「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

つづきがつづく

頑なに 福祉教育を続けた
信じたおもいに 一念もって
一心不乱にひたすら 歩き続けた
未知なる道に挑む 自分がいた

名声欲も くそくらえ
出世欲も くそくらえ
物欲も くそくらえ
人生の大半を費やし 前のめりになって 歩き続けた
世間の物差しでは はばける(はみだす)自分がいた

うまくかわすことに 不器用だった
言い訳することに 不器用だった
世渡りすることに 不器用だった
それでも ここまで信念を曲げずに 歩き続けた
世情に流されぬ 剛直な自分がいた

自分に嘘をつくのは いやだった
人のやらない やれないことを 考えるのは痛快だった
人を決して裏切らず 生きることをよしとした
逆境に陥っても 人の手を借りて 歩き続けた
仲間の支えの中で生きた 情愛に熱い自分がいた

私利私欲で生きたなら お里が知れた
へつらい媚びて生きたなら 世と仲間に捨てられた
理念なく生きていたなら 成就することはなかった
排除しようとする者たちと闘い 歩き続けた 
不条理に逆らい 道理をかざした自分がいた

いまもやるべきことが 見えている
いまも伝えるべきことが 見えている
いまが自由奔放に生きていいと 見え出した
我が人生のミッションは 情熱が冷めぬ限りは 
あきらめず 歩き続ける
終わりの始まりではなく
いつも つづきがつづくエンドレス
だから 人生は愉快なりと 
微笑む自分が いまもここにいる

つづく者たちよ 我を踏み越えよ 

〔2020年2月3日書き下ろし。北海道における福祉教育の我がミッションに悔いなし。そのつづきを語り始めるいまがある〕

老いの道半ば

老いていく身に 世捨て人を命ずる
老いていく身を 世の趨勢から遠ざける
老いていく身が できることすら拒みはじめる

老骨に鞭打ち働くことを いさめる 
老骨は労(いたわ)られることを よしとする
老骨が世に発することを ためらう

もう 若い者たちの時代だ
その道を 邪魔することのないよう
表舞台から降板し おとなしくしていよう

だから 若い者たちに任せよう
その決心を 揺らがぬように
尋ねられたときだけ 真摯に答えよう

だた 若い者たちに伝えておこう
おれは 君たちの年には
わかったようなふりは しなかった
姑息な自分を 戒めた
ダレた自分を 鼓舞した
失敗した自分に 檄を飛ばした
自分らしく生きたいと ひたすら渇望した 

もう 出番はなくなった
もう できることもなくなった
もう 考えることも億劫(おっくう)になった
だから 迎えが来るまで 好きなことをして生きながらえよう

そこまできて はたと気づいた
好きなことって 何なのか
世の中と人と関わることしか してこなかった
だから きっと死ぬまで 
世の中と人にしがみついて 生きながらえるしかない
そんな自分も 悪くはないと悟った
出しゃばらぬよう 加減しながら いまを生きる

〔2020年2月2日書き下ろし。八十歳まで老いの道半ばです〕

国と民のこころ模様

コロナウイルスの流行
その国の人心が 暴(あば)かれていく
マスクが 品切れた
生産も おぼつかず
欲長けた者たちが マスクを買い占め
異常な高値で 転売する
貧しき者たちは 選別され
無防備な姿を 晒(さら)す

コロナウイルスの流行
彼の国の人心が 暴かれていく
災難を逃れ ようやく帰国した同国人
その一時隔離の場所をめぐって
地元の民は 受入拒否の過激な反対運動
世界に恥部を 曝(さら)け出す

コロナウイルスの流行
大国の卑(いや)しき心が 暴かれていく
疾病対策できず 防疫体制未整備で
世界中に ウイルスを拡散させた 共産党の一党独裁統治
致命的な判断ミスを冒し隠蔽した 地方統制機関の欠陥官僚
そんな国に 工場を移転していた大国の民間企業
新型ウイルスの感染恐れて 撤退せざるを得なくなり
大国に雇用が戻ると 皮算用
人命よりも 先にソロバンはじいて 
ディール(取引)に 勝つことを優先する 

