「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

人を巻き込む

事を為すには ひとりでは出来ぬ
だから 人を巻き込む

事に当たって 助っ人を探す
よって 巻き込むしかない

求める理由をはっきりさせて
相手との合意をはかる
巻き込まれていく序章が始まる

利害関係の一致点を見つけて
相手を乗せる
巻き込まれたとの意識はまだ薄い

互いの立場を調整しながら
相手を引き込む
巻き込まれたと気づきだす

ズレたときには説得しながら
相手を立てる
巻き込まれてると感じ出す

事の大事を言い切って
相手に迫る
巻き込まれるのをよしとする

巻き込まむことで
立場の違いや考え方の違いを
乗り越える努力が始まる

巻き込むことで
互いに持てる力を引き出して
事は成就に向かい動き出す

巻き込むことは
信頼を築く過程そのもの
事を達成するのは 共働の喜びしかない

ミッションの実現を目指して
人を巻き込む能力を
マネージメントともいう

〔2020年11月15日書き下ろし。マネージメント力は、どんな組織でも試される。明確なミッションが提示されなければ、人はその能力を発揮できない〕

札幌はステージ4に

コロナの第3波は 全道一円に猛威を振るう
16日 感染者の100人超えは12日連続となった
毎日新たなクラスターが発生し メディアは危機感を煽る
札幌市の感染状況は ステージ4に相当した

17日「感染リスクが回避できない場合」と曖昧な表現で
札幌市内の外出自粛や市とその他の地域の往来の自粛を
秋元克広市長と鈴木直道知事は 市民と道民に要請する

人の動きを抑えつつ
人の移動を促す「GoToトラベル」は継続
なんのことやら 何をどこまで自粛するのか
さっぱりわからぬ

病院のクラスターが多く発生している
インフルエンザが流行すれば
通院も診察も感染リスクは高くなる
医療の逼迫したサインは出ている
飲食を伴う店の酒の提供時間を制限しても
「 GoToイート」の購入には大勢が並ぶ
経済を回したい思惑と外出自粛がバッティングする
煮え切らない政策に 2月の知事の潔さは消滅した 
さらに11月中に抑え込むと言い放つ
根拠の薄い無為無策のアドバルーン
要は道民よ いままで通り自分で判断して
罹らぬよう移さぬよう 心して暮らしなさい
自己責任だと それだけはハッキリと聞こえてきた

16日午後から会議があった
地下鉄大通駅で 帰宅の電車を待った
コロナ感染予防を啓発する アナウンスが流れていた
電車の中は 女子高生3人がはしゃいでいた
見慣れた風景が 妙に浮いていた
乗客は ただ黙って乗り降りする
自粛できない市民は リスクに晒されながら
自己防御して 今日一日の無事を祈る

帰宅して TVニュースを見た
東京オリンピックの開催は コロナに打ち勝った証
鼻息荒い 管首相の言葉に 
砂上の楼閣に過ぎないと 笑うしかなかった

〔2020年11月17日書き下ろし。自粛の判断を個々に丸投げするしかないのか。「GoToトラベル」の継続について西村大臣のコメントが全てだ〕

付記
外出・往来自粛要請へ 知事・市長会談 札幌、感染回避困難なら
道内の新型コロナウイルス感染者の急増を受けて、鈴木直道知事と札幌市の秋元克広市長は16日に道庁内で会談し、札幌市民に対して不要不急の外出自粛を要請することで合意した。札幌市外の道民には、札幌との不要不急の往来自粛を求める。いずれも「感染リスクを回避できない場合」との条件付きで、感染対策をした上での行動は容認する方針。専門家らの意見を聞いた上で、17日の感染症対策本部会議で正式決定する。
会談は冒頭を除いて非公開で、約30分行われた。秋元市長は冒頭、「このままだと市民に適切な医療を提供できなくなる」との懸念を強調。知事は「道内全体への感染拡大を食い止める瀬戸際だ」と述べ、対策を強化する考えを示した。
知事は会談後記者団に対し、感染対策の基準となる道独自の警戒ステージについて、同市内に限定してステージを「4」相当に強化する考えを表明。札幌の繁華街ススキノの酒類を提供する飲食店などに営業時間短縮を要請しているものの、十分な効果が上がっていないためだ。自粛を求める期間は27日までをめどに調整している。(北海道新聞2020年11月17日)

