「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

太書きの万年筆

万年筆をいただいた
インクを買い求めた
Blue-Blackがひと瓶 棚にあった

万年筆は コンバーター式になっていた
インク瓶にペン先を浸して 直接インクを吸い込む
初めての体験で手間取り 左手がインクに塗(まみ)れた
やり方のミスに気づき ようやく注入を終える

試し書きをした
気分が高揚してくるのを 抑えきれなかった
太いラインが滑らかに流れる
欲しかった太さのペンだった
葉書や手紙は 出来るだけ手書きを旨とした
太い文字で書くことに 憧れていた

年齢が邪魔をした
高価なものを買っても どれだけの時間がこの先あるのか
宝の持ち腐れで 持つという欲を満たすだけのことになる
そう考えると 二の足を踏んだ
それでも 事務用品売り場に並べられた万年筆を
試し書きをすることもなく ガラス越しにながめながら 
値札を見て通り過ぎた

いま持っている二本の万年筆の一本は もう五十年にもなる
就職した春 初任給四万円のうち五千円をはたいて
田舎の文房具店で買って 名前を入れてもらった
札幌の専門店で何度かクリーニングをして 長らえている
もう一本は 道庁に異動した記念に求めた
これもかれこれ二十五年は ゆうに経つ
書くことは ワープロからパソコンにシフトしてしまったが
どちらも 思い入れの強い二本となっていた

学生時代は ミミズのはったような
自分にしか解読できない 下手くそな文字を書いていた
教師になって 板書したり ガリ版原紙を切ったりすることで
子どもに分かる文字を 書かねばならなくなった
万年筆は 大人になった一人前の証の一品であった 
手書き文字の上達への願いを込めた一品ともなった
いまでも何かの署名の時には 心して万年筆を使う

さっそく 礼状を一筆認(したた)めた
いただいた万年筆の 初仕事となった
重厚感のあるボディーは すぐに手に馴染む
ソフトタッチで ペン先から流れるインクの描く線は
下手な文字も それなりの装いをまとって表れる
太い線は 感謝の思いを伝える言葉を力強く支えた
書き終えて 近くの郵便局で投函した

ペン先の太さで表現された文字が
己の性格を見せるとしたら
さしずめ今までの万年筆からは
鋭く尖った攻撃的なタッチが 強調されていた
神経質な性格を もろに表出した文字となっていた
文章の言葉のはしはしに 優しさが見えていても
手紙の中の文字は 堅く鋭く緊張感を伝えていた

今日からは この万年筆を使いこなすことにしよう
柔らかなタッチを 身につけよう 
性格も多少穏やかになるのではと 期待をこめよう
贈ってくれた方の宿題は ここにあるのかもしれない
時世の変化に ゆったりと構えて考える
浮世の流れに ゆるやかに身を任す
そんなおもいを書き記すには 本当に有難い一品となった
待てよ 
そこまでまだ 老成できぬ己がいた
ちょうどいいというバランスを 取るにはまだ未熟者だった

今世の不条理を語るに 太く力強い文字から発せられる
その言葉に 生気を吹き込みたい
ここに見つけた手書きの新しい太文字の世界に
柔らかさと強さを兼ね備えた表現を見出したい
そこにペンを握る者の覚悟と 伝わることの確信を見つけたい
だから文字を手書きするという感覚を 忘れてはならない

〔2021年4月27日書き下ろし。一本の万年筆をどう使いこなすのか。今日の詩の下書きから始まった新しい習慣づくり。楽しみが増幅されてゆく。師に感謝するばかりである〕

新任校長を祝う

あなたが思い描く共育は
蔑視され軽視された子らに添いて歩む
ゆかしさのなかにあふれる慈愛は
理を諭しながらも子らの情感に迫る
悲しみを負いし子らの心痛を引きとる

この共育の道にあるもの
宇宙の時空間の一瞬に出会った奇跡と
地球という命の惑星に生きる奇跡が
容赦ない感染症や命の危機に抗い
打ちのめされることが 決してないよう
思い切り生きるに値する逞しさを 育てるしかない