コロナウイルスの流行
隣国の 民間企業の支援の心に 救われた
いち早く マスク百万個を送る道義心
民からは 「雪中送炭」と感謝された
水際の防疫体制の不備を 突かれても
経済損失五千億円と 試算されても
桜咲くまで めげることなく 堪えしのぼう
心優しき隣国よ

〔2020年2月2日書き下ろし。コロナウイルス流行は、それぞれの国や民の欲望をあらわにした。北の大地の桜の開花は五月初です。それまでに終息するでしょうか〕

世界を席巻するウイルス

コロナウイルスの 流行の勢いは止まらない
中国湖北省武漢市で発生した 新型コロナウイルス肺炎
2月1日現在 中国本土の感染者は1万1791人 死者は259人 
2002~03年に流行した 重症急性呼吸器症候群(SARS)の
世界全体の感染者数8096人を すでに越えた
日本でも 3次感染が報告されている

アメリカでは インフルエンザが大流行している
連邦機関の疾患予防センター(CDC)のホームページには
今シーズン少なく見積もっても 1500万人が罹患 14万人が入院
なんと 8200人の死者が出ていると 報告されている
センセーショナルなコロナウイルスの報道に押しやられた 深刻な事態
日本も インフルエンザ流行のピークを迎えた
予防接種したから大丈夫という 保障はない
インフルエンザのウイルスも 常に変異を繰り返す
いまは コロナウイルスのワクチンの開発が急がれる
未知なるウイルスに挑む研究者こそ 
人類のいのちの鎖を繋ぐ 唯一無二の頼りの綱
不眠不休で没頭している研究者 研究機関に 
ただただ すがるしかない
ガンバレ! 世界のウイルス研究者

ウイルスは 人も国も選ばない
アフリカやアジアなどの貧しい国に 蔓延してほしくはない
防疫体制も
医療機関も
医療者も
薬も
万全とは言い難い国に
インフルエンザやコロナウイルスが流行したら
どんなに悲惨な事態を引き起こすのか
過去のエボラ出血熱を想起させる

人びとの自由な往来により
奇しくもコロナウイルスは 
自国の防疫体制の不備を見事について 世界に拡散した
観光立国をめざすということは
金と一緒に ウイルスも自由に往来する
それごと引き受けていかなければならない
その事実を 突きつけてきたのだ
旅人を 排除するのではなく
旅先で 罹患した人の不安なおもいに添うあり方が
いまこそ 求められている

いまはただ 感染の終息と
罹患者の早期の快復を 祈るばかりだ

〔2020年2月1日書き下ろし。ウイルスの脅威と防疫の不備をまざまざと見せつけていることの裏で、インフルエンザがアメリカで脅威を振るう。世界がウイルスに席巻され、日本の観光経済も辟易している〕

付記 
「中国、新型肺炎感染1.1万人突破 世界62カ国が入国制限」
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染者は1日、中国本土で1万1000人を突破した。中国政府の同日午前0時(日本時間同1時)時点の集計で前日より2102人増え1万1791人となった。死者は湖北省で45人増えたほか、重慶市でも初めて確認され259人。感染が疑われる例も1万7988人に達した。
江西省では1人の感染者から医療関係者を含む15人に次々と感染したことが報告されるなど、感染拡大の勢いは止まっていない。
中国本土以外でも、英国やロシアなどで初の感染者が確認され、26カ国・地域の150人以上に拡大した。中国外務省は1月31日までに、62カ国が中国人に対する何らかの入国制限措置を導入したとして、国民に注意喚起。同省の華春瑩報道局長は同日深夜、米国の厳格な対応について「世界保健機関(WHO)が各国に渡航制限の回避を呼び掛けていることに反し、良くないことを先導している」と反発する談話を発表した。(時事通信2020/2/1 8:22配信)

