「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

倒れる前に

独居の老男がいた
卒寿に近い 男だった
連れを亡くして もうかれ15年
子どもらも とうの昔に家を出て
年に数度の里帰りにしか 滅多に顔は合わせない

男は 年相応に患ってはいたが
独り暮らしは 気ままで性に合っていた
家事はそこそこ 間に合っていた
7年前に 子どもが心配するので免許証の更新は諦めた
いまじゃ三輪自転車で 散歩がてらに乗り回す
近所の人らは 
たまに寄って声をかけてくれたり
余分に作ったから手伝ってと おすそ分けしてくれる
互いに干渉することもなく 気楽なつきあいも気に入っていた
一日でも長く 妻と二人で建てたこの家で 暮らしていたいだけだった

会話がなければ 老いるのが早いと
数年前から 民生委員に進められ
デイサービスに 週に2回通っている
介護度はまだ1だというと 
周りはみんな元気だねと 感心される
先のことをくよくよ考えるより
いまを大事にすることが 長寿の秘訣
そして毎晩欠かせぬ晩酌 良薬口に甘し

男は悟る
自分の暮らしは100% 自力できるわけがない
だから 他人(ひと)の力や 公の支援を受けて
なんとか暮らしていけるだけ「
足腰が弱くなったとしても いまを支えてくれて
しばらくここで暮らしていける
これが仕合わせというものなのだと しみじみ思う

人の手借りず我慢して 意地を張って暮らした先に
突然倒れて 一致も察知もいかなくなったら
もう 周りは差し伸べる手立てがない
だからいま しっかりと支えてもらえるここで
暮らしていける喜びを 噛みしめながら
今朝も 無事に目覚める

コロナ禍対策108兆円は いま使うべき金
倒れし前に 万全の支援の体制取ることで
大事あるときの立ち直りは きっと早い
倒れし後に どんな支援も焼き石に水
後の祭りで 金も時間も手間も余計にかかる
小さなところは立ち直れず 再起不能と知るべし

倒れた後の始末の見せ金ひけらかしても 誰も信じず 
安倍内閣・自民党 見限るタイミングを探るだけ
事の甚大さに 若手議員ようやく気づきあらがう
そうしなければ 次の議席はありえない
長老政治に 三行半を渡す覚悟ができたなら
懐柔されぬよう 名を公表して 動くべし
一時のパフォーマンスでは 次はないと腹くくろう
安倍一党が 徐々に崩れていくさまを 注視したい

ぺしゃった後の始末を吹聴する前に
いまぺしゃらぬように あらゆる手立てを講じるべし

〔2020年4月13日書き下ろし。経済のV字回復言う前に倒れぬよう手立てをつくすことこそ本分ではないのか。そもそもの起点がズレたまま。ようやく若手から赤に近いカードが出された〕

浮世離れ/やんなっちゃった

浮世離れ

外出自粛ができる人は
自宅待機のできる人
ミュージシャン星野源「うちで踊ろう」の動画に合わせ
愛犬を抱いたり 読書をしたり
東京・富ケ谷の自宅で くつろぐ余裕を
首相官邸のインスタグラムとツイッターに投稿する
自宅待機を呼びかけるメッセージがついていた
星野源には よもや予期せぬもらい事故

民は 明日の生活どうなることかと 不安いっぱい
休業要請された 飲食店や歓楽街の営業者 
倒産も すでに覚悟の上の自粛協力
一方で 民のいのちを預かり守らざる得ない人たちは 
警察・消防・医療・介護・食料生産・食品製造・販売、輸送に配達などなど
365日休みなど あるはずもない
運営自粛も許されない
夫婦揃って 浮世離れもここまでくれば ご立派の一言
これから毎日 自宅に籠もって自粛され
そのままどうぞ 第一線から外れてください

いのちと暮らしを護ると 乾いた言葉で公言したが
下々の民の言葉に 聴く耳持たぬ人だけに
民が何を言おうと 馬耳東風
いま介護の現場では 必死に罹患防止に取り組んでいる
いま医療の現場では 必死にリスク抱えて治療に取り組んでいる
いま輸送の現場では ドライバーが不眠不休で生活物資を送り届ける
365日休みなく 厳しい勤務シフトに耐えている
自粛したくともできない
過酷な労働を強いられた人への 配慮に欠きし無神経
彼らの心情や社会的責務に 寄り添うことは決してない
彼らのおもいを逆なでする 優雅な動画を拡散させて
一体何をしでかしたのか それすらわからぬ ボンボンに 
いよいよ迫る 国の命運 
あなたは 預けられますか

民とズレた政治感覚を いつまで寛容気取って放置・放任されるのか
コロナ禍の緊急事態だからと 捨て鉢になるには早すぎる
この闘いは この国に住まう民を生かすことにしかない
いまこそ 民よ 覚醒せよ!

