「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

正義のお墨付き

管さんもやるじゃないか
お国のやり方に従わない奴らを 懲らしめてきたけど
これでやっと日の目が見られる
正義のお墨付きを もらったも同然
大手を振って 取り締まろうぜ
コロナ自警団とか 自粛警察なんて生っちょろい
正義は勝つ
俺たち摘発制裁特捜隊

自粛してるかどうか 片っ端からチェックする
ルールの守らないのは 金輪際店を開けないよう見せしめる
夜の盛り場 ほっつき歩いている若いもんや酔っ払い
この街にはいらない連中 追い出そう
危ないって? 
大丈夫!
用心に手抜かりなし 準備万端 用意周到
正義は勝つ
俺たち摘発制裁特捜隊

県外ナンバー 県内でも別の町のナンバー
しっかりチェックして 追い出そう
ランチなんて食べてる場合か
SNSでばら撒いて 二度と来ないように懲らしめる
移動制限かかっている以上は 許せない
正義は勝つ
俺たち摘発制裁特捜隊

昔々ハンセン病の撲滅に 
警察も保健所も世間も 一体になって取り組んだ
弾圧・密告なんて当たり前
なんせ感染病は恐ろしい
えっ! コロナが出たって
どこの家だ!
隠しても無駄なこと
あいつか! 
名前公表 非難批判は当たり前
正義が勝つ
俺たち摘発制裁特捜隊

ヤバい!
俺コロナに罹っちまった!
仲間はみんな濃厚接触者 だから陽性確実
俺たち世間の恥さらし 
世間から弾(つまはじ)きにされて
正義は 俺たちを糾弾する
摘発制裁特捜隊元メンバー 
風呂敷かぶって 世間に暮らす

※特別措置法(とくべつそちほう):現行の法制度では対応できない特定事態に対処する目的で制定される法律。被災地の復興支援,公害対策,感染症対策,テロ対策,自衛隊の海外派遣,防災対策など,適応対象や期間を限定することが多い。

〔2021年1月13日書き下ろし。歪んだ正義感や同調圧力による攻撃行動は後を絶たない。
鬱憤払いの実力行使もネット上での匿名非難も、特措法の罰則強化により正義漢ぶる者たちが増えることを否定できない。罰則よりも救済こそ必要である〕

付記
内閣支持40%、不支持41%(NHK世論調査)
NHKは、今月9日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で(アールディーディー)世論調査を行いました。
調査の対象となったのは、2168人で、59%にあたる1278人から回答を得ました。
それによりますと、菅内閣を「支持する」と答えた人は、先月より2ポイント下がって40%、「支持しない」と答えた人は、5ポイント上がって41%で、支持と不支持が逆転しました。
支持と不支持が逆転したのは、去年8月に安倍前総理大臣が辞任を表明する直前に行われた調査以来で、去年9月の菅内閣発足以降では初めてです。
内閣を支持する理由では、「他の内閣より良さそうだから」が39%、「人柄が信頼できるから」が23%、「支持する政党の内閣だから」が21%などとなりました。
支持しない理由では、「実行力がないから」が40%、「政策に期待が持てないから」が33%、「人柄が信頼できないから」が11%などとなりました。(中略)
新型コロナウイルスに自分や家族が感染する不安をどの程度感じるか聞いたところ、「大いに感じる」が45%、「ある程度感じる」が42%、「あまり感じない」が9%、「まったく感じない」が2%でした。
新型コロナウイルスをめぐる政府のこれまでの対応について、「大いに評価する」が3%、「ある程度評価する」が35%、「あまり評価しない」が41%、「まったく評価しない」が17%でした。
特別措置法について、政府は、事業者への財政支援と罰則をセットにした改正を目指しています。罰則の明記について聞いたところ、「賛成」が48%、「反対」が33%、「わからない、無回答」が18%でした。(NHK2021年1月13日更新)