融通無碍でありたい

事に当たって 融通無碍でありたい
力量のなさが 暴露される
裁量のなさが 露見する
 
事を起こすに 融通無碍の態度を貫きたい
才覚のなさが 思慮を阻(はば)む
度量のなさが 同意を拒む

事を解くに 融通無碍で対処したい
学識の乏しさが 無知を証(あか)す
経験の未熟さが 無能を悟らせる 

事を治めるに 融通無碍で臨みたい
世間の縛りが 思考の自由を奪う
古き因習が 改革の邪魔立てする

何事にも 融通無碍でありたい
己の能力を過信して
横たわるハードルの高さと強さに
押し返されてもなお 生きながらえる

融通無碍になれない 己の現実と向き合う
そこに 確かな成長の兆しを感じていた
そこに 生きている実感を味わっていた
そこに 自分らしさを見つけていた

融通無碍でありたい
そう願いながら
愉快に生きるしか 道はない

※融通無碍(ゆうずうむげ):一定の考え方にとらわれることなく、どんな事態にも滞りなく対応できること。何ものにもとらわれることなく自由である・ことやそのさま。

〔2020年11月15日書き下ろし。己を知るということは、どんな生き方を求めるかで大きく視点が違ってくる。まだまだ未熟者あることを知らされる〕

進化した暗殺者

13日夜 国内で新型コロナウイルスの感染者数は1687人
12日の1634人を上回り 2日連続で過去最多を更新
各地で感染者数の増加に歯止めがかからない状況が続く
道内では 新たに235人が感染
日別の感染者が 200人台となるのは9・12日に続いて3度目
道内の感染者は累計5032人 死者は123人を数えた

札幌市133人 石狩36人 空知16人 後志10人 
上川6人 留萌1人 宗谷6人 渡島1人 檜山1人
胆振6人 十勝8人 釧路4人  
その他 神奈川県・兵庫県各1人 非公表5人

今日は 14管内中11管内だが 全道にまん延している
特養ホームや高校・大学など 次々とクラスターが発生する
札幌のススキノエリアにシフトした規制は 時すでに遅し
行政の後手後手の対策は 市内感染を見事に拡大させた
GOTOトラベルの東京解除以降 道内外の移動が活発になった
観光を中心に経済活動も 活発になった
道民の感染予防意識は緩み 飲食も移動も警戒心が徐々に薄れた
寒くなるにつれ 感染が拡がる予想はすでになされていた
いまの状況が いつまで続くのか全く予見できない
治療病棟の満床や 軽症者の収容ホテルの不足など
このままでは 医療逼迫(ひっぱく)の危機も懸念される

札幌市内のインフルエンザワクチンも 底をついた
ワクチンを探して 病院への問い合わせも終盤模様
在庫がなくなり次第 今年の接種を終了する
次の入荷の目処は 全く立っていない
エッセンシャルワーカーなど 
接種しなければならない人たちが漏れれば
社会不安も 否応なしに増してくるだろう

第1次・第2次流行時とは 全く違う異常事態
コロナウイルスの変異に一因するとも指摘され
ウイルスは 進化した暗殺者に変わってゆく
13日世界の感染者の累計は5255万6751人
死者は129万427人
12日世界の死者数は1万1671人 過去最多を更新
欧州では6395人 中南米でも2000人に迫る
米国は大統領選後 毎日10万人以上の感染者を出し
すでに1051万人 死者24万人を数える
都市封鎖も始まろうとしている
選挙後の混乱は 感染拡大に拍車をかける
コロナ禍は 過去最悪のペースで世界中を震撼させる
そして 弱き者たちが犠牲を強いられてゆく  

対策に正解はない
千思万考の時は終わった  
二月以降 コロナとの闘いで知り得た知見を検証し
先手先手に為し得る最大の対策を 迅速に実行するしかない
そのための10兆円の予算ではなかったのか
デジタル庁や携帯料金で 得点稼ぎを狙うよりも
コロナ対策に腰を据えた重点政策を 
政党の思惑を超えて展開するしかない
危機管理能力は いまこそ発揮しなければならない
管政権に ビジョンがなくとも 
存在そのものの 真意が問われている

カウントするのではない
一人ひとりのいのちと痛みを 
政治は想像しなければならない

〔2020年11月13日書き下ろし。世界的に最悪のペースで拡大する一方で、けったるい的を射ない首相のコメントが不安と不満を増長させる。現在の感染者数1万1083人〕

