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サイト運営協力者

サイト運営協力者


村上 進(むらかみ すすむ):Susumu Murakami
Colleagues of the Institute for Citizen Welfare Education

村上進氏(東京都在住)には、2012年6月25日の本ウェブサイトの開設から今日まで、その運営協力・支援を具体的・継続的にいただいています。
本ウェブサイトではこれまで、読者が読みやすい形式や内容を求めて、その修正や変更を繰り返してきました。また、すべてのデータが消失する危険にさらされたこともありましたが、その際にも迅速・丁寧に対応していただきました。
2025年2月20日には、サイトの安定的な運営を維持するために、サイトの移設(サーバーの移転、URLの変更等)をおこないました。その折には、全面的に村上氏のご支援をいただきました。
衷心より感謝とお礼を申し上げます。とともに、今後も引き続き、格別のご厚情とご支援を賜わりますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
なお、フロントページの最初のヘッダー画像は、2013年9月に村上氏が撮影したスイスアルプスのブリエンツ・ロートホルン( Brienzer Rothorn)です。

市民福祉教育研究所
主宰/田村禎章・三ツ石行宏

共同研究者

共同研究者


田村禎章/愛知県
市民福祉教育研究所 主宰
東海学院大学健康福祉学部総合福祉学科 講師

三ツ石行宏/高知県
市民福祉教育研究所 主宰
高知大学教育研究部人文社会科学系教育学部門 准教授


阪野 貢/岐阜県
市民福祉教育研究所 顧問

大橋謙策/東京都
市民福祉教育研究所 顧問
日本地域福祉研究所/元日本社会事業大学大学院・東北福祉大学大学院

上野谷加代子/大阪府
市民福祉教育研究所 顧問
日本医療大学/大阪市ボランティア・市民活動センター


村上 進/東京都
市民福祉教育研究所 サイト運営協力者


原田正樹/愛知県
日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科・同大学院社会福祉学研究科

鳥居一頼/北海道
地域福祉アドバイザー

宮脇文恵/栃木県
宇都宮短期大学人間福祉学科

坂本大輔/北海道
登別市社会福祉協議会


青木尚人/群馬県
高崎健康福祉大学健康福祉学部社会福祉学科

朝倉美江/愛知県
金城学院大学人間科学部コミュニティ福祉学科

新崎国広/大阪府
ふくしと教育の実践研究所 SOLA/元大阪教育大学教育学部教育協働学科

有馬正史/東京都
認定NPO法人さわやか青少年センター

井沢武則/長野県
元長野県立福祉施設

市川茂春/北海道
社会福祉法人北海道友愛福祉会

伊藤光洋/愛知県
江南市社会福祉協議会

今中博之/大阪府
社会福祉法人素王会・アトリエインカーブ

馬川友和/北海道
北海道民生委員児童委員連盟

大石剛史/宮城県
東北福祉大学総合福祉学部

忍 正人/北海道
旭川市立大学

恩田峰代/岐阜県
関市社会福祉協議会(主任介護支援専門員)

