「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

男女ペアの訪問活動

はじまりは
平成12年 介護保険制度のスタートだった
地域に暮らす高齢者への 目配りが欠かせなくなった
老化や病気による身体機能の衰えで 暮らしに支障をきたしていた
ボケ(認知症)も 社会問題になっていた
在宅介護できない高齢者は 社会的入院を余儀なくされた
老人福祉施設も 措置から契約への大転換期(ビッグバーン)が起こった
サービスを受ける家の前に 介護の車が駐車すると
親の面倒も見られないのかと 陰口を叩かれた
世間に肩身を狭くして サービスを受ける時代でもあった

それでも 
在宅で暮らす高齢者が 介護保険サービスを受けることで
地域や自宅で 少しでも長く暮らしていけるように
介護で苦労する家族の負担が 少しでも軽くなるように
サービスを受けることに 負い目を感じることがないように
行政と連携して 民生委員も担当地域を精力的に回った

はたと
回って見て 気づいた
独居の女性宅に 男性委員が訪問することのためらい
相手との相性で 受け入れてもらえないわだかまり
孤独死に立ち会い 誰にも相談できなかった無念さ

だから
困っている人の 本当の困りごとを聞き取れるよう
男と女のペアを組んだ
ケースバイケースで 対応した
携帯番号は 男の方を伝えた
更新の度に 地域の男女の配置が崩れぬよう人選を求めた

いつか
民生委員の成り手不足が 起こっていた
行政OBも 担ってくれるようになった
ただ男女のペアを維持するのは 難しくなっていた
それでもペアの活動は 有効だった
地区を担当する委員を ひとりぼっちにさせてはならない
互いに支え合う関係は いまも新任に引き継がれていく
これが 民児協の活動の底力に 力強く変換されていく

〔2020年10月29日書き下ろし。道北の士別市民児協の20年に及ぶペア制度を取材した。きっかけは丁寧にお話を伺うという基本中の基本のスタンスだった。〕

マップづくりと新任民生委員

去年の12月 
全国一斉に 民生委員児童委員が改選された
その後 世界をコロナウイルスが襲った
夏GOTOトラベルで 移動制限が緩るんだ
10月道内の感染拡大は 止まることを知らず
気の緩みもあってか 道内各地に拡散した 
クラスターも ところ構わず発生しだした
鈴木道知事の2月3月の記者会見
いつもマスクをしながら 緊急事態をアピールしていた
いまは 平然とマスクを外し 「警戒2」を呼びかける

民生委員の日常的な活動は 自主的に規制された
いまも十分な活動は 難しい
定例会も専門部会も 三密を回避しながら工夫をこらす
訪問活動も インターホーン越しの安否確認
マスク越しでの会話に 難渋する人もいる
心許ないと思いつつ 委員はマチを今日も歩く

富良野市の民児協(民生児童委員協議会) 
12年間「支え合いマップ」づくりに取り組んできた
年に一度の 更新時期がやってきた
割り当てられた地区を 新人たちは精力的に駆け回る
緊張の日々が続く
分からないことは 前任者がしっかりとフォローする
アドバイスを受けながら 地域と人を学んでいく
町内会や老人クラブに 顔を売る
顔なじみになることが 活動の糧となる
そう信じて 気配りは欠かせない
要援護者に 周囲がどんなふうにどれだけ関わっているのか
頭の中に その人の暮らし方や難儀さが見えてくる
地域の暮らしにくさを和らげる 人のつながりも見えてくる
一枚の地図を書き上げる頃には すでに新人ではなくなっていた

地域でつながる仕方が 少しずつ身についてきた
地域で為すべきことが 少しずつ見えてきた
地域で支え励まされる喜びを 少しずつ感じてきた

新人の不安は 前任者のフォローで軽くなった
新人の戸惑いは 要援護者の笑顔で救われた
新人の意欲は 温かい仲間の支えで高まった

民児協の「支え合いマップ」づくり
代々つないできたバトンは
地域福祉を耕す力となって 新人たちをつないでゆく
新人が育つゆく 確かな研修システム
コロナ禍でも 渡されたバトンを引き継ぎ
富良野のマチの 福祉を担う熱い人へと育ってゆく