教師とは雑用係である

進んで雑用をした

雪の朝は 子どもと一緒にスケートリンクを除雪した
運動会練習のグランドを 新車にタイヤをつけて整備した
清掃活動で地域から集めたゴミの山を トラックでゴミ処理場まで運んだ

やりたがらない雑用を 指示もされずこなした
拘束されずに 自由に判断できるのが面白かった
子どもは 自主的に動いた
子どもは 共に汗した仲間だった
子どもがやり遂げた達成感を そばで褒めてあげたかった
単純に 子どもたちの笑顔が見たかった

雑用に追われて 仕事が後手になる
雑用に振り回されて 仕事にならない
雑用がなければ 仕事に集中できる

授業が本分で 生徒指導は雑用?
教材研究が本分で 事務仕事は雑用?
校内が本分で 対外的なことは雑用?

偉い先生方の雑用って どんなものか教えてください
偉い先生方の勤務時間には雑談も含まれますか 実態を教えてください
偉い先生方の机上は整理整頓されてますか 教えてください
偉い先生方の給与の人工(にんく)計算の根拠を 教えてください
 
仕事の段取りが下手な者ほど 雑用だと文句をつける
仕事に身の入らぬ者ほど 雑用だと見下す
仕事に貴賤を持ち込む者ほど 雑用だと毛嫌いする
仕事についていけない者ほど 雑用に追われる
仕事に飽きた者ほど 雑用だと逃げ回る
仕事の手抜きをする者は そのうち雑用係を要望するだろう

偉ぶる先生は 授業に専念して権威者となる
偉ぶる先生は 指導書オンリーで趣味に没頭する
偉ぶる先生は 目下に雑用を言いつけ回避する

雑用となぜ呼ぶのか 
仕事に貴賤をつける
仕事を命じる優越感に浸る
仕事の下働きを意識させる

「先生、あのね…」
「いま忙しいから、後でね」
いま消毒作業で 手一杯なんだから

雑用の用を知らずして 子ども理解を無用化する

〔2021年1月9日書き下ろし。某新聞の社説にコロナ禍での教師の仕事について論じていた。その書きぶりに、エッセンシャルワーカーとの仕事への意識の違いを痛く感じた〕

カルトの呪縛を解き放す

1・6 米国のカルト集団が暴発し戦慄が走った
「集会に来てくれ、ワイルドになるぞ!」
「愛している。米国を再び偉大に」(トランプ大統領のSNS)
「首都ワシントンに向かう全ての愛国者たちよ、武装せよ」
「我々の全ての敵に通告する。戦争を望んでいるのか?」(呼応するトランプ支持者が集う新興SNSのパーラー)
「共和党員よ、頭を使ってくれ。戦え!」
「弱腰では米国を取り戻せない」(当日のトランプ大統領の演説)
「前進せよ、前進せよ」(議事堂に押しかけたトランプ支持者)
「(暴動は)大統領が扇動した合衆国への反乱行為だ」(シューマー上院院内総務)
「非愛国的で偽善的な羊が盲信的に行動する」(P!nkシンガーソングライター)
「彼は国の恐怖を駆り立てた。これはテロだわ」(レディ・ガガ)
「これは異議申し立てではない。混沌で、ほとんど反乱だ」(バイデン次期大統領)
「これはトランプにトランプ流をさせたことによる当然の結果だ」(ジョン・ケリー元首席補佐官)
「トランプは正気を失っている」(共和党のトランプ大統領側近)

1・6 米国の民主主義が 大統領自らによって恥辱にまみれた
洗脳され扇動された支持者の 過激な者たちが暴徒化した
5人が死亡する流血の惨事を招いた
SNSで流れた動画には
中継の画面を見ていた取り巻きたちが
得意顔で してやったりの笑みすら浮かべ
男の妻は 笑顔で手さえ振っていた