〔2020年4月12日書き下ろし。特権階級の優雅な暮らしの一端を民に見せていただき感謝。これがボディブローのように効いてくるのを待ちたい。日本に住み暮らす多国籍の民と共に生きる道を示そう〕

 
やんなっちゃった

時の内閣 大事なときに
仕事する人 そっぽ向く
ここぞとばかり 策を練る
みんな 駄作で墓穴掘る
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

コロナ禍 拡がる危ないときに
仕事できずに 共倒れ
その先 V字回復アリナミン
あっても飲めぬ人ばかり
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

お茶を飲むのも 離れて二人
お話しするのも 離れて二人
お食事するのも 離れて二人
別れ話に花が咲く
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

学校行けずに 子はゴロリ
親も会社に行けずに ゴロリ
じさまもばさまも いつでもゴロリ
みんな太って動けない
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

ビッグマウスに ちっちゃいマスク
やる気まんまん から回る
思いついたら 我慢ができず
言った先から 焼き入る
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

こんな歌でも 歌わん限り
やりきれなさが 募ります
それでも みんな元気を出して
この世に生きるほかはない
あゝやんなっちゃった あゝ驚いた

〔2020年4月12日書き下ろし。講談家牧伸二がウクレレ片手に世情を風刺し一世を風靡した。だれか続きを書いてください〕

つばぜり合い

国と都が 面子をかけたつばぜり合い
軍配は 都が有利と大方予想と
国は威信をかけて 後出しで ほころび繕う
緊急事態宣言受けた他の県は 様子眺めるだけで無言を通す

民のいのちを人質に 政治家同士のバトルが続く
泥試合の行き着く先は 不安と恐怖が入り交じる 
制御不能の事態なり
経済を優先する政権の失地挽回 すでになし
いまはいのちを守ることに 一念専念すべきとき
訳のわからぬ108兆円 世界に劣らぬと豪語したる金
いのちを守るいまこそ使え
いのちさえ守れた先にある試練 民は受け入れ
復興に その力を示すだろう

いままでの対策は 迅速性や大胆性が欠落し 
そのしょぼさが 日本をさらなる危機へと落とし入れた
いまは 言い訳などは聞きたくない
やれるべきこと やるべきことを 間髪置かずに実行あるのみ
その責任は 内閣と異見も言わずに追従したギインにあること明瞭なり
安倍内閣の退陣も コロナ禍の最中にこそ相応しい
腐心と不信を抱かれる者に 民のいのちを預けることは国難そのもの
亡国へと誘ういまこそ 民は声をあげていのちを守れ

東京の都知事の動きも政治的
オリンピック開催に血眼上げて 開催延期を誇るより
使った金はもう戻らぬと諦めて いまこそ都の財政総動員
価値ある政策を 思い切って打つがいい
北海道の鈴木知事のように 国の支援を当てにして
なんの手立ても打たないままに 道民はよくやったと評価する
そんなバカなことは 起こってなるまい

打つべき手は打って始めて 打開の道は開けうる
政治家として 生き残りをかけたサバイバル
勝負できぬなら 卑怯者根性無しと 
蔑(さげす)まれぬよう 覚悟せよ

〔2020年4月11日書き下ろし。いまさら休業補償を西村経済再生担当大臣が言い出す始末。往生際の悪さがこの政権の正体なり。民もいい加減に自民党への依存体質捨てようか〕

焼け石に水

東京は 尋常ではなくなった
コロナ禍は その場しのぎの国の施策を薄笑う
緊急事態宣言後 感染者の数は毎日更新された
休業補償拒絶した 国の休業要請 
2週間様子眺めの悠長な構えは 甘いの一言
業を煮やした 都知事は 迅速果敢に動く
50万円では 家賃にも満たない額であっても 
ないよりましのお願いに どれだけ功を奏するかはわからない
飲食店は死活問題 多くの店は開けるしか手立てはない
それでも都知事がましなのは 
しっかりと 事態の逼迫性(ひっぱくせい)を訴える
記者会見の仕切りも さすがメディアの出身者
ツボを心得え 自分の言葉で語り さばきも上手い

愛知も京都も 独自で緊急事態宣言するも
国の判断の甘さを ここでも露呈
宣言したにも関わらず 一体何をするのか 何をしたらいいのか
皆目誰にもわからない
コロナ禍後の 経済のV字回復をアピールするばかりで能がない
コロナ禍対策で 国が成すべき道筋と 具体的な中身はしょぼすぎる
世界の情勢見てきていながら 経済優先で中途半端なことしかできず
周りに集いし〈有能な者たち〉 この数ヶ月どんな分析・進言してきたのやら
国難とアピールしながら 集めしブレーンの程度が問われる

