「鳥居一頼の世語り」カテゴリーアーカイブ

人生の棚卸し

鼻持ちならない人も いた
でも このマチの人は 違った
心底 このマチが 好きだった
ここで暮らす人が 好きだった
はなっから 断ることはできなかった

縁もゆかりもないマチに 居住まいして
心のままに 日を浴び 風を受け 雨に打たれた
そして 人情の機微に触れた

隣人は 体調を崩し 体力にも自信がなくなった
町内をまたいだ 心配事の御用聞きも できなくなった
老いゆく隣人は 車の運転免許を返上した

お願い 私の代わりに 民生委員引き受けていただけない
頼みは 唐突だった
それだけ 切羽詰まっていたのだろう
長い間 このマチの弱った人たちに添い 尽くしてきた人
その姿を 身近に見てきた
その苦労も よく知っている
だから 快く引き受けよう
そう思う心に 素直に従った

ありがとう
あたたかい手を握られた
この人のこころのぬくもりが 感じられた
この人のような 求められる人になれるだろうか
不安げな表情を 見逃さなかった
大丈夫 あなたが一人前になるまで きっちり面倒みるから
ホッとした
お世話になった恩返しの機会を いただいた
何もわからぬままに 明日からすぐできる仕事ではない
導いていただくことが なによりだった
たくさんの教えと 人に寄り添うことから
私もここで 地の人として成長しよう

私の人生の棚卸しは あなたがいて ここから始まる

〔2019年11月14日書き下ろし。12月民生委員児童委員の改選。新任の人たちが不安な気持ちで臨む。先日の研修会で新任を支える人が必要だと二期目の委員が訴えている〕

消しゴム

間違えた
消しゴムで消した
ノートが 真っ白になった
とても気持ちよかった

間違えた
いや 間違えてはいなかった
みんなが バレルとヤバいと いうもんだから
ホームページの「桜」の記事は 速攻消去
あったことも なかったことにできるんだ
後は 口先一つで なんとでもなる
この程度でうろたえるなんて まだまだ可愛い自己自讃

5千7百万円の公費を使って
1万8千人への 大盤振る舞い
正当性を主張しながら この体たらく 
降ってわいた批判を かわしきれずに
来年中止します 
これで決着 潔(いさぎよ)しと 得意顔

招待者の 基準の明確化
招待された プロセスの透明化
中止の理由 おかしくない
こうしなかったことを ただ認めただけ
だから いま問題になっているんでしょ
消しゴムで 消したと思ったら
その下から 隠しておきたかった事実が ゾロゾロ出てきてしまった
やったことの後ろめたさを 封印するのにやっきになって
結局 公費乱用認めたような お粗末な記者会見

でも お偉い人の推薦名簿 
消しゴム無用で 遅滞なく廃棄しました
いつものなかったことにする 
常套手段の証拠隠滅 手際よし
ここは 弁舌さわやか 美しい

権力者は奢(おご)ると 限りなく放漫になるのです
公金は 我が財布化して なんのおとがめもありません
せめて 自前で奢ってください
いやいやそれは 政治資金規正法でできません
だから あまたの大臣辞めたでしょ
規制を逃れるための「桜を見る会」
疑義の追求 ここですね

♬さくら さくら さくらの下に
サクラ(後援会会員)が たくさんいたのです
権力誇示する 「桜を見る会」
もうやめなよ 同じことの繰り返し
惨めなさまを 見せるだけ
ラグビーワールドカップの日本代表のエンブレム
あの桜こそ 誇りにします
子どもに 嘘偽りのない真剣勝負の清々しさを
心から伝えられます 伝わっています
生きていくって そういうことでしょ