1・6 米国議会が襲撃された 最悪の日として歴史に刻まれた
デマゴーグの男は「不正があった」と 根拠のない陰謀説を力説し煽った
ワイルドな集会になるとの予知を放置し 警備は厳戒体制ではなかった
議事堂のドアは 内側から開けられた
「もし黒人差別のデモ参加者だったら、全く違う扱いを受けていただろう」(バイデン)
「メディアをアメリカ人の敵だと呼んだが、誰が本当の敵か、大統領は熟慮するべきだ」(7日CNNキャスター)
「大統領を今日刑務所送りにするべきだ」(7日MSNBCジョー・スカボロー)
暴動後狂気の男は 非難と弾劾を恐れ 円滑な政権移行を認めた
カルトの権化の男は いまも熱烈な支持者に呼びかける
「私に投票してくれた偉大な愛国者たちは、将来にわたって巨大な声を持つ」(トランプ最後のツイート。Twitter社は8日削除しアカウントを永久に停止する)
「任期満了を待たずに辞任すべき57%、事件後の対応を支持しない68%」(8日ロイター通信などが実施した世論調査)

1・6 米国民を守るためあらゆる手段を講じなければならない日となった
去年の2月6日 トランプの一般教書演説が終わった直後に背後で原稿を破り捨てた 
民主党のナンシー・ペロシ下院議長が動いた
米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長に電話した
錯乱したトランプが 核兵器使用に必要な発射コードにアクセスしたり
軍事行動や核ミサイル発射を強行したりする事態を避けるための予防策を協議した
大統領権限の制限に関する議論が 公になるのは異例中の異例だ
権力にしがみつき 狂気の沙汰を平然と繰り返す男である
TwitterやFacebookで政敵を熾烈に攻撃し フェークを流し続けた男である
カオス集団の指導者として 君臨する男である
自身の恩赦を考え 超法的な人間になりたい男である
自爆的にスイッチを押す可能性を察知した協議に 戦慄が走った
映画のワンシーンが 現実となった

1・6 米国の地に落ちた民主主義の再生と国民の分断を是正する日となった
「トランプ王国の崩壊が遅すぎた」(ジョン・ケリー元首席補佐官)
民主党が トリプルブルー(大統領・上院下院過半数)を取った
だがバイデン次期大統領には 厳しい船出となる
強引な議会運営をすれば 新たな火種を生みかねない
人種や宗教 健康(コロナ感染症対策) 文化の対立や貧困・失業などの経済格差
温暖化や環境問題 食料生産や貿易問題 国際問題など置き土産が山積する
火種は 複雑に絡み合い幾重にも分断され 苦渋し昏迷する国となった
人心に寛容と協調を 国是として動かしてゆくのは至難の業だ
やらねばならない
米国大統領としての威信と国民の誇りを取り戻すために

1・11「反乱の扇動」として弾劾訴追決議案が提出されれば不名誉な日となる
「大統領職にとどまれば安全保障や民主主義、合衆国憲法への脅威であることを証明した」(弾劾決議文の草案)
ねらいは 24年大統領選への再出馬を阻止すること
上院で否決されても 退任した後も弾劾裁判が続く可能性がある
そこで 罷免ではなく「有罪」の判断を議会が示すしかない
弾劾裁判で有罪を突きつけ 公職に就く資格を剝奪する
「トランプにトランプ流にさせた結果」の最後の審判
カルト集団に 男の罪状を一つひとつ明らかにして
カルトの呪縛から解き放すことが 議会の役割ともなった

〔2021年1月9日書き下ろし。オウムの様々な事件の首謀者たち信者を想起する。まさにカルト的な状況が一国を二分していることの戦慄である。理ではなくトランプ信仰である〕

付記
米民主、トランプ氏の弾劾決議案提出へ調整 米報道
【ワシントン=中村亮】米下院民主党がトランプ大統領の弾劾決議案を提出する方向で調整していることが8日、明らかになった。複数の米メディアが報じた。トランプ氏が連邦議会議事堂への乱入を扇動して民主主義を攻撃したと判断し、大統領として不適格だとの見方を強めている。(中略)
ペロシ氏は8日の書簡で「抑止の効かない大統領という緊急事態ほど危険なものはない」と指摘した。同日午前に米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長と電話し、トランプ氏が核兵器使用に必要な発射コードにアクセスしたり、核攻撃を命じたりする事態を避けるための予防策を話し合った。AP通信によると、ミリー氏は予防策を講じていると説明したという。(日経2021年1月9日)

