「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

敗戦後76年夏コロナ戦時体制を読む

戦前・戦中生まれは 全人口の7人に1人に減った
戦争を経験した旧軍人は 1万人を割り込む
戦時の記憶は 忘却の彼方に遠ざかる

今夏のコロナの爆発的感染拡大とオリンピックの強行開催は
いのちを軽視して妄想にふけた 政治の過失による災禍となった
感染者急増地域で入院対象をリスクの高い患者に限定し
それ以外は自宅療養を打ち出した謀策は 炎上した
ワクチン接種に賭けた思惑は 見事に外れた
楽観的見通しが惨禍を招き 失敗した時の対策は尽きていた
唐突な「酸素ステーション」の設置など 焼け石に水でしかない
事は安倍晋三の不見識と愚かな采配の象徴「アベマスク」から始まった
危機的状況を読み間違え 医療体制のひっ迫を想像できず放置した
平時のペースでのワクチンの承認作業で 接種を遅らせた
国内のワクチン開発を放置し 疫病対策の弱点を浮き彫りにした
事業者への協力金や生活困窮者への支援金は出し惜しみする
重大な局面では 政治主導を打ち出しながら統治能力はなかった
議員の座に拘泥するだけの 政権与党の最後のあがきは
パラリンピック開催へと 都知事小池も舵を切る

コロナ禍は 奇しくも戦時体制を彷彿させた
国権の最高機関である国会は 戦時下同様空洞化が進む
中止の声はかき消され 反日のレッテルを貼られた
コロナとの戦いに勝った証の五輪は幻想だった
幻想を抱かせることにひたすら突っ走り 失敗を上書きする
五輪に固執することで すべては後手に回った
戦意高揚 生活統制 精神動員
国家総動員法もどきの旧態依然とした
政治理念なき戦時国家体制が出来上がっていた

いのちを最優先するどころか「難死」をも前提とした国家は
15日全国戦没者追悼式で 首相が臆面もなく式辞を述べる
「積極的平和主義の旗の下、国際社会と力を合わせながら、
世界が直面する様々な課題の解決に、全力で取り組んでまいります」

戦没者のご冥福を祈りながら わが心に命ずる 
いまだ懲りない者たちの 民主主義を否定する専制体制にピリオドを打ちたい
戦後生まれの老害支配に抗う 批判的な行動力を若き世代に切に求めたい

〔2021年8月15日書き下ろし。靖国に参拝する国家支配者たちは何を祈るのか〕

付記
姜尚中氏がコロナ自宅療養の“冷酷さ”に疑問「病院で死ねないというのは先進国なのか」
政治学者の姜尚中氏が15日、「サンデーモーニング」(TBS系)に出演し、新型コロナウイルスの自宅療養について危機感を示した。
番組では現在、問題となっている新型コロナウイルス感染者の自宅療養における容態急変の不安を取り上げた。
姜尚中氏は「日本は世界に誇る皆保険制度を持ってるわけですよね。それから一人あたりの病床数も世界トップクラス。何なんだろうね、この奇妙な冷酷さ」と切り出した。
 続けて「例えば戦争中、満州で疎開した人を、そのまま放り投げて後は自分の努力で何とかしろと。なにか冷たさというのはかつて小田実が『難死』って言ったんだけど。なんかこう虫けらみたいにあとはどうぞという」と厳しい例えを持ち出した。
「だから今やるべきことは例えば応急病院に仮設のプレハブを作って、そしてそこに医療資源を張り付かせてですね。これは自宅療養ではなくて、そこに来てもらう。そしてシームレスに今度は病院に運んで行く。そういうことが1年半できたはずなんですよね。7000人もオリパラに医療資源を一挙に使うぐらいならできるはず。予備費で1兆円以上でしょ。これは何をやってるんだろう。病院で死ねないというのは、先進国なのかどうかですね」と話した。(東スポWeb2021年8月15日)

