「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

雪が舞い風が吹く

11日から12日道内一円暴風雪が吹き荒れた
札幌では太い街路時がぶっ倒れた
湿った雪が電線を切断し停電が起こっていた
今朝にかけて湿った雪が駐車場を覆った
愛車に綿帽子のように積もった雪を払う
除雪車が入る時間を見計らって移動する
近くの店の駐車場をいつものようにタダで利用する

所用があって車を出して市中まで国道12号線を走った
北海道の大動脈12号線でさえ除雪はままならない
道はザクザクでハンドルを取られ二車線が一車線化する
左に寄れば融けた水が逃げ場を失い水しぶきをあげる
凍った雪にタイヤがブレて対向車への危険を増す
いつもなら30分でいける市内でも1時間なら御の字だった
ノロノロ運転で神経を使って疲れが倍加する

仕事を終え戻りは南郷通に変えて車を進めた
路面はまだ12号線よりかましだった
渋滞は時間の経過と共に長くなってゆく
どんなに先を急いで追い抜いても長い列に引っかかる
そんな車を右手に見ながら無駄なあがきと笑ってみた
南郷18丁目で三車線にようやく出られた
12号線への合流口までもう一息だった

強い風が車体を揺らす
相撲中継していたラジオから突然臨時ニュースが流れた
岩見沢と美唄の高速道路の閉鎖がいま解除されたと
札幌放送局が全国中継に割って入る
JRは当然のように間引きか運転見合わせが続く
新千歳空港も朝から離着陸ができない状態だった
道内の交通網は一気に遮断されていた

家に戻ると駐車場ではまだ除雪車が動いていた
あきらめてタダの駐車場まで車を運んだ
1時間後除雪車の音がやんだ
駐車場のいつもの場所に愛車を戻した
風はさらに強くなりマスクを飛ばす
明日は旭川までバスで移動の予定だが
果たして天気はどうなることやらお手柔らかに願いたい
北での移動の予定は決定にあらず冬はいつも未定なり

〔2022年1月12日書き下ろし。12月末までの穏やかな冬は血相を変えていつもよりも力を増して北の暮らしをオミクロン株を伴って厳しく打ち付ける。負けないぞ!〕

ことばはわたし

ことばが生まれた
ことばはあなただった
ことばでわたしは幸せだった

ことばが伝わった
ことばはわたしだった
ことばがあなたを包んだ

ことばが甘えた
ことばはあなただった
ことばでわたしは抱っこした

ことばが甘かった
ことばはわたしだった
ことばがあなたを安心させた

ことばがたどたどしかった
ことばはあなただった
ことばでわたしは戸惑った

ことばがつまった
ことばはわたしだった
ことばがあなたを不安にさせた

ことばが多くなった
ことばはあなただった
ことばでわたしは動かされた

ことばが喜んだ
ことばはわたしだった
ことばがあなたと強くつながった

〔2022年1月11日書き下ろし。言葉を覚えてゆく幼子との親子のあたたかい会話。コロナ禍で出会った母子の会話にほっこりした〕

変化を求めず

世の中が移り変わっても
人の情けが薄らいできても
為すべき事は変わらなかった

複雑になる福祉の問題にも
重複する問題を抱えた当事者にも
為すべき事は変わらなかった

変えてこなかったことが継承された
変えられなかったことで継承された
為すべき事を担う人が確保された

変えなければならないと知ってはいた
変えてはいけない声にいつも押された
為すべき事を変えてはならなかった

変えると負担が増えてゆく
変えるがゆえに学ばなければならない
為すべき先を考えなければならなかった

福祉は担い手の意識と行動によって変わる
旧態依然とした体制は変化を拒む
学校教育も地域福祉も変わらなければならない
負担を避ける懸念のブレーキを踏む
人と世の中の関わりを変えなければならない
他人事への干渉は出来るだけ控える

地域で福祉が進まぬ要因多々あり
変わることを求めず
変わることに対応できず
変わることは不満すら生む

〔2022年1月9日書き下ろし。行政も然り。教育も然り。社協も然り。福祉団体はいかがか〕

体力の限界

男はまだ70を超えたばかりだった
地域は古い市営団地が占めていた
エレベータは設置されていなかった
住民も年々高齢化が進んでいった
独り暮らしや高齢夫婦世帯が多くなっていた

団地には福祉の課題が凝縮していた
老老介護と認認介護の波が一気に押し寄せてくる
階段の上り下りも大きな障害となっていた
通院も思うようにならず我慢を強いられた
買物も重たいものを運び上げるのは苦役となった
家に閉じ籠もる人も増えてきた

