「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

保坂美保子「めんけなぁ」

ぐずめで べっちょかいで
なぎべっちょかいで はちけるときのこの一瞬
つらっこくずして こぼれてくる涙のつらっこ
めんけなぁ

まんまるっこい目ど にらめっこ
ジッとつらっこ見てて あや なぐべがと思ったこの一瞬
ニコッと まさがのほほえみ返し
めんこいすべ

「こ」ってへば どしたもんだべがって
ゆ~っくり両方の手っこ伸ばして 抱がさってきたこの一瞬
やわらけえ かまりっこのするつらっこ
めんけなぁ

匙(しゃじ)自分でたなぐどって じょっぱって
口のまわりさ いっぺちらがすこの一瞬
おらもでぎるんでと にったり
めんこいすべ

ことばではねんども 声っこだして
指さすほうを みれってしゃべる
これだが?って おもちゃっこやるこの一瞬
んでねんでねって 首っこふってふぐれっつら
めんけなぁ

はだがっこで 湯船さはいって
湯のながで遊んで いたずらっこするこの一瞬
ほれがおもしぇどってわらって 赤(あげ)ぇつらっこして
めんこいすべ

めんけくて めんけくて
たんだたんだ めんけくて
包み込まれる いのちのぬぐもり
めんこいすべ めんこいすべ
ただたんだ ありがでぇ
包み込む 二人の深い慈しみ

いのちのあるかぎり 共に歩いていぐべし

〔2020年12月26日。秋田県大館市比内町在住の保坂美保子さん(一般財団法人大館市文教振興事業団大館市立栗盛記念図書館館長)が「めんこいしょ」(2019年9月14日に掲載)を地元の言葉で訳してくれた第一弾。郷土の言葉が紡がれ人は優しくなれる。これから「鳥居一頼の世語り」をプラットホームにして続々と各地の言葉で綴っていただきます〕 

いまを一緒に考えたい

著名な詩人たちの現代詩を 鑑賞することは苦手だった
難解な詩文を 読解するには素養があまりにも乏しかった
芸術まで高まった詩文は すでに崇高なものでしかなかった

書き続ける散文詩は 身の程をわきまえた作風
いまの暮らしの ひとつの私的な記録
時代の狭間で のたうち回る悲哀や
平凡な暮らしに訪れる 一時(いっとき)の平安の代弁
心疼(うず)く社会問題や凄惨な事件と人への 強い憤り
不条理で不正義がまかり通る 諦めへのいたたまれない警鐘
次世代に詫びを入れながら 託す小さな希望

いまの暮らしを綴る 一つの試行
詩作は 言葉の力を信じて描く
表現が平易なのは 〈わかる〉への第一条件
共感や反発で 心を動かす
上手下手の 優劣評価の枠外
ただ下心が働けば 修辞に走り無味となる

時代に翻弄されながらも 
必死に生きようとする人間群像を 一人でも多く描きたい
理不尽な生き方を強要される子どもたちを 一人でも多く救いたい
民主主義を形骸化する政治や政治家に 一人でも強く反発したい
人として当たり前に生きる福祉を担う人たちを 一人でも熱く支えたい  

タイムアウトまでの 限られた人生時間
散文詩の短いフレーズの中に 心をこめたい
言葉の力を借りて ことの本質を突きたい
散文詩を介して あなたといまを一緒に考えたい

※修辞(しゅうじ):言葉を効果的に使って、適切に表現すること。また,美しく巧みな言葉で飾って表現すること。また,その技術。

〔2020年12月25日書き下ろし。イブの夜、娘を送る車中で、父親として何を残してゆくのか、その一つに「世語り」の詩を書き続ける意味を語った〕

噛みしめる

この1年の時の流れの中で
生きた実感を 静かに噛みしめたい

新型コロナウイルス(COVID-19)が世界を席巻した
感染者は8000万人に迫り 死者は170万人を超えた
日本でも いまだ収まる気配もなく
感染者20万人を超え 死者は3000人に迫る
北海道は 10月以降急激に感染拡大し
感染者1万2500人 死者は400人を超えた
札幌や旭川だけではなく 道内各地で
多くの病院・福祉施設・学校で クラスターが発生した
懸命な治療も及ばず 多くの人が家族にすら看取られず旅立った