付記
コロナ感染拡大、経済活動が影響か 中年層も重症化注意
新型コロナウイルス感染症は夏以降の「第2波」が収まらないまま、流行の波がやってきた。「第3波」との見方もあり、1日あたりの国内の感染者数は13日も過去最多を更新。感染が広がりやすくなるとされる冬を前に、経済を守りながら感染を抑えられるのか。予断を許さない状況だ。
第3波は懸念材料が多い。第2波は当初、大都市の歓楽街など感染リスクの高い場は限られていた。しかし今、東京都などの感染者が集中する地域では、家庭内、職場、高齢者施設や病院などが主な感染の場となっている。
…冬は寒さや湿度の低下、換気や紫外線の減少などが影響し、感染が起きやすくなるとみられている。新型コロナと症状が区別しづらいインフルエンザの流行も懸念される。
感染者が急増し始めた北海道で、重症者の治療にあたる札幌医科大病院高度救命救急センターの文屋尚史医師は、道内で春に新型コロナが流行した際は「これから暖かくなって患者が減るかもしれない」という希望があったという。しかし今は「流行がどれくらい続くのか、まったく予想できない」と懸念する。
急速な感染拡大を受け、政府の新型コロナ対策分科会は9日、クラスターへの対応強化などを緊急提言した。分科会メンバーで、日本感染症学会理事長の舘田一博・東邦大教授は「緊急提言から1週間ほどたっても止まる気配がなければ、より強い措置をとらざるを得ないだろう」と指摘する。感染に気づいていない人を早く見つけ、感染の連鎖を断つことが急務だとして「発熱や嗅覚・味覚の異常、のどの違和感などがあれば、早く検査を受けてほしい」と話す。(朝日新聞2020年11月13日)

結局のところ僕らみんなが米国人なのだから

結局のところ僕らみんなが米国人なのだから
そこからのリスタート
だれが担うのか
きみかい
それともあなたかい
担いきれない大きな荷物を背負って
バイデンとハリスは 融合を求めてゆく

結局のところ僕らみんなが米国人なのだから
まずは終わりを見極めよう
だれが判断するのか
きみかい
それともあなたかい
迷走した国難に立ち向かう
バイデンとハリスが選ばれた

結局のところ僕らみんなが米国人なのだから
そうだよ 民主主義を否定できる?
だれが唆(そそのか)しているの
きみかい
それともあなたかい
未練たらしく恥をさらす男たちに
バイデンとハリスは別れを告げる

結局のところ僕らみんなが米国人なのだから
そうだよ 内戦でも起こそうと旗を振る?
きみかい
あなたかい
銃を手にすることだけはしたくない
だからバイデンとハリスの声に心開こう

結局のところ僕らみんなが米国人なのだから
そうだよ 星条旗と合衆国憲法の下に集おう
きみも
あなたも
平和を求めていがみ合うことはやめよう
バイデンとハリスに夢を託そう

結局のところ僕らみんなが米国人なのだから
いいね アメリカに生まれここにいる
きみも
あなたも
アメリカ人としてのアイデンティティーを貫く
バイデンとハリスもアメリカという国と生きる

〔2020年11月12日書き下ろし。そうだよみんな米国人。ひとりの強烈な個性のリーダーにかき回された国は幸せだったか落ち着いて振り返ってみよう。翻って日本は首相降ろしが始まる気配、3度目の復活を目指す者の不気味な動きが始まった〕