団地が担当区だった
一日に何度も階段の上り下りをした
御用聞きで気にかかる人を回った
相談相手になることからつながっていく
困っている人を行政につなぐ重要かつ不可欠なお役目
大事な情報を伝えて安堵の顔を見た時は嬉しかった

膝の案配が気にかかった
階段の上り下りが苦痛になった
整形外科で診てもらった
薬も処方されたが痛みは消えなかった
そろそろ年貢の納め時かと覚悟した

気力は衰えてはいなかった
50代で民生委員になって4期目
団地の老朽化と一緒に住民の老化を見守ってきた
関わる人が年々増えてきた分やりがいは大きくなった
まさか老いが膝にくるとは思いもよらなかった
やりがいよりも体力勝負だと知らされた
12月の一斉改選まで任期を全うしよう
それまでに次の人を探してもらおうと
リタイヤすることを決めた

冷え込んだ今朝も
階段に一步足をかけた
いい子にしておくれ
膝にそう言い聞かせて踏み出した

〔2022年1月9日書き下ろし。どんなに崇高なおもいを持ってしても体力の限界があることを教えてもらった。無理をされている民生委員児童委員の方に敬意を払わざるを得なかった〕

相談される人の心の貧しさ

弱き人たちがいる
遠慮しつつ顔色を伺いながら
ボソボソと相談をする
機嫌を損ねたらどうしょう
ヒヤヒヤしながら相談する
本音は吐けないと用心深く
ドキドキしながら相談する
背いたらひどい目にあうかと
こわごわしながら相談する

弱き人と関わる人がいる
相談は我が事にあらずと聞き流す
事務的な対応に終始して事情は汲まない
一切情に流されず淡々と処理する
決して深入りせず責務を負わぬよう用心する

心貧しく関わる人がいる
やってる感が強くて押しつけがましい
思い込みが強く思い通りにならねばすぐ切れる
勝手な解釈で過ちは認めない認めたくない

聴き耳持たぬ人もいる
苦しみや悲しみを引き受けられない
考え方が違うとすぐに攻撃的になる
自己顕示欲が強く相手を威圧する
してやってる感が強く相手に感謝を求める

人はみな価値観が違う
人はみな人生観が違う
人はみな人間観が違う
人はみな暮らし方も違う

その違いに気づかぬまま
弱き人の前に立ちはだかる
自意識過剰の者たちが
福祉の世界を貧しくする
救われなければならぬのは
我が物顔の心荒んだ彼らか

〔2022年1月8日書き下ろし。福祉の窓口になる者たちの愚かさが、さらに弱き者たちを追い込む。オミクロンが主流に変わる第六波で孤立する人がなきよう願うしかない〕

訃報に心揺れる

今日の午後訃報を知った
去年のイブの前の日
心不全で亡くなったという

面識はない
ジャーナリストとしての評価はとても高かった
母親の介護で札幌に戻った
札幌を拠点に道内の様々な人と暮らしを取材した
時に優しいまなざしで
時に厳しい論調で
世界や社会そして人間の問題を訴え続けた

北海道を舞台に生き暮らす人たちへ
道しるべを確かな表現力で書き示した
歴史を見る眼を気負うことなく鍛えてくれた
そこには
豊かな感性とあたたかい人間性がいつも溢れていた
いま掲載された新聞のコラムを読み返す
とても会いたかった人だった
コロナがその機会を奪ってしまった

あっけなく人生の幕をひく
容赦なく人生を寸断する
ためらう間もなく人生のケリをつける
悲しみも悔しさも
残された者たちの悲歎となる

いまは静かに哀悼の意を表したい

〔2022年1月7日書き下ろし。長女の知人であった。彼女は死の前日ラインしていた。妻とふたり訃報を知り絶句した〕

第六波がやってきた

沖縄は米兵にコロナで侵略された
本国では3日100万人を超える大感染
検査もパスして悠々占領地に入る
岩国基地も汚染されている
横須賀基地も三沢基地もフリーパスで
コロナは我が物顔で侵略するだろう
思いやり予算で感染源の撲滅をお願いしよう
舐められた水際作戦こんなもんでしょ
米国の言いなりになるしかない日本の現実

コロナも基地も米兵もすべて琉球王国が被ります
5日新たに623人の感染が確認された
その8割は30歳代以下の若者たちだ
政府にまん延防止等重点措置の適用を要請するという
それで感染が収まるわけではない
金を出すだけで後はよきにはからえか