〔2020年10月28日書き下ろし。昨日の富良野市民児協でのヒヤリング。民児協に集う委員のおもいの熱さと意欲に圧倒されながら、3人の新人たちへのインタビューから、マップづくりを通した新人育成プログラムの可能性を見出した〕

※「支え合いマップ」:福祉のまちづくりのために、住民の支え合いに実態を住宅地図に記入して、地域の取り組みを明らかにし、その課題解決に向けて支え合いの取り組みを進める手法。

付記
「警戒2」28日移行 新型コロナ 道、出勤抑制など要請
道は28日、新型コロナウイルス感染対策の警戒ステージについて、出勤抑制などの行動自粛を要請する「ステージ2」に引き上げる。今後2週間を集中対策期間とし、道民に3密(密閉、密集、密接)を回避できない会合の自粛などを要請するとともに、発熱患者を受け入れる医療機関や検査体制を拡充。午前に対策本部会議を開き、正式決定する。
新規感染者の急増や医療体制の逼迫(ひっぱく)の恐れを受けた措置で、引き上げは運用を始めた8月25日以降初めて。全道を対象とし、発熱やせき症状がある場合の外出自粛、テレワークや時差出勤の推進などを要請。飲酒を伴う会合など感染リスクの高まる場面での対策を求め、特に飲食店関連のクラスター(感染者集団)が相次いでいる札幌市での呼びかけに力を入れる。(北海道新聞2020年10月28日)

特別じゃない

日々の暮らしの中で
いつものように何気なく気遣う
日々の活動も
いつものように何気なくこなす
時々の集まりも
いつものように和気藹々(わきあいあい)だった

誰かに凄いと言われるまで
そのことが特別なこととは思わなかった
誰かに褒められるまで
そうしていることの値打ちを知らなかった

驚いた
みんなもそうしているものだと思っていた
嬉しかった
みんなと違う大事なことをしていた

一人ひとりが自分のおもいを伝えるだけ
これが当たり前だと思っていた
一人ひとりの発言をまていに聴くだけ
これが当たり前だと思っていた

小さなまちの民生委員児童委員の定例会
事例を持ち寄り協議する
個々の抱える問題が語られる
個々の抱える悩みが共感される

腹にためたおもいを吐き出す
発言はさえぎられず受けとめられる
腹にためたおもいは共有される
発言は仲間に認められ元気を取り戻す

会議は生もの
悩む仲間の訴えは 心に響く   
会議は生もの
落とし所は みんなで探す
会議は生もの
飾らぬ言葉は 躍動する

ひとりぼっちにしてはならない
そのおもいが凝縮した空気の会議
不安や戸惑いを抱える新任委員も
臆することもなく この空気に触れて成長する

会議は発言者がいなくなるまで続く
一人ひとりを尊重し 認め合う当たり前
損なうことなく構えることなく 続けられた当たり前
明日への活動へのおもいを 確かめる当たり前

まちの福祉の担い手は
当たり前の値打ちを知って
今日もマスク越しに笑顔をふりまき
普段着のまま 御用聞きに伺います

〔2020年10月27日書き下ろし。いま民生委員児童委員の研修活動について、道内3つのまちに出向いてヒヤリングを道民児連が実施。それに同伴して大事な当たり前を学んだ〕

辞められない止められない

現職の議員が拘置所に3人いる
ひとりは IR汚職事件で逮捕された元内閣委員長秋元司
二階派の特別会員として いまだ籍を置く
オシドリ夫婦の元法相河井克行・案里夫妻
公職選挙法違反の罪に問われ裁判中
離党もせず 次期衆院選挙に出馬してかつゆき(勝つ気)ってあんり(案里)
いまも議員報酬は支払われ 二人の裁判費用となる
辞められない美味しい国会議員のお仕事

自民党衆院議員の石崎徹
新潟で当時秘書の男性に後頭部を殴る暴行を加えた
車内でこめかみを殴る暴行を加えた
暴行の罪で略式起訴された
派閥の長に詫びを入れ 辞職回避はとおる(徹)だろう
暴行は止められず 素行が悪くてもバッジ付ければ偉い人
辞められない美味しい国会議員の肩書き

自民党衆院議員の杉田水脈(みお)
名誉感情侵害で ジャーナリストの伊藤詩織さんに訴えられた
訴訟の第1回弁論が21日東京地裁で開かれた
「女性はいくらでもうそをつける」と自民党の会議で発言
恥を恥とも思わず みお(身を)汚す
懲りない女を 周りの男議員が甘やかす
自民党の男社会で重宝されて 言いたい放題許される
止められない美味しい女性国会議員のへつらい 