乾いた笑い

からかいの笑い
最初に誰が発したのか
クラスに伝染した

見下した笑い
誰かは分かっている
クラスの空気になった

調子こいた笑い
あいつらしかいない
クラスは無視した

つられた笑い
そうしなければいけないような
クラスはそのとき一体化した

笑われるのはいつものこと
それでも顔を上げた
誰かはそれすら笑いネタにした
クラスはそれに同調した

笑われることは許せなかった
だから声を出した
誰かは笑いで断ち切った
クラスはそれを黙認した

笑われることは苦痛だった
ひとり口を塞いだ
誰かは笑いながらいじめた
クラスはそれを傍観した

乾いた笑いは牙をむいた 
心を嘖(さいな)む笑いとなった
自己否定に誘(いざな)う笑いとなった
クラスはひとり以外居心地がよかった

教師は 笑いを止めることはなかった

14歳の死に 
クラスが流した涙は 
忘れたい過去の ワンシーン
10年後 涙は乾いているだろうか

〔2020年11月11日書き下ろし。いじめで自死した少年たちの無念を想像した。変わらねばならぬ大人とは誰か。大人は「自分は違う」と教壇に立つ〕

付記
笑い声で消されたクリスマスの物語 命絶った中3のメモ
川崎市で10年前、14歳だった男子生徒がいじめを苦に自死した。…自死の調査に当たった渡邉信二さん(54)が同市教育委員会で指導主事をしていた2010年6月7日。市立中学3年生だった篠原真矢(まさや)さんが自死した。4人の同級生によるいじめが原因だった。いじめを受けていた友だちをかばったことで、真矢さんも2年生の頃から標的にされた。たたかれたり蹴られたり、ズボンを下ろされたり。修学旅行から戻った翌日の代休日、自宅で命を絶った。
家族に宛てた遺書には感謝の言葉のほかに、友だちを守れなかった悔しさが記されていた。「俺は、『困っている人を助ける・人の役に立ち優しくする』 それだけを目標に生きてきました。でも、現実は人に迷惑ばかりかけ……」
学校側が設けた調査委員会を担当した渡邉さんは、120人を超す生徒・教師から聞き取りをした。そのうち同級生の一人が、真矢さんが2年生だった09年12月の国語の授業の「3分スピーチ」でのことを話してくれた。真矢さんはこの時、自作の「クリスマスの物語」という話をした。こんなあらすじだった。
16歳の兄と10歳の弟は両親に先立たれ、兄は弟を養うために働いていた。食べるのがやっとの生活の中、兄は子守歌を知らない弟のために命を削ってまでお金をため、オルゴールを買う。クリスマスの日、弟はクリスマスプレゼントと、兄の死に気づいた…。
終盤、真矢さんは「当たり前の日常がどんなに心温まることか、それを感じて下さい」と呼びかけようとしていた。だが、話を最後まで語れなかった。教室では笑いが起きていた。いじられキャラとして扱われていたせいなのか、話の内容そっちのけで。真矢さんは語るのをやめた。席に戻る途中、「これやるよ」と物語のメモを同級生に渡した。同級生はそれを大切にとっていた。… 
あの日、教室で起きた笑いについて「周りの子は、とにかく笑えばその場を生きていけるみたいなところがあった。つられて笑っちゃうみたいな、何だかよくわからない笑い」と指摘。いじめやモラルの低下が起きている学級は「変な同調性が進んでいる」とし、教師らに向けて「教育とは『おや待てよ』という引っかかる感受性を作ること。生徒に変わることばかり求めてはダメで、まずは大人が変わらないと」と語り、異変に気づく感覚を鈍らせないよう求めた。
…母親の真紀さん(54)は、真矢さんが守ろうとした友だちから聞いた言葉を紹介した。
「色んないじめを受けたけど、一番つらかったのは、授業中に僕が発言するとき、加害生徒たちがからかったり冷やかしたりして、それを周りの友だちがクスクス笑ったこと。何よりつらかったのは、それを先生が止めてくれなかったことでした」(朝日新聞2020年11月11日)

先生って何もの?

学校の先生って何もの?
自問自答してみませんか

学校で先生をしているあなた
なぜ先生になったのですか?
教え育てることに 真剣に悩んでいますか?
学び高めることに 真剣に励んでいますか?
仕事に 共働して取り組んでいますか?
仕事に 喜びややりがいを感じていますか?
仕事に 誇りと自信を持っていますか?
子どもは あなたにとってどんな存在ですか?
子どもには あなたってどんな存在ですか?
あなたは 人生と夢を語っていますか?
あなたは 教師ですか?

学んだあなた
どんな先生に出会いましたか?
一所懸命教えていると感じた先生は いましたか?
真剣に向き合っていると 感じた先生はいましたか?
強く印象に残っている先生は どんな人でしたか?
人として影響を受けた先生は いましたか?
喜びや感動を共にした先生に 出会いましたか?
勇気づけ励ましてくれた先生に 出会いましたか?
心から先生と慕う人と 出会いましたか?
あなたは どんな子どもでしたか?

