「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

気概を持って

民生委員協議会の担当です
この一年 多くのことを学びました
役所では得られない 地域の福祉の情報も
困ったことや困っている人の情報も
委員の皆さんのおかげで
コンスタントに入ってきました

民生委員協議会の担当です
一番感じたことは
福祉に向き合う委員の皆さんの気概です
地域でひとりの住民として暮らしながら
困った人や困ったことを我身に感じて
無償で取り組む真摯な姿が
この仕事に誇りと自信を持たせてくれます

民生委員協議会の担当です
一番考えたことは
自分の時間を削って動く姿に触れて
この仕事に本気になっているかという
自問自答の繰り返しです
流れぬよう流されぬよう 前向きに考えています

民生委員協議会の担当です
胸を張って そう言えることが目標です
委員の皆さんを支え 活動を支えます
仕事とは割り切れない 大切な人とのつながり
これからも 丁寧に紡ぎます

民生委員協議会の担当です
地域の暮らしを護るために
地域で暮らす人を護るために
行政のなすべきことを直視して
委員の声を 関係部署に届けます

民生委員協議会に関わって
地域で頑張る委員の皆さんが
これからも つつがなく活動がなされるよう
共に環境づくりに励みます 
市民参画協働の実際を学びます
行政マンとしての 社会的資質を鍛えます
人間としての 矜持を鍛えます

この福祉を支える世界と人は
決して ないがしろにはできません
委員の改選期に 受けていただいた感謝を込めて
担当として その心意気を伝えます 

〔2019年12月23日書き下ろし。道民児連初任者研修初出。民生委員協議会の担当の心意気、ぜひ伝えてほしいと念じています。期待しています、担当さん〕

お世話焼きさん ~石狩レポート(3)

人は 様々な人に 迷惑をかけ
人は 様々な人から 迷惑をかけれらながら
生き暮らす
互いに信じ合い 助け合う
ときに うとまれ ねたまれ さいなまれる
そこから 生まれる義理人情
世間というつながりから 善くも悪くも紡がる
世間のしばりから 抜けだすことができぬなら
もっと生きやすく生きたいと思うのは 世の常か

そんな世間で生きてきた 
ひとりの老女の生き様を
語り合って見たい

最初のグループワークは
『義理を果たす』から始まった
8人のグループ編成
一人ひとり 番号をふって確認する
司会の人は 3番目
朗読の人は 6番目と 指名する
読み終わったところで 感想意見を交流する
合図と共に 始まった
読み終わったグループから 意見交換となる
時間を見計らい 2つのグループの司会者を指名して
発表してもらう
「私たちのグループでは…」
いままで当たり前にしてきたグループ発表
中身をまとめようと 努力する
でもそこには こころ動かす言葉が 力を失う
だから「あなたの思いを素直に語ってください」とお願いする

『よほど やりくりが苦しかったのかも知れない。
年に十度ほど 香典を包むという。
葬儀には出ることは出来ないが 香典だけは欠かさない。
いままでお世話になった恩返しに 香典を包む。
義理を果たすことで 報われると信じている。
暮らし向きは厳しいけれども 自分が辛抱することで 義理を果たそうとする気概。
世間に後ろ指を指されぬよう じさまにあの世でよくやったと褒めてもらえるよう
世間の習わしのなかで 懸命に生きてきたのだ。』

祖父母から聞いた田舎の話
でも 現実に起こっていること
いまの自分には とてもできない
まちばでは 義理を欠くことが当たり前
果たすというおもいは ここまで強くはなりえない
葬儀も 身内で済まし 隣近所は弔えない
寂しい別れの 儀式となった
世間のしがらみは どんどん弱くなっていく

『助かるわ』
読み手と司会者を変えて 2本目の朗読が始まる
いくつかのグループで 朗読を終えた合図か 慰労の拍手が起こる
場が 少しずつほぐれだした

『「助かるわ」「助かったわ」ということばは
他人(ひと)とのかかわりを 和ませる
そのかかわりの さりげなさが
いざというときに「助けて」って すぐに伝えることばに変わる』