初動に躓(つまづ)き 支援金の出し惜しみとマスク配布の誤算で
やる事なす事 民の信頼と納得は得ること叶わず
内輪の危機感抱いた若手の党員にも 突かれる間抜けな失政
容赦なく批判の矢面に立ち 疲労困憊 
統制能力の限界は 誰の目にも明らかだ
ぶち上げた108兆円も なんの予算か意味不明
安倍政権の政府対応は でたらめで滅茶苦茶と揶揄(やゆ)される

記者会見中も 夜間の外出自粛要請することで
警察官が職務質問することがあるのかと問われた
一瞬薄笑い 侮蔑の様相見せるも 
職質ではなく 協力を要請するかもしれないと  
強い取締の前兆に さしたる関心示さず 安直に答える
この程度の要請で終始するかは 予断できない
そこに 改憲の突破口にとする悪巧みが 平然と浮上し
この機に乗じて 自民党総裁の意を受けて 論議を加速する
悪あがきは 許すまじ  

焼け石に水の政策は 頓挫するのは目に見えた
だから都知事は 批判を覚悟で勝負をかける
強いリーダーシップを 国との折衝で示して 政治力を鼓舞する
コロナ禍は 政治家の命運を分けるもう一つの戦いなのだ
お友だち内閣 忖度閣僚では すでに勝負はついている
民が 退陣の潮時を感じるセンサーは 日々増幅していく

政権擁護する者が かばいすぎるのも いと哀れなり
どれだけ 隠謀謀略をめぐらそうと
政治は 結果でしかない

〔2020年4月11日書き下ろし。小池百合子都知事が休業要請を発表した。要請や協力金には不満も残るが、切迫した事態を訴える都民へのアピールには説得力がある〕

付記
「政権は誰のために何をお願いしているのか」
★緊急事態宣言が出た後の政治家の発言から見えるもの。政治家自身は初の緊急事態宣言をどう受け止めたのか。自民党幹事長・二階俊博は取材に「人の接触を7~8割減らしていくという総理の発言があったが、自民党内でもそういった動きが今あるか」の問いに「人の接触を7割とか8割とか8割5分にするとかって、そんなことはできるわけがないじゃないですか。それは国民の皆さんのご協力をお願いすると、こういう早く言うと、お願いベースですよね」との受け止めを示した。
★副総理兼財務相・麻生太郎は、来週テレビ電話会議で行われるIMF(国際通貨基金)総会、G20財務相・中央銀行総裁をはじめ一連の会議で低所得国債務救済のため、日本がIMFの大災害抑制・救済基金「CCRT」への資金拠出を準備していて、その原資は緊急経済対策の108兆円から拠出される。
★コロナ対策担当の経済再生相・西村康稔は、緊急事態宣言発令の対象地域となった7都府県知事とのテレビ会議で、休業要請を2週間程度見送るよう打診していた。また首相・安倍晋三は、外出自粛要請に関連して、職務質問を活発化することなどを警察に要請することはありうるかと問われ「取り締まりの対象には、罰則ありませんから、取り締まりの対象ということでは、警察が取り締まることはありません。ただご協力は要請させていただくということはあるかもしれません」とした。また、7日の会見では「例えば最悪の事態になった場合、私が責任を取ればいいというわけではありません」と答えた。これは責任を取ったことのある人が言っていい言葉だろう。
★国民に一体何をお願いしているのか、緊急事態ではないのか、経済対策は誰のためか、そして宣言の拡大解釈や恣意(しい)的な運用はないか。安倍政権の政府対応は、でたらめでめちゃくちゃだ。(K)※敬称略(日刊スポーツ2020年4月10日「地獄耳」から)

「きょう国内感染者600人に」
10日、国内で新型コロナウイルスへの感染が確認された人は、これまでに600人となり、一日に感染が確認された人数が初めて600人に達しました。
10日は緊急事態宣言が出されている7都府県のうち、東京都で189人、埼玉県で53人、福岡県で39人の感染が確認され、いずれも一日の感染確認としては、いずれも過去最多を更新しました。
このほかにも大阪府で80人、神奈川県で37人などの感染が発表されています。(日テレNEWS24 2020年4月10日)

茫然自失

466億円?!
ここまでするか!
コロナ禍で 日本列島は危機的状況
緊急事態宣言したばかりで 飛び込んできた
雇用を守るといいながら 損失補償もないままに
マスク配布に 大枚な血税投入
何という失態 愚劣極まる失政 