米民主、スピード弾劾探る 「トランプ氏は安保脅かす」
今回は下院が異例の速さで弾劾訴追を決議する可能性がある。民主党が11日にも弾劾決議案を提出する方向で調整し、早ければ週半ばにも本会議で採決する案が浮上している。
(中略)通常は司法委員会での公聴会や決議案の審議を経て本会議で弾劾の採決をするが、民主党のナドラー司法委員長は決議案を本会議に直接提出すべきだと主張。議会占拠をめぐるトランプ氏の言動を容易に確認できるため詳細な調査や審議は不要だと考えているようだ。(中略)
罷免には上院(定数100)で出席議員の3分の2以上の賛成が必要になる。上院勢力が拮抗する現状では共和党から最低17人程度の造反が条件で、ハードルは高い。
20日にトランプ氏が退任した後も弾劾裁判が続く可能性もある。その場合、罷免ではなく「有罪」だとの判断を議会として示すことで、大統領選への再出馬を阻止することが目的になりそうだ。トランプ氏は24年の大統領選出馬を検討中とされる。上院は過半数の賛成で、弾劾裁判で有罪となった人物から公職に就く資格を剝奪できる。(日経2021年1月9日)

丑年の年男

辛丑の年が明けた
限られた生の時空に
望み高く子らに夢を託さん
尊き命と暮らしを護るべく
宇宙の悠久な営みの中にいて
自然との賢き共生が試される

7回目の丑年 辛丑
8回目があるかどうかは 未定

でも生きてこられた
たくさんの命を いただいて
たくさんのご恩を いただいて
たくさんのおもいを いただいて
生かされてきた

まだやり残してきたことがある
まだ求められることがある
まだ見届けなければならぬこともある

生きるという欲ならば そうだと言おう
生きたいという欲ならば そうだと言おう
共に生きたいという欲ならば 声を大にしてそうだと言おう

人生のピリオドを どうつけるのか
模索しながら 思考停止される日まで
生かされて 生きる

※干支の辛丑(かのとうし):辛は痛みを伴う幕引きを、丑は殻を破ろうとする命の息吹を意味する。

〔2021年1月7日書き下ろし。コロナ禍の幕引きの年なのか。期待したいのは命の息吹である。子らの未来のために存在するのか否かを自問自答する〕

盛り下がるオリンピック

7日 国内の新型コロナウイルスの感染者
7000人を超え 過去最多となった
7日夕方 東京・神奈川・千葉・埼玉の首都圏4都県に 緊急事態宣言再発出
世界も 感染者8700万人 死者190万人に迫る
ロックダウンを余儀なくされて オリンピックどころじゃない
米国は大統領自らが支持者に陰謀論で扇動し 議事堂が占領され4人死んだ
中国の香港統治など批判することも出来ぬ 自己ファーストの愚弄を続ける

面子で 数兆円の税金がぶっ飛ぶ
オオカミたちは口々に やると豪語する
原発事故の後始末も出来ぬまま
東日本大震災の復興をアピールするとか
コロナの収束を祈念するとか
実態を無視した 歯の浮いた開催宣言

東京の感染拡大を招いている張本人も
全国の感染拡大を招いている張本人も
同じ穴の狢で 口を開けば東京オリンピップ

巷の空気は冷え切って いまさらなんでオリンピック
アスリートの努力を無駄にするなと 説得にかかるが
当の五輪大臣いい気分で 仲間と酔いしれる
ブレーキとアクセルを踏み間違えるのは 車の事故だけじゃない
経済再生大臣何をおっしゃるのか よく理解できません
都民は他県に行かなきゃいいんだろうと 勘違い
周辺の県も同調せざるを得なくなり 今さらながらの対策請願