モラル軽薄の時代に 人として生きるということ
いつも子どもを粗末にしない共育を 問い続けたい
思いやりややさしさを育てる力こそ いまこそ求められる
さらなる信望を得て 人間教師としての成長を願う
涸れることのない 子らへの共育愛こそ
責務を全うすべき あなたの校長としての真の姿かと
よき地域の風土の中で 共感同行する先生たちと
子らをど真ん中にした 共育の可能性を追求してほしい
とびっきりの笑顔が 子らの学び合う喜びとなることを信じて

〔2021年4月26日書き下ろし。新卒の時代から福祉教育を共に進めて歩んできた小学校の先生が、今春校長になった。多忙の折り電話で小1時間ほど抱負を聴きながら喜びにしたっていた。優しさの中におもいの強さを秘めた女性である。その経営手腕に期待したい〕

世間に生きる

自分のことで  精いっぱいです
他人(ひと)のことなど 構っていられません
食べていくだけで カツカツです

自分のことしか 考えられません
他人のことなど 無理です
先のことすら わかりません

自分のことも できません
他人のことなど できるはずはありません
求められても 余力はありません

なぜほっといてくれないんですか
他人事は煩わしいばかりです
他人事に関わりたくないんです

なぜひとりにさせてくれないんですか
押しつけがましい善意が苦手なんです
求めてもいない善意が苦痛なんです

なぜ責めるのですか
他人に迷惑はかけていません
他人の邪魔にもなっていません

他人事だと距離を置く
ひとは避けることも逃げることもできず巻き込まれる
他人事だと知らんぷりする
ひとは好むと好まざるに関わらず巻き込まれる
他人事には立ち入らない
ひとは否応なく世間の動きに巻き込まれる

自分のことだけ 考え暮らしてきたが
いつの間にか 他人事のど真ん中にいる
自分さえよければと 身勝手に暮らしてきたが
世間の器の中で 生かされていることを知る
拒みきれない世間のしがらみの中で
他人事に翻弄される自分を見る

〔2021年4月25日書き下ろし。世間にはいろいろな人が生き暮らす。他人事に巻き込まれ嫌な思いもさせられる。どんなに距離を置こうと、そこで暮らす以上、逃げ出せない〕

五輪どうしてもするの?

五輪ホントに東京でするの?
変異種コロナで世界中の人が困っているのに?
コロナでたくさんの人が毎日亡くなっているのに?

やりたい人 手を挙げて!
政治家と応援企業と五輪選手とボランティアと観たい人 
テレワークして安全に仕事している人
生活に余裕があって退屈してて無事な人

やりたくない人 手を挙げて!
協力をお願いされるお医者さんと看護師さん
コロナや別の病気で重篤な人を治療している人
五輪を当てに投資して失敗した人
お店が潰れてしまう人や破産した人
経営不振や倒産で仕事を失った人
毎日会社や工場に出勤している人
まだウイルスの接種をしていない人
まだまだいますが書き切れなくてごめんなさい

世界的に感染症対策を重点化しなければならないときに
悠長に五輪をやりますって 世界の空気の読めない人たち
名誉と金のIOCバッハさんに与する人たちは開催に執着する
撥ね返すこともできず結論ありきの強行開催を主張する
具体的な防疫対策の綻びも見えているところで
感染リスクを負わされる事態が一旦起これば
取り返しのつかない多くの人命が危機にさらされる
回避できる妙案があれば世界中で取り組んで解決している
ただ外出自粛と接触禁止だけのお願いで治まるわけがない
街中のネオンを消して厳戒体制もどきの対策で人出を減らす珍対策
派手なネオン好きの知事さんならば光明の灯火を先に示してほしいものだと

もしも開催するならば
「感染拡大東京五輪」の不名誉な名称が歴史に刻まれる
歴史的危機に直面した日本の最大の汚点は
政治家と官僚に人材あらずの事実に尽きる
政治家は落ち目が大事である
落ちぶれたときこそ よく自重して言動に注意し
他日を期すように努力することが大事という
5月11日までの17日間の期限では
努力の時間が足りないのは自明の理である
期限を切るより 目標数値を示す方が分かりやすい
科学的な根拠の疎いトップの責任だけではない
できないことはできないと断言できずにすり寄って
選挙資金の集金と票読みしかできない
国と都道府県の政治家 一人ひとりの責任を噛みしめて欲しい