あんね
手元にマスクがなければ いろいろと工夫をするのが民の才覚
1世帯マスク二枚もらっても ありがたいとはこれぽっちも思わない
マスクをさせて 非難の飛沫を防止する作戦かい
配布の準備している間に 頑張って生産している国内マスクが市場に出回る
そこまでの辛抱でしかない一時しのぎに 466億円は全く捨て金 
「過(あやま)てば則(すなわ)ち改むるに憚(はばか)ること勿(な)かれ」
松陰先生の教えも あったもんじゃない
「至誠」は ただの見栄張るお題目か

あんね
世間との生活感覚のズレは 修正不能ってわかってるけど
老害進むジミントウ 80代に牛耳られてるジミントウ
経産省が陰で操る官邸政治に 物言えぬ小物の寄せ集めのジミントウ
大義なく劣化していくギインの資質 
もう終わってるね
こんな政策通して 地元にかえって罵声(ばせい)を浴びなよ
マスクの代わりに 日本手ぬぐいでほっかぶりかな
ギインの条件は厚顔無恥 そんな心配ご無用か

あんね
緊急経済対策で 6兆円の給付金を盛り込んだ
してやったりと 記者会見で得意げな顔してたけど
いまはどんな我慢が必要か 民はみんなわかってる
こんなときだからこそ 
助け合いや分かち合いの「きずな」が育っていくんだよ
マスク二枚でおべんちゃかまして いらぬ恩を売る 
テレビ放映 右左に顔をふりふり 官僚書いた原稿読むだけのこと
カメラの先の 民へ向かって話をするのが 筋だろう
民を見くびる語りの軽さ 自画自賛は許すまじ 

あんね
466億円プラスしたら もっと大事なことに使えない? 
いま社会のインフラや 食料生産販売・医療・保健・介護・物流などなど
感染のリスクを抱えながらも 懸命に働いているその人たちに 
危険手当や割り増し手当を 支給すべきでないのかい 
あんたらは 安全地帯で要請ばかりするけれど
現場で働く人たちを 共に支えて始めて この難局は乗り越えられる
そこに財政投入することに だれが反対しますかって
それこそ一丸となって 頑張る力になることぐらい 想像できないのか
揃いも揃って ぼんくら内閣 ジミントウ
せめて支援の制度設計する者たちは 想像力を発揮して
至誠を尽くし 体を張ってほしいと ひたすら願う

それにしても
この国難を乗り切る知力と体力は ほんとにあるのだろうか
稚拙なリーダーに盲従する ギインと霞ヶ関のイエスマン 
民の焦心 マスクと心浅し言葉でかわして 
さもわかったふりして 踊らせる
ヤトウも何をしてるんだか 
吠えるだけなら誰でもできる 
この国難に ギインはみな頼りなしと 明かされた

血税は 血の出るおもいで納めた過酷な税
血税で 己の権力を誇示することは見苦しい!
血税を いい加減な思いつきで浪費をするのはやめてくれ!
 
〔2020年4月9日書き下ろし。別のテーマで書いていたときに、このニュースが飛び込んできた。茫然自失〕

付記
「布マスク配布の経費に466億円 政府が全世帯、大きさにどよめき」
 政府が新型コロナウイルス対策として全世帯に布マスク2枚を配る経費について、466億円と見積もっていることが9日、分かった。立憲民主党などの野党会派の会合で政府側が明らかにした。野党側は政府の緊急経済対策が不十分だとして「そんなことをやっている場合か」と反発した。
 出席議員によると466億円の財源は、公表済みの2020年度補正予算案に計上した233億円に加え、20年度当初予算の予備費からも233億円を支出する。会合では、財政負担の大きさにどよめきが起こった。
 布マスク配布は「アベノマスク」とやゆする声と、国民の不安解消につながるとの賛成意見が交錯している。(共同通信社 2020年4月9日)

中庸 第23章

其次致曲 曲能有誠 誠則形 形則著 
著則明 明則動 動則變 變則化
唯天下至誠為能化

小事を軽んじず 至誠を尽くせ  
小事に至誠を尽くせば 誠となる
誠あるものは にじみ出る 
にじみ出れば 表れる
表れれば いよいよ著しく 
著しければ 感動を呼ぶ
感動は 変化を起こす 
変化は 万物を生育する
天下において 至誠を尽くす者のみが
己と世を 変えることが出来る
(韓国映画『王の涙~イ・サンの決断』から引用:訳者不明)

小事を軽んじ 嘘で固めて
不誠を体現せし者
そこに滲み出る 不遜な言動
隠しきれずに 表れし
著しければ 不信が強まる
不信は 世に変化を促す
変化は 不誠な者を拒み退ける
民に 至誠を尽くさぬ者は
己を偽り 世に能(あた)わぬ者となる