金田喜弘/京都府
佛教大学専門職キャリアサポートセンター

唐木清志/茨城県
筑波大学人間系人間学群教育学類

木本光宣/愛知県
特定非営利活動法人ユートピア若宮

近藤美紀也/岐阜県
中央法規出版岐阜営業所

篠原辰二/北海道
一般社団法人 Wellbe Design

菅井直也/広島県
元広島文教大学人間科学部人間福祉学科

杉本和美/静岡県
特定非営利活動法人地域支援ネットゆう

田中美紀/岐阜県
一般財団法人高山市福祉サービス公社

田辺則人/愛知県
NPO法人志民連いちのみや/元一般社団法人地域問題研究所

谷野愛梨/徳島県
四国大学短期大学部幼児教育保育科

種石 進/静岡県
社会福祉法人駿府葵会特別養護老人ホーム蜂ヶ谷園

辻 浩/東京都
元名古屋大学大学院教育発達科学研究科

寺谷篤志/京都府
地域経営実践士

照山秀一/北海道
札幌学院大学人文学部英語英米文学科

飛永高秀/長崎県
長崎純心大学人文学部地域包括支援学科

中嶋秀行/福井県
あわら市民生委員児童委員協議会

名賀 亨/大阪府
華頂短期大学幼児教育学科

中野伸彦/長崎県
鎮西学院大学総合社会学部社会福祉学科

祢宜佐統美/愛知県
愛知文教女子短期大学幼児教育学科

野尻紀恵/愛知県
日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科・同大学院福祉社会開発研究科

野田 智/富山県
射水市社会福祉協議会

原 良子/埼玉県
日本語適応指導員/元東京都北区児童館

日開野 博/徳島県
徳島車いすテニスクラブ/元四国大学短期大学部人間健康科

平田 厚/静岡県
静岡福祉文化を考える会

古田稔幸/岐阜県
北方みなみ子ども館

保坂美保子/秋田県
大館市立栗盛記念図書館

蒔田勝義/三重県
NPO法人桜ボランティア協会

松井克憲/岐阜県
株式会社みらい

松岡広路/兵庫県
神戸大学大学院人間発達環境学研究科

水上真裕/福井県
坂井市社会福祉協議会

宮崎正宇/岡山県
倉敷市立短期大学保育学科

棟方 梢/青森県
青森明の星短期大学子ども福祉未来学科保育専攻

山下 彦/長崎県
長崎国際大学人間社会学部社会福祉学科

山田仁司/岐阜県
元関市社会福祉協議会

山田光広/岐阜県
関市社会福祉協議会(コミュニティソーシャルワーカー)

山本寿子/島根県
日本ボランティア学習協会/元松江市ボランティアセンター

渡邊一真/京都府
京都府社会福祉協議会


윤 정숙(尹 貞淑)/大韓民国
慶北科学大学社会福祉科


2025年8月6日現在/60名

主宰

主 宰


田村禎章 (たむら さだあき):Sadaaki Tamura

市民福祉教育研究所 主宰
President of the Institute for Citizen Welfare Education

東海学院大学健康福祉学部総合福祉学科 講師


三ツ石行宏(みついし ゆきひろ):Yukihiro Mitsuishi

市民福祉教育研究所 主宰
President of the Institute for Citizen Welfare Education

高知大学教育研究部人文社会科学系教育学部門 准教授


 

顧問

顧 問


阪野 貢 (さかの みつぐ):Mitsugu Sakano
日本福祉教育・ボランティア学習学会名誉会員(2023年)
Honorary member of the Japan Academic Association of Socio‐education and Service Learning

宝仙学園短期大学保育科  専任講師・助教授・教授(1973年4月~1997年3月)
中部学院大学人間福祉学部人間福祉学科  教授(1997年4月~2013年3月)
中部学院大学大学院人間福祉学研究科 教授(2003年4月~2013年3月)
NHK「社会福祉セミナー」講師(福祉教育等担当)(1997年8月~2009年1月)
皇學館大学大学院社会福祉学研究科 非常勤講師(2002年4月~2011年3月)
福井県立大学大学院看護福祉学研究科 非常勤講師(2003年4月~2021年3月)
文教大学生活科学研究所  客員研究員(2013年4月~2021年3月)
市民福祉教育研究所  主宰(2012年6月~2020年12月)
市民福祉教育研究所  顧問(2021年1月~)
日本福祉教育・ボランティア学習学会事務局長・副会長、日本福祉文化学会理事、全社協・東京都社協・埼玉県社協・静岡県社協・富山県社協・岐阜県社協・三重県社協等の福祉教育・ボランティア等委員会委員・委員長等を歴任
著書
『戦後初期福祉教育実践史の研究』(単著)角川学芸出版、2006年
『福祉教育のすすめ』(監修)ミネルヴァ書房、2006年
『市民福祉教育の探究』(単著)みらい、2009年 など多数


大橋謙策(おおはし けんさく ):Kensaku Ohashi
日本福祉教育・ボランティア学習学会名誉会員(2018年)
Honorary member of the Japan Academic Association of Socio‐education and Service Learning