桜に罪は ありません
桜は 散りどきこそ見頃です
栄華の夢です
せめて 見事に散ってみませんか

※栄華の夢(えいがのゆめ):世に時めき栄えることは、永続しないことを夢にたとえていう語。

〔2019年11月14日書き下ろし。「サクラ咲き おぞましき宴 得意顔」というところですか。子どもにいつも言い逃れの伝授ありがとうございます〕

付記
「桜を見る会」も早期幕引き 相次ぐ問題、打撃を回避
政府は13日、首相主催で毎年春に開いている「桜を見る会」について2020年の開催は中止すると発表した。安倍晋三首相の事務所名で地元の後援会関係者を招いたと野党が追及していた。安倍政権では最近、閣僚の相次ぐスピード辞任など、問題が起きては早期に幕引きする事例が続いている。「桜を見る会」も傷口の拡大を避けるため早期決着を図った。
この問題を最初に共産党の田村智子氏が追及したのは8日の参院予算委員会だった。首相はこのときに「私は主催者としてあいさつや招待者の接遇は行うが、招待者の取りまとめなどには関与していない」と答弁した。野党側はその後、首相の事務所名で地元の後援会関係者に参加申込書を送っていたとして、公費で行う桜を見る会の私物化と批判した。8日の首相の国会答弁との食い違いも追及し始めた。
菅義偉官房長官は13日、内閣官房が首相や副総理、官房長官、官房副長官、与党から事務的に招待客の推薦を受けていると認めた。そのうえで「内閣官房が取りまとめた」と指摘し、招待客の取りまとめに関与していないという首相答弁との整合性を強調した。
首相だけでなく、萩生田光一文部科学相や自民党の世耕弘成参院幹事長らも、自身の後援会関係者が参加していることを認めている。
それでも「桜を見る会」の中止を早々に決めた今回の対応について、自民党内では「早期に損切りしたということだろう」との声が出る。
安倍政権は10月に召集された今国会で、政権のダメージになりそうな問題の素早い決着を相次ぎ図っている。菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相はいずれも週刊誌で疑惑が報じられると当日か翌日には辞任した。大学入学共通テストへの英語民間試験の導入も批判が集まると20年度開始を見送った。(中略)安倍首相の党総裁任期もあと2年となる。長期政権の求心力維持は世論次第ともいえる。(2019年11月14日日本経済新聞電子版)

朝の挨拶

不審者対策で 子どもの挨拶を指導しました
見知らぬ人には 挨拶はしてはなりません
地域事情はお構いなしに お達しがきて指導する
問題が生じたときには 責任を追及されぬよう
管理職は汚点がつかぬよう お達しは常に優先される
異を唱える者は 誰もいない   

突然 挨拶の声が 地域から途絶えた
子どもは従順に 言われたまま行動する
何か起これば 地域の問題で 学校ではありません
何か起これば 子どもの問題で 学校ではありません
リスクマネジメントの基本は 最小に抑えること
徹することが 学校を守ること
子どもや地域は 二の次ですか?

別の地域の住民から 学校に要望がありました
最近子どもが 会っても挨拶しない
学校では どのように指導されているのですか
朝会で 校長は 地域での挨拶励行について指導を促す
担任は 挨拶をするよう学級指導する
地域の要望に 素早く対応 いいですね
この先生 地元には住まいしないで 車で通う
子どもが どのように生活しているのかは ほとんど知らず 
挨拶の実態もよくわからない
ただ上から言われるままに 子どもに伝え指導する
朝 登校する子どもたちは 
教師の走りゆく車の後ろに 立ち止まって頭を下げる
虚しい指導の実態 それすらもわかるはずはない

学校と地域と家庭の連携という常套句
寂れいくマチの ペンキのはげた立て看板
「あいさつ運動」の文字が 虚空に舞う 
するかしないか 学校次第
妙ちくりんな世の中を 子どもは生きるしかないのです

〔2019年11月12日書き下ろし。2つの地方のマチでの2つの対応。地域を見ずして一律指導。地域の子育てにブレーキかけて、これでいいのかな?〕

何ものだ

えらそうだな
正義感ぶって
さもさもらしく 世の中批判して
一席ぶってる お前って何ものなんだ

よくもそう言えるな
たかが ただのじいさんが
大したことのない人生語って いい気になるな
なんの功績もなかった お前って何ものなんだ

わかったふりすんなよ
浅い知識をひけらかす
三流大卒の学歴しかない その程度の身分で
さも見識ぶってる お前って何ものなんだ

他人(ひと)の生き方 くさすなよ
力ある者に こびへつらい へりくだる 
嘘くさいって よくも言えたものだよな
そうして生きてきた お前って何ものなんだ

俺って 何ものなんだ
書けば書くほど ジレンマに襲われる
己の過去の過失・失敗・失言も 全て引き受けながら
なおも書かねばならない 衝動にかられ
いまも葛藤しながら キーを打つ