同郷の吉田松陰に傾倒し者よ
座右の銘は「至誠」と聞き及ぶ
松陰の教えの深さと重さを 
いまのあなたは 耐えられるのか 

「子曰 過而不改 是謂過矣」
(子曰わく 過ちて改めざる 是れを過ちと謂う)

※『中庸』(ちゅうよう):儒教の四書五経の四書の一つ。君子が国家や政治に対する志を述べる大説。四書は「論語」「大学」「中庸」「孟子」。五経は「易経」「書経」「詩経」「礼記」「春秋」。

〔2020年4月8日書き下ろし。感動のなき世はつまらない。感動は変化であり成長となる。なお私は漢文の素養は皆無であり、無知を承知で無恥を晒す)

辞められない

欲をかいたばっかりに 引くに引けないとこにいた
欲を出した東京オリンピック開催で 優雅な退場を夢見てた
欲をかかねば いまごろは 事の成り行き見ていたものを
欲のお陰で 事の判断すぐできず 損な役回りと相成った 

あのとき辞めときゃよかったと いつもタイミングを逃してしまう
日米安保条約堅持と憲法改正 公約だと吹聴したがために
憲政に大きな汚点をつけたのが 事の始まり傲慢だった
森友事件で妻の名が出てきたときには 事の始末に冷や汗かいた
飛んでる妻をかばう お友だち内閣・官僚絶好調 
一人自死しようが その結束は揺るぎない
嘘を嘘で塗り固め 知らぬ存ぜぬと白を切る
火の粉をかぶった身代わりは 栄転させて恩返し
いつも持論を押し通し 身の潔白を主張する 

付けが回ってきた
いよいよどん詰まりのコロナ禍対策
予想だにしない感染拡大 慌てふためき判断遅滞の体たらく
国難生じて 小心者の打つ手は小出し
ウイルス相手に騙しはきかず その収束にあたるしかないと腹くくる
お友だち内閣は無能な集団と化し 役に立たずとようやく得心いった
少しましな取り巻き連中の言葉を真に受け 勝手に決めて号令一下
強いリーダー気取っても 家紋の知れたボンボン育ち
世間との暮らしのズレは 妻と同様致命的な修正不能
言うこと成すこと 顰蹙(ひんしゅく)を買うお粗末さ
自ら一度緩めた規制から 2週間後には都市部に広がる感染者

危機回避の手腕が問われるこの事態
このタイミングに颯爽(さっそう)と 政治手腕の秀でた都知事がカムバック
見事にお株を奪われて イニシアチブを持って行かれた
苛立ち焦りながら仕立てた 準備不足の緊急事態宣言
諮問委員会の委員長を同席させた さもさもらしい記者会見
それも 先の一斉休校の独断専行の批判を回避しただけのこと
もっと深刻極まる発言
もしものことがあったなら 代理執行者は麻生太郎と名指しした
国難ではなく 亡国となる 

自己責任を回避する方法探って 判断保留
周りが催促する環境をつくり ズルズル延ばして時間を稼ぐ
都知事を牽制せんがためのタイムリミット
ようやく出した緊急事態宣言
それも名古屋を外し 8つの自治体に丸投げしたも同然で
1ヶ月後にどんな成果が出るのかは 皆目わからない
ピークは まだまだこれからだろう

ただただ驚く執念は
昨日の衆議院運営委員会で飛び出した 
コロナ危機に乗じた 改憲による緊急事態条項創設への前向き発言
改憲にすり替えようとする輩に乗じて 本音を吐露する
終息後の改憲論に弾みをつけたと 改憲論者は意気上げる
目の前の国難に立ち向かうこのときに 改憲論は論外なり
日本の国難は コロナ禍以上にこの程度の〈ひと〉にあり

あのとき辞めときゃよかったと
途中で放り出せば 
後の世に無能な政治家だったと罵倒され
長期政権の傲(おご)った成れの果ての不始末と 歴史の評価が下される

あのとき辞めときゃよかったと
欲さえ欠かずにいたならば 
こんな心労味わう羽目にはならなかった
そのタイミングはすでにない
緊急事態宣言も アベノミクス頓挫して 経済回復望めぬいまは仕方ない
その先のV字回復ありえない

もしもコロナ禍対策失敗したら
やっぱりそんなもんだったと 
恨み辛みを一身に受け かばう者はなし
そう見たことかと 蜘蛛の子を散らすように離散する 
それが 政治家の政治家たる非情そのもの

もしもコロナ禍対策成功しても
経済復興無理ならば やっぱり恨み辛みを買うしかない
国を導くリーダーは 結局ただの人である
失政を見て見ぬふりなど もうできぬ
民の堪忍袋の緒が切れる前に 潔い退陣しか道はない