もうオリンピックの投入税金は ドブに捨てたも同然
予算がどれだけ膨張しても 規制をかけるわけもなく
盛大に振る舞われて 財政破綻は確実に
その象徴に東京オリンピック2020
記憶にも記録にも残る歴史的惨事
お調子者たちが いまもIOCに踊らされる

盛り上がるどころか
国民の健康を論じる前に 重大な禍根を残す 
盛り下がった東京オリンピック
いまコロナ下で 露の如く消えようとしている

〔2021年1月6日書き下ろし。東京オリンピックの開催をIOCに牛耳られ、一致も察知も行かなくて、東京と政府との駆け引き同様、IOCからカネを引き出す算段をしているのか〕

付記
二階幹事長「自民党として五輪の開催促進決議しても良い」
自民党の二階俊博幹事長は5日の役員会後の記者会見で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて今夏に延期された東京五輪・パラリンピックについて、「自民党として開催促進の決議をしても良いくらいに思っている」と述べ、開催に向けて強い意欲を示した。
新型コロナ対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言をめぐるやりとりなどの後、東京五輪・パラリンピックについても聞かれた。二階氏は開催すべきだと考える理由を問われると、「開催しないということのお考えを聞いてみたいぐらいだ」と強調。そのうえで、「スポーツ振興は国民の健康にもつながる。大いに開催できるように努力するのは当然のことだと思っている」と述べた。(朝日新聞2021年1月6日)

棟方梢「めごいべぇ」

ぐずって 泣ぐべが
泣ぎそうなつらっこがら 泣ぎ声ででくるこの一瞬
つらっこくずいでまって 涙っここぼれでくる涙顔
めごいべぇ

でったらなまなぐど にらめっこ
じたっとつらばみでで 泣くべがど思ったこの一瞬
ニコッと まさがのほほえみ返し
めごいべぇ

おいでってへば どんだべがって
ゆったらど両手ば伸ばして 抱がさってきた この一瞬
やわらけぇ かまりっこするつらっこ
めごいべぇ

しゃんじばじぶんでもずって じょっぱりはって
つらっこのまわりさ いっぺつけでまるこの一瞬
すげえべぇって にたっとしたつらっこ 
めごいべぇ

こどばさなねばって 声さだして
あじだって むがへで
こいだべがって思うおもちゃば とってやるこの一瞬
ちがうって あだまばふって不満だつらっこ
めごいべぇ

裸さなって 風呂っこで
湯っこで遊んで いだずらするこの一瞬
にたらっと笑っう あげえつらっこ
めごいべぇ

めごくて めごくて
たんだたんだ めごくて
包み込まいる いのちのあったかさ
めごくて めごくて
たんだたんだ ありがでな
包み込まいる 二人の深ゖ慈しみ

命の限り 一緒に行くべし

(2021年1月7日。共同研究者の青森明の星短期大学棟方梢先生から、出身地の津軽弁で『めんこいしょ』の翻訳が届きました。ちなみに、先生の出身地は青森県五所川原金木町、太宰治の故郷です〕

逃げろ!

関わりたくないあいつ
絡みたくて寄ってくる

処世術
絡まれても 相手にしない
言われても 無視する
SNSは 決して見ない
親に包み隠さず 具体的に話す
いじめてきたら 無言で臑(すね)を蹴り上げる
しつこくきたら 逃げる
でもそうできないから 
ひどく苦しみ ひとりで抱え込んで悩む

どうして 平気で嫌がせをするのか
甘えん坊で 見栄っ張りで格好つけ?
ほんとは ひとりぼっちが嫌なだけ?
構ってもらいたくて あがいているだけ?
なんか嘘っぽい
底意地悪くて 心根が腐ってるだけのこと
理由はどうあれ 弱い者いじめは許せない!
あいつにへつらう子らが いい気にさせて思い上がらせる
知らぬ存ぜぬ 事なかれ主義の教師らも 結果加担する
 
逃げろ! 
助けてって 声を上げて!
迷わず 逃げろ!
思いっきり嫌だって 声上げて!
必死に 逃げろ!
無理して 学校に行かなくてもいい!
無能な教師や悪しき級友たちから 逃げろ!
大切なこころといのちを守るために 逃げろ!