日本医療大学客員教授
元公益財団法人テクノエイド協会理事長
元特定非営利活動法人日本地域福祉研究所理事長
日本社会事業大学名誉教授
元日本社会事業大学学長
放送大学客員教授、日本学術会議第18期・19期会員(2000年~2005年)、日本社会福祉学会会長(1999年~2005年)、日本地域福祉学会会長(2002年~2008年)、日本福祉教育・ボランティア学習学会会長(1995年~1998年)、ソーシャルケアサービス従事者研究協議会代表(2000年~2016年)等を歴任
著書
『地域福祉の展開と福祉教育』(単著)全国社会福祉協議会、1986年
『コミュニティソーシャルワークの新たな展開』(共編著)中央法規出版、2019年
『地域福祉とは何か』(単著)中央法規出版、2022年 など多数


上野谷加代子(うえのや かよこ):Kayoko Uenoya
日本福祉教育・ボランティア学習学会名誉会員(2024年)
Honorary member of the Japan Academic Association of Socio‐education and Service Learning

日本医療大学教授
社会福祉法人大阪市社会福祉協議会大阪市ボランティア・市民活動センター所長
同志社大学名誉教授
放送大学客員教授、日本地域福祉学会会長、日本福祉教育・ボランティア学習学会会長、ソーシャルワーク教育学校連盟副会長、厚労省社会保障審議会福祉部会委員等を歴任
著書
『たすけられ上手たすけ上手に生きる』(単著)全国コミュニティライフサポートセンター、2015年
『地域福祉の現状と課題』(共著)放送大学教育振興会、2018年
『共生社会創造におけるソーシャルワークの役割』(編著)ミネルヴァ書房、2022年 など多数

市民福祉教育研究所/大橋文庫

市民福祉教育研究所/大橋文庫


1 大橋謙策の研究業績

1)著書(単著、編著、監修)


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2)論文


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出典:『大橋謙策主要論文等(2019年~2023年)』大橋ゼミ50周年ホームカミングデー実行委員会、2023年10月、1~16ページ。

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3)追補(未定稿)


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備考:本資料は、岡村英雄氏(日本社会事業大学大学院修士課程修了、大橋ゼミ)の作成になるものである。一部確認を要する点があることから、「未定稿」とした。岡村氏には感謝とお礼を申し上げたい。

18


2 大橋謙策の蔵書リスト

市民福祉教育研究所では、一部の「大橋謙策蔵書」の<リスト>( ⇒「大橋謙策蔵書リスト」)を所蔵しております。当研究所のウェブサイトのフロントページ、画像下のナビゲーションメニュー中の「プラットホーム」からお問い合わせ下さい。
  ⇒   プラットホーム


阪野 貢/「自由」:回顧と再考― エーリッヒ・フロム著『自由からの逃走』のワンポイントメモ―

〇筆者(阪野)の手もとに、エーリッヒ・フロム著、日高六郎(ひだか・ろくろう)訳『自由からの逃走』(Erich Fromm,Escape from Freedom,1941.  132版(新版)、東京創元社、2024年4月。以下[1])がある。訳者である日高は、その「訳者あとがき」で次のようにいう。「フロムによれば、現代における自由の問題は、たんに巨大な機械主義社会や政治的全体主義の圧力などによって、個人の自由がおびやかされているということだけではなくて、いっぽうではひとびとが求めてやまないはずの、価値としての自由が、他方では、ひとびとがそこから逃れでたいとのぞむような呪咀(じゅそ)となりうるところにあるという」(329ページ)。[1]におけるフロムの主要なメッセージである。そして、日高によると、[1]は「専門書であるばかりでなく、むしろそれ以上に、一般の知識人全体にうったえる文明批評の書である」(333ページ)。超ロングセラーの所以でもある。
〇もう一冊、筆者の手もとに、仲正昌樹(なかまさ・まさき)著『人はなぜ「自由」から逃走するのか―エーリヒ・フロムとともに考える―』(KKベストセラーズ、2020年9月。以下[2])がある。[2]は、[1]の「純粋な解説書」ではない。それは、[1]の「議論の流れに即して、全体主義を可能にした歴史的・社会的条件を確認し」、「大衆社会の住人が『自由』から逃走し始め、その一部が全体主義を支持するに至ったプロセスを再構成したうえで、どうして『自由』は重荷になるのか」(17ページ)を、仲正の視点・視座から広く・深く論究する専門書である。仲正は、フロムと[1]について、こう説述する。