自民党は 出処進退は議員個人の問題と突き放す
離党させて 後は知らんとほっかぶりの常套手段
だから 議員を辞めずに高額の税金で養われる無能な人となる

政権与党の議員の劣化は 止まるところを知らない
政権与党の議員の不祥事は 確信犯で止められない
政権与党の自浄力は機能不全で 汚れは止めようがない
政権与党のおごりは悪化して いよいよ止まるはずはない

野党系無所属の初鹿明博衆院議員
昨年12月強制わいせつ容疑で書類送検された
1年粘ってめいはく(明博)な事実を前に ようやく議員辞職する

自堕落な議員や いい加減な政党・党派に見切りを付けて
次の選挙に 審判を下さねばならぬ
矜持なき者は 辞めていただこう
詭弁を弄する者の推薦は 止めていただこう

〔2020年10月22日書き下ろし。堪忍袋の緒が切れるような事態を放置している与野党議員のあるまじき振るまいが鼻について仕方ない〕

付記
伊藤詩織さん、欠席の杉田氏に「同じ過ちしないで」
ジャーナリストの伊藤詩織さん(31)が、15年4月に元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(54)から性的暴行を受けたと17年に実名を公表して明らかにした後、インターネット上で事実に基づかない誹謗(ひぼう)中傷の投稿により精神的苦痛を受けたとして、自民党の杉田水脈衆院議員(53)を相手に、220万円の損害賠償などを請求した訴訟の、第1回弁論(武藤貴明裁判長)が21日、東京地裁で開かれた。被告側は杉田氏、代理人弁護士ともに出廷せず、抗弁書を提出した。
伊藤さんは冒頭陳述で「国会議員は私たちの法律形成に大きく関わる人です」と切り出した。その上で、15年4月3日に山口氏と会食した際、意識を失い、ホテルで暴行を受けたと主張し準強姦(ごうかん)容疑で被害届を提出も、東京地検が16年7月に嫌疑不十分で不起訴とし、17年5月に不起訴不当を訴えるも、東京第6検察審査会も同9月に不起訴相当と議決したことに言及。「事件当時、私は酩酊(めいてい)状態で意識、記憶がないまま性行為をされていたため、私自身が被害の証明をすることは出来ません。私のようなケースは、他の重大犯罪と比べ、今の法制度の下では、法で裁いてもらうことが難しいのだと思い知らされました」と訴えた。
今回の訴訟は、杉田氏がツイッターで「もし私が、『仕事が欲しいという目的で妻子ある男性と2人で食事にいき、大酒を飲んで意識をなくし、介抱してくれた男性のベッドに半裸で潜り込むような事をする女性』の母親だったなら、叱り飛ばします」と投稿したことに対し、伊藤さんに対する誹謗中傷のツイートがなされた。それに、杉田氏がツイッターの機能の「いいね」を押したことが、名誉感情侵害に当たるとして提起された。
伊藤さんは、杉田氏の発言に対して「私にとっては、どれもセカンドレイプとなる」と指摘。その上で、同氏が自民党の会議で「女性はいくらでもうそをつける」と発言したとして非難を受け、謝罪した件についても触れ「今、まさに被害を告白したいと思っている人を黙らせ、また、親に『助けて』と言いたい人にもそれを言えなくさせてしまうものだと思います」と批判。「杉田氏が今後、同じような過ちを大切な人に対してしないで欲しいと心から願っています」と訴えた。(日刊スポーツ2020年10月21日)

凜として生きよ

飛んで 富んでる娘だった
凜として生きよと願った
いいときも悪いときも 不思議に才覚を発揮した
心揺れるときは 負けじと踏ん張った
今日誕生日を迎える

苦労を楽しんでいる3人の子育て
逃げ出すことも投げ出すこともせず
頑なに子らと向き合い 共に泣き笑う
自分らしい生き方を探し求める意地っ張り
時に激しくぶつかる父娘は 性格がよく似ていた

