「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

夏の夜話

「こんばんわ」

「待っていましたよ。あがってください」

「遠慮なく。どうなさいました?」

「いやいや、お疲れのところお呼びだてして、申し訳ない」

「なんも、大家さんに何かあったかと、少し心配しましたよ」

「なにね、アベノマスクが8千万枚もまた配られるって聞いて、騙し討ちにあった気分になってしまい、正直久しぶりに堪忍袋の緒が切れましてね」

「珍しい。いつもなら冷静沈着な方が、そうもお怒りになろうとは」

「誰も望んでもいないことを、管官房長官の記者会見でも問題ないとか。ここまで民心を愚弄するのかと。あの人は庶民の気持ちがわかる人かと思ったけれど、やっぱりタダの政治家でしたね。次の椅子は回っては来ないでしょう。いけしゃあしゃあと何事もなくかわすのは、聞いていて不快そのもの、癇に障ります」

「いやあっしも、ビックリ。よくやるもんだと呆れかえっておりました。ただね、どんだけ、違うでしょ、おかしいでしょって声出しても、偉いお方が素直に非を認めるなんて、これっぽっちもありませんからね」

「おっしゃるとおりです。そこで今夜お呼びしたのは、一杯飲みながら暑気払いにひとつ政治談義でもしたら、少しは溜飲が下がるだろうと、手前勝手なことでご足労いただきました」

「願ったり叶ったり。遠慮なくお相伴にあずかります」(缶ビールで正月以来の乾杯)

「さて、とっかかりは〈アベノスローガン〉ですかね。この人も周りの人もよく問題起こす人ばかりだから、丁寧な説明とか、謙虚に、真摯に、責任は私に、を繰り返すばかりで、その言葉の意味すらご存じない。政治的ポリシーすら疑わしいから、生きた言葉に自信がない。自分の言葉がないばかりに、人の書いた原稿なくして語れない。せめて飾り言葉でごまかして繕うしかないから、言葉が薄っぺらい」

「そこで〈アベノスローガン〉ですか。コンパクトでインパクトがあれば、中身がなくてもやります感は伝わるだろうと。それも変わり玉のようにコロコロ変わって、いま何やってるのかよくわからない。覚えているのは、〈一億総活躍〉って聞いて、うちの90になるじさまも活躍しなきゃならんのかって。ほんとギャグかと思いましたね」

「経済振興しか頭にないから、〈デフレ脱却〉から始まって、いまだ事ならず。〈3本の矢〉はすでに折れ、〈女性活躍〉はその機会すら作れず、人材活用も低レベル。〈地方創生〉で、どんどん地方は疲弊して経済格差創世中。〈一億総活躍〉は仰るとおり、なにがなんだかよくわからない。範を示す官僚たちこそ忖度を繰り返して総活躍ですね。〈働き方改革〉、長時間労働や非正規の方々の待遇改善とはならず、そもそも働き方は個人の自由、国に指示されたくもないでしょ。おまけに〈人生百年構想〉、長生きはいいけど、代わりに年金の受給年齢を遅らせる姑息なことをやり始めた。〈人づくり革命〉はそもそもあんたらでしょ。国を動かす者たちから襟を正さにゃいかんでしょ。極めつきは、道徳を教科にしたこと。自分らのことを棚に上げて、よくやりますよね」

「いやはや、よく覚えていらっしゃる」

「お酒のせいで、記憶の海馬が活性化したのかも知れません」(笑う)

「確かに、スローガンは掲げますが、どれ一つとして成し遂げてはいません。中途半端に散らかして、次のスローガンを掲げるってのは、目先を変えだけのこと」

「いまの安倍さんの政権としての限界なんですね。やれないとわかるとすぐにぶんなげて、聞きざわりのいい言葉を使って人心を誘導する。中身がないから、また潰れる。その繰り返しの7年間、ゴミ屋敷状態で断捨離できずにいるのでしょう。けじめもつけられず、だらだら引きずっているから、リスク管理には絶対弱い。自分がリスクそのものですからね」

