「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

風吹き雪巻く

低気圧の等圧線が年輪のように渦巻く
日本海から広い北海道を傘のように覆ってきた

全道で強い風が吹き続ける
ブリザードは至る所で起こる
一瞬にホワイトアウトに巻き込まれる
高速道路や国道で多重衝突が頻発した
JRは止めるしかなかった
今月はほとんど止まるしかなかった
公共交通の多くも止まった
物流も滞った

明日もまた強風と雪は続く
交通機関も通常化に手間取る
道内一円がこれだけやられるとは
天候異変というよりは
地球の異変とするのが正しいかと

地球の悲鳴を風音と吹かれゆく雪に聞く
地球の反撃は無差別に暮らしを脅かす
地球との共存は戦争を仕掛ける強欲者たちが否定する

〔2022年2月21日書き下ろし。20日から22日まで異変が続く。この嵐が去ると春が近くなるのか。まだ春の嵐には早い〕

一刻者にはなれない

一刻者にはほど遠い
事を為すに山を越せね
挫(くじ)ける
投げ出す
言い訳する
諦めの早さにがっかりする

一刻者にはなれない
事を為さねば山など越せぬ
度胸がない
一本気にはなれない
いつも人目を気にしてる
体たらくにがっかりする

一刻者にはなれそうもない
事を為すに山さえ見えぬ
掲げた旗はすぐ降ろす
仲間を説得できない
周りは納得できない
優柔不断にがっかりする

一刻者にはならない
事を為さねば山など見えぬ
信念がない
人望がない
プランもない
剥げた素質にがっかりする

〔2022年2月20日書き下ろし。無能なリーダーが世の中を闊歩する怖さを実感する〕

again

again
再びの道に立つ
挫折も屈辱も味わったこの道
転落し失意のどん底にいたこの道
感情の襞は醜態化していた

again
再びの道に踏み出す
人間不信と自己否定が渦巻いていたこの道
孤独と劣等感にさいなまれたこの道
感情の襞は無惨に切り刻まれていた

again
再びの道を歩き出す
ためらいと後悔が行く手を阻むこの道
不安と弱気が気力をくじくこの道
感情の襞はいまだ過去を引きずる

again
再びの道を歩むしかない
立ち止まることは許されないこの道
ふり返ることを断ち切ったこの道
感情の襞は修復を求めた

again
再びの道を歩き続ける
いのちのときめきを取り戻すこの道
苦悩と絶望の中に見える希望のこの道
感情の襞は恐怖心を和らげていく

again
再びの道はしっかりと時を刻む
いのちある限り歩かねばならぬこの道
いのち尽きるまでにけりをつけねばならぬこの道
感情は不用な襞を剥ぎ平穏な襞をまとい始める