責任は私にあると 取る気もない責任を公言してはばからない
首をかける覚悟のない者たちが 今日もこの国を支配する

〔2021年4月24日書き下ろし。25日からの緊急事態宣言。政治資金パーティーは麻生さんからして堂々としたり顔で許される。何の覚悟も感じない〕

宮城葉子「肝愛(チムガナ)さぬ」(ウチナーグチ)

肝(チム)ぬままならん 泣ちがーたー
泣顔(ナチガウ)ぬ にじら らん
泣(ナ)ち声(グィー)ーぬ出(ン)じたる
くぬ はっとぅま
顔(カウ) わじゃまち
涙(ナダ)落(ウ)とぅちゃる 顔(カウ)
肝愛(チムガナ)さぬ

目(ミ)ーまってん 目(ミ)ーぐゎーとぅ
みぃーくぅーめぇー
みぃーちきてぃ 顔(チラ)ぐゎー見(ン)ーちょうてぃ
くぬ はっとぅま
ニコッんでぃち まさかぬ
見(ミ)ーぐゎー笑(ワレェ)ー返(ゲェ)ーし
肝愛(チムガナ)さぬ

くぅーわっ! んでぃち さくとぅ
ちゃーすがやーんでぃち思(ウム)やがなー
ようーんなー たーちぬ手(ティー)
伸(ヌ)ばち 身体(ドゥー) あじきたる 
くぬ はっとぅま
やふぁってん ぐゎーとぅ
かばさ だちゅる顔(カウ)
肝愛(チムガナ)さぬ

サジ 自分(ドゥー)し 持(ム)っちゃくとぅ
がーはてぃ くちぬまんまーるや
いっぺー 散(チ)らかちゃる
くぬ はっとぅま
しーやんてぃ 目(ミ)ー笑(ワレェ)ー顔(ガウ)
肝愛(チムガナ)さぬ

くぅとぅばにならん 声(クィ)ー出(ン)じゃち
指(イービ)さする とぅくるんかい
目(ミ)ー向(ン)けぇーらしみてぃ
くりやんでぃ 思(ウ)まーりーる イーリムン
取(トゥ)らちゃる くぬはっま
ンパーンパーんでぃち
頭(チブル)ふる 肝(チム)ふがん顔(ガウ)
肝愛(チムガナ)さぬ

まる裸(ハラカ) 風呂(ユフル)桶(ウゥーキ)んじ
湯(ユー)とぅ がんまり遊(アシ)びし
痛(ヤマ)ちゃる 
くぬ はっとぅま
肝愛(チムガナ)さぬ

肝(チム)がなさぬ 肝(チム)がなさぬ
どぅく どぅく 肝(チム)がなさぬ
抱(だ)ちくだる
命(イヌチ)ぬ 温(ヌク)むい

肝(チム)がなさぬ 肝(チム)がなさぬ
いっぺー いっぺー ニフェードォー
抱(だ)ち込(ク)みたる 二人(タイ)ぬ母子(ファファクッ)ぬ
志情(シナサキ)ぬ深(フカ)さ 肝愛(チムガナ)さぬ
命(ヌチ)ぬあるかじり
いちまでぃん 共(トゥム)に 歩(アユ)まな

〔2021年4月24日。今日、沖縄市在住の友人木下義宣氏の紹介で、童唄研究家の宮城葉子先生のウチナーグチ(沖縄語)での『めんこいしょ』の訳詩をいただいた。過去に「方言札」という「日本語の標準語激励の強硬手段としての罰札」により、貴重な言葉と文化を失った歴史があることを知った。先生は幼児教育の指導者教育に長年携わりながら、うるま市田場の古民家「沖縄のわらべ唄 民謡の里・田場ぬてぃーだぬ家-」を拠点に、現在も文化継承活動をされておられる。先生の訳されたウチナーグチから流れる詩情豊かな言葉のあたたかさを、いまだからこそ静かに味わっていただきたい〕