コロナの重篤患者だけではなく 救急医療態勢も逼迫している
国はベッドを用意したと安心を煽るが 肝心の支える人手が足りない
医師や看護師に ボーナスを手当てする財源も心許なく 
病院経営そのものが 限界域に達する事態も起こっている
リスクが高い勤務から リタイヤする医療者も出ている
使命感を煽り 献身を称えるだけでは すでに限界にきている
疲労困憊の現場は 医師も看護師も日々命がけでコロナと闘う
日本医師会は 医療の緊急事態を宣言する

福祉施設職員も 3密など回避できぬ環境の中 
日々心のこもったケアに専念する
罹患者が出れば 一気に感染拡大し緊急事態に陥る
家族への感染を恐れ 帰宅できない事態も生じる
命がけで 献身的に介護する人たちの姿が 目に焼き付く
ワクチン接種の日まで 歯を食いしばり
利用者の命と暮らしを 必死に守る

夏にGOTOトラベルを 全国に展開した
コロナへの警戒心を緩め 往来がウイルスを拡散させた
優柔不断な指導者たちは 大きな判断ミスを冒す
科学的根拠の乏しいコロナ対策と経済政策の失敗
そのツケを 多くの者たちが払わされた
稼ぎ時を失った飲食店の閉店が 年の瀬の繁華街を象徴する
観光振興政策に振り回されて 税金のばら撒きも中断し 経済は一気に冷えこむ
関連産業の倒産や経営不振から 多くの失業者が放り出され途方に暮れる
苦しみと貧しさの連鎖は 悔しさを噛みしめながら年を越す 

自民党は 前首相の桜問題や前農林大臣収賄事件で 火消しに忙しい
「法律を守って行動するという思いを、党のメンバー全員でかみしめることが重要だ」(世耕弘成参院幹事長会見談話)
彼らの噛みしめるのは そこか
どんなものを どれだけ噛んで 蜜の味を味わってきたものか
いまさら 何をどう噛みしめるというのだろうか
おもいだけでいいのなら 噛みしめるポーズだけのことだろう
噛みしめるその意味すら 薄っぺらな言葉の綾(あや)
往生際の悪い者たちが その椅子の座り心地を噛みしめる

コロナ禍に生きる 貧しく弱き者たち
歯ぎしりの音が 聞こえてくる 
悔しくて 悔しくて
辛くて 辛くて
どうしょうもなく やりきれなさに心潰れ
目をかたくつぶり 強く歯を食いしばる
噛みしめるのは 不運か 失政か

この1年の時の流れの中で
噛みしめなければならないのは
無策な指導者集団しかいない 日本の政治と政治家への不信
自己保身を心配する者たちの 市井の噛みしめる思いとの落差
強く噛みしめなければならないのは
真の民主主義社会の形成と正義の実現
そして 仁政の追求ではないか

地団駄を踏む足音が どこともなく聞こえてきた

〔2020年12月23日書き下ろし。噛みしめる意味も支配層には言葉の綾でしかない。なんの期待も信望も起こらない〕

付記
全国で3248人感染、最多を更新 東京は過去2番目
新型コロナウイルスの国内の感染者数は23日午後6時半時点で、3248人となり、過去最多を更新した。これまでの最多は12月17日の3209人(修正値)だった。
東京都では新たに748人確認した。17日の821人(修正値)に次ぐ過去2番目の多さで、水曜日としては過去最多。大阪府では23日、新たに313人の感染が確認された。1日あたりの感染者が300人を上回るのは4日ぶり。(朝日新聞社2020年12月23日)

裏切られた男

騙されたんです
私には何の罪もありません
一国の首相は たかが秘書に騙される程度の国だった

騙された方が悪いんですか
私には何の罪もありません
国会で確かめもせず 秘書の口車に乗っただけです

騙す方が悪いですよね
私が指示なんか するわけありません 
国会で嘘の答弁なんか するわけありません

「事務所は関与していない」
「明細書は無い」
「差額は補塡していない」
118回も繰り返し答弁していたなんて嘘でしょ!