「そう考えると合点がいきます。普通いいも悪いも歴史に残る業績ってなものがありますが、どう考えても浮かばない。ただ選挙に強かったという印象だけです。それもそのはず、民主党が内部崩壊して政権を奪われ、野党となっていまだ浮上できずに相変わらずの意地の張り合い、もう誰も関心なんぞ持つわけない。そんな野党相手の選挙に勝っただけのこと。いま振り返れば別に安倍さんでなくても麻生さんすら勝てただろうと」

「この政権の1丁目1番地は安倍さん。トップが嘘をつくから、下はつかれた嘘の上塗りをしなければならなくなる。だから大臣も官僚も平気で嘘をつく。なんと厚化粧の人が多いことか。その分見返りが大きいから喜んで嘘つきになる。国民の奉仕者だと自責の念にかられ自死した赤木俊夫さんのおもいなんぞ、官僚も大臣も何も感じていません」

「下々の痛みを感じることが出来ないというところが、日本の政治家の言葉に厚みと説得力が生まれない理由でしょうか。政治家の言葉にこころ動かしたり揺れたりする事ってまずないですね」

「閣僚に2世3世が多くなり、言葉に重みが全くない。軽くなって浮いてしまって、しまいに跡形もなくなる。せめてみんなが覚えておくために、スローガンしか思いつかなかったんでしょうね」

「世間じゃ安倍さんの負の業績はなんだろうって。教えてください」

「いやいや、あなたのほうが世間に明るいでしょ」

「狭い世間です。だから大家さんの広い見識にいつも感服しております」

「酒の力でよいしょもお上手(二人笑う)。知っているだけのことしかわかりませんが、一番は、政治への信頼を見事に裏切り棄てたことですね。コロナのリスク対策が、その場しのぎの目先の対策でコロコロ変われば、目に余って支持率下げるのは自明の理でしょ」

「感染を抑えてきたなら、当然評価はあがるはずなのに、ですよね」

「まずはアベノミクスの大失敗ですね。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という3本の矢で〈名目成長率3%〉を掲げたけれど、だいたい経済成長が3%なんて夢の夢。全て的を外して、コロナ禍後の経済不況が追い打ちをかける。一致も察知もいかなってくるでしょ。次の人に後始末させるしかないから、腹心でなければ、失政を暴露されて、負のレガシーがまとわりつくことになる」

「経済、経済っていってる割には、そのブレーンの専門家も大して力がなかったってことですね。みんな忖度するから、耳障りのいい話しか聞かない。昨日衆議院で新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂さんが、〈GO TO トラベル〉の実施判断に時間をかけるように事前に政府に提言していたにも関わらず、採用されなかったといっていましたが、専門家の意見を云々というのは、自分らの都合のいい話だけ食べますってことですね」

「確かにいろんな専門委員会を作りますが、YES委員会に成り下がっているのがほんとでしょ。それから外交の失敗。北海道にとっては北方領土問題が一番大事。お友だち外交っていいながら見事にしっぺ返しを食らって、ロシアに憲法改正され領土は返さないと明言された。厳しい交渉だと分かっていても、お友だちになりましたって仲良しごっこのレベルでしか外交できない。結果が伴わなければ外交はアウトです。トランプとの関係を見ていても、相手はシビアに求めてきても、返す刀もなく言われるがままいい子ぶる。辺野古の問題だって沖縄に丸投げして、知らんぷり。いっそのこと、基地の提供は一切止めて、どうぞ出て行ってくださいっていったら、相手はどう脅しにかかるか見てみたい」

「おっと過激な発言、面白そう! 青森の三沢の米軍基地から道南の江差の方まで飛んでいって、小学校を標的に訓練してたってことがあったけど、日本の空を米軍さんは自由勝手に飛んでいらっしゃる。沖縄や岩国では、コロナの水際作戦中に本国からフリーパスで往来し、挙げ句の果てにコロナをばら撒く。治外法権で一切お構いなし。これで日本が独立してるなんて信じられない」