俺って 何ものなんだ
他人や世の中を批判する 何ものも持たぬ
何ものでもない己に 
今をただ 恥じぬよう生きたいと欲した

俺って 何ものなんだ
静かに退場することも 一つであり
やかましく 吠えることも 一つである
市井に生き暮らす 民のひとりとして
批判を甘受しながら 
民に許しを請いながら
いまの時代の不条理を 言葉に書き綴る

それが いまの俺なのかもしれない 

〔2019年11月12日書き下ろし。120回綴ってきた。己の傲慢さをいさめることも肝要かと。己の立ち位置を見失わぬよう、ときどきふりかえってみたい〕

晴れ舞台

歌う
こころを 思いっきり 開放する
声を張り上げ 怒鳴るように 歌詞を放つ
音程も バラバラ
だから 面白いハーモニーが そこに生まれる
3歳児も 4歳児も 歌うことを全身で楽しむ

演じる
台詞を忘れないよう 早口で話してホッとする
でも忘れてしまった子は 隣の子が耳打ちして
自信なげに 目配せしながら 台詞を吐く
一人ひとりが 親には主役  
3歳児も 4歳児も 演じることを全身で愉しむ

ゼロ歳児のお披露目
名前を呼ばれて 反応する子に 大きな拍手
大勢の観客を前にしても ぐずりもせず泣きもせず 席に座っている
遠目で小さい仕草に一喜一憂する観客 ただそれだけのこと
手遊び唄が流れても 観客を見ている つぶらな瞳
誰かを探しているのだろうか

小柄な母は 背伸びを精一杯して ゼロ歳児に手を振る
乳飲み子は 気づくはずはない
それでも ここにいるよって 手を振りたい
母はいつでも そばにいたい
その成長を見ていたい
でも預けるしかなかった乳飲み子は
いま舞台の上で 保育士たちに見守られながら そこにいる
他人に預けた子が こうして舞台でおりこうさんに座っている
ちょっぴりの寂しさと ここまで育っている喜びが
複雑にシャッフルされた 感情のわき出るなかで
小柄な母は 背伸びしながら 無心に手を振る

手を振りながら 笑顔を見せながら
歌い踊る我が子に 
声援の手を振る 母さんたち
後ろには ビデオやスマホで撮る父さんらが立ち並ぶ
我が子が一番 お目当ては逃さぬよう 真剣だ
演目の終わりは お決まりの出演者総出の記念写真
舞台の上には 母親たちの手作りの可愛い衣裳で並ぶ子ら
拍手喝采 幕が閉まる

年に一度の晴れ舞台
子らにどんな演目を どう演出するのか 評価される保育士たちの心意気
日ごろの保育時間以外で 周到な準備をした保育士の心意気
そこにあるのは 日ごろの指導の成果の発表会
そのご苦労は きっと報われていた

子らの 1年の成長の早さに 圧倒されながら
子の成長の喜びと 保育士への感謝の 特別な時間が 終わった
保育所は 預けるところではない
親と保育士が 共に保育する場であることを
確かめ合う舞台となった   

〔2019年11月10日書き下ろし。2年ぶりに保育園でゼロ歳、3歳児、4歳児の生活発表会を観た。2歳児と年長さんは観られなかった。それでも幼児と保育士たちの奮闘ぶりに心は熱かった〕

OK ブーマー!

今秋の ダレたいつもの国会劇場

言い逃れ はぐれかし
からかい あざけり みくびり
見下して にたり顔
OK ブーマー!

任命責任は 私にあります
同じ言葉を 繰り返す壊れた再生レコーダー
この人も 一度壊れて 再生したっけ
OK ブーマー!