国民を欺くなど どうしてできましょう
地元を大事にしたことは みんながしてることです
私が関わっていたなら 国会議員辞めます

日本の総理大臣だった男に 泥を塗りやがって
なんでこんな失態を しでかしたんだ
ホテルの明細書も ANA(3月)のとき潰したんだろう
隠し通せるから大丈夫と 太鼓判を押しただろう
検察には知らぬ存ぜぬで通すから 口裏合わせておけ
責任は取ってもらうぞ いいな
覚悟して始末せよ
こんな舞台裏 あったかなかったか 想像に任せよう

長州人として生き恥をさらし 実績を台無しにしたお方
信用していた者に裏切られた どうしょうもないお方
信頼という名に 決して値しないお方
忖度する者たちに責任転嫁は 得意のお方
嘘を嘘で固めて 真に見せる話術に長けたお方
逃げ恥は恥とも思わぬ 厚顔無恥なお方
不起訴処分を御旗に 国を牛耳ようとするお方

あなたの不誠実さを 反面教師として子どもに伝えます
あなたに3度目の道は 口害により行き止まりになりました 
あなたを教訓にして 騙されぬよう賢く振る舞います

そもそも 偽り続けたお人が
よもや認めるなんてこと するはずないでしょ!

〔2020年12月22日書き下ろし。地元の後援会が一番恥ずかしく思っていることだろう。吉田松陰や高杉晋作の歯ぎしりが聞こえてくるようだ〕

付記
安倍氏聴取「長州人として恥ずかしい」 地元も厳しい目
「桜を見る会」前日の夕食会の費用負担をめぐり、安倍晋三前首相が東京地検特捜部から聴取を受けた。首相経験者が捜査機関から事情聴取される異例の事態。「真実を語るべきだ」。地元・山口の長年の支持者らも、安倍氏を厳しい目で見つめる。(中略)
2017、18年に「桜を見る会」と夕食会に出た80代の男性支持者は、「秘書に任せていて知らなかったでは通らない」と安倍氏の責任を指摘する。国会での答弁が事実に反していたことには「トップとして事務所やホテル側にきちんと確認すれば分かること。そうせずに虚偽答弁を続けたのはおかしい」と疑問をぶつけた。
夕食会は会費5千円にしては十分な料理でもなく、安倍氏側からの補塡(ほてん)は予想しなかったという。「補塡したお金の原資が知りたい。後ろめたいことがあるから隠そうとしたのではと思ってしまう」。そしてこう付け加えた。「官房長官として安倍さんを支えた菅首相にも責任はある」(中略)
幕末の志士、高杉晋作の墓所として知られる市郊外の「東行庵(とうぎょうあん)」。境内には首相時代に安倍氏が銘板を揮毫(きごう)した高杉の銅像がある。近くの70代男性は捜査対象となった安倍氏について「長州人として極めて恥ずかしい」と嘆いた。(中略)
安倍氏自身は不起訴処分となる公算が大きい。「政治家に責任が及ばないのは許されない。秘書への監督責任もあるはずだ」と指摘し、国会の証人喚問に応じるよう求めた。(朝日新聞2020年12月22日)

不変可変

変わらぬもの
政治家の性根
変わるもの
政治家の信念

変わらぬもの
政治家の変節
変わるもの
政治家の支持率

変わらぬもの
政治家の跡継ぎ
変わるもの
政治家の品質

変わらぬもの
政治家の言葉の軽さ
変わるもの
政治家の言葉の信用

変わらぬもの
政治家の保身
変わるもの
政治家の落選

※政治家は「せいじや」とお読みください。

〔2020年12月21日書き下ろし。札幌市東区選挙区の吉川さんは、早々に息子を後継者にして選挙に打って出るだろう。辞めても影響力を残すのが政治家。安倍さんも知らぬ存ぜぬで秘書が罪を被り、お咎めなしの無罪放免。快気祝いの一席を夜な夜な設けることだろう。桜を見納め3選目指して奮起する予想が怖い〕

