「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

気まぐれと輿論

その男 気が変わりやすいこと半端ない
その時の気分次第で 右へ行ったり左に来たり
何でも思いつきで 物事すすめる
だからやる事なす事 
しっちゃかめっちゃか 忙しい
周りの迷惑顧みず したい放題やりたい放題
男の取り巻き 
気まぐれに振り回されて 右往左往するばかり

男の気まぐれにあわすには 
気をまぎらわすしか 打つ手はない
何かして 嫌なことは忘れよう
何としても このしんどさは忘れよう
弱い者たちをいじめて 倍返し

弱い者たちは
もっと弱い者たちを 
寄ってたかって なぶり始める

男は 気ままで移り気だから
何を考え何をしだすのか さっぱり読めない
ただ時々 惨めな本性さらして叩かれる
たとえさげすまれても 懲りない男

いつか 終わりは確実にくる
気まぐれな男の支配は終わる
弱い者たちの悲痛な声は 日増しに大きくなり
男の横暴なふるまいを きっと止める
その力こそが〈輿論〉だ

※輿論(よろん。パブリック・オピニオン):国民もしくは公共の意見。世間の大多数の人の意見。一般市民が社会や社会的問題に対してとる態度や見解。「世論」と書くときは「せろん」と読む場合が多い。

〔2020年7月1日書き下ろし。仏統一選与党惨敗、米コロナ禍・失業・人種差別で政権叩く。唐突に日本モデルと息巻いた人たちにも輿論の審判は遠くない〕

1千万人感染 50万人死亡

新型コロナ 致死率5%
柩も墓も不足する
葬ることも 葬る人も
感染リスクに晒される

ほとぼり冷めたと
経済活動再開させた都市部では 
根強く感染が広がり
防疫意識はほころび 繕い切れない

海外からの人の移動を 解禁すれば
検疫パスしたウイルスが 
わがもの顔で 入り込む
ゼロにはできぬ ウイスルを
封じ込める手立ては 決して盤石ではない 

感染症という病気を ただ恐れるばかりで
思い込みや誤った情報が 負の判断を助長する
不安と恐れから
病気ではなく その人を社会悪として見る
不安や恐れは 生き延びようとする本能 
時に 嫌悪感と偏見を呼び起こす
嫌悪し離れるだけではなく 侮蔑し差別する
信頼関係をぶち壊し 社会のつながりを断ち切ってゆく

自分だけ無事であれば それでいい
自分さえよければ それでいい
そんな人の数が 増えてゆく
そう思いながらも
わたしの寛容力が いま切実に問われている

〔2020/06/30書き下ろし。札幌でも高齢者施設でクラスターが起こった。世界の感染スピードは止まることを知らない。感染者やその家族への偏見と差別の根も深くなる〕

付記
「新型コロナウイルスによる28日の新規感染者は112人だった。1日の感染者が100人を上回るのは緊急事態宣言が発令されていた5月12日以来となる。東京都は60人が確認され、再拡大への警戒感が高まっている」(日経2020年6月29日11:33 最終更新)

「新型コロナウイルスの累計感染者数が世界で1000万人を超えた。累計死者も50万人を上回った。中国から始まったパンデミックは5カ月余りで187カ国・地域に広がり、なおも拡大を続けている」(日経2020年6月29日14:15最終更新)

バラード「夕餉(ゆうげ)」

下の子見ながら
夕餉の支度
今宵も遅いと
電話きた

疲れた身体を
引きずりながら
灯りし窓辺に
子を想う

待ちくたびれてた
二人の声に
応える「ただいま」
弾む声

この子の手料理
つたない味も
こころこめられて
舌鼓

下の子しつけも
この子のおかげ
泣かずに待ちます
お利口さん

小さな仕合わせ
味わうここは
ぬくもりあふれて
夢語る

食卓囲んで
おしゃべり弾む
寄り添い生きます
母と子と

〔2020年6月28日書き下ろし。母子家庭の日常の風景。コロナ禍でもリスクを冒して働き続ける母と支える子の姿を思い浮かべる〕

地方自治の呪縛と冒涜

呪縛が解けた
押しつけられた 服従心
断り切れぬ 威圧感
逆らうことも出来ぬ 従属感
罪だと知りつつ白を切る 罪悪感

呪縛が解けた
党の意向を受けた選挙に勝ったその裏で
自治体の長や議員が 囚われていた
現ナマ仕掛けたボスが捕まり
騙しきれぬと ひとりが観念
次から次へと 白状した

呪縛が解けた
どんな仕返しを受けるのか
断るのが怖かった
権力を笠に着た者の卑劣さに 屈した
堪え切れなくなった 自治体の長や議員が 
ようやく良心の呵責を覚え
競って買収行為を 白日の下にさらす