「助けて」って 困っている人ほど なかなか言い出せない
その気落ちを 察してあげること
それが 御用聞きの大事な役目
世間の良さを 取り戻すことにもなるかもしれないわ 

ほっとけないお世話焼きさん
その様子をさりげなく伝えた詩を 紹介する

『小さな希望のともしびをかかげてください』
おばちゃん 遠慮せず もう少し迷惑をかけてください  
私のこれから行く道に 
おばちゃんが 世の中の風に翻弄(ほんろう)されながらも
かかげる小さな灯火(ともしび)が 
ゆるがない希望の道しるべとなるのだ
だから 明日もまた会いに行こう
「大丈夫?」 
「うん なんともないさ」
「がまんしないでね」
「あんたが 会いに来るから 大丈夫!」

世間のしがらみを よく知るばかりに 
迷惑をかけたくない
他人の手を煩わしたくはない
自分が我慢すればいい
でも構われたい気持ちも 複雑に混じり合う
世間と葛藤しながら生きる人に そっと寄り添う

話題を変える
道内の市町村の民児協事務局は その8割強を行政が所管する
その担当者の意欲如何で 民児協の活動が左右される
だから 新任委員が安心して活動できるよう 支えてほしい
心を込めて 『気概を持って』というエールの詩を贈る
そして 激励の拍手を 委員の皆さんで贈った

※『義理を果たす』:雑感「鳥居一頼のサロン」(5)/2019年6月19日投稿 から引用
※『助かるわ』:雑感「鳥居一頼のサロン」(3)/2019年4月20日投稿 から引用
※『小さな希望のともしびをかかげてください』「鳥居一頼の世語り」(20)/2019年8月5日投稿 から引用

〔2020年1月24日書き下ろし。グループワークの様子をレポート。詩の朗読を通して感想や意見を交換する。詩が媒介になって胸襟を開いていく。『気概を持って』を明日アップしておこう。レポートはこれから佳境に入っていく〕

お節介の御用聞き ~石狩レポート(2)

「みんなが 仕合わせに なりますように
世間が 生きやすく なりますように
いつも こころ穏やかに 笑顔と感謝に満ちた
時間を あなたと 過ごせたなら
どんなにか こころ癒やされることでしょう
うとましいことや ねたましいこと くやしいことも
いつか きっと忘れられます
いんでないかいって 許し合えば きっと仕合わせに なります」

民生委員児童委員へ宛てた最初のメッセージ
行の左の頭の文字を読めば 浮かんでくる言葉
ここが 初任者研修のスタートライン
会場が ざわつく
少しずつ こころをほどく

ワークショップは
19編の詩と 1本のシナリオで構成されている
配布された赤い資料集を 目で読みながら
詩で訴えている おもいを共有化していく
ただ全ての詩を 消化することはできないと 断りを入れておく
割愛した詩は 帰宅してから
今一度紹介された詩とともに 読んでほしいと言葉を添える
資料集は 詩集でもあった

はじめに
『小さな幸せを希望に紡ぐ私のまち登別』を朗読
登別の地名を 自分のまちに読み替える
わたしという存在が 行動を起こすことで
地域で生きる 地域に生きる 地域が生きる
福祉でまちづくりをめざし
躍動する市民として いまここにいることを
知らしめます

問題提起に選んだのは
『青い手帖』
委嘱されたときに手渡された 特別な民生委員の手帖
初心者マークをつけて ドギマギしながら 1ヶ月半
今日の研修は 少しでもこころのもやもやを 果たしてくれる…かも
そんな期待を持ちながら 未知なる世界に緊張しきり 
その手帖を手にしたときの 不安や葛藤に添ってみました
そして 静かに背中を押してみました

まずは知っておきたいことがあります
これからつながる人の人生の一端を
長い詩なので 黙読します。
『群像』
午後の静寂な刻が流れます
昭和・平成・令和を生きる人たちと
対話しながら つながっていきます
読み終わった頃合いを見て
民生委員の活動に 直接関わるところを朗読します

