚政治にしてはならない
先を占う市長選 面白い展開になってきた

〔2021年8月19日書き下ろし。横浜の市長選が秋の総選挙の行方を決める。そう思うとわくわくする〕

不退転の決意

道はたくさんあったのに
いまじゃどういうわけか
八方ふさがり

方法はいくらでもあったのに
いまじゃどういうことか
片手に余る

つまらぬ意地を張ったがために
いまじゃどん底なにもかも
思うままには事は進まず

つまらぬことに頓着したがために
いまじゃドン引きなにもかも
失地回復にはほど遠い

たいしたもんだと自慢したのに
いまじゃタダの老いたる身の上
優柔不断な態度が後を引く

たいしたことだといまさら気づく
いまじゃ誰も信用おけず
コロナの誤算が破滅を招く

おおいに五輪に現(うつつ)を抜かし
いまじゃ大感染の反撃喰らう
快挙虚しく想い出で苦(にが)し

おおいに覚悟を吹聴したが
いまじゃ不退転の決意も乏しく
その座に汲々とする姿哀れなり

目先を変えても効果なし
いまじゃ言うことなすこと信用されぬ
退(しりぞ)くことこそ賢明な道か

民心離れて退陣迫る
いまじゃ老害のるつぼと化した政界は
黄昏(たそがれ)た道連れ多く寂しさ紛れる

〔2021年8月19日書き下ろし。有効な対策を打ち出せず、漫然と追加や延長を繰り返す政府の無責任さは、パラオリでまた再燃する〕

カブール陥落

15日 アフガニスタン政権が崩壊した
反政府武装勢力タリバンは 首都カブールを奪還した
異教徒を敵視する 過激なイスラム原理主義の武装集団は
米軍が撤退を宣言したわずか4ヶ月で アフガニスタン全土を掌握した
米国のアフガン介入は 莫大な金と人命を失い失敗に終わった
戦争は 撤退が最も危険であることをまたもや繰り返した

ベトナム戦争のサイゴン陥落を 彷彿させる映像に見入った
カブールの国際空港に 国外脱出を図ろうと数千人が殺到した
離陸直前の米軍機に駆け込み 中東カタールに脱出した人もいた
離陸直前の機体にしがみつく人や 離陸後機体から振り落とされた人もいた
恐怖が迫り死に物狂いで脱出を試みる凄惨な事態は SNSで世界に拡散した

タリバンは家を焼き払い 婦女子への暴行を加え進軍してきたという
何十万人とも見込まれる難民は 一体どこに逃げていくのだろうか
山岳地帯のアフガンの民は ボートピープルにはなれない
多くの辛酸を嘗めてきた民は 他国の支配や宗教に翻弄され
いままた 砂埃の中で行き場を失う
タリバンの新たな集団殺戮が 始まる予感がする
逃げ惑う子どもの涙が乾いた後には
その子にいったいどんな運命が待っているか

カブールの壁に描かれた中村哲氏の肖像に添えられた言葉
「大地に優しさや愛の種をまくのはいいが問題の種をまいてはいけない」
不毛な大地に緑を甦らせた男は 人間への限りない愛と国土再興の夢を描いた
その夢を打ち砕き殺したのは 紛れもなくタリバンなのだ
人間はどこまで残酷非道になれるのだろうか
タリバンに与する者たちが いま問われる
「人間らしさはどこからくるのか?」