〔2021年1月6日書き下ろし。3学期が始まる。困った子がまた陰で困ったことをしでかす。いじめによる自死と報告された学校では子どものSOSが何度も教師に黙殺される。いつも不思議に思うのは、自分は大丈夫と裏付けのない自信過剰の教師の存在である〕

付記
いじめSOSを教員が何度も黙殺 加古川・中2自殺、非公開報告書の全容判明
兵庫県の加古川市立中2年の女子生徒が2016年にいじめを苦に自殺した問題で、生徒のSOSやいじめの兆候を学校の教員が何度も黙殺し、対応を怠っていた実態が明らかになった。共同通信が4日までに入手した、非公開部分を含む第三者委員会の報告書全文に記載されていた。
17年12月作成の報告書の非公開部分によると、いじめの始まりは小学5年。女子生徒が嫌がるあだ名が付けられ、無視が始まった。15年に入学した中学でもあだ名は浸透。クラスのムードメーカーが無視や悪口を率先し、他の生徒も逆らえなかった。3学期にはあからさまに無視され、「ミジンコ以下」と書かれた紙を渡された。
部活動でも陰口や仲間外れが並行。生徒は同11月、母親に「部活をやめたい」と訴えた。いじめを把握したはずの顧問らは部員同士のトラブルとして片付けた。16年4月、2年生になりクラスが替わっても、いじめは続いた。生徒は孤立を深め、夏休み明けの9月、命を絶った。担任に提出するノートに1年の3学期ごろから「しんどい」「だるい」との記述を繰り返したが、1、2年時の担任はいずれも「部活や勉強についてだと思った」といじめとの認識を否定した。16年6月のアンケートで生徒は「陰口を言われている」「無視される」などの質問に「あてはまる」と回答した。「のびのびと生きている」「生活が楽しい」には「あてはまらない」と答え、判定結果は「要支援領域」だった。最も注意を要するとの警告を担任は保護者に明かさず、三者面談では提出物の遅れを指摘しただけだった。
報告書は「いじめは明白だったにもかかわらず、見過ごされた」と認定。市教育委員会は「関係者への配慮」を理由にいじめの内容や経過を非公開とし、「学校が対応すれば自殺は防げた」など指摘の一部を公開するにとどまっていた。学校の対応を巡っては、生徒の部活動で顧問らがいじめの存在を示すメモをシュレッダーにかけ、第三者委に破棄したことを明かさなかった問題も判明。遺族は昨年9月、損害賠償を求め市を提訴している。
遺族の代理人弁護士によると、遺族は当時の担任や顧問らに聞き取りを重ねてきた。その上で、市教委がいじめの事実に向き合っていないという不信感があり、第三者委の調査で分かっていない部分が明らかになることも求めて、やむなく提訴に踏み切ったという。(2021年1月4日神戸新聞NEXT)

大地の子

きみは 愛くるしい魂の塊だった
生まれ出ずる時 人はみな歓喜に涙した
宇宙の閃(ひらめ)きの一瞬に生きる
奇跡のいのちが 大地に生まれた

地球は緑を失い 赤茶けた荒野が広がっていた
多くの人は 飢餓と戦火に苦しんでいた
生まれても 声もなく絶えていった
人の心は荒(すさ)み 略奪と殺戮の修羅場と化していた

きみは 強い意思を持って大地に立った
特別な力を備えているわけではない
奇跡を起こすわけでもなかった
ただ人の心に 何かが沁み渡っていくのだった

きみが生まれたときの歓喜は
誕生を待ち望んだ人たちからの贈り物
きみを愛しいと思う人が 集まっていた
みんな絶望の中にいたけれど 
きみの誕生で 何かを感じ心が動いていった
きみは 大地の子に育てられていった