どうして先生って呼ばれるんですか?
子どもに知識を切り売りする伝達者? 
ではないようです
教師の評価の分かれる境目は
子どもとの心の距離を感じる アンテナの感度
子どもを丸ごと受け入れる 度量の広さ
子どもへの慈愛と信頼
子どもの失敗の受容と抱擁
子どもの成功の承認と奨励
未熟な教育者としての認識とたゆまぬ努力
理想と理念を掲げ 共に喜びを体現する実践力
共育の醍醐味を知る 楽しき仕事と有用感

人間教師とは
人生でかけがいのない時間の伴走者
明日の夢を奏でる伴奏者
人生とは何かを問いかける先達者
生きる悩みと喜びをわかちあう同行者
人と世のあり方を思索する哲学者
そして 心遊ばせる自遊人ではありませんか

〔2020年11月11日書き下ろし。先日某大学でゲストに呼ばれ、学生に先生とは何ものかを問うた。多くの教師に出会ったであろう25人の中で、ごくわずかな者しか良き教師との出会いを書き残してはいなかった〕

カマラ・ハリスにアメリカの希望を見た

バイデンの下で
笑顔と歓喜に溢れた勝利のスピーチ
若き女性指導者は躍動する
人間愛と勇気を熱くアピール
希望の芽生えを高らかに宣言した

知性的 野心的 雄弁家
独創的 個性的 勤勉家
支配的 攻撃的 自信家
反発的 決断的 行動家 
カリスマ的 大衆誘導的 政治家

黒人系インド系女性である
可能性を女の子たちに示した女性である
次代を背負う女性である

バイデンの下で 
適応力 融通性 協調性 指導性
統治力としての政治力学を学ぶ
劣化した民主主義を再生する道に挑む

バイデンの下で 
新型コロナウイルス対策
経済再生
人種差別
気候変動
重点課題を担うパートナーとなる

バイデンの下で
志を共にする有能なスタッフと
喫緊の問題に迅速に取り組み 真価を問う
対峙し分裂し敵対した民心に訴え
星条旗の下 寛容を掲げて難題に挑む

〔2020年11月9日書き下ろし。力強く人間愛に満ちたメッセージに政治家の言葉の力を強く感じた。日本の政治家はその足下にも及ばぬ自らの言葉で圧倒する〕

付記
バイデン氏、最優先は4分野 コロナ・経済・人種・気候
【ワシントン=永沢毅】米大統領選で勝利宣言したバイデン前副大統領は8日、政権移行に向けて設けたウェブサイトで、来年1月20日の就任初日から取り組む最優先の政策を発表した。新型コロナウイルス対策、経済再生、人種、気候変動を4つの重点課題と位置づけ、選挙戦で訴えてきた課題への対処方針と具体策を示した。
新型コロナ対策では専門家の意見を軽視しがちで、気候変動対策では温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」から離脱したトランプ大統領の方針を大転換する。
新型コロナ対策については科学的知見に基づき、専門家の助言に耳を傾けて取り組む原則を掲げた。検査体制の一段の充実やマスク着用の全米での義務化などを進める。
気候変動対策は「米国の将来を決定づける」との考えを示した。パリ協定に復帰するだけでなく、それ以上の取り組みを進め、国際協調でも主導的な役割を果たすと表明した。2050年までに温暖化ガスの排出をゼロにするため、技術革新などを加速すると具体的な方策を列挙した。経済再生ではコロナで打撃を受けた雇用回復に力を入れると強調した。人種差別の解消では、教育や就業機会の平等化に加え、黒人暴行死の原因となった警察改革を進めると打ち出した。(日経2020年11月9日)

負けるはずはない

7000万票も取って 負けるはずはない
郵送の票さえなければ
大差を付けて 楽勝だったのに
こんなに簡単に ひっくり返されるなんて
悪夢だ 隠謀だ 叛逆だ

不利な予想を跳ね返して 負けるはずはない
信者のためにも 敗北なんて認めるものか
訴訟を起こして 闘うぞ
こんなことで怯(ひる)んでなるものか
「選挙人算定法」(1887年制定)で勝機をつかむ
連邦最高裁判事も味方する
決して負けるはずはない

半分は敵だ
隙を突かれて 騙されて 先手を打たれた
メディアも敵に寝返って フェイクを垂れ流す
これは生死をかけた戦い 決して油断するな
俺だけを信じれば 負けるはずはない

今日の敵の言葉に 一つだけ共感した
「アメリカをひと言で定義するなら、それは『可能性』だ。
アメリカは決してあきらめない」
違うのは アメリカではなく 俺だ
俺は決してあきらめない