〔2022年2月19日書き下ろし。苦悩を抱えて人は自らの道に生きなければならない。人生のけりのつけるとき、感情は穏やかであってほしいと願う〕

祝いのバラの花

1本のバラが心を開く
50本のバラを真心に束ねる
12本のバラは信頼を育む

1本のバラが愛を語る
50本のバラが人生を織りなす
12本のバラは尊敬を育む

1本のバラが夢を見せる
50本のバラが夢を叶える
12本のバラは情熱を育む

1本のバラが今日を描く
50本のバラが未来を拓く
12本のバラは努力を育む

1本のバラがいのちを奏でる
50本のバラがきずなを紡ぐ
12本のバラは幸福を育む

1本のバラを胸元に飾り
50本のバラは希求の空に舞う
12本のバラは栄光を育む

手にある12本のバラは
感謝を込めて
あなたに贈る

※ダズン=12:永遠、真実、栄光、感謝、努力、情熱、希望、尊敬、幸福、信頼、誠実、愛情。

〔2022年2月18日書き下ろし。関わる社会福祉法人が明日設立50年を19日迎える。理事長に贈る花束には法人職員からの奥様への感謝を込める〕

帰郷

秋田から少女はやってきた
障がい児教育を学びたい
胸を膨らませて大学に通った

二年目になると環境は急変した
コロナ収束の期待も次々と破られていった
夢も押しつぶされていく

大学生活は忍耐と無念を強いられた
授業もサークル活動も自粛させられた
憧れの札幌の街も疎ましかった

昨夏道の教員採用試験があった
合格通知が来たが秋田は落ちた
ただ北海道に残ることに不安を感じた

教師になるための勉強も経験も足りない
故郷で先生になりたいという思いが募った
秋田に戻って再トライすることを決めた

全国では教員不足だが秋田の採用試験は厳しい
少子化が進み学校は統廃合が日常となっていた
大量の退職者問題もこうして緩和されていく

故郷で臨時採用の登録をして待つ日が始まる
今夏の採用試験に向けての準備も始まる
是非教員になってほしい魅力ある人材だ

少女は大人となった
教師になる夢はあきらめない
実現への道を再び歩き始める 

20日苫小牧港から帰郷の途につくkikyou

〔2022年2月17日書き下ろし。最後までコロナに邪魔された。北海道での経験を教育に生かすことのできる子だ。先生になってほしい〕

解を求めて

地域の福祉の課題は山積している
地域包括ケアシステムは整備不良を継続する
ケアシステムはいつか泡沫と化してゆく

行政も妙策などあるはずもない
地域福祉計画はつくったまま凍結される
福祉施策は金欠で次第に泡沫と化してゆく

地域住民は行政頼みを拒絶される
自分たちでバンバンするしか道はない
解を強いられて途方に暮れる

小難しいへ理屈をこかれてもやれるはずはない
このままでは自分らの首を絞めるしかない
だから地域福祉実践計画づくりに取り組んだ

当たり前にやってきたことを確かめた
続けることと工夫することを考えた
足りないところもたくさん気づいた

やらなきゃいけないことが見えてきた
出来ないことも見えてきた
やってもらいたいことも見えてきた

自分や家族でしなきゃいけないこと
隣近所や町内会でしなきゃいけないこと
民生委員さんや社協さんにしてもらいたいこと
役所がほっかぶりできないことも

どうすればいいのかってみんなで考える
出来ないからってあきらめるのはもうよそう
人がいないからってなげくのはもうよそう
いまここにいる人から始めよう

みんなでひとつに束ねた地域福祉実践計画
解を求める気持ちをひとつにしよう
解に向かう行いをひとつにしよう
解への見通しをひとつにしよう

ほんとはね
活動している中に求める解があるんだ
それはね
あなたとわたしが あなたとあなたが
仲良くここで暮らしていくことを
しっかりと確かめ合うことなんだ

〔2022年2月16日書き下ろし。大袈裟な行政計画が機能不全を起こしている。地域の福祉を担う誰もが参加し協働することの大切さを考えたい〕

ひとりよがり

自分は誰からも見られていなかった
この世界では何者でもなかった
自分は誰からもわかってもらえなかった
この世界での言葉は無用となった
自分は誰からも必要とはされていなかった
この世界でたったひとりぼっちだった

自分は誰からもうとんじられていた
この世界では本気で相手にされなかった
自分は誰にも心開かなかった
この世界では借り物の人生を生きるしかなかった
自分は誰ともつきあうことはなかった
この世界での存在は許されなかった

ひとりよがりだった
勝手にそう思い込んでいた
相手にされないとひがんでいた
ひとりで悩みを抱え込んでいた
自分の殻に閉じこもってしまった
周りの戸惑いには全く気づかなかった