エーリヒ・フロム(1900~1980)は、ドイツ系ユダヤ人で、フロイトに始まる精神分析の理論を社会的性格の分析に応用する研究に従事していたが、ナチス政権成立後、アメリカに亡命し、戦後はアメリカやメキシコで研究活動を続けた。「愛」「悪」「神」「自由」「ヒューマニズム」「社会主義」「革命」など、人間の生き方の根本に関わる重要なテーマに関する多くの著作を残し、政治的・宗派的な立場の違いを超えて様々な立場の人に影響を与えてきたが、最も大きなインパクトがあったのは、彼が大戦中に執筆した『自由からの逃走』(1941)である。/この著作は、そのタイトルが示しているとおり、近代世界において「自由」を与えられた諸個人が、自由に生きることに伴う重圧、不安に耐えかねて、自らが自由を放棄するに至った過程を社会心理学・社会史的に描き出している。(15~16ページ)

〇この最後の一節に関して仲正は、フロムがいう「‥‥‥への自由」という「積極的な自由」と、「‥‥‥からの自由」という「消極的な自由」について、次のように要約する。「安定感を与えてくれていた第一次的な絆が断ち切られ、世界と対峙することを強いられ、無力感と孤独感に囚われた個人には、二つの選択肢がある。/一つは「積極的自由」への道、愛情と仕事を通して、自発的に世界と結び付く道である。この道を歩めば、彼は、独立と個人的自己の統合性を失うことなく、人間らしく、自然と調和して生きることができる。/もう一つは退行し、自らの自由と独立、自己の統合性を放棄する道である(「消極的自由」:阪野)。耐えがたく思われる心理状態を取りあえず回避するための『逃走』である」(116ページ)。
〇フロムの言によると、「積極的な自由」は、「自我の実現」すなわち自分の独自性と個性の成長や実現をめざした「全的統一的なパースナリティの自発的な行為のうちに存する」(284ページ)。「消極的な自由」は、母子関係や封建的・伝統的な束縛・強制などの「個人が完全に解放される以前に存在する第一次的絆」(35ページ)からの解放である。そして次のようにいう。ひとは「『‥‥‥からの自由』の重荷にたえていくことはできない。かれらは消極的な自由から積極的な自由へと進むことができないかぎり、けっきょく自由から逃れようとするほかない」(150~151ページ)のである。

近代人にとって自由は二重の意味をもっている。(中略)すなわち、近代人は伝統的権威から解放されて、「個人」となったが、しかし同時に、かれは孤独な無力なものになり、自分自身や他人から引きはなされた、外在的な目的の道具となったということ、さらにこの状態は、かれの自我を根底から危くし、かれを弱め、おびやかし、かれに新しい束縛にすすんで服従するようにするということである。それにたいし積極的な自由は、能動的自発的な生きる能力をふくめて、個人の諸能力の十分な実現と一致する。(296ページ)

〇こうしてフロムは、「人間存在と自由とは、その発端から(切り)離すことはできない」(42ページ)。こんにち人間は「貧困よりも、むしろ大きな機械の歯車、自動人形になってしまった」(302ページ)なかにあって、自由は単に外的な束縛から個人を解放するだけでなく、自己を認識し、自発的・創造的な行為・活動を生み出すとして、「積極的な自由」の重要性を主張するのである。
〇なお、フロムにあっては、「自由からの逃走」は、「権威主義」(服従)、「破壊性」(破壊)「機械的画一性」(同調)という3つの行動パターンとなって表れる。それぞれについてその要点をメモっておく(抜き書きと要約)。