きみが命じることはなかった
武器をツルハシとスコップに替え 乾いた地に水路を掘った 
流れ出た水が荒野に放たれ その地に木を植えた
乾いた地に再び緑が甦り 収穫を手にした時
怒涛のように響き渡る歓声を上げた
きみは ただ微笑んで見ているだけだった

大地の子は 希望そのものだった
地上のどこにでもいる子だった
誰だって子どもは 大地の子だった
飢餓や貧困や差別や暴力や犯罪や略奪や弾圧や環境汚染や病魔や内戦やテロや戦争
どんなに悲惨な時代でも どんなに圧政にもがき苦しんでも
どこかで大地の子が微笑み 勇気と希望の兆しをもたらす

大地の子が生まれる限り 人はきっと立ち直ることができる
大地の子が微笑む限り 人はいつでもしたたかに生きることができる
大地の子を抱きしめる限り 人はこれからもしなやかに生きることができる

大地の子の奇跡は それを信じる人にしか起こすことはできない
大地の子の存在は 奇跡のいのちを生きるわたしそのものである

〔2021年1月5日書き下ろし。大地の子。奇跡のいのちを生きる一人ひとりの名称。存在そのものが希望にならなくてはいけない。中村哲氏を追悼する〕

お利口さん

雪だるまさんみたいに なっちゃたわね
でもお外は寒いから これでよし
マスク 可愛いお鼻さんが出ています
そうそう それでよし

保育園でも お利口さんできるかな
「うん」
もう少しで お姉ちゃんになるんだもんね
「いってきま~す」 
「いってらっしゃ~い」

「ただいま~」
「おかえり~」
今日も元気でお友だちと遊んだ?
誰もお休みしてなかったの
良かったね
明日もまた 元気にお友だちと遊ぼうね
手洗いとうがい もうしゃちゃった
お利口さん

今夜はハンバーグで~す
小さなお手てを合わせて「いただきます」
おいしい? 
そう たくさん食べて大きくなって
「ママよりも ずっとずうっ~と こ~んなに大きくなるの」
ペロリと食べちゃったわね お利口さん
口のまわりをソーズで飾って「ごちそうさまでした」

テレワークなど 夢の夢
エッセンシャルワーカーのパパは 今夜も残業です
こんなにステキな時間は 持てないのです
二人でお風呂に入るのも 当分叶いません

さあ 歯磨きしましょ
自分ことするの 上手になってきたわね
仕上げはママよ
奥歯から 上も下もシュシュシュ
今度は反対 シュシュシュ
可愛い前歯を シュシュシュ
ブクブクうがいで お~しまい!

今日も元気でお利口さんだったわね
明日も元気にお利口さんになってね
おやすみなさい
「おやすみ」
夜中に髭面のほっぺをつけて
パパが「おやすみ」をしていきました
お利口さんに疲れて 
夢を見ることもなかったようです

〔2021年1月5日書き下ろし。毎日お利口さんたちが保育所に通います。家族も保育士たちも命と健康を護ります。お利口さんの元気と明るい挨拶が励みになります〕

逆なでする

神経にさわる あいつの態度
人を人とも思わない 横柄なあいつ
人を顎で使う 不遜なあいつ

神経にさわる あいつのことば
人の意を介さない 侮蔑するあいつ
人を嘲笑うように 軽蔑するあいつ

神経にさわる あいつの生き方
唯我独尊気取りの 自惚(うぬぼ)れたあいつ
常識も無視する 恥知らずのあいつ  

神経にさわる あいつの嘘
事実を曲げて 虚言を吐くあいつ
扇動し歓喜する 得意顔のあいつ

逆なでされたこころは 癒やされず
ひたすら堪えることを 求められる

〔2021年1月3日書き下ろし。平気で逆なでする権力者は救いようがない。それに同調する者たちが一番怖い〕