優しさの喪失

この世に 人間の優しさが壊れてゆく
憎悪に満ちた世界となる
殺戮が日常風景となる
復讐が当たり前となる

この世に 人間の優しさが消えてゆく
破壊と奪略だけの世界となる
非道な行動だけが許される
凄惨な攻撃だけで生き延びる

この世に 人間の醜さがはびこる
武器を手にした集団が組織化される
支配された者たちは隷属を強いられる
支配する者たちは殺害をゲーム化する

この世に 人間の邪悪さがはびこる
敵対する者たちが 覇権を争う
叛逆するものは 徹底的に撲滅する
勝者は悪魔の形相で 歓喜する

都市は荒廃し 死臭が充満する
壊滅的なダメージは 再建を拒む
機械は壊れ 何も作れなかった
農地は荒れ 何も育たなかった
海水は汚れ 何も獲れなかった

餓死と疫病に 苦しみ悶え死んでいった
生命の誕生は 何の意味も持たなかった
死の行列に 加わっただけだった
滅亡へのカウントダウンは 終わりを迎えていく

原発は野ざらしにされ 核に汚染されてゆく
地上には 死の灰が静かに降り積もる

〔2021年4月23日書き下ろし。ふと優しさを喪失した世界の終わりを想像した〕

札幌も変異株に置き換わる

札幌は 新規感染者が高止まりしている
変異株の陽性者が7割を突破 変異株に置き換わる
入院患者数も高止まり 20日時点で308人
3月中旬にゼロだった重症患者数 
4月中旬以降 20人前後で推移する
いよいよ医療体制も 逼迫(ひっぱく)してきた。

21日時点の全国の医療従事者への接種人数は 約150万人
内2回目を接種したのが約83万人
結果 対象の約480万人の医療者の31%でしかない
7割は 1回も受けていないお寒い事態
これで医療体制のベッド数の確保を論議するのも 馬鹿げてる
これでワクチン接種が 可能なはずは決してない
高齢者の試行接種を すぐさま医療者に変更するしかない
10日間で約4万人の接種者が 全国に散らばる
イスラエルでは 各地でバラバラに打っても 
集団免疫にならぬなら予防効果は薄いと 報告する

高齢者は この際じっと家に居よう
コロナが収まるまで 我慢しよう
街は危険がいっぱいと 自覚しよう
子どもや孫と同居してれば 接触をできるだけ避けよう
誰かに迷惑をかけたくないと思うなら
ワクチン接種が多少遅れても いいじゃないか
まずは命を守る医療者と介護者を優先しようよ

はっきり市も道も 道理を通してしっかり伝えようよ
いまはワクチン接種が命綱って みんな思っているのだから
医療崩壊以前の戦う医療者に
介護危機以前の戦う介護者に
優先的に接種することで 誰が批判するというのか

東京都 大阪府 京都府 兵庫県
25日には 緊急事態宣言を発令する
国も道も大阪も東京も この1年何を教訓にしてきたのだろうか
東京に来ないでくれと いまさらの話かと思うほど
世界の都市のロックダウンから 一体何を学んだというのだろうか
小池都知事の「東京版CDC(疾病対策予防センター)」設立
去年の都知事選の目玉の公約は 10月「東京iCDC」を立ち上げた
トップに健康危機管理担当局長が就いたところで おしまい
いつものパフォーマンスで 足下の医療体制の構築は現場に丸投げした
目立つことの大好きな政治家は もう見飽きた聞き飽きた
五輪とバッハ来日に照準合わせた解除予定日 思惑通りにはなるまい 
魂胆見透かれ 事業者の嘆きは怒りとなって収まらぬ
都民は この緊急事態宣言をどう受けとめるのか 動向に注視しよう
大阪府知事もパフォーマンスだけでは 説得力は失われ不信が募るばかりだ

政治は 先の読みも取り組みも リスクマネージメントの甘さをさらす
TVもラジオも新聞も 観ない聴かない若者たちに
定例の記者会見でボードかざして 情報提供しているポーズを決める
感情の劣化による 共感性の欠如が社会を覆っている
後手後手の子ども騙しの方便に 嫌気がさすのもよくわかる
それでもやるだけのことはやるしか いまはない
それでもやってはならぬことは やるべきではない
常道を外れた身勝手な行動を自戒しなければ 自壊する

想定外だからこそ その先をどう読むのか
危機管理は 原発事故の後始末の不手際同様
その尻拭いは いつも国民が被ることになる
命を預ける政治力が 試されていく

北海道の死者数の割合は 他と比べて格段に高い
このことは 何を意味するのか 
変異株の拡大で 死者はさらに増えるだろう
ただ数字が積み上ることに慣れて 無関心になっていく 
その世間の空気が 怖い