国難を乗り切るための方法は
まず自分が感染者かもしれないと 行動自粛をすること
密閉空間・密集場所・密接場面を 避けること
ともに痛みを分かち合い信じ合う 人としての寛容力もいま試される
そして 社会や人のために リスクを負いながらも
一生懸命働く人たちへのおもいに応えて
深い感謝の心と言葉を添えて 
いのちと暮らしが支えられていることを 伝え広げていくこと
社会を強くしていくのは 政治の力ではない
いつの世も 苦難に生きようとする生命力と生活力に溢れた
「民の力」を結集すること

一人ひとりの覚悟をもって
「民の力」を いまこそ子どもや若者らに伝えていかなければならない

〔2020年4月8日書き下ろし。いつも中途半端で懲りない政権。緊急事態宣言後の社会環境や感染予防対策の条件整備が気にかかる。北海道で海外からの帰国者の発症散見で第2波の恐れありといま報道される〕   

ちびるな

大胆には 見せ金を出してひけらかす修飾語
丁寧な説明は してはならない反意語
責任取りますは バカを突き放す離別語
弁解は 口から出任せ常套語
辞任するは 本音を吐けぬ禁止語
新型コロナの対策は 時間をかけ過ぎた陳腐語
いつもの後出しジャンケンは 自己防衛の権威語 
緊急事態宣言は 風見鶏らしくタイミングを計った適時語

東京が危うくなった
軽度の罹患者を隔離するホテルを確保したという
だれがケアをするのやら
緊急事態宣言で 施設の強制使用が可能になっても
だれがケアをするのやら
物流を止めることなく流すには
だれが配達するのやら
食料品医療品 行き渡らせるには
だれが生産・販売するのやら
病院も福祉施設も365日休むことなくケアする
だれにもサポート頼めない
だれが懸命に働いているのか わかるかい
みんな生身の人があってこその 緊急事態対策
ここに国税投入して 彼らを護ってこそ 
新型コロナ戦争に 打ち勝つ

多くの人が命を落としていく最中(さなか)
暮らしに必要な人の手当を 手厚くできない限り
からっぽやみ(役立たず)の空言内閣と 後世に名を残す
緊急事態宣言も 見切り発車は混乱招くと覚悟せよ
ここで自然災害起ころうものなら ダブルパンチでノックアウト
機能不全でパニック起こり拡散し 日本沈没は空言とは笑えない
そこまで想定した対策を なさねばならぬ未曾有の国難 
想定外ですと決して言えない 弁解無用の非常事態

都民は 非常事態宣言の出る前に スーパーに一目散に突っ走る
金持ちは すでに都会を離れ別荘で 嵐の治まるのを優雅に待つ
田舎に里のある者は 荷物をバッグに詰めて旅支度を始めだす
貧しき者たちは 支援金はいま必要なのに 日用品も食料もストックできず
病を抱える者たちは 罹患を恐れ通院できず
都会の片隅で息をひそめて 厳しく耐え続けるしかない
要請を受けて働く者たちは 感染を恐れながらも暮らしといのちを守る架け橋となる

最悪のシナリオが起こらぬように 万全を尽くさねば
世論の反応見ながら チビチビ支援金を出してちびた事しかできない
国民をなめた政策しかとれぬ者たちに しっぺ返しは必ず起こる
途中で放り出さぬよう まずは緊急性の優先順位をしっかり見定めて
乾いた口先ではなく 可視化できる人間味ある方策をしっかり示してもらいたい
まず国は正しい情報の提供と人の手当を 民は冷静沈着な行動を
無理を承知でもの申す

お疲れ様ですは 心から声をかけてもらいたい癒やし語だけど
お疲れ様ですは お役御免の時がきて 忖度仲間が言い放す絶縁語
その言葉 来年のオリンピックまでは 待てない予感がよぎる 

〔2020年4月5日書き下ろし。支援策をしっかり政策として練り上げることなく、いつものように反応を見ながら小出しに金を出すちびた者たちが、世界的な難局を乗り越えられるのか。緊急事態宣言がなされ、いよいよ不安が恐怖に変わりつつある〕

子どもたちが戻って来た

高層マンションの立ち並ぶ一角に 
小さなグランドがあった
学校が休校中は 外に出ることさえためらわれ
友だちと遊ぶことすら出来なかった
新型コロナ感染の恐れは 警戒の域を脱してはいない
それでも新学期の風が吹く4月
待ちに待った少年野球が始まった