権威主義
権威主義的性格の人間は、権威をたたえ、それに服従しようとする。しかし同時にかれはみずから権威であろうと願い、他のものを服従させたいと願っている。(182ページ)

権威はつねに、汝はこのことをなせ、あのことをなすべからずと命令するような個人や制度であるとはかぎらない。この種の権威は、外的権威と名づけることができるであろうが、権威は、義務、良心あるいは超自我の名のもとに、内的権威としてあらわれることもある。(184ページ)

権威主義的性格の問題で注意すべきもっとも重要な特徴は、力にたいする態度である。権威主義的性格にとっては、すべての存在は二つにわかれる。力をもつものと、もたないものと。それが人物の力によろうと、制度の力によろうと、服従への愛、賞賛、準備は、力によって自動的にひきおこされる。力は、その力が守ろうとする価値のゆえにではなく、それが力であるという理由によって、かれを夢中にする。かれの「愛」が力によって自動的にひきおこされるように、無力な人間や制度は自動的にかれの軽蔑をよびおこす。無力な人間をみると、かれを攻撃し、支配し、絶滅したくなる。ことなった性格のものは、無力なものを攻撃するという考えにぞっとするが、権威主義的人間は相手が無力になればなるほどいきりたってくる。(186ページ)

破壊性
破壊性は、対象との共棲(きょうせい)を目指すものではなく、対象を除去しようとするところにある。破壊性は、たえがたい個人の無力感や孤独感にもとづいている。外界にたいする自己の無力感は、その外界を破壊することによって逃れることができる。たしかに首尾よくそれを除去することができても、私は依然として孤独である。しかし、そのときの孤独はすばらしいもので、私はもはや外界の事物の圧倒的な力によって、おしつぶされるようなことはない。外界を破壊することは、外界の圧迫から自己を救う、ほとんど自暴自棄的な最後の試みである。(197ページ)

われわれの社会生活における人間関係を観察すると、破壊性がいたるところに、非常に多く存在していることに気づかないものはあるまい。その大部分は破壊性として意識されず、さまざまな方法で合理化されている。(中略)愛、義務、良心、愛国心などが、これまで他人や自己を破壊するためのカムフラージュとして利用されてきたし、現在も利用されている。(197~198ページ)

破壊性の源泉は、孤独と無力、不安、生命の障害(孤独になった無力な人間は、その感覚的、感情的、また知的なさまざまの能力を十分に実現することができない。かれは内的な安定性と自発性とをかいている)の3つである。(199~200ページ)

機械的画一性
機械的画一性とは、個人が自分自身であることをやめるのである。すなわち、かれは文化的な鋳型によってあたえられるパースナリティを、完全に受けいれる。そして他のすべてのひとびととまったく同じような、また他のひとびとがかれに期待するような状態になりきってしまう。「私」と外界との矛盾は消失し、それと同時に、孤独や無力を恐れる意識も消える。このメカニズムは、ある種の動物にみられる保護色と比較することができる。かれらはその周囲の状態にまったくにてしまうので、周囲からほとんどみきわめがつかない。個人的な自己をすてて自動人形となり、周囲の何百万というほかの自動人形と同一となった人間は、もはや孤独や不安を感ずる必要はない。しかし、かれの払う代価は高価である。すなわち自己の喪失である。(203~204ページ)