『お節介かも 知れない
けれど 手を握り返してくれたら 力を貸したい
だから 私の役目を知り ただそうするだけ
困っている人を 助けてと声に出せない人を
そのまま ほっておくことは 私にはできない
「そんな薄情な人間には なりたくない!」 
私の中の ”わたし” が叫ぶ

その声に 突き動かされたように
同じおもいを持つ 仲間に支えられ
きょうも 明るく笑顔で 心配事の「御用聞き」
私のボランタリーな活動が 始まる』  

お節介を 否定する人
そんなお節介は 無用です
公に お節介の「御用聞き」 
民生委員のボランタリーな活動です

聞いてばかりでは 眠くなってきました
そろそろ 皆さんにも動いてもらいましょう

※『小さな幸せを希望に紡私のまち登別』:「鳥居一頼の世語り」(37)/2019年8月21日投稿 から引用
※『青い手帖』:「鳥居一頼の世語り」(148)/2019年12月10日投稿 から引用
※『群像』:「鳥居一頼の世語り」(2)/2019年7月19日投稿 から引用

〔2020年1月23日書き下ろし。石狩レポート第2弾。参加者の緊張感や不安がまだ充満しています。次の一手がこの空気を一掃していきます。お楽しみに〕

緊張と不安 ~石狩レポート(1)

石狩 江別 千歳 恵庭 北広島 5市
当別町 新篠津村

21日大雪の朝 札幌市北区にある郊外のホテルに
7つの市町村から230名の
新任民生委員児童委員が集まってきた
石狩管内民生委員児童委員初任者研修が始まった

午前中は 「済世制度、方面委員から民生委員児童委員へ」
百年の歴史をふり返るビデオ学習
委員の基本的役割や 活動記録の記入に仕方について学ぶ
まだ就任して1ヶ月半の新任たち
緊張の面持ちで 説明者の一言ももらさぬよう
メモを取りながら 真剣に聴く
2時間の時間は あっという間に過ぎ
31のグループに分けられた会場で
同じ地域の委員との 昼食と会話をひととき愉しむ

午後の研修が始まった
これから2時間 忍従を強いられる覚悟で臨む
従来ならば 学識経験者のもっともらしい講話の時間
家に戻るまでには すっかり忘却の河に流されてしまう話でもあった

ワークショップは 
『ふくしとは』の朗読から始めた
出だしから 今までの研修とは 何か違うものを予感させた
貧困にもめげずに生きる 母と子の姿
これからの地域の活動で 否応なく目にする風景
それをこころに刻んでほしいと願った プロローグ 

手元に配布された 赤いテキスト 表が青で裏が白いパンフレット
手に取ってもらって 承諾したときの気持ちを尋ねた
赤は 躊躇(ちゅうちょ)なく受けた人
青は 頼まれた人に恩義があって否応なく受けた人
白は したくはなかったが仕方なく引き受けた人
色を上げてもらうと 赤は1割程度 残りは青と白が半々だった
今の心境を尋ねてみた
赤 続けられるかどうか見極めたい人
青 早く辞めたいと思っている人
白 しかたなくあきらめている人
ネガティブな質問だった
どの色を上げても 不安と戸惑いの中にいた

押しつけられた役目に 
自分なりの踏ん切りをつけるために
今日の研修に参加したのだ
午前の説明から 想像以上のプレッシャーがかかっていた
とんでもないことを 引き受けてしまったという後悔
果たして 自分に勤まるのだろうかという不安
無理せずにできることから始めてください
そう言われたことが 唯一の救いだった

参加者の不安を 少しでも和らげたい
厚かましく押しつけず
共感を持ってわかり合える
そんな小さな意識の変化を求めて プログラムにした
「情緒は私を支配する。論理よりも強く」
伊藤整の言葉を引いて 
その情緒に迫る ワークショップを開始したのだった

※『ふくしとは』:「鳥居一頼の世語り」(175)/2020年1月6日投稿 から引用。

〔2020年1月22日書き下ろし。これは民生委員児童委員初任者研修のプログラムとしては全国で初めて試みたワークショップ。北海道石狩管内対象者の実践の様子をレポートしていく。なぜ初めてかは次回以降明かされていく。主催は公益財団法人北海道民生児童委員連盟である〕