「中国や韓国との関係も、ましてや北朝鮮との関係も難しくなる一方で、そのほとんどは米国に追従してるだけのこと。トランプなんぞ金と次の選挙しか頭にない男。そんな男とお友だちって媚びる男が、〈戦後レジューム〉からの脱却なんて、片腹痛いですね」

「中国はコロナ禍に乗じて世界にのしていこうと、盛んにアピールしていますが、香港の一国二制度の行き詰まりで、共産党専制政治の色を濃くしてしまい、そんな国と渡り合うには力がなさ過ぎます。いつもの遺憾に思うというメッセージも聞き飽きました」

「よく見ておられる。問題は食料。例えば養鶏の飼料の9割以上は輸入に頼っているから、米国や中国との関係はなかなか大変です。TPP絡みでも、北海道の農業や酪農が一番深刻なダメージを受けています。食糧自給率を上げることもしないで、お構いなしにトランプのいいなりに米国の農家を助けるという、馬鹿げた政策がまかり通っている。コロナ禍で心配される食糧難にどう備えられるのか、この政権じゃ心配、心配」

「もしかして、養鶏の飼料が高くなったり制限されると、卵の値段が一気に上がってしまう?」

「もしかしてではなく、近い将来の話かも知れません。そんな不安は口にはしないからね。ましてや、卵が1週間に1個しか食べられないって、言えるわけないっしょ」

「コロナ禍と食糧問題。九州じゃ梅雨の長雨で夏野菜は全滅、ジャガイモもタマネギもアウト。関西に出荷する野菜が足りなくて、ジャガイモなんか1個200円近くするって京都の友だちが嘆いていたけど、食べもんを粗末にするようないまの風潮に、感染病以上に危機感覚えますね。お金を持っていても物がなければ買うこともできない。そんな世界を想像するのは、ちょっと…」

「そこなんだね。そこが、この政権の想像力が乏しいどころか、おぞましくもあるところでだね。だから余計に酒が進む」

「おやおや、やけ酒は嫌ですよ。同じ飲むなら、前向きになれるようなことを大家さんとは語り合いたいものです」

「申し訳ない。お呼びだてして酒の相手までしていただきながらこの醜態、ご容赦ください。」

「大家さん、いまニュースで八千万枚のアベノマスク配るの断念したって!」

「ほう、これは吉報! さあさあ、飲み直しの一杯」(二人でグイとビールを味わう)
夜は静かに更けていきます。二人の話はまだまだ続く様子です。

※TPP(Trans-Pacific Partnership):環太平洋パートナーシップ協定。アジア太平洋地域の諸国が,物品やサービスの貿易自由化や投資の自由化のほか,電子商取引や知的財産など幅広い分野でのルール作りを目指す包括的な経済連携の枠組み。2005年に4か国が締約した経済連携協定を原協定とし,その拡大交渉にアメリカや日本などが参加。15年12か国で合意し,翌16年調印。17年アメリカの離脱により再交渉。18年11か国がTPP11協定に署名し,同年発効。環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定。環太平洋連携協定。環太平洋戦略的経済協定。環太平洋経済連携協定。

〔2020年7月30日書き下ろし。難しい政治の舵取り。誰もが出来ることではない。しかし、そもそもの1丁目1番地が違えば、全てが失政となる。さて二人は前向きになれるのか?〕

次の指導者を選ぼう

成りたがりが 蠢(うごめ)く
分もわきまえず しゃしゃり出る
勘違いして 名乗りを上げる
信望が あるかのように振る舞う
お粗末な言葉で さも知ったかぶりをする

政治観の旧態依然とした 精神構造
危機を察知できない 鈍感構造
被害者の苦痛を感じない アンチ共感構造
政治的能力が高いと自賛する ナルシスト構造
政策運用が縦にしか動かない 機能不全構造 

リスクを俯瞰するのは 至難の業でしょう
リスクの制御など 期待するだけ無駄でしょう
リスクの対策など 判断迷い混乱するだけでしょう
リスクをさらなる恐怖に変えて 収拾不能となるでしょう
リスクの前で怖じ気づき きっと逃げ出すことでしょう