〇地縁・血縁などの社会的紐帯の希薄化・弱体化が進み、「社会的孤立」や「無縁社会」などが叫ばれるようになって久しい。そのひとつのきっかけは、2010年1月に放映された
NHKスペシャル「無縁社会―“無縁死” 3万2千人の衝撃―」であったと言われる。そして、とりわけ最近のSNS(Social Networking Service)の進展は、ネットワーキングとは裏腹に、新たな社会的孤立や無縁状態を生み出している。そうした日本社会の現状を抉り出し、現代に生きる人間の「存在」(実存)について考えるにあたって、求められる新たな視点・視座をどこにおき、新たな哲学思想をどう構築するかが問われなければならない。その際、「自由」はひとつのディープな概念であろう。そんな認識のもとに、本稿ではフロイトの『自由からの逃走』を取りあげることにした。
〇仲正は、「『自由からの逃走』はかつて、少なくとも私が学生だった30数年前には、現状批判的な社会科学を学ぶ者が当然読んでおくべき基本図書だった」(16ページ)という。筆者はそのさらに前の世代であるが、もうひとつの必読書に、デイヴィッド・リースマンの『孤独な群衆』(David Riesman,THE LONELY CROWD,1950.  みすず書房、1964年2月)があった。人間の「社会的性格」は、伝統や慣習に従う伝統指向型  → 自分の価値観や良心に基づく内部指向型  → 他人からの承認を求める他人指向型へと変化するという言説である。そして、高度産業社会において人は、他人指向型になり、内面的には孤独感に囚われ、それをやわらげるために群衆のなかに紛れ込む(「孤独な群衆」)のである。
〇余談であるが、当時筆者は、「自由」と「疎外」について、また「社会心理学」に興味・関心をもち、大冊のセオドア・ミード・ニューカムの『社会心理学』(Theodore Mead Newcomb,Social Psychology,1950.  培風館、1956年)や南博の『体系社会心理学』(光文社、1957年)などに “ 挑戦 ” したことが懐かしく思い出される。
〇フロムの疎外論については、観念論的なそれであるとも評されるが、マルクス主義的な言説を併せもつものでもある。例えば[1]には、次のような一文がある。

資本主義においては、人間は巨大な経済的機械の歯車となった。(127ページ)
人間は利益を求めて働く。しかし獲得した利益は消費するためのものではなく、新しい資本として投資するためのものである。(128ページ)
資本の蓄積のために働くという原理は、(中略)主観的には、人間が人間をこえた目的のために働き、人間が作ったその機械の召使いとなり、ひいては個人の無意味と無力の感情を生みだすこととなった。(129ページ)

〇私事に渡るこんなことを思い出しながら、フロムがその重要性を説く「積極的な自由」の核心は、人間が自発的・創造的な活動を展開することにある、ということを再確認しておきたい。

付記
「積極的自由」と「消極的自由」については周知の通り、イギリスの政治哲学者のアイザイア・バーリン(Isaiah Berlin)もその著――『自由論』(Four Essays on Liberty,1969.  小川晃一ほか訳、新装版、みすず書房、2025年5月)で明示的に定義している。積極的自由は自己実現や自立としての自由、消極的自由は他人の干渉からの自由を意味し、前者を「への自由」(freedom to)、後者を「からの自由」(freedom from)と表現する。バーリンにあっては、この2つの概念は両立するものではなく、衝突するものである。

 

 

日本国憲法/社会福祉法/教育基本法/社会教育法

日本国憲法/社会福祉法/教育基本法/社会教育法


日本国憲法

日本国憲法

(個人の尊重と公共の福祉)
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

(生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務)
第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

(教育を受ける権利と受けさせる義務)
第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 

<「日本国憲法」は、1946年11月3日に公布され、1947年5月3日に施行された。>


社会福祉法

社会福祉法

(地域福祉の推進)
社会福祉法第4条
2 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者(以下「地域住民等」という。)は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるように、地域福祉の推進に努めなければならない。

 

<「社会福祉法」は、1951年3月に制定された「社会福祉事業法」の名称と内容が改正され、2000年5月に公布・施行された。>


教育基本法

教育基本法

(前文)
教育基本法
我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。
我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。
ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

 

<「教育基本法」は、1947年3月に制定された「(旧)教育基本法」が全面的に改正され、2006年12月に公布・施行された。>


社会教育法

社会教育法

(国及び地方公共団体の任務)
社会教育法第3条
国及び地方公共団体は、この法律及び他の法令の定めるところにより、社会教育の奨励に必要な施設の設置及び運営、集会の開催、資料の作製、頒布その他の方法により、すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない。

(公民館/目的)
社会教育法第20条
公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

 

<「社会教育法」は、1949年6月に公布・施行された。>