新しい国づくり

2020年の通常国会が 20日開会した
安倍晋三首相の 施政方針演説を書いた人
誰ですか?
希望と夢に満ちた演説は
思いの外 とても力強く元気にアピールされていて
国民も 安定しているこの政権に
身も心も財布も みんな預けて 安堵してます
本当に 陰に隠れて このような原稿を書き続ける
素晴らしいブレーンの皆さん 賞賛します

最低限正常な道徳性を持っておられ
国民のために国政に高い志を抱く 優秀な人たちが 
国会議員や官僚でおられるならば
つまらぬ不祥事 起こしません
事が起こる度に その打ち消しや後始末にどれだけ
言いつくろうのに 原稿書きに苦慮されていることでしょうか
その賢い頭脳を ぼんくらの国会議員や官僚のために消耗するのは
仕事とはいえ モチベーションが良く維持できますね
感心しきりです
これからの国会での答弁書 楽しみにしています

すべての不始末は 決して認めず謝らず 
誤解を与えたと 逃げの一手打てばいい
常に前向き「これからは」の一言で 事態収拾
ポジティブに物事を考え 方向性を示唆する
使い古されたシナリオの再利用 いつも凄いの一言です
議員のこれだけスキャンダラスなバカらしい事態になっても
慌てることなく冷静に 状況見極め判断し 弁解答弁起稿する
これも凄いの一言です
でも その賢い頭脳は そんなことで求められているのでしょうか

国の大事を左右する 陰の力が頼られる 
国の行く末左右する 陰の力が試される
誰がトップになろうとも 陰の力で支えきる
そこに 仕事の醍醐味と生きがい感じて 陰の力は不滅なり

表だっていいこと言う人の 空疎な言葉をもっと洗練させて
国民に悟られぬよう 思うところで国を動かす
本当に素晴らしい価値ある仕事です
憧れます
これからも 操り人形師の如く 
国政を 陰から牛耳ってください

施政方針演説
本当にいいですね
東京五輪・パラリンピックを取り上げて
虚しい「夢」や「希望」を強調しました
祭りの後は 失望と絶望という社会不安が定番です
最後に 憲法改正は国会議員の責務とぶち上げた
国民の意向は無視されて アジテーションに国会はわき上がる 
してやったりと したり顔する陰の姿が浮かびます
「美しい国づくりから 新しい国づくり」
具体的なビジョンは掲げずに
スローガンだけの いつもの空っぽなアピール
聞いていて 憤怒しかありません
 
ところで陰の人 こんな原稿書いて 
空しいって 思ったことないのかな
恥ずかしいって 感じたことないのかな
もう辞めたいって 考えたことないのかな
その頭脳 政治家に尽くすのではなく
国民に尽くすために 使ってみたらどうかな
そろそろネタも尽きてきた頃あい
本音で書いたら 新しい日本の姿が見えてくるかも知れないよ
もういい加減 政治家のお太鼓持ちは 廃業してはいかがですか
志より飯の種 捨てがたいですね
  
「パンはペンよりも強し」

〔2020年1月20日書き下ろし。陰の人たちが誇りと自信を持って国民に訴える原稿が書けるといいな。姑息な中身ばかりで優秀な頭脳がもったいない〕

同調圧力

少女は 友だちがもてることは 心配しなかった
少女は 友だちになったことで 心配になった

秘密を打ち明けたら バラされた
信じられなくなった
嘘をつかれるかもしれない
はじかれるかもしれない
はぶかれるかもしれない

少女は 自分を封印した
少女は 友だちのコトバとタイドに敏感になった
少女は 空気を読むことを 自分に課した

付き合うことに 疲れてきた
その場にいることで 過呼吸になりそうだった
そこは 自分の居場所ではないと よくわかった

少女は ひとりになった
少女は それから友だちを求めなかった
少女は 中学を卒業して ホッとした

高校で ボランティアサークルに入った
ただなんとなく 知らない人に会いたかった
周りを気にせず 初めて受け入れられた
身構えていた力が スッと抜けていった 
自分らしく振る舞えるような そんな予感がした