ふくしの語り場

老いることは 情熱の枯渇
持ち続けるには 若者との語り場がいい
地域福祉の世界に入り込んだ 二人の青年らと
久しぶりに 飲み語らう

福祉の職場で 行き場を失う者たち
他市町村の者たちと 横でつながることさえしなくなった
仕事の困りごとは そのまま放置
わずらわしい人間関係は 我慢できない
指示された業務を 勤務時間に見合ってこなせば一日終わる
福祉への志のあるなしで 評価はされたくない
とりあえず 喰っていければよしとする
人間関係面倒ならば 地方に定住 拒絶して
早めにリタイヤ 次探す
自分を生かす仕事を探して 彷徨(さまよ)う迷い道
そんな世相にさからって 福祉の世界に飛び込んだ
青年二人の 社協物語が始まった

こじゃれた居酒屋に誘われ 魚三昧の夕餉にありついた
社協の女性課長 有能でおもいと行動力が半端ない 
いまも地域福祉の現場に 確かに生きる
大学を出たときから 注目していた福祉のひとだ
デスクを温める暇もなく 日中は町内を駆けずりまわり 当事者に添い続ける
道内でも希有な社協ウーマンとして 堅実に成長していた
その部下となった2人を 引き合わせてくれた語り場
ただただ嬉しいばかりで 酒がすすむ

驚いた
まだ4ヶ月と3ヶ月の新人男性二人
教育と医療の職場を経験してきた二人だが
ふくしのふの字も関わったことのない ど素人
彼女の思惑は 外の人間に会わせ 
語り尽くせない福祉のいろはを 伝えてもらおうという 
魂胆だったかもしれない
語る前に 肴とビールに酔っていた

新人に伝えたかったこと
ひとつ まずは 与えられた仕事を確実に習得すること
ふたつ 社協の仕事をよく見聞きし 気づいたことを書きとめる習慣を身につけること
みっつ 感じたことを 決してないがしろにしてはならないこと 

学習能力が高そうな二人には 実践的な知識理解は早いだろう
書く力は 新人のいまだからこそ着実に習慣化したい力だ
成長の軌跡と実践の振り返り 
そして 抽出した課題へのアプローチへとつながる自己変革の芽
それを しっかりと書きとめる
福祉を学ぶということは 人とことへの感応力を高め人間関係力をつけていくこと
相手の痛みに共感できなければ ただのやっつけ仕事に劣化する

課長は 今日の研修に 二人を参加させる
若い福祉の人材を しっかり育て上げること
彼女の人材育成力は これから問われていく
その意を受けながら いま研修の中身の練り直しを迫られる
社協マンになって 初めての外部研修
二人もまた期待を背負って 自己研鑽に臨む

〔2020年1月31日書き下ろし。20代後半の男性が社協の職員になっただけでも幸いです。これから大事なことを伝えていく上司たちの奮闘を応援したい〕

おちゃらかす

今国会の茶番劇 
操り師に
拍手喝采 万歳三唱 花束贈呈
ついに ここまで来ましたね
その際だった レトリック
洗練された コトバ遣い
その知性と教養の狂痴を 称賛します
つい引き込まれて 感嘆の声をあげました

「募ってはいるが募集はしてない」
言う方も言う方だけど
よくぞ 言わしめましたね
操り師の面目躍如です
「美しい日本から新しい日本へ」は
見事に「美しい日本語から新しい日本語」へと
ギアチェンジさせたことを 世間に知らしめました 

国民を無知妄信させる いままでの努力が開花し
ボスから 発せられたこのコトバ
そばで聞いていて 心底身震いしたでしょう
国語辞典の改竄(かいざん)編纂は 毎日続きます
新しい日本の 国会答弁書
ボスの意向と信頼 盾にして
不真面目対応 お手の物 
国民や議員を どれだけ愚陋(ぐろう)し続けるのか
これからも 楽しみに国会中継見ています