赤い旗の下に 集いし者よ
敵と融和することは 断固拒否する
敵の戯れ言に 心動かすことはない
神の意志は 我にあり
誇り高き 真のアメリカ人よ

赤い旗の下に 集いし者よ
この戦いに 勝つことしか残された道はない
行く手を阻む者たちを 許してはならない
神の加護は我にあり
立ち上がれ 勇気あるアメリカ人よ

赤い旗の下に 集いし者よ
戦い抜くには 訴訟資金が必要だ
金が全てだ 金しか頼るものはない
神頼みでは 集まらない
献金せよ 金のあるアメリカ人よ

赤い旗の下に集いし者よ
いま可能性が 断ち切られる
いま夢が 霧散してゆく
団結せよ 声を上げよ 阻止せよ
我を信じる 無垢なるアメリカ人よ

〔2020年11月8日書き下ろし。幕引きを拒否する男とその支援者たちの悪あがきはいつまで続くのか〕

付記
133年前の「選挙人算定法」とは
…合衆国憲法第二章第一条第三項は次のように規定しているからだ。
「各々の州は、その立法部が定める方法により、その州から連邦議会に選出することのできる上院議員および下院議員の総数と同数の選挙人を任命する。(後略)」
マスコミなどでは、選挙人は大統領選挙の一般投票で最大得票の候補者の選挙人団に勝者総取りで配分されると解説されるが、それは各州の議会がそう定めた慣習に従っているからだけで、選挙人選出の主体はあくまでも州議会にあるのだ。
加えて1887年に制定された「選挙人算定法」には、その運用を具体的に規定した次のような「セーフハーバー(承認領域)条項」がある。
「選挙人集会の少なくとも6日前までに、開票作業等の懸案が解決し、当選者を決定できるならば、その州議会の決定は当該州の勝者決定の最終決定とみなす」
逆に言えば、選挙人集会(今年は12月14日)の6日前が開票作業の期限で、再集計や訴訟でそれに間に合わない場合は、改めて憲法の規定に従って州議会が定める方法で選挙人を選ぶということになる。その場合だが、郵便投票の有効性が裁判に持ち込まれるペンシルベニア州の州議会は上院で共和党35対民主党21議席、下院でも共和党103対民主党21議席で両院とも共和党が多数を占めている。この他、再集計が行われるとされるウイスコンシン州やミシガン州、ジョージア州も議会は共和党が多数だ。
もしトランプ陣営が、今回の選挙結果を受け入れず法廷闘争などで選挙人確定を12月8日までずれ込ますことができると、州議会の決定次第で逆転するという可能性が残っていることになる。…一方バイデン陣営は、この策を「トランプのクーデター」と非難しているが、憲法と制定法に規定されていることなので非合法なクーデターとは言えないだろう。
2020年の大統領選挙は、この133年前の法律をめぐって想定外の展開になるかもしれない。(執筆:ジャーナリスト木村太郎・2020年11月8日FNNプライムオンライン)

敗者に捧げる 『中庸』第23章

アメリカ大統領選挙の 敗者に捧げる  
自国を 世界を カオスにした者よ
民主主義を 冒涜してやまない者よ
ヒューマニズムを 欲得で汚した者よ
民の審判を 落ち着いて受けとめよう

其次致曲 曲能有誠
誠則形 形則著 著則明 明則動 動則變 變則化
唯天下至誠為能化

小事を軽んじず 至誠を尽くせ  
小事に至誠を尽くせば 誠となる
誠あるものは にじみ出る 
にじみ出れば 表れる
表れれば いよいよ著しく 
著しければ 感動を呼ぶ
感動は 変化を起こす 
変化は 万物を生育する
天下において 至誠を尽くす者のみが
己と世を 変えることが出来る
(韓国映画『逆鱗』の1シーンから引用:訳者不明)

不誠実さを 最後まで体現する者よ
人種問題 コロナ対策 失業対策 貧富格差
地球温暖化 環境問題 外交問題 核の抑制
深刻化する問題を放置し 不安を増幅させた
誰のための治政だったのか
歴史は その惨めな凋落の道を記す

小事を軽んじ 嘘で固めて
不誠を体現せし者
そこに滲み出る 不遜な言動
隠すことなく 表れし  
著しければ 不信が強まる
不信は 世に変化を促す
変化は 不誠な者を拒み退ける
民に 至誠を尽くす者のみが
己を変え 世をよりよく変える者となる

「子曰、過而不改、是謂過矣」
(子曰わく、過ちて改めざる、是れを過ちと謂う)

※『中庸』:儒教の四書五経の四書の一つ。君子が国家や政治に対する志を述べる大説。四書は「論語」「大学」「中庸」「孟子」。五経は「易経」「書経」「詩経」「礼記」「春秋」。

〔2020年11月8日バイデン当選の朝。4月8日掲載の詩に手を加えた。哀れな末路に花は似合わない。政治家への不信は最初の嘘から始まる〕