家で磨いていたグローブを ようやく使う日がやってきた
心がワクワクして 落ち着かない
起きてすぐユニフォームに着替えて 朝食をとる
早々にバットケースを肩に背負い 自転車で家を出る
グランドに続く道には 前を歩くチームメート
はやる気持ちを抑えられず 一番乗りを目指して走る
グランドには すでに数人の子らが 集まっていた

練習が始まる
付き添ってきたお母さんも練習を見ながら 話に花が咲く
おしゃべりできなかったストレスを ここぞとばかり発散する
子どもたちは 嬉々として動き回る
子どもらの元気な声とコーチの明るい声が グランドいっぱいに広がる
いつもの春の風景だった

練習が終わる
三々五々家路に向かう
子どもらは友だちと 楽しそうにおしゃべりしながら自転車を押す
親たちも 春の陽光を受けて 気晴らしの一時を楽しんで歩く

札幌にも ようやく子どもの日常が戻って来た
こんな日が長く続いてほしいと祈るばかりだ
東京では 百人を超える感染者が出ている
おさまりつつある北海道に 避難してくる人もいるだろう
仕事や観光で 北海道にやってくる人もいるだろう
これからが 北海道も正念場を迎えることになる
拡散させないための 来道者の自覚と行動を信じたい
決して「自分だけは大丈夫」とは ゆめゆめ思うことなかれ
子どもたちの屈託のない笑顔と躍動感こそ
私たちの希望なのだから

〔2020年4月4日書き下ろし。今日土曜日の午前中、団地のグランドで少年野球チームの練習に出会った。こんな当たり前の風景が心から嬉しかった〕

付記
「道内学校再開へ 警戒も備えも緩みなく」
道教育委員会は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため一斉休校していた小中高校などを、今週から予定通り再開する。道内の感染状況は、ある程度落ち着いていると判断した。混み合う公共交通機関で通う札幌圏の高校生などは時差通学も検討する。
知事の休校要請で、学期半ばで学校生活を断たれた子どもは、再開を心待ちにしたことだろう。ただ、道外では急激な感染拡大で休校を継続する地域があり、道内も少ないながら新規感染者が続くなど、予断を許さない状況だ。学校再開が「安全宣言」ではないことを肝に銘じ、学校も家庭も緊張感を保って、子どもの学校生活を軌道に乗せていきたい。
道教委の再開方針は、政府の専門家会議の分類で、道内は新規感染者や感染経路不明な感染者の増加が一定幅に収まった「感染確認地域」に当たるとみたためだ。感染確認地域について、専門家会議は、「密閉・密集・密着」を徹底的に避けた上で、感染拡大リスクの低い活動を容認している。当初、子どもは重症化する可能性がごく低いとされたが、最近になって重症化事例が出るなど、状況は変化している。毎朝の検温や体調の確認、マスクの着用、教室の換気などの対策が、子ども自身のために重要だ。家庭でも十分な目配りをしたい。
問題は再開後に児童生徒や教職員が感染した場合の対応である。
文部科学省は、接触者数や地域の感染状況、感染経路の確認の可否などを踏まえ、自治体が出席停止や休校を判断するよう求めた。気になるのはその基準だ。感染例の半数弱が集中する札幌市は、学校再開ガイドラインで、児童生徒や教職員の感染があった学校は14日間休校するとした。また、本人が感染したり、濃厚接触者とされるなどした場合の出席停止期間を定める一方、保護者が濃厚接触者でも本人に症状がなければ出席停止にしないとした。
検査が思うに任せない中、さまざまな事情で登校に慎重になる家庭もあろう。そうした不安を切り捨てず、出欠取り扱いや自宅学習の支援に配慮を求めたい。
忘れてならないのは、長期戦への備えだ。授業の遅れを取り戻すのも大事だが、次の臨時休校や分散登校で混乱を繰り返さないよう、態勢を整える必要がある。遠隔授業の仕組みづくり、学童保育所との連携、休校時の昼食対策など課題は多い。道教委には具体策の取りまとめを期待したい。(道新社説2020年4月5日付)

冤罪(えんざい)

罪なき者が 牢獄につながれていた

警察は自白を強要し それを証拠にでっち上げる
検察はその証拠を元に 殺人罪で起訴し求刑する
裁判官は 無罪の弁護を取り上げず 懲役刑を申し渡す
被害者家族は 殺人で公に断罪されたことに区切りをつける
被告は なぜそういうことになったのか理解できなかった
十二年間 自由を奪われ服役した
家族は 身を縮め息をひそめて世間に生きた