誰が次の座につくのか
信頼に足らぬ者たちの チキンレースが始まった
生来の虚言癖のある者たちの 嘘つき合戦が始まった
リスクにさらした無能な者たちの 見栄の張り合いが始まった
ポリシーすらなき者たちが 数取りゲームに興じ始めた

分をわきまえた者たちは 
次の指導者を
手ぐすね引いて待っている

〔2020年7月28日書き下ろし。与野党とも今までの体制を変える動きを活発にすれば、第2波に立ち向かえるかもしれない〕 

悪夢のアベノマスク

♪ え~え マスク
アベノマスク
夏の盛りに 風鈴ならして
アベノマスクを宣伝(ひろめ)てます

♪ え~え マスク
アベノマスク
夏の盛りの 眩しい光の中で
アベノマスクを作っています

♪ え~え マスク
アベノマスク
夏の終わりの 涼しい風が吹くまでに
アベノマスクの納品終えます

♪ え~え マスク
アベノマスク
思いやりの 押しつけマスク
8000万枚 配ります

情報が漏れぬよう
箝口令(かんこうれい)をしいて 
騙(だま)し討つ
耐えて忍ぶ民心を 平気で逆なで
興ざめする 愚弄そのもの

悪夢が甦(よみがえ)る
使い勝手の悪い 布マスク
いまさら配ってなんになる!
いい加減にしろ!

悪夢が甦る
大枚な血税 平然と浪費する
無神経この上ない政権に
配布を止めろと 制する者なし

悪夢は いつまで続くのか
世は コロナストレス爆発寸前!
政権は この世の夏に狂乱する

〔2020年7月27日書き下ろし。夕方知って驚愕した。1ヶ月前に発注したことすらバレぬよう隠していたその姑息さと、その動きすらつかめなかったマスコミの取材力の低さに、ただただ呆れるばかり。許せますか、あなたは〕

付記
布マスク、今後さらに8千万枚を配布 不要論でも発注済
政府が新型コロナウイルスの感染防止策として始めた布マスクの配布事業で、介護施設や保育所など向けの布マスクの発注と製造が続き、今後さらに約8千万枚を配る予定であることが厚生労働省などへの取材でわかった。全戸向けの配布は6月に配布・発注済みの布マスクは計約2億8700万枚にのぼり、総額約507億円の費用がかかっていた。うち郵送やコールセンター、検品などの事務経費が約107億円を占める見通しという。いずれも入札をしないで業者に発注する随意契約だった。
このうち、全戸向けの布マスクは約1億3千万枚を総額約260億円かけて配布。介護施設など向けの布マスクは計約1億5700万枚、総額約247億円で、全戸向けの配布が完了した2日後の6月22日にも、伊藤忠商事など9業者に計約5800万枚を発注していた。契約書によると8月末までに納入される予定となっている。
厚労省によると、介護施設などには職員と利用者を対象に、保育所や幼稚園、放課後児童クラブなどには職員を対象に、1人あたり7枚ほどが行き渡るように配り続ける計画という。(朝日新聞2020年7月27日)

ここにいる

ここにいます
ここから動けません

ここにいます
ここから出られません

ここにいては 涙も流せません
ここにいては 笑うこともできません

ここはどこですか?
なぜ身動きできないのですか?

ここにいます
だれもいない ここにいます
ここにいます
ひとりぼっちで ここにいます
ここにいます
眠気も疲れも 感じません

ここにいるって ほんとうですか?
ただ意識だけが 覚醒(さめ)ています 
ここにいるって 感じています
ここって ほんとうはどこですか?

ここは どこでもないここ
意識だけで 生きているここ
意識だけで 生かされているここ
ここって ほんとうはどこですか?

えっ 機械の中!