オペレーションの問題

12日新たに1万8888人が確認された
2日連続で過去最多を更新した
新規感染者が1万8000人を超えたのは初
コロナの爆発的感染拡大に打つ手なし

オペレーションを共有できないオペレーションの問題なので
危機管理能力欠如のまま出たとこ勝負をしてきた話である
コロナ対策のオペレーションの問題なので
安心安全な楽観論が崩れただけの話である
病床確保のオペレーションの問題なので
自宅で急変しても覚悟を強いる話である
コロナワクチンのオペレーションの問題なので
供給沈滞してもコロナに打ち勝つとする話である
政策担当のオペレーションの問題なので
その過失の責めは国民が負うべき話である
不要不急のオペレーションの問題なので
それは自己責任を求められる話である
飲食店のオペレーションの問題なので
すでに科学的エビデンスなき対策の話である
いまさら帰省のオペレーションの問題なので
強い警戒感をもって行動させる話である
緊急事態宣言のオペレーションの問題なので
自治体に資金を回して積極的に動かす話である
世論調査のオペレーションの問題なので
それでメディアが政局を煽る話である
東京五輪のSDGsのオペレーションの問題なので
IOCがTOKYOに責任を押しつける話である
パラオリ開催のオペレーションの問題なので
IOCから勲章もらった二人の話である

稚拙なオペレーションの問題はこれからも災害対策で続けられる
国会は閉会審議で停滞しガンガン感染嵐吹き荒れて首相は身を潜める
内地は低気圧の前線停滞しバシバシ暴風雨で暮らしが叩かれている
ニッポンは無能な閣僚官僚が停滞しバンバン世間の風雨でしばかれる

※オペレーション:ビジネス:一般的に、業務の目標を達成するため、物事を運営・推進していく手順を定めること。またそれに沿って実施していく一連の作業、実務のことをいう。いくら優れたビジョンを持っていても、それを実現するための具体的なプロセスであるオペレーションがしっかりしていないと、企業経営はスムーズに行えない。そのため、企業は、経営企画部門が全社のオペレーションを企画したり、コンサルティングファームにオペレーションの設計を依頼したり、IT技術を活用したりと、様々な施策に取り組んでいる。(「ビジネス用語集」by Elite Network Co,Ltd)

〔2021年8月12日書き下ろし。格好つけた横文字使いさも分かった風な口をきく。大事な事を伝えられない後ろめたさとおごりが悪臭を放っているようだ〕

君臨した者の教訓

俺以上の能力は決してあってはならない
俺を超える野心を抱いてはならない
俺より人気があれば先に叩かなければならない
俺より力があれば徹底して奪わなければならない
俺より弁が立つのは口先だけと思わせるのがいい
俺は嘘が上手かったが余計なことは言わぬがいい
俺が任じたバカの不始末は遺憾と言うだけでいい
俺の身代わりは命じたままに動けばいい
俺を庇(かば)った功績は裏で餌を与えれば済む
俺のやり方に不服があれば大枚出して選挙で落とす
俺を慕ってくる票は桜を見せるだけで事足りる
俺の知的劣等感は専門家を使いこなして解消する
俺を買って支援する爺さんを使いこなすのがコツだ
俺が俺がで突っ走るしか権力の道はない
俺への批判は無視して都合のいい情報だけで勝負すれ
俺の言うこと聞かない者は非国民だと切り捨てるといい
俺が残した五輪のレガシーづくりはよくやった

NHKの世論調査!
支持率29% 不支持率52%
俺の予想よりもずいぶん早くに末期症状が出ちまった
まあ野党の支持率伸びない分だけ選挙は楽勝
勝てば官軍負ければ降りるだけのこと
その時は俺の出番になるから心配無用
そう心得て恩をしっかり返すといい

〔2021年8月12日書き下ろし。内閣はもう何を言ってもやっても信用がないだけにNHKの世論調査はいまを実直に反映する。次は誰か〕

縄跳びした

スポーツ店で跳び縄を買った
ずっと欲しかった
でもいつも忘れた
4ヶ月もかかって手に入れた

長さを調整して庭に出た
運動シューズに履き替えた
跳べない
雑草と段差で縄が引っかかる
少しよけて跳ぶ
跳べない
ベランダから渡した物干し竿が邪魔をする
鎌を出して草を刈り段差をなくした