さて 県民の呪縛は 解けるのか
地方自治を担う者たちが こぞって加担
地方自治を冒涜し歪めたモデルとして
歴史に禍根を残す
チャレンジ精神やフロンティア精神を誇る県民性に 
平然と泥を塗る

県民の呪縛を解くには
謝罪を そのまま受け入れることだけか
地方自治を守ることにこそ 道は開けよう
地方自治の首長や議員の責務を チェックすることだけか
この問題の根の深さと闇を解き明かしてこそ 道は開けよう

広島のどさくさにまぎれて 批判をかわし
議員に居座る 菅原一秀前経産相
常態化した有権者への買収行為 
東京地検は 起訴を見送る
違法行為を認めて 謝罪すれば一件落着
地検は 民意と乖離する悪しき事例づくりに加担する 

広島は 同じ東京地検
権力にすがり〈おのれのため〉の金権政治
果たして 司直の手で呪縛は解かれていくのか 
不信感を抱きながらも いまは委ねるしかない

一石を投じた国政選挙の買収問題
関わった議員らの
地方自治への冒涜を 深く心に刻みたい

〔2020年6月28日書き下ろし。河井元法相夫妻の冒した罪は、地方自治そのものの冒涜。ところで道会議員は、果たしてその責務を全うしているのか、恥ずかしながらよくわからない。顔の見えない議員たちが、闊歩している怖さを思い知らされる〕

にわか雨と母

老人ホームを出た
久しぶりに 街に出た
寿司屋で 好物の生寿司を食べた
嬉しそうに笑った

戻り道 突然のにわか雨
傘はない
羽織ったジャンパーをかけようと
一瞬ためらった

母の顔をのぞき込むと
雨に濡れた顔が
笑っていた

認知症の母が 
雨に濡れるのは 何年ぶりだろう
何を思い出して 笑ったのだろうか
楽しい子ども時代の思い出か

もしかして 
不遇ないまをおもい
この雨に 涙を隠していたのかもしれない
忘れたい哀しきことの数々も
雨の中に 流してきたのかも知れない

笑顔に隠された 哀愁
笑顔に封印された 苦悩
笑顔に粉飾された 追憶

車いすを押す足に 力が入る
もう少し 二人で濡れよう
雨に涙を隠しながら 二人で坂をゆく

〔2020年6月25日書き下ろし。雨の一日だった。にわか雨にあたった亡母との懐かしいシーン。施設では甲斐甲斐しい介護で、雨に濡れることはない。認知症の母の意識下にあった悲哀の雨を想う〕

決められる政治のなれの果て

即断即決
軽薄な独断専行 

即断即決
官僚の腐った忖度

即断即決
閣僚も口を開けば たわけごと

即断即決
懲りない いかがわしい閣僚任命

即断即決
国会無視の 閣議決定

即断即決
なめられた 烏合の野党

即断即決
羽振りもろだし 金権選挙 

即断即決
リスクに晒(さら)した 優柔不断

即断即決
民意は求めぬ 惨めな失政

即断即決
大盤振る舞い 膨らむ財政赤字 

即断即決
次代へ負の先送り 政治不信と人間不信

即断即決
民意は離叛(りはん) 
倫理なき権欲者らは 辞職せよ

〔2020年6月25日書き下ろし。河井元法相の任命説明、黒歴史に残る買収選挙。総理として総裁として、その責任をまた誰かに押しつけるのか。そこだけは抜け目ない〕

付記
安倍首相は河井前法相を適任と判断した説明必要=自民・石破氏
自民党の石破茂元幹事長は25日、CS―TBSの番組の収録で、河井克行前法相の逮捕に関し、法相に任命した安倍晋三首相が説明責任を果たすよう求めた。次期総裁選に向けたキャッチフレーズとして野党も納得できる寛容さなどを挙げ、改めてポスト安倍への意欲を示した。
河井前法相と妻の案里参院議員の公職選挙法違反容疑での逮捕に関し、「これほど(買収額で)すごい規模の選挙はみたことがない」と指摘。克行氏が「本当に適材適所だったのか」と問い、「このままで済むと思うなよと思う」と述べた。
安倍首相に関し、「首相が選挙のやり方まで指導したとは思えないが、法相は指揮権を発動できる唯一のポジション、河井氏が適任と首相が判断した説明が必要。誤っていたなら誤っていたとおっしゃるべき」と強調した。
陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備方針撤回や、敵基地攻撃能力の検討に関し、「従来、日本が盾で米国が矛で、敵基地攻撃は米国の分担だったのでは。米国の意思確認が必要」と指摘した。
報道各社の世論調査で自身がポスト安倍として人気首位にあることに関し、「党員の支持はいただくが国会議員の支持が少ないのは私の努力が足りないため」と分析。次期総裁選のキャッチフレーズとして「分断や怨念でなく、野党も納得できる寛容と納得、共感を訴えたい」と強調した。(2020年6月25日 © Reuters)