全国も3ヶ月ぶりの2000人台突破
専門家?は2月には3万人を超えると予想する
道内は年末年始の人流で札幌でも感染者は増えてきた
道知事は仕事始めに将来に希望の道筋を挨拶するが
すでに希望の灯すら揺らいできている
言葉に信念も決意もない空言のアドバルーン
オミクロンも見つかり第六波の予兆が見えてきた
大阪から持ち帰り濃厚接触者は20人を数える
札幌市長は市政百年の礎にと年頭挨拶したが
そこで札幌五輪の誘致を取り上げる
能天気な発言にいささか食傷気味だ
医療体制の整備と確認を市民に周知すべきだろう
医療保健機関の対応が万全なのかは安心の保障である
市民や道民を納得させるだけの手を見せなければならない
いままでの教訓をいかせるのか
政治家のお手並み拝見いたしましよう

移動制限と三密解消は十分やってきた
飲食店に時間制限や人数制限をどこで仕掛けるのか
千歳空港だけではなく
青函トンネルをくぐってくる観光客らに
どう対応するのかもよくわからない
ワクチン2回目接種は道民の8割方は済んでいる
3回目の接種の計画を示さねばならない
治療薬についても確保の時は迫ってきている
10日以降の感染拡大は予想の範囲だろう
2月には「まん延防止等重点措置」の適用も想定される
市中感染作戦で一気呵成に攻めてくるオミクロンに備えよう

12月20日以降の道内の新規感染者数(札幌市分)の推移を記録する
12月20日:14(5):約1か月ぶりに札幌市と旭川市で計2つのクラスター
12月21日:15(7)
12月22日:29(24):約1か月ぶり20人超、全国2番目
12月23日:26(21)
12月24日:12(8)
12月25日:22(15)
12月26日:22(14)
12月27日:11(11)
12月28日:20(15)
12月29日:26(14)
12月30日:32(19):約1か月半ぶり30人台
12月31日:21(12)
1月 1日:23(15)
1月 2日:16(12)
1月 3日:10(7):札幌10日ぶり1ケタ
1月 4日:26(9):道内で「オミクロン株」初確認
1月 5日:34(26):札幌12月23日以来の20人台

〔2022年1月5日書き下ろし。どのタイミングで爆発するのか。油断は許されない事態が続く。まずは年末年始の道内の感染者の記録を残しておく〕

付記
政府、沖縄に「まん延防止」7日にも決定へ 広島・山口も適用へ調整
政府は、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」を沖縄県に適用する方針を固めた。感染が拡大している広島、山口両県についても、重点措置を適用する方向で最終調整に入った。7日に専門家らに政府方針を諮り、了承されれば、国会への報告を経て、政府対策本部で正式決定する見通しだ。
政府関係者が明らかにした。全国での緊急事態宣言と、宣言に準ずる重点措置は菅政権下の昨年9月にすべて解除されており、岸田政権では初の適用となる。
沖縄県は5日、新たに623人(米軍以外)の感染が確認されたと発表した。オミクロン株感染は5日までで135人。米軍関係の新規感染は6人で、昨年12月に基地内で大規模なクラスター(感染者集団)が判明して以降の感染は計1001人となった。
玉城デニー知事は5日、重点措置の適用を6日にも政府に要請する考えを明らかにした。適用期間を9~31日とする方向での要請を検討している。
米軍以外の1日あたりの新規感染者が600人を超えるのは昨年8月28日以来。県の集計(4日時点)で、直近1週間の10万人当たりの新規感染者数は38・99人で、全国で最も多い。確保見込みも含めた病床の使用率は23・5%となっている。
沖縄では昨年12月半ば、米軍基地内で日本側の検疫なしで米国から直接入国した部隊のクラスターが判明。その後、日本人基地従業員のオミクロン株感染が次々と明らかとなっている。県は、ゲノム解析の結果も踏まえ、「米軍由来」のオミクロン株の感染が基地内外で急拡大しているとみている。
山口県では、米軍岩国基地がある岩国市内を中心に感染者数が急増しており、同県に隣接する広島県でも感染が拡大している。政府は両県から重点措置の要請があり次第、適用する方向で最終判断する方針だ。(朝日新聞2022年1月5日)

いまを書き描く

いまを書き描く
限られた認知
限られた思索
限られた生命

いまを書き描く
知に目覚めよ 静かに
知を巡らせよ 速く
知をたぎらせよ 強く

いまを書き描く
言葉をたぐらせ 広く
言葉を引き出せ 豊かに
言葉を吹き込め 深く

いまを書き描くに足らぬ
己の非力を思い知れ 
己の無知を心に刻め 
己の知見に頼るな

いまを書き描くに足らぬ
世のいのちと暮らしに向き合え
世の不条理と不正に目をつぶるな
人の世の深い情けに心を満たせ
人生の機微を鋭く感受せよ

生きてきた情愛を書き描く
宇宙の悠久の時の流れの一瞬に
いまを生きるを書き描く
宇宙の小さな惑星に生命が躍動した事実を
いつか果てるまで書き描く
宇宙の一点に存在した人間の生き様を