〔2021年4月22日書き下ろし。厳しい状況が続いている。第4波に堪えるしかない〕

付記
札幌の変異株陽性7割超す 感染急拡大の恐れ
道内の新型コロナウイルスの新規感染者が21日、2日連続で100人を超え、感染拡大の兆しが顕著になってきた。感染が集中する札幌市では新規感染者のうち、大阪などで猛威を振るう変異株の陽性者が7割を突破。道と札幌市は市内の飲食店などに営業時間短縮を再要請する方針だが、感染力が高いとされる変異株の影響で今後、感染が急拡大する恐れもある。新規感染者が2日連続で100人を超すのは1月末以来。懸念されるのは変異株の急増だ。札幌市が新規感染者に行っている変異株PCR検査で、週ごとに公表している陽性率は3月末から上昇を続ける。今月17日までの1週間では前週より15・8ポイント増の77・2%となり、感染の多くが変異株に置き換わってきたことがうかがえる。
同市内の入院患者数も高止まりが続き、20日時点で308人。このうち3月中旬にゼロだった重症患者数は4月中旬以降20人前後で推移し、医療体制も逼迫(ひっぱく)してきた。
札幌医科大の横田伸一教授(微生物学)は変異株に加え、年度替わりで人の動きが活発化した影響が出ているとし、「感染は完全に増加傾向となった。対策をさらに厳しくしなければ止まらない」と指摘する。
感染「第3波」が広がった昨年11月上旬には、道内の新規感染者が2日連続で100人超となった約2週間後、最多の304人に達した。
横田教授は「変異株の影響も加わり、さらに感染者が増え続ける可能性がある。大型連休前にも感染の大きな波が来る恐れがあり、一人一人が改めて対策を徹底してほしい」と警鐘を鳴らす。(北海道新聞2021年4月22日)

緊急事態宣言、23日に正式決定 期間は4月25日から5月11日
政府は22日、新型コロナウイルスの関係閣僚会合で、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に緊急事態宣言を発令する方針を確認した。期間は25日から5月11日まで。都府県側は百貨店を含めた大型商業施設などに休業を要請する。酒類を提供する飲食店やカラオケ設備のある店にも休業を要請し、それ以外の店には午後8時までの営業時間短縮の継続を要請する。23日の政府対策本部で正式決定する。
宣言発令は2020年4月、今年1月に続いて3回目となる。対策本部では、まん延防止等重点措置の適用対象に愛媛県も加える。まん延防止措置を適用中の宮城、沖縄両県の期限は5月5日から11日に延長する方向だ。同措置が適用されている首都圏3県の飲食店に対し、宣言の対象地域と同じく酒類を提供しないよう求めることも決める見通しだ。
菅義偉首相は閣僚会合後、記者団に「東京、京都、大阪、兵庫から宣言の要請、愛媛からまん延防止措置の要請を受けている。23日に専門家委員会(分科会)に諮ることを決定した。大型連休を中心に集中的に対策を講じて、感染拡大防止を何としても措置したい、抑え込んでいきたい。変異株の拡大が大きな要因だ」と述べた。
政府は東京や大阪など10都府県にまん延防止措置を適用し、飲食店に午後8時までの時短要請をする対策などを講じてきた。だが、対象地域で新規感染者数の増加は止まらず、「まん延防止措置よりも強く集中的な措置が必要」(政府関係者)と判断した。大阪府などが地下街など幅広い対象に休業要請をかけるよう提案したが、政府側は「経済的な影響が大きい」として調整を続けていた。
政府と各自治体の協議の結果、酒類やカラオケを提供する飲食店への休業要請などが決まった。床面積が合計1000平方メートル超の大型商業施設には、生活必需品を扱う店を除いて休業を要請する。鉄道事業者には平日の終電の繰り上げを求める。まん延防止措置下で「上限5000人」としていたプロ野球などの大規模イベントは、原則無観客にすることで調整している。政府関係者は「この措置をベースに、各自治体がさらに強い対策をとるのは構わない」と語った。東京都は、都立高校などで分散登校を実施し、自宅でのオンライン授業と組み合わせて、通学する生徒を減らす方針だ。(毎日新聞2021年4月22日)