不都合起これば 高圧的に事態収拾
責任転換 いつものことと 心得て
周りにはべる者たちは 戦々恐々仕えます 
OK ブーマー!

意のままに 居座り続けて 
凄い人だと勘違いするも 仕方なし
功績何のと言わずとも 憲法改正一直線 
OK ブーマー!

若い世代は もう見飽きた 聞き飽きた
テレビに映る 得意顔
不遜な態度も 言いぐさも
早かれ遅かれ その席譲る 時が来る
OK ブーマー!

三十年後には お偉い方々も
きっと墓標の下となる
でも若い世代は 生きている
だからいま 邪険にされてる世代からのプレゼント
OK ブーマー!

世の中を 牛耳っている大人へ伝えます
OK ブーマー!
世の中で 欲の皮が突っ張っている大人に伝えます 
OK ブーマー!
世の中を 失望と絶望の未来へと導く大人に伝えます 
OK ブーマー!

子どもだと なめてかかってくる大人
そんな大人は 何の魅力も価値もない
悪しき大人を 駆逐して 
未来を 若き君たちの手に 取り戻す
スローガン
OK ブーマー!

流行らそう SNSで
流行らそう 行動で
この声が 世界中に広まる
この思いが 世界で一つになる
OK ブーマー!

〔2019年11月10日書き下ろし。香港で抗議活動に参加した大学生が8日死去。その死を悼む。地球温暖化防止を求める世界的運動の先駆けとなったスウェーデンの活動家グレタ・トゥンベリもまたその旗手の一人。9日アメリカは国連にパリ協定からの離脱を通告した。世界の政治家は「OK ブーマー!」を恥辱と知るべきか〕

付記
25歳議員が年配議員の野次を平然とあしらった「OK、ブーマー」の一言 
ニュージーランドの議会で気候変動問題について演説していた25歳の女性議員が、年齢をからかう野次(やじ)を飛ばした年配の議員を「OK、ブーマー」の一言で黙らせて、同世代の共感を集めている。
緑の党のクロエ・スウォーブリック議員は5日、2050年までに二酸化炭素排出量をゼロとする目標を掲げたゼロカーボン法について演説していた。
演説では、何十年も前から気候変動問題を認識していながら、政治的駆け引きに終始してきた世界の首脳らの対応を批判。「私の世代、そして私に続く世代には、もうそんな余裕はないのです。2050年には私は56歳になります。そして今、この第52回議会の平均年齢は49歳です」と続けた。
スウォーブリック議員の年齢をからかう野次が飛んだのはこの時だった。しかし同議員は「OK、ブーマー」の一言で軽く受け流すと、何事もなかったように平然と演説を続けた。議場は静まり返り、スウォーブリック議員の後ろでクスリと笑いを漏らす男性もいた。
「OK、ブーマー」の言葉は今年に入り、「ミレニアルズ」「ジェネレーションZ」と呼ばれる若者の間でソーシャルメディアの「TikTok(ティックトック)」を通じて流行した。同アプリには、「ベビーブーマー」と呼ばれる年配世代の無自覚さや上から目線の態度をからかう動画が無数に投稿されている。
米紙ニューヨーク・タイムズはこれを「OK、ブーマー現象」と呼び、「業を煮やした何百万人もの子どもたちのスローガン」と位置付けた。(2019年11月7日CNN.co.jp配信)

風呂敷包み

認知症を患い 95歳の老女は 特養ホームに居た
娘が内地から 見舞いにやってきた
居室に飾られた「一枚の写真」に釘付けになった
一筋の涙が とめどなく流れた
親不孝を咎(とが)めた 涙でもあった
娘は 母が風呂敷包みを 
なぜたすき掛けにしていたのかを 知っていた