〔2020年1月20日書き下ろし。昨日の続き。中学生時代に友人関係で悩む子は多い。ボランティアは、そんな子には自分を取り戻すことのできるチャンスかも知れない〕

高校生とボランティア

サークルで ボランティアしている
顧問の先生は 優しい人だ
だから 先生と一緒に活動するのは楽しい
先輩たちがやってきた 老人施設の訪問活動 今も続けている
介護する大変さを 横で見ながら
足手まといにならぬよう お手伝いをしている
月に一度 施設の喫茶室で 
カフェを開いて お年寄りさんをお接待
お茶やジュースを出しながら 楽しく動く 
お話ししたり 聴いたり 自然と笑顔になる
ほっこりしてくる 一番好きな活動だ

放課後 バイトも忙しいけど
それでも サークルを続けている
いつでも都合のいいときに できる範囲で できることから
そう誘われて 入ったサークル
規制が少ない分 負担も少ない
月に一度のカフェだけは できるだけ続けたい 

忙しい高校生活 その大事な時間
バイトしていたほうが お小遣いになる
自由時間は 好きなことしたほうが 楽しいに決まってる
部活に青春をかけている子も たくさんいる
それなのに どうしてボランティアしてるの?
大事な時間を どうして人のために使っているの?
なぜただ働きしてるの?
ボランティアしてない子から 
いいことしてるねって 皮肉っぽく
不思議がられて 聞かれる質問
冷やかし半分の相手に
言っても わかってくれそうもないし
わかってもらおうとも 思わないから
笑ってごまかす

でも 少しわかってきたこと
ボランティアって 肩肘張って することじゃない
ボランティアって 自分でこうしたいと思う気持ちが なきゃできない
ボランティアって 楽しくなきゃ 長続きなんてするわけない

ボランティアは 
きみが 大人に成長していく通り道にある 人としての学びの世界 
いろいろな人の生き様や 理不尽な社会の問題との出会いを通して
きみのこころが揺り動かされ 体験を尊い学びに変えてゆく世界
きみが 生まれて来た理由
きみが 生きる理由 
自問自答しながら
いのちの芯を鍛える 
こころの芯を鍛える  
まなびの芯を鍛える
それは 同級生より少し早めに大人になるための
自ら選んだ 初々しいトライアル

ボランティアの世界にようこそ!

〔2020年1月19日書き下ろし。今日苫小牧で高校生のボランティアスクールがあった。過去に出会った高校生たちの戸惑いや喜びを伝えたかった〕

茶の間

たった2間の小さな家だった
お客さんが来ても 子どもらの逃げ場はなかった
だから 茶の間でおとなしく
大人の話を聞くように 躾(しつけ)られた

世間の大人は どんなことに関心があるのか
おばさんたちの話は 飽きない 尽きない
大人の世界に興味津々 背伸びする
ついつい 身を乗り出す子どもたち
口を挟むと 大人に話に口出すなと叱られる
まあまあと取りなされて 
子どもは ペロッと舌出しながら 耳をジャンボにして聞き入った

親は どんな人たちと行き交いしているのか
親は どんな話を愉しんでいるのか
未知なる大人の世界への憧れ

小さな家の茶の間は 子どもの居場所です
小さな家は茶の間に 人のぬくもりが満ちています
小さな家の茶の間が 噂話の詰まった世間です

いまはみんな
大きな家になりました
客が来れば 子ども部屋に待避します
大人の話の邪魔にはなりません
大きな家になりました
茶の間は 食事時(どき)の限定ルームとなりました
後は個室で くつろぎます
大きな家になりました
気軽に他人(ひと)も 来なくなりました
家の中を査定されるのを 拒否します
大きな家になりました
茶の間は 近所の人も 気軽に立ち寄ることなく
世間が だんだん遠くになっていきました