〔2021年8月18日書き下ろし。隣国パキスタンも大きな影響を受けるであろう。中国、ロシアが触手を伸ばす。不気味に血糊の風が吹く〕

足し算引き算の世界

この世は足し算引き算の世界です
算盤持って ねがいましては
アベ引くスガは プラス3なり
嘘が上手い
駆け引きが上手い
逃げ足が速い

アベ引くスガは プラマイゼロなり
世論に疎い
ブレーンがアホっぽい
コロナで終わる

コイケ引くスガは プラス3なり
口が達者で受けがいい
ノー原稿でも会見こなす
カメラ目線で訴える

コイケ足すスガは プラス3なり
五輪開催勲章もらう
頑固な人柄信念通す
はぐらかし方は絶品

スガ足す閣僚は プラス3なり
五輪成功自画自賛
目立ちたがり屋の自信家ばかり
思いつくまま恐れぬ失敗

スガ引く閣僚は マイナス3なり
足の引っ張り合いで制御不能
虚栄心と慢心の集合体
世間をあざむくあざといコメント光る

スガ引く党派は マイナス3なり
選挙の顔にはご遠慮願う
失政を庇いきれずに狼狽(うろた)える
出たとこ勝負に賭ける気力も消え失せる

スガ引く野党 計算不能
スガの失策得点ならず 不評買うだけマイナスポイント
政治不信をさらに広げて 野党支持率低迷する
やる事なす事 政権優位は揺るがず負け戦さ

よもや忘れもしない1年前 
60%台の支持率が いまは30%前後で低迷
ようやく1年アベのリリーフ勤め上げ
よくも1年持ったと評価され
よくまあ1年持ったと呆れられ
よくぞ1年我慢したかと部下思う

プラスには決してならぬ負の遺産
マイナスを抱えて終わる政権末期
思考力限界 政策能力不全 不信増幅
勘定合わぬ役目は 身の丈を超えた
覚悟なき覚悟のメッキすでに剥げ落ち
後は退陣の刻を待つ

評価をプラスに逆転するには
パラリンピックを中止にするしか手はない
そんな算盤勘定できないがゆえに
いまがある

〔2021年8月16日書き下ろし。算盤は持ったが論語は無用の政権だった〕

欲ばりません勝つまでは

欲ばりません 勝つまでは
帰省も旅行も 諦めろ
買物はするな 買いだめろ
家で黙って テレビでも見てろ
コロナ戦に勝つまで 我慢しろ

権利を捨てても 義務は捨てるな
個人の権利なんか どうでもいい
罹れば 家でおとなしくしてな
言われたとおり してればいい
逆らうなんて 許されない
義務を果たさなければ 非国民だ

醒(さ)めよ国民 今は非常時
すげえヤバいと 分かっているのか
お前のそばで ウイルス笑う
お前の一挙手一投足が 感染広げる
口先よりも 態度で示せ

締(し)めよ一億 心の手綱
守れ日の本 一致団結するしか道はない
ごたごた言わずに 黙ってついてこい
いまは危険水域 心の手綱を強く締めよ
バカするやつは 決して許さぬ

敵より怖い 心の弛(ゆる)み
弛んだ心を 引き締めよ
コロナは そこに見事に付け込む
大丈夫なんてあり得ない
俺を見ろ 五輪で浮上が沈下の誤算
楽観しすぎて 墓穴を掘った

家庭は 小さな大政翼賛会
家族一丸 協力し合え
在宅療養こそ 家族の責任
保健所に 連絡できない入院できない
ばさまの介護と ダブルケアに打ち手なし
順番来るまで 悪化しても我慢せよ

まだまだ足りない 辛抱努力
義務も果たせず 文句は垂れるな
ワクチン回るまで もう一息だ
家から出なきゃ リスクは下がる
頼れるのは己だけ 余計に罹らぬよう努力せよ

任務は重く 命は軽い
チマチマした一人ひとりの命より
国のやるべき任務は重い
IOCとの約束は 反故にはできない
パラリンピックは 中止はしない
感染は五輪のせいだって 
科学的証拠を示してみろ

この一戦 何が何でもやりぬくぞ
倦(う)む心 弛む心を 狙(ねら)う敵
最後の覚悟のコロナ戦 失敗恐れず戦い抜くぞ
戦意高揚 生活統制 精神動員
進め一億 火の玉だ
身を捨ててこそ 国興る
科学戦にも 神を出せ
撃滅へ 一億怒涛(どよう)の体当たり

〔2021年8月16日書き下ろし。戦時中の標語はいまも脈々と政治家のモチベーションとして生き迫ってくる〕