〔2020年7月26日書き下ろし。体と脳が活動を終えても、本人の意識の中では「死」を体験せず、コンピューターの中で意識を持って生き続けることができる研究を東京大学大学院工学系研究科准教授の渡辺正峰さんが取り組んでいる。身体的な不老不死ではない。意識を機械にアップロードし、その中で生き続けるという技術だという〕

野暮ですか

あっしらの暮らしぶりも よく知らずに
知ったかぶりしておっしゃるのは 野暮ですね

あっしらの不安ぶりも よくわきまえずに
前とは違うとは 野暮ですね

あっしらが待ち焦がれていたか よくわからずに
二転三転くりかえすとは 野暮ですね

あっしらの我慢のしどころ よく見ずに
ダラダラグズグズするとは 野暮ですね

あっしらも ようやく堪忍袋の緒が切れました
野暮なあっしらでも あんたらの野暮さに
ホトホト嫌気がさしました

あっしらも ここで暮らさにゃならんから
どこにも逃げ出すことができんから
野暮と言われようが 見下されようが
きょうまで 必死に堪えて来ました
もう限界です

あんたらの野暮さに
希望のきの字も 浮かびません
あんたらの野暮さに
失望だけは くっきり見えます
あんたらの野暮さが
さらなる国難を 招いています

世情に疎い
危機管理に疎い
未来展望に疎い
ただ群れてる野暮なあんたらを
お払い箱にしたいのです

〔2020年7月26日書き下ろし。野暮な御仁はもう願い下げです〕

あきた見あきた聞きあきた

あきました
7年も海千山千相手に 踏ん張りました
評価します
でもあきが来ました
子どもらに なぜ続いたのかを尋ねたら
みんなをだますのが うまい人だって

見あきました
代わり映えしない いつもの尊大な態度
代わり映えしない いつものよいしょメンバー
ただ老いだけは確実に 現実を映しています
子どもらに このようすを尋ねたら
みんな 同じ顔に見えてきたって

聞きあきました
オウム返しで済む いつものナメた答弁
オウム返しで乗り切る いつものダレた国会
ただただ貧しい日本語で 国を仕切る
子どもらに 言葉遣いを尋ねたら
みんな 子どもでも答えられるって

あきた見あきた聞きあきた
出処進退 もう潮時です
つまらぬ意地が 国難を招いています
陳腐化したレガシーづくりに しがみつくより
国を担えぬ限界を いまは真摯に受けとめて
スピード感をもって 身を引くタイミング
これ以上 醜態をさらし続ければ
7年間の実績すら 棒に振ります

あきた見あきた聞きあきた
出処進退 いまが潮時です
潔く身を引くことで 体面だけは保てます
諦めと飽きは 態度ににじんできました
大事な税金を 湯水のように使い
後始末ができない 負の遺産
これ以上 醜態をさらし続ければ
歴史上ワーストワンの評価が下ります 

子どもが つぶやきました
嘘をつくって 正しいことだよね
人のせいにするって 正しいことだよね
自分だけいいおもいをするって 正しいことだよね

不正義や不誠実を 
子どもらに正す勇気
ありませんか

〔2020年7月24日書き下ろし。コロナ禍で彼に一任出来ません。まずはリーダー交代して、政治への諦めと飽きから解放されることこそ、社会再生への唯一です〕

付記
世論調査「安倍首相いつまで?」 回答者の45%が辞任求める
社会調査研究センターと毎日新聞が7月18日に実施した全国世論調査では、携帯ショートメール調査の回答者735人を対象に「安倍晋三首相にいつまで首相を続けてもらいたいですか」と尋ね、自由に意見を書いてもらった。
何らかの意見を書き込んだのは556人。その45%(全体の34%)に当たる252人が明確に辞任を求めた。即時辞任を求める意見が目立ったほか、早期、今秋、年内の辞任を求めた人もこの中に含めた。(毎日新聞 2020年7月24日)

風よ吹け

風が吹く
心地よい朝を
木々の葉を揺らし
野草花の薫りを立てて

風が吹く
暑さでよどんだ昼を
吹き流すかのように
汗を冷やして

風が吹く
疲れてだれた夕刻を
家路を急がすように
背中を押して

コロナという風が吹き 
一転した ありふれた日常
コロナという風が吹き
もう二度と 見られない同じ風景
コロナという風が吹き
暴かれた 三流閣僚と官僚たちの政治力