生きるを信じる

君の屈託のない笑いに
つられて笑わされるわたし

君が見せる寂しげな表情に
つい顔を覗きこんでしまうわたし

君のたどたどしい言葉もどきを
謎解きのように楽しむわたし

裏切られ 心折れたときもある
悔しさで 堪えきれないときもある
どうしてよいのか 地団駄踏んだときもある
どうしようもなく 途方に暮れたときもある

でもそばに 君がいた
君と生きて知ったこと
悲しみも苦しみも みんな呑み込んで
君を抱きしめたとき
この子は 生きるを求めていることを
この子は 生きるを信じていることを

抱きしめた両手に 君はすっぽり包まれた
あどけない顔が 嬉しそうに笑った
マンマと 乳臭い匂いを顔に吹きかけた
このぬくもりは 二人だけのものだった

どこまでも 君と生きる
君といるから 負けない
君がいるから 明日を見る

〔2021年4月20日書き下ろし。また緊急事態宣言やまん延防止法が全国各地に発出される。コロナ禍で何度この母子を追い詰めるのか。お願いしますのコールだけの無策が続く〕

オーダー承ります

檜山管内の友人から
夕方電話があった
ボランティア研修をしたい
講師をお願いできないか
二つ返事で快諾した
期日も内容も未定
講師だけ確保
詳細はコロナの動向次第

19日の道内感染者78人のうち札幌75人
変異株PCR検査の陽性者は 新たに50人確認
札幌は人口10万人あたりの1週間平均で新規感染者数は
道独自の警戒ステージ「5」の目安「25人」を超え「25・2人」
「まん延防止等重点措置」の適用を 道に求めるという
その上で5月5日五輪コースを走るテストイベント
「北海道・札幌マラソンフェスティバル」はやるそうだ
エリート選手が170人 海外からも参加調整とか
何とも現実離れしたイベントが 開催されるという
東京五輪は 赤信号が灯り始めているようだが…
来る方も迎える方も 悲劇の序章とならぬよう
くれぐれもご注意 さらにご注意

そんな状況下でも 北の大地で生き暮らす
連なる山には まだ深い雪が残る中
耕󠄃しを終えた黒土が 作付けを待つ
漁師も美味い魚を 水揚げしてくる
春の陽ざしの中で 日々活気づいていく

老夫婦世帯も独居も多い 人口減の町も多い
高齢化率の高い 日本海に沿う檜山管内
きっとボランティアは 頑張っていることだろう
札幌から車で4時間
その人たちに逢いに出かけるのが嬉しい
ボランティアをテーマにした講話は 18年秋以来
厳しい暮らしの中にある 支え合いや助けあいの現場
学ばなければならないのは 私自身だ
その機会が無事実現できるよう 静かにワクチン接種を待つ
そうしなければ 安心して札幌から出られない籠の鳥

ワクチンが9月まで供給の目処がたったとニュースが流れた
本当に供給されるか 物が来るまで信用できないのが辛い
後は打つ人をどう確保するのか それが一番深刻な課題だ
自民党の下村博文政調会長は 医療体制の不備なところは
来春までかかると 悠長なことを平然とおっしゃる
この御仁 秋の総裁選の公約は年内接種完了と 
強い指導者に変身するのは 見え見えだけに小賢しい

それでも ワクチン接種に強くご期待申し上げ
檜山の件 オーダー承りました

※檜山(ひやま):北海道南西部の現檜山振興局。振興局所在地は江差町。離島の奥尻を含み、渡島 (おしま)半島のほぼ西半分を占める。

〔2021年4月19日書き下ろし。札幌からの移動制限がもっと厳しくなる。いま市内の学校も病院もクラスターが増え、目と鼻の先にある複数の病院にもクラスターが起こっている。入院患者も通院の病人も厳しい規制管理下に置かれていることだろう。心が痛む〕