おちゃらかす操り師 
大義を抱いて 国政を動かす黒子たち
いったいどんな人たちなのか 興味津々です 
出世ルートから外れぬように
ボスに忠誠誓い 滅私奉公…ですね
暴露本『新しい日本を手玉に取る黒子たち』 
いつか書いて見てはいかがですか

〔2020年1月29日書き下ろし。政治はコトバである。日本語が本来の言葉の意味をねじ曲げられ、民意は都合よく捨てられる新しい日本の姿が見えてきた〕

つながれ

つなごう つなごう
きみとぼくの おもいのあつさを
がまんせずに 声に出そう
たぎる希望と ふるさとの未来を語ろう

つながる つながる
きみの手とぼくの手の ぬくもり
がむしゃらに 希望に向かっていくそのときに
立ち向かう勇気を ともにふるさとに満たそう

つながれ つながれ
きみの夢と 僕の夢
がんばって ふんばって
絶えることのない ふるさとの明日に虹を架けよう

つなげたい いまつなげたい
きみのいのち そしてあなたのこころ
叶えよう ふるさとに生きる喜びを
称えよう ふるさとに生きる誇りを

だから わたしは動く
つながれ 強く
だから わたしも動く
つながれ 熱く
そして あなたも動く

つながれ つながれ
ひととひと
もっとつなごう 
信じあうひと
もっともっとつなぎたい
支え合うひと
もっともっともっとつながれ
まちに希望を満たす人
月形 
わたしのまち きみのまち
いのちとこころを 豊かに紡ぎつなぐまち
青春の夢と希望を 明日へ確かにつなぐまち

月形 
わたしの大好きなまち 
わたしたちのふるさと

〔2020年1月25日書き下ろし。北海道月形町民フォーラムの朝、参加する中学生を含め町の子どもたちへのメッセージを記す〕

ポジティブに ~石狩レポート(5)

『妻の旅支度』
老夫婦の 究極の最期の別れ方を詠む
妻の夫への愛の深さと 
妻に死を受け入れていく 夫の添う姿も美しい
限られた時間(とき)に刻まれていく 夫婦の情愛
静かに 聴き入る

『きょうという日』
ときめきを失ってから
生きる時間の 浪費が始まる
そうじゃない そんな自分を否定する
そこに わたしを気遣い必要とする人がいる
手を握ってもらった それをご縁に
世間にそってみようかと 歩き出すわたし
きょうの日が それを確かめる日であってほしいと

『融和の心』
長い詩なので ラストのフレーズを紹介した
「そしていま、痛みや喜びをわかちあう“融和の心”を、
地域(ここ)に根付かせることが、大きな目標となった。
先輩らの頑張っている姿を見ながら、
身の丈に見合った応分の仕事を続けよう。
そして、いつか〈人生の恩返し〉という
民生委員・児童委員のおもいのバトンを、
“あついまなざし”をもつ次の世代に、力強く手渡したい」

『ほころびを繕う』
慰藉(いしゃ)の手を持つ人に導かれ 生かされているわたし
もしかして 
わたしの中の〈わたし〉へ 生老病死を問い続ける道程
それが 民生委員児童委員の活動かもしれない

それじゃ そろそろ行きますか?
『階段』
「今日も 団地の階段に挑む 私の体力づくり
どんなに 崇高(すうこう)な思いを 持っていても
民生委員に いま求められるのは 
この階段を上り下りする体力なのだ
この階段の先に 私を求めて待っている人が きっといる
その笑顔に 会いたくて 
一段目に 足をかけた
いつもここが 私の仕事のスタートライン」

ふりかえりの時間が来た
アンケート用紙の自由記載の欄に
感想や意見を 書いてもらう
書き終えて 参加した市町村から1名指名して発表
研修後の全員へのアンケート
赤 やろうという意欲が起こった
青 やるしかないとあきらめ 腹をくくった
白 無理だと再確認しつつ やるしかなと思った

赤が 8割近く上がった
白は 1割にも満たなかった
研修前の不安が 払拭された瞬間だった
ただ ポジティブな発問なだけに 肯定的だった
もう逃げられないお役目だとすれば
前向きに考えて 悩みも喜びも一緒に味わって行きましょう
みんないい顔をしていた
そして 最後の詩を朗読した