子どもが成長して 家を離れ 
家の空気が 冷え冷えしてきました
地域とのご縁もどんどん薄れ 
孤独に耐える日々となりました

ついに 大きな家は 住む人なくして 残ります
大きな家は 売りに出しても買い手はつかず 残ります
大きな家は ただの無用の長物となり 朽ちていきます 

そうならぬように
小さな茶の間が 必要な時代が
いまかも知れない

〔2020年1月18日書き下ろし。茶の間という小さなぬくもりがあった空間が大きな家になって消滅し、地域の人とのつながりも空洞化していく。だから地域に小さな茶の間づくりが求められるのでしょうか〕

拿捕(だほ)

1月15日 根室市にいた
人口2万4千人弱の国境の町
ピーク時の半分になっていた
この町で 200人のベトナム人が 水産業に従事する
外国人労働者として 期待されている
石垣雅敏市長は 福祉への参入も構想しながら
市内の企業関係者と共に
ベトナムの各都市を 訪問していた

最盛期の活気は失ったと 地元民はつぶやく
それでもなお国境の町は 漁業が基幹産業なのだ     
それを支える人材は 
はるばる南国ベトナムから やって来た
しばれたマチで 水産業に従事する
その待遇が 正当に評価されてこそ
外国人は 集ってくる
彼らの理解と 彼らとの共生が 
市民に問われる町でもあり 未来でもある

15日午後 拿捕(だほ)された
歯舞漁港所属の マダラ底はえ縄漁船「第68翔洋丸」(29トン)
ロシア国境警備局の臨検を受け 国後島古釜布に連行された
日ロ双方の水域内での操業条件を決める日ロ漁業委員会を受け
1月から 北方4島周辺のロシアが主張する200海里内で操業していた
嫌疑は 船倉にあったアブラガレイの頭部が切られていたこと
マダラ漁で カレイの漁獲も認められていた
でも 1月からの日ロの新ルールの厳格化で 頭を落とした魚は積載できない
頭を切り落とすのは 加工したと見なされた
漁師たちは そんなルールは聞いていないと反論している

暮れにも 安全操業のタコ空釣り縄漁の漁船5隻が 拿捕された
タコの重量の記載が過小だったと クレームをつけられた
1100万円の罰金を支払い 放免された
儲けは飛んで 厳しい正月を迎えたことだろう
市長は容認できぬと 国に強力な漁協外交を求めている
安全操業は 日ロの協定に基づき 管轄権には触れておらず
政府はロシアに 拿捕や罰金は認められずと抗議している
その抗議 何の効果もなく 
15日 また拿捕が起こる

ロシアは 自国の法を厳格に運用したと 主張する
プーチン政権の 外交・内政に関わることで
過去にも 拿捕という常套手段を使って 実効支配を強調し
北方領土は自国だと 国民にアピールしてきた
関係者は 安全操業を続けるために
漁業者に よりいっそうの警戒を呼びかける 

これからも ロシアは強行に出てきます
糠に釘打つ 無力な外交 続きます 
ロシアとの領土交渉
友だちごっこで 期待させ気を持たせて 
待たせたあげくの果ての頓挫です
日米の安保条約が足かせだと ロシアの主張は建前で
本音は透けて見え見え 返すつもりは鼻からない

厳寒の国境の海で働く漁師たち
厳しいルールと労働環境の中
今日も 船を繰り出して
北方領土の問題と安全操業を 国民に訴え続けます

拿捕の翌夜 東京都内の日本料理店
有名芸能人と 嬉しそうに宴に興じる御仁
プーチンさんとの 次の会食機会がもしあるのなら
国境の海で採れた 根室のタコのしゃぶしゃぶを 一度ご賞味ください
舌鼓を打つプーチンさん 
なおさら北方領土はロシアだと 主張することでしょう