ひとりよがりだった
素直になれない自分が嫌いだった
心を閉ざす自分がわからなかった
弱い自分をさらけ出すのが怖かった
だから自分の存在を否定するしかなかった

自尊心を喪失したひとりよがり
世界にたったひとり取り越された
世界は恐怖でしかなかった

〔2022年2月15日書き下ろし。いじめによる自尊心の喪失と自己否定の苦しみは、想像を絶する〕

釧路行きのチケット

札幌大谷地バスターミナルまで 地下鉄に乗る
27日まん延防止等重点措置発令以来の乗車
仕事は1月16日以降 すべてキャンセルされた
日高浦河 空知月形 十勝帯広 上川旭川 胆振室蘭 
釧路 石狩 根室標津 後志岩内 渡島函館 
感染は全道にスピード感を爆発的に拡大し 事業は中止となった

2月13日の感染状況 札幌市1229人 北海道1463人
空知地方:64人 石狩地方:382人 後志地方:237人 胆振地方:159人
日高地方:22人 渡島地方:110人 檜山地方:4人 上川地方:172人
留萌地方:1人 宗谷地方:12人 オホーツク地方:30人 十勝地方:140人
釧路地方:102人 根室地方:16人 その他:10人 北海道外:4人

一時4000人台を突破したが 現在は3000人台前後で高止まる
20日期限のまん延防止法は 今週延長が決まるだろう
3月7日に延期した重要事業は 開催が危うくなる

でも3月中旬に延期された釧路は やれるかもしれない
都市間バスのチケットを買いに出かけてきた
いつもの座席を指定したいと 心がはやった
座席は 第二希望の運転席の後ろを取った
「釧路に行く気満々 チケット購入」
招いてくれた友人に即メールする

硬直した現状に 息苦しさを感じていた
釧路に行くその日まで
第6波の波形がダウンするよう
祈るおもいでチケットを手にした
コロナの先にある心躍る希望を手にした

日々の暮らし方が 少しだけ違ってくる
そんな予感が いまは素直に嬉しい

〔2022年2月13日書き下ろし。まん延防止等重点措置発令以来、ストレスが溜まっていた。釧路行きが実現するかどうかはわからぬが、予約チケットは目の前にある〕

広瀬爽彩さんを悼む

広瀬爽彩さんを悼む

1年前の2月13日 広瀬爽彩(さあや)さんは家を出た
3月公園で凍死していたのを発見される
少女を助けることは誰もできなかった
傍観する共犯者
事なかれの学校
保身に走る教育委員会
1986 年2 月1日 鹿川裕史君は悲痛な遺書を残して自死した
「葬式ごっこ」から36年 昨年だけでも約51万件のいじめがあった
幼い心を痛めつけられた子らを想像すると凍り付く

いじめた子は平然として学校に通う
いじめられた子は不登校を強いられる
学校はひとりより10人の人生を尊ぶ
卑劣な性犯罪を年齢で線引きして非行を握りつぶす
少女の恐怖と恥辱を無視し孤立させ死に至らせる
警察も事件性を軽視し学校に委ねる

去年4月文春砲ですっぱ抜かれるまで沈黙を守る
世間が騒いで6月第三者調査委員会を設置する
当事者への聞き取りも全く進まず遅延する
12月ツイッター上で非難中傷した男が特定された
1月いじめられていたという少女のツイッターが確認された
2月道教委の指導を軽視した市教委の実態が明らかにされた
3月の報告書はいじめの実態をどこまで究明できるか

市教委は道教委の指導を二度も軽視し少女を見殺した
教育の世界でおぞましい大人たちが少女を死に追いやった
学校も教育委員会も個人が責任を負うことはない
当事者の少年たちも裁かれることはないだろう

世間が注目する事件にどんな落とし前をつけるのか
記者会見で調査委員会が報告し教育委員会が頭を10秒下げる
この事件を機に今後いじめ問題に真摯に対応しますとケジメる
相談窓口の充実やスクールカウンセラーの配置でお茶を濁す
そもそも市教委は直接指導した学校の教員ではない
監督部署としての責任の取り方をするしかない
学校関係者は人事異動でチャラになる
退職した者にはお咎めはないだろう
当事者の少年たちからの謝罪は難しいだろう
爽彩さんの自死が曝いたのは大人の不作為と保身に走る姿
その醜い構造が明らかにされるだけになるのか