『めんこいしょ』
子を授かり 育てる
親になった喜びを
社会で育てる喜びを 
深く心に熱く刻んでほしかった

おまけがあった
引率で来た 市町村民児協担当者
一緒に研修を受けてもらった
担当者だけの「アンケート調査」を実施した
担当者として 前向きになれたか
今日参加して よかったか
根室と小樽では 100%肯定された
石狩の反応が 楽しみだ
道内全て回り終えたその時に
他の質問項目も併せて 分析をかけよう
全国でも稀な担当者への意識調査
結果を受けて 次を展望するのが楽しみとなった
道民児連の研修は 次を見すえたしたたかさにある
そこが 断然面白い 
残り11管内 道民児連の職員と共に
今日も午後から 十勝(帯広)行きのバスに乗る

※『妻の旅支度』:鳥居一頼の世語り(105)2019年10月28日投稿 から引用する
※『きょうという日』:鳥居一頼の世語り(1)2019年7月17日投稿 から引用する
※『融和の心』:鳥居一頼の世語り(10)2019年7月27日投稿 から引用する
※『ほころびを繕う』:鳥居一頼の世語り(8)2019年7月25日投稿 から引用する
※『階段』:鳥居一頼の世語り(95)2019年10月19日投稿 から引用する
※『めんこいしょ』:鳥居一頼の世語り(61)2019年9月14日投稿 から引用する

〔2020年1月27日書き下ろし。この研修は、道民児連の「第3次活動指針」の具現化の一つとしての取り組みでもある。丁寧な取り組みが、市町村民児協とのさらなる信頼関係を結んでいく。民児連としては、全国に2つしかない公益財団法人として、課題に果敢にトライする。その心意気と自負を持って事に当たる職員を、微力ながら応援したい〕