大正生まれの母 子どもの頃から覚えたであろう風呂敷の扱い
戦前戦後の石炭全盛時代 子育てをしながら夕張の鉱員として働いた
世は移ろい 流れるままに身を任せ
衣食住の苦労は 白髪と顔のしわに刻まれた
石炭は 石油の波に押され 炭鉱は閉山
安住の地も追われ 路頭に迷う昭和の後半
夕張市が破綻していく 前兆の時代だった
十八年間毎秋春 風呂敷包みとバックを持って 
内地にいる 子どもたちの所を巡り歩いた
高齢と認知症で 施設に入った
写真の風呂敷包みの中身は たぶん下着とオシメ
感情を高ぶらせて 包んだに違いない
車いすに乗り 部屋から出た
行き先を 介護士と話して安堵している笑顔の一枚
笑えない認知症だ

娘は さらに綴った
次から次へと推測できる写真に出会い とめどなく涙が流れます
母は この後安らかに就寝したものと思います
入居者に こんな優しい気持ちで 接しておられる
職員の皆様のご努力が 目に映ります
言葉に尽くせない 熱いものがこみ上げてきました
ありがとうございます

男は この手紙を職員に 担当の名を伏しながら紹介した
担当のおもいが 家族に伝わった情景を思い浮かべながら
この手紙の重さを 語った

男は 大事な施設の宝を ここに見つけた
お年寄りの こころ模様に寄りそう 人そのもの
「和顔愛語」のこころが 日々のケアに託されて
職場が 笑顔と思いやりあふれる言葉に満ちてこそ
介護の仕事は 一つにまとまり 豊かとなる
そこに 一人ひとりが 人として輝き 育ちゆく
仕事への自信と誇りが 培われていくのだと

男が 五十年間 自ら求めてきた「和顔愛語」は 
老若男女の介護士たちの 
日々淡々と 繰り返されるケアで 示される
いのちと暮らしを護る 福祉の最前線は 
今日も 無事なり   

※和顔愛語(わげんあいご):「大無量寿経」の一節、「うそ、いつわり、こび、へつらいの心を持つことなく、いつも和やかな笑顔、愛情のある言葉をもって人に接し、相手の意志を先んじて知り、その望みを満たすこと」にある。法人の介護理念の源泉となった言葉。

〔2019年11月9日書き下ろし。人生の師である社会福祉法人の理事長が大切に持っていた利用者の娘からの手紙を見せてもらった。職場環境と介護福祉士を育てる励ましと評価。それが仕事への誇りとなり、人育ちそのものとなる〕

子どもにも分かる嘘

われわれは 戦争をしたくはない
(したくないなら しなきゃいいでしょ
アメリカから 高い戦闘機や兵器をたくさん買ったり 挙げ句の果てには 
アメリカの戦闘機が離着陸できる空母に改造してるって なんで?
戦闘機や兵器で どれだけ貧しい子が救われるか 優先順位が間違っています
われわれどころか 私たちは 戦争はしません)

しかし敵側が 一方的に戦争を望んだ
(一方的に戦争しようなんて ほんと?
敵ってどこの国? 
中東の沖まで行って 敵を探してくるの?
そもそも そういう気持ちにさせた 事の原因はどこにあるの?
そんなところに 私たちを 巻き込まないでよ)

敵の指導者は 悪魔のような人間だ
(あんたも相手には悪魔のように見られてるから 憎悪同志の話でしょ
だからアメリカは 奇襲作戦で爆撃して 殺したんだね
戦争をし続けないと アメリカはマグロのように死んじゃうから?
でもどうして 日本はいつも 尻ぬぐいをさせられるの? やめてよ!
日本にもテロリストが 手ぐすね引いてやってきますよ)

われわれは領土や覇権のためではなく 偉大な使命のために戦う
(われわれって ニッポンもそうするの?
偉大な使命だって アメリカが煽って 旗を振った日本のリーダーがいたね 
あのときは 平和憲法を盾に後方支援でうまくかわしたけど 
アメリカが喜んだ 集団的自衛権なんぞ行使できる今度は そうはいかないしょ
勘弁してくださいよ 目的はいつも覇権しかないっしょ
沖縄も岩国も いったいどこの国の領土なの?
憲法変えたら 戻ってくるの? 幻想だよね)