〔2020年1月17日書き下ろし。16日根室で出会った人たちからロシアの拿捕の意図を聞かされ、国境の海で生きる漁師たちの厳しさを思い知らされた〕

不始末の始末

人生の始末のつけ方 こうありたい
せめて他人(ひと)から 
事に当たって 
一念通して生きた人だと
言われたい

批判を恐れず のうのうと
国の財政の 舵を取る
毎年膨張する予算の認可と
借金財政放置する 
お役目ご苦労さまです

相手の痛みに添えぬ口害 数知れず
ジェンダー差別の発言も
今年も期待通りの 堂々不名誉連覇中 
刃向かいそうな輩には 
恫喝(どうかつ)まがいの すごみをきかせ
強面(こわおもて)を して見せる
怯(おび)えた者は 身が縮こまる

国会で 人を食ったような薄笑い
老後資金の二千万円の具申も
ないことにする離れ業 見事なり
誰に 顰蹙(ひんしゅく)買おうとも 
揺るがず生きるしぶとさは 彼の持ち味 
へたらない
こびらない
へこたれない
世間の常識通じない 
叩かれても 叩かれても
懲りない 懲りない
この御仁
恐れを知らぬ 政界の猛者(もさ)なり

総理の中東3国歴訪の 留守を預かる副総理
いつもの通り やらかした
一文化 一文明 一民族 一言語の国は 日本のほかにはない
制することもできず 制する者もいない 独断場
自由奔放好き勝手 こうして生きられるこの国は
なんて素晴らしい国だと言いたくて
思いつきで 考えなしに口走る
大陸や朝鮮半島から来た民が 文明文化を伝え
建国の礎になったことは ご存じないか
他国に占領されたことがないとはよく言った
GHQは なんなのさ
「誤解があれば」と失言訂正 
枕詞は 聞き飽きた
誤解した民に非ありと 言うが如し
民は 一言語の日本語の意味を 
取り間違うことはありません
ただし 沖縄の人と青森の人との
土地のコトバでの 意思疎通は難しい
コトバも文化も慣習も 大きな違いがあるのです

失言と 知ってか知らずか 
芯が通っていると 受けとめられて
地元ファンには たまらないキャラクター
郷土の誇り 郷土のたから 郷土のボンボン
だから選挙は 落ちません 落としません

不始末の始末のつけ方 こうありたい
あの人だから いまさら言っても仕方ない 
事に当たって 一念通して生きた人だと
きっと言われる人となる
そんなあなたに わたしもなりたい

〔2020年1月14日書き下ろし。懲りない面々の代表です。そのしたたかさにあやかりたい〕

付記
政治家のジェンダー差別発言 麻生氏がワースト「連覇」
2019年の政治家のジェンダーに関する問題発言を取り上げ、ワースト1位を決めるインターネット投票の結果が11日発表され、1位は麻生太郎財務相の少子化に関する発言となった。麻生氏は昨年も1位に選ばれており、ワースト「連覇」となった。麻生氏への投票理由「問題発言多いのに反省ない」
投票を実施したのは、上智大の三浦まり教授(政治学)らによる市民団体「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」で、今回で3回目。同会のウェブサイトであらかじめ提示された8発言に対して1人最大2票投票できる仕組みで、19年12月30日~今年1月9日の投票期間中、前回より約1800人多い3820人が参加し、投票総数は7593票だった。その結果、1位は麻生氏、2位は安倍晋三首相、3位は平沢勝栄衆院議員となった。(毎日新聞2020年1月11日)

麻生氏「2000年にわたり同じ民族が、同じ言語で、同じ一つの王朝…日本しかない」 批判呼ぶ可能性
麻生太郎副総理兼財務相は13日、地元・福岡県飯塚市で開いた国政報告会で、「2000年にわたって同じ民族が、同じ言語で、同じ一つの王朝を保ち続けている国など世界中に日本しかない」と述べた。「アイヌ民族支援法」はアイヌを「先住民族」としており、日本が単一民族国家と受け取られかねない発言は批判を呼ぶ可能性がある。
麻生氏は講演で世界の中での日本の存在感を語り、日本人が自国に誇りを持つべきだなどという話の流れで、この発言に及んだ。
アイヌ民族支援法は昨年4月に成立した。法律として初めてアイヌを先住民族と明記し、アイヌの独自の文化の維持・振興、アイヌ以外の国民との共生などを掲げている。(毎日新聞 2020年1月13日 )