〔2022年1月5日書き下ろし。今年も書き描くことに微力ながら挑む〕

不満を評価に

世の中や人の為に身を粉にする人たちがいる
蔑ろにできない人たちの活動と心情を詩に表す
おもいと重なる詩情が心に落ちて生き方を確かめる
新しい研修スタイルは共感を持って評価された

多くの人生から学び得たことを発信する
多くの事例から大事な学びをまとめる
多くの事実から共感したものを束ねる
多くの活動から解決の可能性を見出す
多くの思惑からブレない活動指針を確かめる
多くの課題から福祉への道を明らかにする

詩と向き合って心動いた多くの人がいた
詩に共感して意欲を高めた多くの人がいた
詩を介して自らの生き方を振り返る多くの人がいた

ミスマッチ
詩を用いた研修に戸惑う人がいた
詩を受け入れがたい人もいた
詩を書いた者を責める人もいた

ミスマッチ
内容に違和感を憶え拒否する
過去の座学から逸脱できず執着する
新しき方法の欠点を探し糺弾する

ミスマッチ
求めるものが得られない
途端に不満を露わにする
求めるものが満たされない
途端に冷静さを失う
求めるものは何もない
途端に苛立ちをかきたてる

ミスマッチ
求めることが許されない
途端に不平を口にする
求めることからかけ離れる
途端にすべてを否定する
求めることをあきらめる
途端に怒りの感情をぶつける

一人ひとりの要求にはとても応えられない
一人ひとりの要求をとても満足させられない
一人ひとりの要求は決して蔑ろにはしていない

不満と否定の声に感謝する
おかげでこの研修は進化し続ける
非難と批判の声に感謝する
おかげでなすべきことが見えてきた
葛藤と譲歩の声に感謝する
おかげで個々の課題が明らかにされた
評価と激励の声に感謝する
おかげで確信をもって次の研修に臨める

詩を教材にしたユニークな研修プログラム
参加者のおもいを引き受けながら
そのあり方をさらに追求していこう

〔2022年1月3日書き下ろし。始めた者の責務。受け入れがたい人のおもいを受けとめて、前に進もう〕

民意17年の重み

社協の認知度は低かった
何をしているのか知らなかった
市民と福祉をつなぐ道は険しかった

社協は市福祉部局の出先機関と思われていた
市に人件費も人事権も握られていた
社会福祉法人として苦渋の年月を重ねていた

2005年一大改革に打って出た
市民と協働して策定する地域福祉実践計画
道内では事例はなかった
道外も五万人規模の事例は皆無だった
市民主導の計画づくりそのものが挑戦となった

50余名の委員が各校区から選出された
会議は定刻に始まり2時間で終わる
時間厳守で集中審議を促した
市民参画の揺るぎない態度形成をもたらした

市民アンケート調査は連合町内会の支援を得て実施した
全世帯に配布し回収率6割弱は前代未聞の快挙であった
社協の存在と社会福祉をアピールする手法でもあった
地域座談会も全地区で開催して民意を聴き集めた
手探りの拙い計画づくりではあったが
市民と協働するスタート地点となった

あれから17年の歳月が流れた
コロナ禍で第4期の策定委員会が開けず
第3期計画を1年延ばさざるを得なかった
去年の6月からようやく委員会が動き出した

この17年で求めたものは何か
何を得ようとしたのか
何を得たのか
何が得られなかったのか

この17年で変わったのは何か
何が変わったのか
何を変えようとしたのか
なぜ変わったのか

この17年で変わらなかったのは何か
何が変わらなかったのか
何を変えようとしなかったのか
なぜ変わらなかったのか

その解を第4期計画に求めてきた
これからの5年は予断を許さぬ時代が始まる
変わるべきものを変える
変わらなければならぬものを変える
変えてはならないものを確かめる
いま新たな「きずな計画」が立ち上がる

変えてはならぬことだけは明らかだった
市民一人ひとりの暮らし方を問う「きずな計画」
市民と福祉をつなぐ「きずな計画」
市民が福祉を実践する「きずな計画」

変えた事実も明らかだった
17年の実績は市民も社協もその福祉力を逞しく育てた
社協は市民の民意をきずなに束ねる福祉でまちづくり
社協を市民が民意で支えて築く福祉でまちづくり
社協が市民と民意で創る明日に福祉でまちづくり

わたしがこのマチ登別で
幸せに暮らし続ける理由を添えて
市民の信頼と希望を注いだきずな計画は
新たな役割と展望を持って
市民が躍動する計画となる

〔2022年1月3日書き下ろし。登別市民の願いと希望を第4期きずな計画に託す〕