付記
「桜」不記載額5千万円超疑い 弁護士ら新たな告発状提出
安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の費用補填問題を告発した弁護士らが21日、東京都内で記者会見し、安倍氏側が政治資金収支報告書に記載しなかった額は計約5600万円に上る疑いがあるとする新たな告発状を東京地検に提出したと明らかにした。
会見したのは、2018年分の夕食会の補填分を巡り5月に告発状を出した泉沢章弁護士ら。今回は15~19年分を対象とし、泉沢弁護士は「補填は一切ないという安倍氏の国会答弁は虚偽だったことが明確になった。幕引きを許すべきではない」と話した。(共同通信社2020年12月21日)

吉川貴盛元農水相が議員辞職を表明 鶏卵業者から現金提供疑惑で
自民党の吉川貴盛元農水相=衆院道2区=は、鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループ元代表による自身への現金提供疑惑の責任を取り、議員辞職することを決めた。吉川氏が21日、自らの事務所を通じ発表した。(北海道新聞2020年12月21日)

貧すれば鈍する

こころ貧しければ 貪欲となる
貧しいがゆえに 品性も劣る
貧しければ 妬み嫉みが強くなる
貧しいがゆえに 純粋を憎む

こころ卑しければ カネに汚くなる
卑しいがゆえに 下品この上ない
卑しければ 邪悪に惹かれる
卑しいがゆえに 不正を好む

こころ冷たければ カネで始末をつける
冷たいがゆえに 道理を学ばず   
冷たければ 残酷になれる
冷たいがゆえに 情愛に飢える

こころ虚しければ 世に居場所なし
虚しいがゆえに 弱き者に怒りをぶつける
虚しければ 信じるはカネのみ
虚しいがゆえに 孤独を友とする

こころなければ 人にあらず
なきゆえに 無慈悲にふるまう
なければ 暴力も厭(いと)わず
なきゆえに 空っぽの闇に漂う

※貧すれば鈍する(ひんすればどんする):貧乏すると世俗的な苦労が多いので、才知がにぶったり、品性が下落したりすること。

〔2020年12月21日書き下ろし。エリートたちが証拠にもなく、世に憚ることを恥じることなくおやりになる。貧乏人を貶めるそのこころは?〕

我感知せず

雑用にかまけて 忙しいから
子どものことは おかまいなく

学習指導こそ 本分なれば
生徒指導は おかまいなく

家庭にこそ 問題あるゆえ
学校のことは おかまいなく

子どもに 少々てこずるけれど 
指導のことは おかまいなく

不登校の子の行けない理由
教師とうまくいかない頼れない 38%
学校の不登校の要因の回答
教職員との関係をめぐる問題 2・5%

学校があげる不登校の要因
家庭の状況30・9%
いじめ以外の友人関係 30・1%
学業の不振 24%

かまいたくなるこのデータ
信頼関係が築けないと子どもは悩み
教師は問題ないと突き放す

子どもは思い悩んでいる
なぜ学校に行かねばならないのか
家庭にも友人関係にも そして教師との不和も

教師は真剣に取り組んでいる 
自分が原因とは思いもつかない 鈍感力を磨く
我関知せずの距離を取りつつ とりなす態度を養う 

子どもと教師の断絶
教師の感知できぬ資質に因あらば
このギャップは 決して埋まることはない
雑用という名の下に 疎(いと)まれる子ども
指導という名の下に 怯(ふる)える子ども
学校という名の下に 守られる教師たち