環境は整った
これで跳べるはずだ
跳べない
なんと跳べないのだ
30数年ぶりの縄跳び
こんなはずはないと何度もトライした
でも跳べない
運動能力の衰えを突きつけられた

めげずにトライした
1回跳べた
感覚を取り戻せばいけると勝手に思った
何度やっても数回しか跳べない
感覚が戻ってないと勝手に思った
10回飛べた 
なぜか嬉しくなった
20回にチャレンジした
調子がよかったのか46回を数えた
さらに息が上がった
その後は続かなかった
最後に20回跳べたらやめようと決めた
汗が全身から噴き出しまとわりついた
運動をする心地よさが不快感を一掃した

25回を数えて なぜかホッとした
トータルで100回も跳んだろうか
昼間の32度の余熱を帯びた夕方の風にあたりながら
庭はささやかなトライアル・ゾーンとなった

〔2021年8月7日書き下ろし。71歳が縄跳びをしただけのこと。無心になって汗をかいたことが一番か。いや無意識に五輪に影響されていたのだろう〕

お手軽挨拶

上書きされる原稿
官僚の貧しい想像力の賜物
与えられた原稿を棒読みするだけ
平和へのビジョンはひと欠片もない
読み飛ばし言い間違えは 日常茶飯語ご免で済ます

政治家の劣化は 原爆の悲劇すら喜劇に変える
侮辱を与えた意識も責任も薄く 笑えない不感症
政治家の無駄な言葉は 心に響かず宙に消える
誰も関心の持たない 無価値なゴミ原稿
政治家への批判は いつも無視される
為すべき事が見えず 陥れる恐怖の連続
政治家の不遜な態度は 時代の空気すら読まぬ
変化を頑なに拒み続ける先に見える 新たな絶望

5年前 米オバマ大統領は 原爆死没者慰霊碑に献花した
「私たちはこの街の中心に立ち、勇気を奮い起こして爆弾が投下された瞬間を想像します。私たちは目の当たりにしたものに混乱した子どもたちの恐怖に思いをはせようとします。いつの日か証言する被爆者の声が私たちのもとに届かなくなるでしょう。しかし、1945年8月6日の朝の記憶を決して薄れさせてはなりません。その記憶があれば、私たちの道徳的な想像力をかき立てるのです。その記憶があれば変化できるのです」(日刊スポーツ「政界地獄耳」2021年8月7日から引用)

〔2021年8月7日書き下ろし。こけおどしの者たちが支配する恐怖と未来への絶望半端ない〕

残酷な仕打ち

独裁者は健在だった
世界から孤立しながらも体面を保った
不幸な事実はいつも封印された
漏れた情報はその真否が問われた

コロナは貧しいこの国にも容赦なかった
早々に中国との国境を封鎖した
経済は回らず食糧不足は深刻になった
支配層は万全の感染予防し腹を満たした
下層は脅威と飢餓をそのまま受け入れた
統制できぬ痩せた兵士らの犯罪の情報も流れた

コロナと猛暑と干ばつと水害
貧しき者たちは歪んだ思想に感化され
高貴な支配者への従順を叩き込まれる
貧しき者たちは声を上げることもできず
高圧な支配者の施しに生きながらえる
貧しき者たちは運が悪かっただけだと
高慢な支配者の奴隷と化していく
貧しき者たちは救われることなく
無慈悲な支配者の犠牲となっていく

