故半藤一利氏は「絶対」という言葉を封印した
しかし「絶対に戦争を起こさない」とだけ言い添えて
1月7日緊急事態宣言を発出した記者会見の席上
「1カ月後には必ず改善させる」と言い切る
患者数は多少なりとも軽減傾向にあるが 医療の逼迫は止められず
GOTOキャンペーンの補正予算は盛って 医療対策予算は批判を浴びる
必ずという言葉の重さや 勝負するという言葉の強さに
見事に反比例した敗北宣言
「3月7日まで延期します」
昨年10月臨時国会の所信表明演説
「絶対に感染爆発を防ぐ」
結果は その後感染拡大一直線
国民の「待望感」は 一気に「不信感」へと冷めていく
いまでは 内閣支持率30%台と 惨めな数字を負わされる
「絶対」という覚悟なくして安易に使い 軽挙さを身に纏う
「人間は歴史から何も学ばない。それが最大の歴史の教訓」(ヘーゲル)
商業優先 東京五輪を開催したいと 願望だけの独りよがり
海外からの受け入れ体制すら 未確定要素がありすぎて
確信もなく出来ると豪語する無責任さ 後は神頼みしかない
糊口を凌(しの)げぬ者たちは ただただ腹を空かすだけ
東京五輪まで 暮らしが立ちゆくのか途方に暮れる
頼みのワクチンも 契約通りに履行されるか不確定
担当河野太郎では パフォーマンスがありすぎて調整不能
最大の国家プロジェクトを担うには 人気だけでは荷が勝ちすぎる
絶対大丈夫なんて 聞きたくはない世迷い言
ワクチンの安全性の是非を オープンにして
ワクチンの入手時期と量も 隠すことなく知らしめて
ワクチン接種の優先順位とその時期を 確実に周知する
ワクチンの接種場所 医療者の確保を 迅速に整備する
その確証がなければ いつまでもコロナの不安から解放されず
不信感はさらに増幅され 五輪はぶっ飛び 政局に陥る
野党も大して信望なく 政権奪還など夢のまた夢
政局を切り拓くだけの 覇気を感じず
体力と財力と政策力を 賭ける気概すらない
選挙になれば自分の首が一番大事 戦々恐々とした姿が目に浮かぶ
与党の老害目にしながらも 旧態依然のリーダーでは
与党の老獪さには ただ手を焼くばかり
野党内部で主導権争いをしてる分だけ 与党は形勢不利を利用する
組織強化を図って選挙態勢を強化して 臨んでくるのは自明の理
そんな与野党の小粒な政治家たちが 椅子取りゲームをおっぱじめる
それを強制的に見せられては 悲嘆の声が上がるのも道理
いつまでも 聞き分けのいい人ではいられない
「絶対痛い目に合う」という事態だけは 絶対に避けたい
※軽挙(けいきょ):深く考えずに軽々しく物事を行うこと。「軽挙して以て計を行はば則ち人主危ふからん=韓非子」。
〔2021年2月1日書き下ろし。緊急事態宣言が延期される。我慢を強いられ、たまった鬱憤をどのように晴らすのか。選挙がその一つになるだろう〕
付記
緊急事態、10都府県で延長3月7日まで 栃木は解除 あす2日に決定
政府が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言について、栃木県を除く10都府県で7日までの期限を3月7日まで1カ月間延長する方針を固めた。今月2日の基本的対処方針等諮問委員会で専門家の意見を聴取し、政府対策本部で決定する。複数の政府関係者が明らかにした。
延長の対象となるのは、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、岐阜、大阪、京都、兵庫、福岡の10都府県。3月7日までに感染状況や医療提供体制が改善すれば期限を待たずに解除する。栃木県は新規感染者数が減少傾向にあることや、その他の対象地域と生活圏が異なることなどから解除することとした。
政府はこれまで、宣言解除の基準として、新型コロナ感染症対策分科会が示す基準で最も深刻な「ステージ4」から「ステージ3」への移行することを目安としていた。ただ、ステージ3に移行しても病床の逼迫(ひっぱく)度などが改善されていなければ解除は難しいと判断した。(産経新聞2021年2月1日)
商業化五輪の転機=山田孝男
「オリンピックはアメリカ次第。大統領が開催に前向きな発言をしてくれれば勢いがつく」。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之理事(76)が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューでそう言った(27日、電子版)。
高橋はこう続けた。
「(米国で放映権を独占する)NBCも含め、アメリカに参加してもらうことが何より大事。言いにくいが、IOC(国際オリンピック委員会)とバッハ(会長)に決められることじゃない。彼らにそんなリーダーシップはない」この毒舌は、商業化が極まった現代五輪のゆがみを言い当てている。(毎日新聞2021年2月1日)