忍ばれるは 曾祖父母や祖父母の恩情
笑顔と優しさは 彼らから分け与えられた贈り物
音楽と料理は 彼らから受け継いだ遺伝子
野に放された幼子は 彼らからありあまる愛をそそがれ
野花の如く 陽を浴び 風を感じ 時を駈けた
その感性は豊かに育ち いまを支える
その心根は太くなり いまを生きる

愛は 信じあうこと
いまをよりよく生きるには
今生にその愛を確かめ 豊かにしなければならない
身を切る思いを味わった 娘への願いはたったひとつ
よきパートナーと出会い 仕合わせになってほしいだけ
ただ一心に 仕合わせの道を気高く歩めよ
子らとよき仲間たちと 心通わせながら
魅力あふれる人にならんことを

凜として生きよ
渾身の血を湧き立たせ 生きるを表現する豊かな創造力
挑んでへこたれない反骨心と 世間に頓着しない鈍感力
違いを認め 人を惹きつけてやまない寛容力
弱き人を苦しむ人を ほっとけない共感力と包容力
身を粉にして 弱き人たちに尽くすボランタリーな行動力

我が子よ
ことばに尽くせね 父と母にはかけがえのない存在
我が子よ
健康にだけは くれぐれも気をつけておくれ
我が子よ 
誕生日 おめでとう

ひたむきに 凜として生きよ

〔2020年10月25日書き下ろし。長女の誕生の日は忘れられない。喜びも悲しみもたくさん味わいながら、今日の日があることを仕合わせと感じている〕

清々しい朝

朝日が眩しい
北の秋 今年一番の冷えこんだ朝 
外に出る
澄んだ空気と 広がる青空
冷気は 眠気を瞬時に覚ます
収穫後の隣の畑は 土色を見せ
周りの木々は 秋の彩りを増してゆく

出勤する近所の女性と
初めて顔を合わせた
「おはようございます」
その挨拶が 今朝のご馳走だった
「おはようございます」
と返した言葉に
「有難うございます」
と無言で感謝を足した

心地よい朝のたたずまいと
快活な朝の挨拶
心にゆとりを感じながら
今朝の元気を確かめる

日常のありふれた朝の風景
清々しい一日の始まり
ただそれだけのこと
だからこそ捨てがたい

〔2020年10月21日書き下ろし。挨拶を返すことなく朝を不愉快にする者たちがいる。あのしみったれた表情に哀れさえ感じる。真逆な朝が美味しい〕

かばう

誰ひとりかばうことなく
罪なき者を追い詰める
誰ひとり真実を明かすことなく
誠実な者を人身御供にする

悩みし深さに寄り添わず
苦しむ者を突き放す
不条理な命令に付き従い
葛藤する者を冷笑する

かばうとは
罪なき者を守ること
かばうとは
命を脅かす者から護ること
かばうとは
悪意ある者たちに立ち向かうこと

かばう者は
真実を闇に埋もれさせない
善意をまとった悪意を暴く
不正を世に問い正す

かばいきれないのは
強欲な者たちの悪行
事実をねじ曲げる者たちの虚構
自由を抑圧する者たちの強権支配

かばいきれない者に
加担することは 断じて許せない

〔2020年10月21日書き下ろし。真理と正義が蔑ろにされるいま、かばいきれいない人が政界だけではなくどこにでもまん延している〕

張り子の虎

男は自分勝手なやつだった
品性は貧しく 素養もたかが知れていた
世の流れに逆らうことでしか 自己主張できなかった
信念も揺れ 虚勢を張って生きてきた 

男は心寂しいやつだった
世の中に反発して 気取ったポーズをしたかった
世の中に染まらず 他人と違う存在でいたかった
普通の生き方を拒み 強がって生きてきた 

男は心弱いやつだった
見かけ倒しが暴かれぬよう 強がるしかなかった
才覚のなさを見破られぬよう 意気がるしかなかった
演じ続けることで くじけそうな自分を騙して生きてきた