自分のネットワークをつくろう

民生委員一年生、先輩に指導されながら、今日も二人で地域を回る。
炉端会議のたまり場に顔を出す。

田中 「こんにちは。佐東さん いましたか」
佐東 「だあれ(奥から声が聞こえる)」
田中 「民生委員の田中です」
佐東 「どうぞ。あら、鈴木さんも一緒に。あがってください」
鈴木 「こんにちは。お邪魔します」
佐東 「今年から民生委員をしてる田中さん。そして隣町の民生委員の鈴木さん。この間、田中さんが顔出したから、今日の寄り合い教えておいたの。鈴木さんは、どうしたの?」
鈴木 「お邪魔します。すみません。話せば長いのですが、簡単に言えば、田中さん、まだ民生委員の仮免中なんです。それで慣れるまで、ついてあげているんです」
田中 「民生委員1年生の田中です。よろしくお願いします」
佐東 「挨拶の終わったところで、まあ座ってください」
南野 「初めまして、私は南野です。田中さんとはどっかでお会いしたような」
田中 「町内会が違うので、こちらの町内の方とは面識が薄くて、困っています。
どっかこっかで、お会いしているかとは思いますが」
中西 「私は中西です。きっと初めましてですね。外には買い物くらいしか出歩かないので、町会の人でもよく知らなくて」
下北 「私は、鈴木さんも田中さんよく知っていますよ。私が町会の役員をしていた時に、連合の集まりでお会いしてました。お二人とも、皆さんの意見をしっかり聞かれてお話しされたり、行事でもテキパキと指示されて、よく動いていらっしゃった」
佐東 「下北さんも、町会の仕事に熱心でお世話役さんだったから、顔も広いし、田中さんの人がらもよくご存じなんですね」
下北 「いやいやもうこの年では、皆さんのご厄介をおかけするばかりで、顔見知りの田中さんが民生委員になられたのは、本当に心強いですね」
中西 「私も出不精で、前の民生委員の方とは一度くらい訪問されてきたくらいの記憶しかなくて。こんなふうにみんなでお会いするのもいいですね」
南野 「袖ふれあうも多少の縁とは言いながら、ほとんど知らない方々とお会いして様子をうかがうというのも、田中さん、ほんとにしんどいことですね」
田中 「本当に初めてのことで、今日のように皆さんの寄り合いに寄らせていただくだけでも、ありがたいですね。この町会の様子や心配事、困りごと、そしてしんどい方の様子など、一人で歩いて聞いて回るというのも、広い地域ですから、すんなりとはいかなくて。実は失敗ばかりで、苦労しています。玄関口でけんもほろろに追い返されたこともありました」
佐東 「うちに来たとき、上がってもらってお話を聞いてね、これじゃまるでさっさと辞めてといってるような情ない町会になってしまっては、ちょっとまずいと思ったのよ」
下北 「それはいけないわね。うちの町内で邪険にして田中さんに辞められたと言われたら、それこそ恥ずかしいし、取り返しのつかないことになるわよ。
なにせ、いま民生委員のなり手もいないっていうし、これから私もお世話になることを考えれば、とってもそれは、ほってはおけないわね」
鈴木 「嬉しいですね。皆さんで田中さんを応援していただけるなんて。実は心配ですって頼まれて、一緒にきたんですが、野暮なことでした。私も1年生の時に皆さんにお会いしていたら、もっと頑張れたかもしれません。よかったね田中さん」
南野 「そう言われると、民生委員の仕事って、相手のふところに入っていかなきゃならないことだから、田中さんの心配も分かる気がする。それにしても、そもそも民生委員の仕事をちゃんと理解しないで、勝手な思い込みでいる人って、結構多くない。
私も自慢じゃないけど、きっとそう(笑)」
中西 「私も同じだと思う。主人に先立たれて独り暮らしをしていると、何かにつけて不安で、だから家に閉じこもってしまたんだけど、佐東さんの奥さんからお茶のみにおいでと誘われて、やっと家から出られるようになったというわけ。本当に民生委員の方と会う事なんてなかったから、よくわからないというのが、ほんとのところね」
佐東 「そうだと思ってね。今日お呼びしたというわけ。一人だとなかなか聞けないことも、こうしてみんなで聞いてみると、いろいろわからないことも、少し見えてくるでしょう」
田中 「ほんとに助かります。いままで前の方がお世話をしていた人とは面談してきたのですが、それでもその人の性格とか生活とかは、引き継ぎを受けて記録見ても、実際に会わない限り良くわからないというがほんとのところです。
まだ私の知らないところで心配事を抱えて、一人であるいは夫婦で悩んでいる人もいらっしゃるわけで、探すというのも実に手間も時間もかかることなんですね。もちろん私自身民生委員の仕事について、十分理解しているかという問題も確かにありますね」
下北 「本当にご苦労なことですね。みんなでこうして会ったのも大事なご縁です。私たちがお話を聞いてだけでは、さっきの邪険にした人たちの問題が解決するわけではないでしょう。こんな集まりをお知り合いに声がけしてもらって、田中さんに話してもらえれば、誤解も解けて、協力もしてもらえるんじゃないの。私の方からも、町会の役員の方に話をしてみましょう」
鈴木 「願ったり叶ったりです。田中さんよかったね。ほんとによろしくお願いします」
佐東 「そこのところが一番大事。ここからはじめて、うちの町会の人に理解してもらい協力してもらえるよう、私たちもやらなきゃいけないと思うけど、どう?(みんな口々に賛同の声) 
それじゃさっそく田中さん、どんな協力が必要なのか、作戦会議を始めましょう」
南野 「その前に、民生委員さんってどんなことをされているのか、そこから教えてください。そこがそもそもわからなくては、誰かに伝えることもできないわ」
鈴木 「田中さん、わかることから、お話してください。足りないところは後で付け足しますが、それでいいですか」
田中 「鈴木さん、ありがとうございます。それじゃお話させていただきます」