コロナ禍で 不安を吹き飛ばす 風よ吹け
コロナ禍に のさばる者を吹き飛ばす 風よ吹け
コロナ禍を 世直しに変える 風よ吹け

〔2020年7月24日書き下ろし。世直しの風は吹くのだろうか? メディアは朝からコロナ感染拡大の不安を煽り、希望の芽を摘む〕

リスク・コミュニケーションの変質

福祉施設は 置いてきぼりを食った
クラスターが発生する可能性は 最も高かった
施設へウイルスが持ち込まれると
瞬く間に拡がり 多くの犠牲者を出していった

感染症は疾病だから 感染症研究者や医療関係者を招聘
2月14日 専門家会議が設けられた
科学的知見の乏しい閣僚と官僚は
医療崩壊危機を回避するため PCR検査を制限した
専門家会議の見解を都合よく切り取り 国民に告げてゆく
さらに とんでもない事態を招いた
文科省所管の大学病院を排除したのだ
PCR検査も治療も可能 かつ優秀な人材と医療器材を誇る大学病院が外された
大学病院を地域での感染対策拠点として 機能させるべきだった
専門家会議で スルーされたのはなぜなのか?
厚労省がイニシアチブをとったばかりに 文科省は全国休校対策に終始した
縦割り行政の弊害は リスク・コミュニケーションを阻んだ
その場しのぎの馬鹿げた失政を 繰り返す要因となってゆく
メディアは 総出で不安を煽る
世間は 差別と排斥で監視する

そもそも 危険を感知する想像力が 致命的に欠けていた
7年前「インフルエンザ等対策特別措置法」に基づいて
安倍政権は「行動計画」と「ガイドライン」を決めていた
平時からの医療体制の整備は 医療保険費抑制のために退行した
整備を怠ったことが この期に及んで明らかにされただけだった
全てなおざりにしてきた政治のツケを いま国民が払っている
10万円や感染症対応休業支援金・給付金で口封じとは 笑止千万
後世に 莫大な借金返済のリスクを負わせるだけのことだった
7年かけて感染対策していれば リスクの軽減は目に見えていただろう
対策の予算規模が過去最大で 世界的にも最大規模だと誇ったどや顔
なにをか言わん 
大失政を冒しながら 嘯(うそぶ)く男の開き直りがただただ見苦しかった  

福祉施設への防疫対策は おざなりにされていった
クラスターが起これば 施設内で隔離状態となり
さらなる感染を引き起こしていった
2月のダイアモンド・プリンセス号の教訓は まるで成功経験のようであった
リスク・ゼロではありえない福祉施設は 
3密・ソーシャルディスタンシングとは 真逆の仕事
リスク・コミュニケーションさえとらず
ただ感染防止に努めるだけを要求された
6月専門家会議は リスク・コミュニケーションの政府主導を提言した
それを最後に廃止され「感染症対策分科会」にお色直しされた
18人の委員の中には 福祉関係者は誰一人いない
福祉施設の実態を直接訴え審議する場すら 与えられなかった

分科会で 福祉関係者は蚊帳の外に置かれた
ここに リスク・コミュニケーションは 希薄化された
分科会で 政権の意向に沿った科学的根拠も疑わしい提言がまかり通る
ここで リスク・コミュニケーションは 変質化してゆく
国民生活の混乱と困窮は さらなる第2次流行を引き受けるしかない
ここから リスク・コミュニケーションは 死語化する

※リスク・コミュニケーション (Risk Communication) :社会的リスクに関する正確な情報を、行政、専門家、企業、市民などの利害関係にある関係主体間で共有し、相互に意思疎通を図る合意形成のひとつ。

※専門家会議の見解:2月24日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解」のこと。対策の目標を「感染拡大のスピード抑制」と「重症者の発生と志望者数を減らすこと」に絞った。ここで厚労省が先に国民に示した「相談・受診の目安」は、保健所でのPCR検査の抑制のためであったが、「条件」のようにすり替え正当化する役目を会議は果たすことになる。5月8日見直しを図るが、加藤信厚厚労大臣は混乱の原因は「目安が現場で一つの基準のように受け取られ、われわれからみれば誤解です」と責任を現場に押しつけたのである。

