高校に入って 彼女ができた
取り巻きの 遊び友だちもできた
舞い上がって バイト代をすべて貢いだ
彼女も 仲間も 喜んだ
その笑顔がたまらず 勉強そっちのけで バイトに励んだ
彼女とのデートや 仲間との遊びが たまらなく楽しかった
ともかく 一緒に空気を吸っているだけで 高揚感に包まれていた
クリスマスを祝い 正月の初詣(はつもうで)も一緒にいった
そして十ヶ月たった
このまま 彼女や仲間と過ごすことは ただ漠然と楽しいだけだった
はたと むなしさに気づいた
そこに心の拠り所を 見出すことが出来なくなっていた
考え方が幼すぎて ついて行けなくなった 自分がそこにいた
別れを切り出した
幼い恋を 思い切れない彼女は その別れの意味を理解できなかった
激しく 抵抗した
しかし 逢わないと決めて 距離をおいた
遊び仲間も だんだん離れていった
四月 新学期が始まった
元カノは 別の男の子と 仲良く手をつないで歩いていた
元カノの たくましさを感じながら
ようやく 罪悪感を 吹き払った
一年間 そこに 何かを求めている充実感は 全くなかった
同期の彼らの幼稚なふるまいと 夢のない怠惰な遊びに 飽きただけだった
心を満たす 拠り所ではなかったことを 学んだ
ごく普通の高校生活をした 成果だった
気づいたところから 清々しいリスタート
元カノや遊び仲間との 境界線
きっと夢を実現しようとする それだけの違いだと
その夢に 心の拠り所を 見つけただけだった
幼い恋と夢なき仲間との 別れの真実を知った
「さようなら」は 俺の幼さへの決別だった
〔2019年8月26日書き下ろし。恋遊びと交友の中に見いだせなかった自分の居場所。息苦しさからの離脱は、自分の夢への一歩であった。青春のまどろみからの覚醒〕