近くて遠い国 北朝鮮
コロナは 国境を越えて
世界の貧困国と独裁国家の存亡を問う

〔2021年8月7日書き下ろし。世界の貧困国や独裁国のコロナ禍と惨禍の現状を知らなければ…何もできない自分がいる。それでも知らなければならない〕

付記
北朝鮮、干ばつに続き洪水 住民避難、食糧不足悪化も
北朝鮮東部などで8月に入り豪雨による洪水が発生し、多数の住民が避難したり、農地が冠水したりする被害が出ている。7月には猛暑や干ばつによる農作物被害が報じられており、食糧不足がさらに深刻化する可能性がある。
国営朝鮮中央テレビの5日夜の報道によると、日本海側の東部咸鏡南道では堤防が決壊して住宅千戸以上が損壊、浸水。約5千人が緊急避難し、農地数百ヘクタールが冠水したり、流失したりした。橋や道路も壊れたという。中朝国境を流れる北西部の鴨緑江一帯でも洪水被害が懸念されている。(共同通信社2021年8月6日)

友のため息

9日長崎原爆の日
被爆した市民運動の先達者山本いま子女史を偲ぶ
人は苦しむために生まれてきたのではない
人は悲しむために生まれてきたのではない
全ての人々と共に幸せに生きるために生まれてきたのです
死の直前に手にした新年の挨拶状
「お会いしたいですね」
犠牲になられた御霊に心より哀悼の意を表します

友には娘が二人いる
長女は京都に暮らす
次女は札幌に暮らす

今年のお盆は妻の母の半年遅れの3回忌
葬儀以来2年ぶりに家族が顔を合わせる
長女は航空券を数ヶ月も前から手配した
仕事をしてる二人は長期休暇を取った

京都も札幌もデルタ株が急激に感染を広げた
父母はすでにワクチンを接種してる
娘も孫もまだしてない
疾病を抱える父を思うともしもがよぎった
二人は帰郷を断念した
この先同時にまとまった休みを取るのは難しかった

楽しみは大きくなった孫との再会だった
友のおもいは膨らんだ
指を折るように楽しみにしていた
友の期待は萎んでしまった

慈愛に満ちた夫妻は話題を封印した
寂しさが募るのを我慢するしかなかった
誠実な夫妻は静かにお盆を待つ
往来ができるようになる日をじっと待つ

電話口で友のため息を聞いたような気がした

〔2021年8月7日書き下ろし。釧路の旧友と話した。ごく当たり前にあった親子の団欒の風景は、レベルの低い閣僚官僚の手中でもて遊ばされ壊されてゆく〕

付記
お盆の旅行予約、感染再拡大でも前年超え ANAは4割増 
新型コロナウイルスの感染が再拡大する中で、お盆の旅行予約が増えている。全日本空輸(ANA)のお盆期間の国内線の予約人数は5日時点で前年比約4割増えた。コロナ前の2019年と比べるとなお6割減だが、今年はワクチン接種が進み移動への消費者の抵抗が薄れている。ホテル需要は総じて回復が弱いものの、一部リゾート地は稼働率が8割に達している。ANAの5日時点のお盆(6~15日)の国内線予約人数は約65万人。(日経2021年8月6日)

暑さが過ぎれば

昼下がりのにわか雨
5日1ヶ月ぶりの強い雨が土にはねた
気温は下がる気配もなく蒸す

不思議な感覚
かってない30度以上の日が毎日続く
直射日光がジンジンと注ぎ汗が吹き出す
お盆までの辛抱とイヤイヤ諦める
週間予報は9日から25度以下を予想する
雨も降りようやく乾いた大地が湿ってゆく

効果が薄いまん延防止法
札幌は緊急事態宣言レベルの状況が続く
デルタ株は大通りに潜伏し五輪を睨む
競歩もマラソンも観たいものは見るだけのこと
ロックダウンで閉じ込めなければ人流は抑えられない

4日世界の感染者は2億人を超えた
5日日本は1万5千人を超えた
6日首都圏は過去最多の感染者数を更新中
コロナに打ち勝った証と謳ったまやかしの五輪
選手の葛藤とともに閉会まで残り2日間
首都圏はパラ五輪の開催が危惧される
関西圏は夏の甲子園が危惧される

札幌人は慎重な移動を課せられる
依頼された研修で道内を巡る
五輪以上に万全な感染対策で受け入れる

まだ見かけぬ赤トンボ
暑さが過ぎれば北の大地は冷気が包む
コロナで療養中の方々の一刻も早い回復を祈る
IOCと政治に翻弄された異常な夏を
無事乗り越えられますように