付記
札幌市、まん延防止の適用要請へ 警戒ステージ最高に
札幌市は、新型コロナウイルスの感染者が急増し、医療体制が逼迫(ひっぱく)しつつあることを受け、新型コロナ対応の特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請するよう、北海道に求める方針を固めた。近く秋元克広市長が鈴木直道知事に要請する。札幌市では3月以降、新規感染者の増加傾向が続き、感染力が強いとされる変異ウイルスの感染が目立っている。最近の新規感染者数は1日70人を超え、19日までの1週間では人口10万人あたり25・16人。道が独自に定めた警戒ステージで最も高い「5」の目安の「25人」を超えた。秋元市長はかねて、「25人」に近づけば、重点措置適用も含めた強い対応を道に求める意向を示していた。
また、18日時点の市内の入院患者数は264人で、市が確保している病床の約6割が埋まり、医療提供体制への負荷が高まっている。市は重点措置適用の要請とともに、市内の飲食店への営業時間の短縮要請も検討している。(朝日2021年4月19日 20時40分)

ワクチン「9月までに供給されるメドたった」菅首相
新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、菅義偉首相は19日午前、ファイザーのブーラ最高経営責任者(CEO)との17日の電話協議について「9月までに我が国の対象者に供給できるよう追加要請し、CEOからは協議を迅速に進めたいと話があった。9月までに供給されるメドがたった」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
電話協議は首相の先の訪米中に実施。複数の政府関係者によると、供給元は接種が始まっている米製薬大手・ファイザーに加え、承認申請中の英製薬大手アストラゼネカと米バイオ企業モデルナのワクチンも想定。ただ、アストラゼネカ製は接種後に血栓ができる症例や死亡例が報告され、現時点で安全性に懸念もあり、ファイザーへの追加供給要請に動いた。
ワクチン接種の対象は16歳以上の約1億1千万人で、1人2回。これまで政府はファイザーとの間で年内に約7200万人分の供給を受ける契約を締結。このうち、6月末までに約5千万人分を各都道府県に配送する予定だ(朝日新聞2021年4月19日)。

高齢者ワクチン接種「場合によっては来年までかかる」 
自民党の下村博文政調会長は19日、65歳以上の高齢者に対する新型コロナウイルスのワクチン接種について「自治体によっては医療関係者の協力が足りないということで、今年いっぱい、場合によっては来年までかかるのではないか」と接種完了が越年する可能性に言及した。党のコロナ対策の会合で述べた。
下村氏は「このペースで行くと、全ての国民がワクチン接種できるのは来年春ぐらいまでかかるところもあるかもしれない」とも発言。ワクチンの供給量に合わせて、接種を担う医療関係者の協力が得られるように与党としてサポートする必要性を語った。
感染防止策では、まん延防止等重点措置の対象の都府県について「感染者が減る状況ではない」と指摘し、緊急事態宣言の発令を視野に入れた対策強化の可能性に触れた。(東京新聞2021年4月19日)

よろず相談承ります

困ってることがあれば 相談してください
役所の敷居が 高すぎます
窓口に行くまでに 勇気が要ります
座れば 根掘り葉掘り聞かれます

困っているから 相談に来ました
煮詰まっているので 身動き取れません
無理を承知で 恥を忍んでお願いします

困ってることがあれば 相談に応じます
ズバズバ事務的に 応対されます
ドギマギしながら しどろもどろで答えます
要領よく言えず 申し訳なさが先に立ちます

困り果てているので 相談に来ました
規則があるから すぐには無理ですか
そこを何とか 何とかできませんか

困ってることがあれば 誰でも相談できます
冷ややかな表情から 抑揚のない声を発します
頭を下げて 謝りながら応答します
一人で来ずに 連れがいればと後悔してます

困りに困って 覚悟して相談に来ました
話を聴くだけで解決するなら 誰でもよかったです
親身に乗ってくれると期待した分 外れました

困ってることがあれば いつでも誰でも相談してください
できればお世話になりたくないと 暮らしてきました
頼れるところは役所だけと 観念して来ました
なにか責められて 辱めを受けてるような気分です

困ったことのない人が 困った人の相談に乗ります
まずは 規則を盾に追い返します
つぎに 書類の不備で戻します
困ったら 別の部署にふって難を逃れます
目的は 無駄な税金使わぬように処理することです

こんな役所の人たちに 定年延長かかります
65歳まで いい仕事ができてあぶれません
困ることのない人たちは 老後の仕事も暮らしも安泰です

〔2021年4月18日書き下ろし。コロナ禍役所でどれだけの人が嫌な思いをしたことか。「親身になるポーズの取り方実習中」かと。さらに定年延長で若者の雇用を阻む〕