男は怠惰なやつだった
人前ではしゃきとして 如才なくこなした
ひとつ事が終われば だらしなく脱力した
緩んだ糸を張り直すのに 苦労しながら生きてきた

男は心優しいやつだった
弱き者への関心は 思いのほか熱かった
弱き者が虐げられることは 許せなかった
黙止することが出来ず 実直に生きてきた

男は不思議と憎めないやつだった
人儲けの才覚は 人一倍長けていた
世の中への発信力は 人一倍冴えていた
信じた人の懐で育てられて いつも生きながらえた

男はポジティブなやつだった
苦渋を味わいながらも 一抹の望みを捨てなかった
失意のどん底にいても いつかを信じた
救い手が差し伸べられて いつも生きながらえた

男はただの小心者だった
伴侶は そんな男を丸ごと受け入れ自由にさせた
伴侶は 男と半世紀甘いも辛いも味わいながら歩いてきた
伴侶は 人生をともにこのまま全うすると…
男は張り子の虎のままで
人のおもいの中に 今日も生きながらえる

〔2020年10月20日書き下ろし。男は張り子の虎に見たて、いまも虚勢を張る〕

持ちつ持たれつ

ひとりで踏ん張ったって
いずれ息切れしてぶっ倒れる
我慢は美徳なんて 信じちゃいけない
自立できるひとなんて だれひとりとしていない
誰かの肩に 寄っかかることもあるだろう
だから 持ちつ持たれつって当たり前のことかな

生まれてこの方 誰ひとりとして 
一人ぼっちで生きてきたひとなんぞ いるわけない
暮らすってのは 他人様のお世話を前提に成り立っている
余計なお世話をするなってのたまうひとも
余計じゃないお世話は 受けるんだろう
必要な時に必要な手助けがあれば 少し暮らしが楽になる
その丁度いい間を取った関係で いたいというのが小さな欲
これぐらいは お互いに痛くもかゆくもない
それが 持ちつ持たれつの居心地いい関係づくりかな

大事なのはさ 俺もあんたもここで暮らし続けるってこと
いつまでも若くはないし 病気もする
夫婦だって 家族だって 友だちだって 赤の他人だって
気にかかるひとが 元気で不安なく暮らしているなら安心だけど
「助けて!」って突然声をあげたら 駆けつけるのが人情だろう
そこだよ そこなんだ!
「助けて!」って声を出しても 誰かがそばにいなけりゃ助けられない
それこそ 持ちつ持たれつの本意じゃないかな

自分勝手で口うるさく罵(ののし)るひとも いることはいる
誰も近づけないから 余計に意固地になって生きている
頑固でなかなか言うことも聞いてくれないひとも いることはいる
誰も面倒に巻き込まれたくなくて 遠ざけられている
歳を重ねるほどに面倒くさくなるひとも いることはいる
確実に身体も気も弱くなるから 強がるのもよくわかる
きっと持ちつ持たれつのいい関係をつくれなかったんだ

そんなひとをほっとけなくて 孤立させちゃなんないって 
世話を焼く奇特なひとは いつの世でもいる
人間の性根を 太く育てながら生きてきたひとたち
でも 一方的にお世話を焼くわけじゃない
そこに 人としての品性が磨かれてゆく道がある
それが 持ちつ持たれつから得られる仁の徳じゃないかな

※持ちつ持たれつ:互いに依存し合い助け合うことによって、両者とも存続するさま。

〔2020年10月17日書き下ろし。持ちつ持たれつの関係づくりは互酬性とも重なってくる。徳が磨かれず損得勘定する人が目につくご時世の中に、民生委員児童委員は動く〕

安倍政権の遺産

7年8カ月の長期政権の遺産
民主主義の選挙で選ばれた数を信奉した
民主主義の根幹の憲法を遵守せず国会を軽視した
民主主義の閣議決定を重宝し法手続きを崩壊させた
民主主義のシステム上に専制政治を確立した

選挙で勝てば 民意は手中にあると豪語した
民意は 承認の手先に変わり主権を失った
異論を排除し 批判を封じ込めた
従わぬ者は敵視し 不都合な真実は隠蔽した

管政権発足から1ヶ月
前政権継承の一端に その手腕を見せ始めた
学術会議や中曽根康弘元首相の葬儀への対応
ほんの始まりではあるが 終わりにしなければならない
危機感を感じたときにこそ 声を上げなければならない
支持率の急低下は 健全な世論のバロメーターか
 
相互的寛容と自制心
政治の劣化と政治家の堕落により
二つの民主主義を支える柱は
不気味な音を立てて 崩れていく
民主主義社会への警鐘に 耳を塞いではならない

〔2020年10月18日書き下ろし。世界もまたその渦中にある。米大統領選挙はトランプが負けると、内戦さえ想定する危険水域に近づく〕