弁護団は 粘り強く再審を要求し続ける
無罪への信念とその闘いに 感服する
やり直し裁判で 警察が隠蔽してきた無罪の証拠が出てきた
裁判長は無罪を言い渡した
問われるべきは 捜査のあり方
思い込みによる自白の強要と 間違えても正さない不誠実と不正義
問われるべきは 裁判のあり方
検察の出した証拠を採用 有罪の判決後の再審請求への不作為
問われるべきは 世の中
警察も検察も そして裁判所も 法の下で正義を正していると信じ込み
刑事司法の冤罪(えんざい)は 万に一つもあり得ぬと暗示をかける

人間の成すことだからこそ 間違えることもありうると
これを許容することは 刑事司法では決して許されない
国家が権力を持って断罪することだからこそ 間違ってはならぬと
法の番人が自白の信憑性を検証せずして 有罪にすることは断じて許されない 
世間は冤罪が真実だからこそ 間違えを正さねばならぬと 
口汚く罵(ののし)ったことへの卑劣さは 自ら許してはならない  

冤罪を晴らした彼女はこう語る
「すごくうれしいです。すぐに控訴断念をしなかったのは検察の悪あがきで、
そういうことはしないでほしかった」
親は「普通の生活に戻してあげたい」と小さな思いを語る  
無関心であったことをお詫びしながら これからの人生に幸あれと祈りたい

決して謝ることのない メンツで生きる警察・検察関係者 
刑事事件は 勝敗を決めるレースではない
人間が人間を裁くことの 神聖な審判の場である
証拠に 一点の曇りもあってはならない
それを汚した者たちにより 
社会正義と検察への信頼が 大きく揺らぎ損なわれた
正義を求めてやまない検察官の心は 無残に折られていく
ただ 回復への道筋に 権力者が法を変え検察人事に干渉する
権力と私欲にまみれた者たちが 裁かれることなく
次の犠牲者を 冤罪の罠にかけ 嘲笑う声がする

この悪しき闇のサイクルを 一体誰が断絶するのか
立ち上がれ 法の正義の実現に生きる 真なる支え人よ

〔2020年4月4日書き下ろし。新型コロナ感染問題の渦中に冤罪が明らかにされた。見過ごされない裁判。心にとめながら、徹底した検証と結果の公開を願う〕

付記
「滋賀再審無罪 司法の改革につなげよ」
自白は違法な取り調べによって得られたもので、信用できない。そもそも病死の可能性があり、殺害行為があったということすら証明されていない――。
03年に滋賀県の病院で患者の人工呼吸器の管を故意に外したとして殺人の罪に問われ、懲役12年の判決を受け服役した元看護助手の西山美香さんのやり直し裁判で、大津地裁はそう指摘して無罪を言い渡した。
事件はまさに砂上の楼閣だったことになる。刑事司法に関わるすべての人が、一連の経緯から教訓をくみ取り、過ちを繰り返さないための対策を講じていかなければならない。
裁判では、まず患者の死因が争点になった。判決は、有罪の根拠とされた「管が外れたことによる酸素欠乏」との鑑定結果は、解剖所見や診療の経過、他の看護師の供述などに照らして疑問があると指摘。「管を外した」という西山さんの自白についても、内容がめまぐるしく変わっていて、警察官による誘導があったと結論づけた。
判決によれば、西山さんには軽度の知的障害と発達障害があり、話す相手に迎合する傾向があった。取り調べた警察官に恋愛感情を抱き、優しい言葉をかけられるなどするなかで、捜査当局が描くストーリーに沿う供述調書を何通も作成された。04年の逮捕から無罪までの年月を考えると、自白に頼る捜査の危うさと罪深さを痛感する。
しかし警察・検察はいまだに謝罪せず、再審公判でも自ら無罪を求めることはしなかった。捜査を断罪する判決が確定したいま、なぜこれほど長きにわたって西山さんを苦しめてしまったのか。徹底的に検証して、結果を公表すべきだ。
過去の冤罪(えんざい)と同じ問題が、この事件でも浮かびあがった。
一つは証拠隠しだ。警察は西山さんを逮捕する前に、「たんを詰まらせた自然死の可能性がある」旨を鑑定医が述べたという捜査報告書も作っていた。だがそれが検察に送られたのは、裁判のやり直しが決まった後の昨夏だった。再審でも争う構えだった検察は、急きょ新たな立証をしない方針に転じた。起訴の前、当初の裁判中、そして再審請求があった後……。もっと早い時点で開示されていれば、事態は違った展開を見せたのではないか。証拠の取り扱いや審理の進め方について明確な規定がない再審手続きの不備も、改めてあらわになった。
無罪を言い渡した後、裁判長は「問われるべきは捜査のあり方、裁判のあり方、刑事司法のあり方。関係者が自分のこととして考え、改善に結びつけていかねば」と述べた。これを言葉だけに終わらせてはならない。(朝日社説2020年4月4日)