〔2021年8月6日書き下ろし。まずは早々に札幌会場のリスキーな五輪を済まそう。札幌はクーラーのない家が多い。自宅療養は病気と暑さの二重の苦しみ。もう少しで涼しくなります。辛抱してください〕

付記
新型コロナ感染者、世界全体で2億人超す デルタ株の猛威で半年で倍増
【ジュネーブ共同】米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウイルスの感染者が4日、世界全体で2億人を超えた。1月26日に1億人を上回ってから半年余りで倍増。感染力の高いインド由来のデルタ株が各地で猛威を振るい、1週間当たりの新規感染者は6月下旬から増加に転じた。世界は再び感染拡大局面に入っている。
ワクチンは先進国や資金力のある国で接種が進む一方、発展途上国では医療従事者にすら行き届いていない。感染者は米国が3500万人、インドが3100万人、ブラジルが2千万人を上回っている。死者数も増加が続いており、世界全体で425万人。
世界保健機関(WHO)の8月1日付集計では、1週間当たりの新規感染者が最も多かったのは米国の54万人(前週比9%増)。インドが28万人(同7%増)、インドネシアが27万人(同5%減)で続いている。3日付のWHO集計では、中東・北アフリカを管轄する東地中海地域事務局管内が前週比37%増、日本を含む西太平洋地域事務局管内が同33%増と拡大が目立つ。(東京新聞2021年8月5日)

欲をかく

コラム執筆の依頼を受けた
テンションが上がった
引き受ける気は 満々だった

介護に関わる情報紙だった
週1度の連載を頼まれた
書けると思っていた

寝起きに 深い後悔が湧いてきた
すぐに 謝罪と断りのメールを送った
引き受けてはならないと 自戒した

締め切りに追われることは 苦痛となる
気ままな時間が 冒される
自遊人であるいまの暮らし方が こころ休まる

引き受けることの代償は 大きかった
そもそも動機が 不純だった
欲をかいて 何度も失敗してきた

体力も知力も 落ちている
アンテナの感度も 鈍くなってきた
連載は無理だと いまさらながら悟った

己の欲に気づかなかったことは 許せなかった
己の無恥を晒(さら)したことは 幸いだった
己の自由を守ったことは 救いとなった

〔2021年8月5日書き下ろし。新しい事への挑むのは楽しい。ただ時間に拘束されることは避けたい〕

祝祭の後の反動

76年を迎える広島原爆の日
「黒い雨」被害者の早期救済を求めたい
犠牲になられた御霊に 合掌

五輪開催は 正解だった
日本人の五輪好きに 命運を賭けた
メダルで沸き立ち 想定外の活躍が胸を熱くした

五輪開催は 祝祭だった
批判は 見当違いだった
メディアは競って 国威を発揚した

五輪開催は 政治的判断だった
政権は 支持率浮上を狙った 
政治家は 有利な選挙戦を狙った

五輪開催は 政治の信頼を失った
政権は リスクの説明を拒否し続けた
政治家は 泥船からの脱出を画策し始めた

五輪開催は スポーツイベントだった
自制は効かず 熱闘に浮かれて外に出た
規制に慣れて 危機意識はぶっとんだ

五輪開催は 人流を全国に引き起こした
デルタ株は 間隙をぬって進撃を開始した 
症状の軽重は いのちの選別をする事態を招く

祝祭の歓喜は 瞬時に忘却の河を流れて
日々の鬱陶しい日常が 戻ってくる
祝祭の最中に 失政挽回の舵を切ったが
医療現場も保健所も介護者も無視した 愚策だった
祝祭の後に残る心の澱は 積もるばかりで
深い懺悔と憤怒の やるせなさとなった
祝祭の後の政権は 与党からも支持を失い
見たこともない地平線で たじろぐしかなかった

〔2021年8月5日書き下ろし。命の選別が始まった。貧富の差が命の値段となる。犠牲者が出ないことをただ祈ることしかできない〕