少女を悼む心が
悩み苦しむ子らを助ける力となることを祈る日となった
広瀬爽彩さんのご冥福を共に祈りましょう

〔2022年2月13日書き下ろし。納得する委員会の報告とその後の市教委や学校の対応に注視したい。2021年1月23日にUpした『銀の涙は舞う』で自死した子どもへの鎮魂歌を捧げた〕

付記
旭川中2女子死亡 「いじめを受けていました」ツイッターで自ら投稿
北海道旭川市で2021年3月、市立中学校2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が遺体で見つかり、市教育委員会の第三者委員会が過去のいじめの有無などを調べている問題で、広瀬さんがツイッターでいじめの詳細やつらさを発信していたことが分かった。匿名での投稿だが、遺族側が本人のものと確認した。
遺族側によると、広瀬さんは19年、中1の1学期にいじめを受けていたという。その後、別の学校に転校したが、不登校になっていた。
ツイッターの投稿は、その翌年の20年5月21日で、1時間弱の間に十数本を投稿していたという。「私は前の学校でいじめを受けていました」と始まり、中学校に入り「先輩たちと仲良くしようと私は頑張りました」「いつの間にか、コンビニに行く時は私が全部払う」ようになったと訴えていた。さらに、性的な画像や動画を求められるようになったと、つらい心情もつづっていた。
転校後についても、「新しい学校に慣れようとしました。でも無理でした」「同世代がとても怖かった。私はいつの間にか不登校になっていました」と説明。「いじめを受けたのは3カ月ほどなのに、もういじめを受けてから1年たちそうなのに私は何もできません。何もかもが怖くてたまりません」と、伝えていた。
ツイートは現在、非公開となっているが、広瀬さんの知人が保存し、遺族側に伝えたという。遺族側も投稿が本人のアカウントであることや事実関係から、本人のツイートと認めた。
広瀬さんの母親はこのツイートについて「友だちやまわりの皆さんに、なぜ学校に行けないのか理解して欲しいという願いを込め、いじめを受けたときの辛い気持ちを書き込んだのだと思います。どんないじめを受け、どれほど深く傷つき、悩み苦しんでいたのか。このツイッターには、そのときの思いが残されたままです」とコメントしている。
広瀬さんを巡っては、学校や市教委は当初、本人がいじめを訴えていなかったなどとして「いじめの認知には至らなかった」としていた。しかし、21年4月に「いじめ」として報じられると、第三者委員会での調査が始まった。同委員会が関係者への聞き取りなどを進めており、市教委によると、3月末までにいじめの有無について遺族側へ報告する方向で動いているという。(朝日新聞2022年2月1日)

平野歩夢の怒り

「怒りはあっても集中できていた。
普段とは違う、強い気持ちがあった」(平野歩夢)

11日北京冬季五輪スノーボード男子ハーフパイプ決勝
2回目の得点が91.75と知ってイライラした
「トリプリコーク1440」を含む最高難度の演技
ただひとり決めたにも関わらずだ
3回目完成度を高くして同じ演技で臨んだ
96.00 勝った!

弱冠23歳のアスリートに教えられた
凡人は不平不満を後に引きずる
そして八つ当たりする

イライラが怒りに転化する
怒りを見事にコントロールする
集中力へと昇華させる

幾多の修羅場で培ってきた精神力
凡人は怒りで感情を高ぶらせる
そして簡単に自滅する

己と戦う心の構えを教えられた
己を信じて立て直す
ハイレベルの演技に再び挑む

歳を喰っただけの凡老人は
怒りをコントロールできず
感情を露わにしてひんしゅくを買う

歳の分だけ長生きした凡老人は
怒りとうまくつき合えず
感情をキーボードに叩きつける

〔2022年2月12日書き下ろし。己の未熟さを青年から学ぶ〕