ひとつはひとつにあらず

ふと ひとつのことが 気になった
そのことは こころに止まった
だから 捨て置けなくなった

ふいに ひとつのことが まとわりついた
そのことから 逃れられなくなった
だから 関わるしかなくなった

ひとつのことは ひとつではなかった
ひとつと見えていただけのことだった
ひとつはひとつと思ってはいけない

ひとつのことを 知りたくなって
ひとつがふたつ ふたつがよっつ
知らなきゃいけないことが増えてきた

ひとつがこんなことになろうとは
よろけながらも 追いかける
どんどん深みにはまった 迷い道

どっちを向いても 出口が見えない
一人置かれて 途方に暮れる
何も出来ずに 立ち尽くす

ひとつはひとつにあらずして
そこに始まる 思索の迷い道
ひとつはっきりしていることは
その道を面白がるのは 自分だと
だから
出口は探さず つくるしかない

〔2020年6月24日書き下ろし。ひとつのことの先にある思索の迷い道を楽しむ〕

「お政(まつ)りマンボ」

私の知ってるおっさんは
北の生まれで チャキチャキ道産子(どさんこ)
お政りさわぎが大好きで
呑んでくだ巻いて 政りを語る
習はたくらみ トランプ脅す
朝から晩まで ぼっちゃんかついで
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
支持率上げろ 金もっとおくれ
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お政りだ

おっさんおっさん 大変だ
やばいよぼっちゃん ボチャンと落ちる
すげ替え近いよ 選挙はすぐだ
何をかいわん ワッショイショイ
盛り上げようぜ ワッショイショイ
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お政りだ

ぼっちゃんぼっちゃん 飽きられた
恥をさらすの みっともない
政りさわぎも 絶好調
寒い懐(ふところ) 里帰り
今度の選挙も 勝たせて下さい
朝から晩まで 支持者を回る
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
景気を上げろ 金もっとおくれ
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お政りだ

戦い終わって 日が暮れた
つめたい世間に しばかれて
バッジなくした おっさんは
へたりくさった おっさんは
そっぽ向かれて ただ恨み節
いくら泣いても かえれない
いくら泣いても 後の祭りよ

ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ

〔2020年6月23日書き下ろし。原六朗作詞作曲・美空ひばりの「お祭りマンボ」を替え歌に。ひばりさんフアンには平にご容赦ください〕

噴水に戯れる幼子

札幌大通公園の噴水が 
夏の暑い日を浴びて
キラキラと 硝子のように屈折する
それを一瞬遮(さえぎ)るように
幼子(おあさなご)二人が 陰となる

嬉しそうに 池の中で はしゃぐ
風向きが変わり
煌めく飛沫を 顔に浴びて
屈託のない大きな笑い声をあげる
噴水の音は 一瞬に消され
光と水の世界に戯れる㓜子らを
冷たい飛沫が やさしく包み込む

さりげなく幼子のいる夏の風物詩
見守る者たちの 安らぎの時を刻む
風に踊る飛沫は
幼子らに キラキラ世界を夢見させる

〔2020年6月22日書き下ろし。札幌市は6月19日、大通公園などの噴水を通水させた。いつもの夏と変わらぬ夏であってほしい〕

まていに生きる

人との隔たりが 生まれた
行き交う道で 互いに気遣い距離を取る
人の輪は避けて 通り過ぎる

知人との挨拶も 
顔見知りの子らとの会話も
薄っぺらになりつつある

蕎麦屋に入って席に着く
ゆとりをもって 席を空ける
混み合う時間も 半数しか座れない

スーパーのレジに並ぶ足下に
1メートル間隔で ラインが引かれ
客は 静かに番を待つ

病院も店もどこでも 
無機質な透明のアクリル板が垂れ下がり
対面での会話は 事務的に取り交わされる

学校の教室は 席を離して授業を受ける
マスク越しだと しゃべりにくく 表情もよくわからない
給食の配膳も フェースガードで ものものしい

このままでは 人の暮らしの根が腐る
こんなときだからこそ
ぬくもりあって 気遣いあって
まていに人とつながりたい

このまま警戒する目がはびこると 社会が凍る
こんなときだからこそ
困ったことや心配事に 聴く耳持って 
まていに人とつながりたい

一つひとつのおこないを
ためらうことなく 
まていにする
そう生きる人が 世の救いです

※まていに:より丁寧に、心尽くす心構えやその態度。

〔2020年6月21日書き下ろし。すれ違う人たちの悪気のない距離間。店での警戒体制。コロナ禍での警戒意識がまだまだ続く。〈まていに〉生きるひとたちの存在が有難い〕