〔2020年12月20日書き下ろし。「平成30年文部科学省調査・学校家庭調査関連」から浮かび上がった不登校に関わる要因は、子どもと教師の鮮やかな断絶である〕

去る人たち

それぞれが 不満を口にした
申し出をしても 応じられなかった
日々モチベーションは 下がっていった

サボタージュもどきで 抵抗を試みた
対応は 何も変わらなかった
日々笑いが消え いかつい表情に変わっていった

思いのあるひとにも 伝染し始めた
煽っていると 露骨に中傷もされた
日々空気が冷たくなり 堪(たま)らなくていった

そう仕向けられたと 分かってはいた
悪意のある仕打ちに 心折れそうだった
日々耐えながら 意地になって仕事を続けた

心がどんどん離れて 辞めざるをえなくなった
10年勤めた5人の仲間は 潮時を計った
日々その場しのぎとなり 潮時を知った

優秀な人材を腐らせ 辞めさせた
去った者たちに 全ての原因を負わせた
不満分子の追い出しに 成功した

能力が高いことが うとましかった
発言力を増すことが 許せなかった
逆らう者への 見せしめだった

見下したやり口に 身を縮めた
口をふさぎ 嵐の収まるのを待つしかなかった
切磋琢磨する過去の風土は 崩れてしまった

春が来て 風向きが変わってきた
上司の理不尽な言動が 露わにされた
首を切られた

次にその席に座った者は
マイナスから 経営の再建に挑む
取り戻さねばならぬのは 人心しかない

〔2020年12月16日書き下ろし。どこの職場でも政界でも起こっている問題を提起した。責任者や指導者の力量が常に試されている〕

誤解活用法の誤解

誤解を招く
誰も誤解することなく 真摯に事実を受けとめているだけのこと
悪さしたときの常套句で 相手に責任を負わすこと
卑劣な態度を隠すのに 適切で使い勝手がよいということ
日本語の誤活用で 自己正当化を促す詭弁でしかないこと

誤解を生じる
相互の会話の中で 言葉による受け止め方の違いのこと
理解の行き違いが生まれたことによる 真意の不一致のこと
不誠実な言動で生まれてきた 偉い人には不都合なこと
言葉足らずと釈明し正当化する 偉い人の暴言がまかり通ること

誤解が誤解を生む
誤解と認識しないで さらなるミスを重ねること
誤解を放置した コミュニケーションの不具合のこと
誤解を棚に上げて 言い分をごり押しすること
誤解と理解した上で 相手が不信を深めること

誤解で墓穴を掘る
多くの失敗例から学ぶことが出来ない 無能さをさらすこと
誤解と弁解した瞬間 嘘つきだってバレバレになってしまうこと
やったことを素直に認めて ごめんで済む話を複雑にすること
被害者然として語る態度に 不信と不快しか湧かないこと 

そもそも 誤解させぬよう
正しく日本語を使おう!

※誤解というのはある事実について、間違った理解や解釈をすること。相手の言葉などの意味を取り違えること。

〔2020年12月19日書き下ろし。ネットは、匿名だけに誹謗中傷の怖さはもとより、事実をねじ曲げようとすれば、過敏に反応し突っ込む〕

付記
菅首相「国民の誤解を招く」発言にネット総ツッコミ
菅義偉首相が大人数で会食していた問題について「国民の誤解を招くという意味においては、真摯(しんし)に反省している」と述べ、ネット上では各方面からツッコミが相次いだ。
菅首相は「Go Toトラベル」の全国一斉停止を発表した後の14日夜、自民党の二階俊博幹事長や芸能人らとステーキ会食したことに批判が出ている問題について、16日に官邸で取材に応じ「国民の誤解を招くという意味においては、真摯に反省している」と述べた。
この“誤解”発言に、立憲民主党の蓮舫代表代行はツイッターで「いやいや。国民は『誤解』していません。『国のトップとしておかしい』と率直に思っているだけです」と指摘。作家の平野啓一郎氏は「何か『誤解』したっけ?」と疑問を呈し、タレントの松尾貴史は「誤解を招いた! ハッ! 誤解を招いた! ハッ! 国民が何を誤解したのか。誤ったのは自分で、国民は、が『正解』していたのでしょう?」とツッコミを入れた。(日刊スポーツ2020年12月17日)