不慣れな地域回りで苦労することが多い新任の民生委員さん。地域には数人の方が寄り合うところがきっとあります。
そこにお邪魔して、理解と協力をいただくことで、地域の確かな情報が入ってくることと、地域の問題を地域の人と一緒に考えていける拠点が生まれます。
もちろん一人で行動することを不安に思う人もおられるでしょう。田中さんのように先輩にしばらくついて現場で教えてもらうのもいいですね。保健センターの保健師さん、地域包括支援センターのスタッフ、社協の職員、時には派出所のお巡りさん、などと一緒に動くことも大事ですね。
まずは、ネットワークづくりを積極的に行うことが大事ではないでしょうか。ここでは、地域のキーパーソンともいえる「佐東」さんに出逢ったことが、幸いでしたね。表だって地域の活動は特別しなくても、お茶のみ話の場所は、特に女性たちは持っているのではないでしょうか。そんな人を見つけるのも、大切です。
そのまえに、理解を得るためには、皆さんにどんなお話をされるのでしょう。肝心要のことですね。そんなところから、気負わずスタートしましょうか。

〔2019年11月26日初稿、道民児連初任者研修で初出。道内14管内の研修会参加者が演じるシナリオです。石狩レポート(4)と併せてお読みください〕

役者揃い ~石狩レポート(4)

にわか劇団「石狩浜」 登壇
『自分のネットワークをつくろう』
「こんにちは、佐東さん、いましたか」
田中役の女性が 最初に放した一声で 会場がわく
舞台に上がって 役を振り分けられ 
シナリオに目を落として すぐに開演
その第一声は 観客を見事に惹きつけた瞬間だった

会場入りしたのは 開会15分前だった
参加者名簿を渡された
受付では まだ参加者の受付をしていた
開会の挨拶が終わり 「百年の歴史」のビデオが流れた
会場を出て 受付をのぞいてみる
数人の石狩市民児協の役員が 受付の整理をしていた
そこで 市内の各地区の新任委員から
女5名男1名を 推薦してもらった
その理由は 何も言わなかった

突然指名され 何をさせられるのかもわからず
舞台に上げられて ドギマギしながら 
シナリオを片手に 即興で演じる
朝の緊張感や不安を 微塵にも見せず
6人の楽しげな会話の様子は 会場をさらに和ませた
話の中身に引き込まれながら 聞き入っていた
彼らの人選は 見事に当たった
6人は 堂々と演じきった
会場から 割れんばかしの拍手が起こった

問題を焦点化するケーススタディとして 寸劇を書いてきた
参加者と一緒に創り上げる 研修スタイルだ
でもこんな展開は 参加者も運営者も 誰も予想しなかった

このあとグループワークに入る
新人が 担当地域にどのように入っていくのか
地域のキーパーソンを 把握すること
その人の周りに集まる人たちとのつながりを知ること
そして 先輩委員のフォローアップを受けることでの 不安の解消
さらに 先輩から地域や人との関わり合い方を学ぶ 機会の設定
地域の寄り合う所こそ 最も必要とする新人教育の現場でもある
このような仕組みづくりを 市町村で取り組むのなら
1期で辞める人が 軽減されるかも知れない
そこに 民児協やその担当者の これからの対策が問われるのだ
そんな思いも込めた ケーススタディであった 

ねらいは 6人の新人の演技力によって 達成されていた
時間も 押し迫ってきた
用意した詩の選択を急ぎながら 次の展開へと移った
子どもと児童委員の関わりについてはパスして 
自宅でゆっくり詩を味わっていただくようお願いした
委員としての心づもりについて 
朗読者と司会者を指名した
『人生の棚卸し』
各グループで朗読が終わると 拍手が起こった
全てのグループに 拍手は広がり 
そして 愉しげな声が 会場を包みだした

※『人生の棚卸し』:「鳥居一頼の世語り」(124)2019年11月16日投稿 から引用

〔2020年1月26日書き下ろし。シナリオ『自分のネットワークをつくろう』は、明日紹介します。雰囲気を味わってください。石狩レポートも次でラスト。明日は帯広に向かいます〕