われわれも誤って犠牲を出すことがある だが敵はわざと残虐行為に及んでいる
(誤ってなんて嘘でしょ ごめんで済むはずありえない
人の命を奪っておきながら 誤って殺したって言い訳することに何の意味があるの
残虐行為って お互い様でしょ 戦争なんだから
言い訳が通用すれば 正義だとでも言いたいの
非戦闘員を殺すことに どんな言い訳がある
そんなの認めちゃ だめでしょ 
74年間も 日本は戦争したことなんてないんだから
そんな恐ろしいこと 絶対しちゃいけないよ
戦争やらなきゃ どちらにも犠牲者は出ないよ
子どもでもわかる これ常識)

敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
(あのね 戦争って みんな卑劣で残忍 だから戦争でしょ
遠く離れたところで 画面見ながら爆弾落として人殺し ゲーム感覚なんだよね
だから こころを痛めることなんか ひとつもない
大量殺人兵器を使って いかに相手に ダメージを与えるかっていうのが
そもそも戦略でしょ 
相手が どうこうって話じゃないよね 説得力ないな
自慢げに 兵器を見せ合うパレードごっこ
危ない大人の 火遊びです)

われわれの受けた被害は 小さく敵に与えた被害は甚大
(よくそうやって よくみんなを騙してきたんだよね
使い古したフレーズで いま誰も信じはしないよ
えっ 誰かさんは 確かめもしないで信じるってほんと?
やめてよ そんなみっともないことすんの)

芸術家や知識人も 正義の戦いを支持している
(そんなわけないっしょ 
そういうのなら いっそのこと 前線に行って我先に戦ってもらったら
でも 決して誘いにはのりません ついてはいきません
煽るばかりで 一番安全な所にいる人だぁ~れだ?
自分でバンバンして 人を巻き込まないでください)

われわれの大義は 神聖なものである
(だからさ 大義でなくて大儀(おっくうでめんどうなこと)なんだよ
あんたの さもさもらしく嘘くさい 戦争神聖論
どこの神さまが 人を殺せって教えているの?
残忍なんだね あんた方の信じる神さまって)

この正義に疑問を投げかける者は 裏切り者である
(ここが一番汚いやり口 非国民って言わせたいんだよね
正義に見せかけて煽る戦術 もう見抜かれています
戦争に反対する人 喜んで裏切り者になろう
いや待って 
戦争しないって 日本国憲法に書いてあるのに
戦争の準備をしている人こそ 最大の裏切り者じゃない
騙されないよ 裏切り者には
裏切り者に 私たちのいのちを預けてなんか いませんから
騙されません 金輪際 絶対に
だから もう軍事力を強化するのは おやめなさい!
私たちは 日本の平和憲法の下に 生き続けます)

以上 戦争へと導く宣伝の法則の 裏を上手にかくと
平和を好む者が 戦争を好む者たちの
あざとい企てを 
看破することができます

いや 待って
戦争を好む者たちが
巧妙に 立ち振る舞うから 
平和を好む者たちは
騙されたことの 自覚なく
戦争への道を ひたすら歩かされる羽目になる
残酷な予断です

若者よ 覚醒(めざ)めよ
戦争の最前線に立たされるのは 
君たちであり
その子どもらです

〔2019年11月8日書き下ろし。『戦争プロパガンダ10の法則』(アンヌ・モレリ著、草思社、2002年、文庫版2015年)を引用しながら、アメリカに扇動された世界の危機意識を憂う。現国会で野次ってるレベルの人たちにいのち預けられますか?〕