こころにトゲ

こころがささくれてくる 気持ち悪さは
いったいどこから 生まれてきたのだろうか

こころのやりどころを失った 気持ち悪さは
いったいどこに 行こうとしているのだろうか

こころにわだかまりを残す 気持ち悪さは
いったいどこまで 続いていくのだろうか

こころにトゲは刺さったままで
痛みは ただ増してゆくだけ
こころのトゲを抜こうとしても
意のままにならず 不快なだけ
こころにトゲがある限り
気持ち悪さは つのるだけ

小事ばかりで政治ビジョンなき指導者 
国民に丁寧な説明を拒む指導者
マスコミに忖度求める非力な指導者
党内に基盤の持たない脆弱な指導者
難局に決断をびびる指導者
支持率急降下に慌てふためく指導者
150日の通常国会に真価が問われる指導者

こころのトゲの正体は 小心者の失政
こころのトゲの伝播は 小心者の限界
こころのトゲの解消は 小心者の退陣

ただ 次のトゲがご丁寧に用意されてくる
拒むことの出来ない 身震いする気持ち悪さは
やむことなく続き いつの日か恐怖心に変わる

〔2020年12月15日書き下ろし。遅すぎたGOTOトラベル全面停止。思惑は崩れ、自らの支持基盤にも亀裂が入る。政権運営を危うくし、多くの犠牲をまたも強いる〕

付記
コロナ・GoToで逆風=党重視、調整役不在―菅政権3カ月
菅義偉首相は16日、就任から3カ月を迎えた。発足当初の内閣支持率は6~7割台と順調な滑り出しだったが、新型コロナウイルスの感染再拡大を止められず、看板政策「GoToトラベル」は年末年始の一時停止に追い込まれた。「政治とカネ」の問題も相まって内閣支持率は急落。官僚ににらみを利かせる政治手法の副作用も指摘されている。
「日々の感染者が3千人を超える中、年末年始に集中的な対策を取るべきだと考え、いったん停止を決断した。これ以上の感染を食い止めることに全力を挙げたい」。首相は15日の自民党役員会で、トラベル停止の判断に党側の理解を求めた。
派閥に属さず党内基盤が弱い首相の後ろ盾となっているのは二階派だ。14日のトラベル停止決定も事前に二階俊博幹事長には伝えた。安倍政権が全国一斉の休校要請などのコロナ対応で与党への十分な説明がなかったことを教訓にしているのは明らかだ。
トラベル停止について、首相は11日のインターネット番組で「まだ考えていない」と否定した。ただ、首相周辺によると、年末年始に限って止める選択肢は、東京都での感染者が初めて6百人に迫りつつあった9日ごろから内々に検討していたという。
首相の方針転換に自民党幹部は14日夜、強い不満を漏らしつつも渋々容認した。別の幹部は「観光・運輸業界に影響力がある二階氏が了解を出したのだろう。二階氏はGoToを絶対に止めるなと言っていたのだが」と解説した。安倍政権時代の「官邸1強」から「党高政低」への力学変化が浮き彫りとなっている。
ただ、書き入れ時となる年末年始の停止によって、宿泊業者や飲食店に一層の打撃となりそうだ。今回の対応で感染を抑制できるかも見通せない。政府関係者は「トラベル停止で支持率は戻らない。全国停止の効果がなければ、また批判が出る」と危惧する。
人事権を武器に官僚を掌握しているとされる首相の政治手法の限界を指摘する向きもある。同党中堅は「首相に物を言える官僚が周囲にいない。首相の方針を否定するようなことを言えば更迭されると思うから何も言えない。腹心もいない」と語る。本来調整役となるべき官房長官が「機能していない」との声も多く、先の高齢者医療費負担の問題が長期化したことが如実にそれを示した。
政権運営の不安材料はほかにもある。鶏卵業者から金銭を受け取った疑いがある吉川貴盛元農林水産相と西川公也前内閣官房参与(元農水相)は首相に近い。捜査の行方次第で政権への打撃は避けられず、次期衆院選へ党のイメージダウンになり得る。安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の疑惑再燃も含め、野党の攻勢にさらされそうだ。(共同通信2020年12月16日)