〔2020年7月23日書き下ろし。福祉施設のリスクを丸ごと抱えながら奮闘する。リスク・コミュニケーションの重要性をおろそかにする政権が、懲りずにオリンピック開催をぶつ〕

憂鬱なアメリカ人

アメリカは 新型コロナ感染拡大中
7月1日 260万人を突破した
7月21日 382万人 死者14万人
世界の26%を占める感染者
新規の感染者は 3週間で120万人と激増する

コロナ禍は収まるどころか さらに勢いを増す
資産家は 株のもうけで高笑う
失業を余儀なくされた者たちは 
新たな貧困層にと 組み込まれてゆく
人種差別と貧富格差を 広げてやまない
アメリカの憂鬱は とどまるところを知らない

社会病質人格障害と 臨床心理士の姪に断定された
アメリカの歴史の中で これほどの男はいなかった
その地位を 貶(おちし)める悍(おぞ)ましい男が
アメリカの憂鬱を さらに深める

科学的知見を無視し 横柄に振る舞うことが
コロナに立ち向かう勇敢さだと 懲りずにピエロを演じる
社会を平然と分断しても 悪びれることなく
刃向かう者には容赦なく 恫喝(どうかつ)を加え切り捨てる
経済の回復が遅れれば その地位も風前の灯と化す
アメリカの憂鬱が 終わる日は近い

新型コロナより先に 「ある時点で消える」

〔2020年7月21日書き下ろし。日本の憂鬱はコロナだけではない。展望なきどさくさ紛れの政策に嫌気がさす。だから、ある時点で消えてほしい〕

付記
新型コロナ「ある時点で消える」 トランプ氏、根拠示さずまた主張
トランプ米大統領は19日放送の保守系FOXニュースのインタビューで、新型コロナウイルスについて「ある時点で消える。最後に正しいのは私だ」と述べた。これまでも根拠を示さず「奇跡のように消える」などと繰り返しており、改めて新型コロナの脅威を軽視するような姿勢を示した。
11月の大統領選に向け経済の回復を優先させたい思惑が強く、秋の新年度から学校を再開することも各州に求め「若者は学校に行かなければならない。学校を開けなければ予算を付けない」と迫った。(北海道新聞2020年7月20日)

坂本大輔「一生現役」

あなたは つぶやいた
「もう引退だ」と
あなたは 通った
市民がふくしで動く 故郷へと

あなたは 弱音を吐いた
「もう引退だ」と
あなたは 向かった
ふくし計画づくりに 道内の仲間の元へと

あなたは 言った
「もう引退だ」と
あなたは 飛んだ
ふくしの授業をしに 全国の仲間の元へと

あなたは 伝えた
「もう引退だ」と
あなたは 走った
一人ぼっちの わたしたちの元へと

あなたは 誘(いざな)った
「ふくし教育・ボランティア学習」のみちへと
わたしは 教わった
真剣に学び続けることの喜びを

あなたは 説いた
子どもを粗末にしない「共育」の真理を
わたしは 学んた 
本物の「いのちとこころ」の授業を

あなたは 紡いだ 
地域の「きずな」を
わたしが 大切にしなければならない
市民の「ふくしへのおもい」を

あなたは 繋いだ
次代への「ふくしのバトン」を
わたしは 継がなければならない 
あなたの「ことば(詩)」から溢れる力を

わたしは 思い出した
あなたは昔 故郷での講演会で 確かに語った
「ボランティアの世界に〈引退〉の言葉はありませんよ」

[2020年7月20日、登別市社協坂本大輔氏より贈られた掲載丸一年の祝詩。「今ごろになって、あなたから教わった大切なことを学び直し、これからもご指導いただきたいおもいと、あなたへの尊敬の念と教えを詩にした」という。特別な感謝をもって彼の詩を掲載する]