付記
安保法制判決 憲法判断回避は無責任
集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法に違反するものだとして、約1500人が国に損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、東京地裁はきのう原告の請求を退けた。
全国22地裁・支部で提訴された同種の集団訴訟のうち2件目の判決で、今年4月の札幌地裁判決に続く原告側敗訴となった。原告は、安保関連法施行で平和的に生きる権利を侵害されたと主張したが、判決は法的保護を与えられる利益とはいえないと判断。憲法判断をすべき理由がないとして請求を棄却した。行政や立法府が憲法を守らない場合、司法はそれを是正する役割を担う。最高裁が最終的権限を有する違憲立法審査権は、そのためにある。 立証に不可欠な証人尋問も認めなかった東京地裁の判決は、門前払いに等しい。これでは憲法を巡る審理の深まりは期待できない。
安保関連法を巡っては、「日本を取り巻く安全保障環境の変化」という薄弱な根拠で、憲法9条を実質的に骨抜きにする憲法解釈の変更を行った。極めて違憲性が強く、廃止するのが筋だ。三権分立の根幹が問われる重要な局面で憲法判断を回避した東京地裁の判決は、司法の責任の放棄と言わざるを得ない。東京地裁判決は、安保関連法の施行で、日本が反撃されたり、テロの対象となったりする危険が増したという原告の主張について、具体的な危険が発生したとは認めがたいとして退けた。憲法判断は、具体的な権利の侵害が審理の対象となるとされ、抽象的な訴えでは中身の検討に入らないことが多い。
しかしながら、「戦争は繰り返したくない」という空襲体験者やテロ攻撃などの巻き添えを恐れる米軍基地周辺住民の不安は、果たして具体性を欠いた訴えだっただろうか。
高度に政治的問題は司法審査になじまないとして、憲法判断を避ける「統治行為論」も影響したとみられる。前橋地裁や横浜地裁の訴訟で証人尋問に臨んだ宮崎礼壹元内閣法制局長官は、安保関連法について「長年の政府解釈や国会議論に反しており、違憲だ」と述べた。その事実だけでも憲法判断を行う理由になるのではないか。立憲主義が問われている今こそ、司法が憲法判断と向き合うべきだ。(北海道新聞社説2019年11月8日)

幼児と車いす

ひとり暮らしを 始めた
施設を出て マチに飛び出した 
ごみを出しに行った
出会ったアパートの人が
「おはようございます」と 挨拶をしてくれた
そのとき オレもこのマチで暮らしているんだと 即実感
挨拶を返しながら その喜びを噛みしめた

遊んでいた幼児が オレを見つけた
そばにやって来て 車いすを不思議そうに見る 
どうしておじさん そんなものに乗っているの
なにげない 質問
大人は その原因を始めに尋ねようとは 決してしない
車いすはね おじさんの足だよ
だから 君よりは早く走れるよ
なめてかかって 豪語した

そしたら 競争しようという流れに なってしまった
突然 幼児は消えてしまった
おいおい 朝からおかしな展開だ
ややしばらくして 
なんと「三輪車」に乗って 登場した

幼児にとって 車いすとの競争は 三輪車ですること
それが 対等な競争の条件
あなどれない 子どもの鋭い着想を 思い知らされた

〔2019年11月5日書き下ろし。『こんな夜更けにバナナかよ』の鹿野靖明氏と一緒にマチに出たタケちゃんのちょっといい話。幼児は「対等な関係性」をいかにつくるのかを、鮮やかに見せてくれました〕

二つの詩

一つは 中学生だった

先生 聞いてください ぼくらの悩みとあせりを
先生 話してください あなたの青春の夢と希望を
先生 笑ってください 教室の暗さを吹き飛ばして
先生 叱ってください ぼくらの不平とさぼりを
先生 教えてください 人生のはてない辛さと厳しさを
そして 人として生きることの喜びを

そんな先生には なれなかった

もう一つは 版画家中野章に教えてもらった

人生には 明るい闇夜があり
まっすぐな迷路がある
人が群れとして 盲いていて
みちびく者も みちびかれる者も
みんな盲いていて
そんな夜を そんな道を
ひたむきに歩むのは 悲劇だ

出会ったときから もう20数年たった
11月7日夜 旭川の自宅を数年ぶりに訪ねる
いまの世の中が 悲劇にひた走る予感を 
共有する 

〔2019年11月5日書き下ろし。氏の北海道の風景を描いた版画は、多くの人を魅了する。「人はそれぞれの人生を歩みながら、それぞれの足跡を残してゆく」と巻頭言を寄せてくれた。その人生の軌跡を語り合える人がいることを、仕合わせというのだろう〕