ボランティアの勘違い

ボランティアが好きだった
ボランティアは喜びだった
ボランティアに期待された

忘れることができなかったあの日
失態だったと自分を責めた
大丈夫と背中に触れた手があたたかかった

あなたにとってよきことと思って動いた
思い違いから始まった
あなたが遠慮しているものと思って動いた  
はやる気持ちが空回りした
あなたの困った顔も気にかからなかった
ひとり合点と気づいたときは遅かった

思いやりを行動に移すのがボランティア
あなたをわかったつもりで動いた
困っている人に手を差し伸べるのがボランティア
あなたが受け入れたと思って動いた
できることをしてあげることがボランティア
あなたに確かめもせず走ってしまった

あなたに学んだ
一方的に助けられるのは辛いことだと
あなたに教わった
一方的に求められるのは哀しいことだと
あなたに支えられた
一方的に事を進めるのはボランティアではないと

気落ちした背中に添えられた手のぬくもり
あなたの優しさに助けられた
あなたの寛容な心に慰められた
あなたはわたしと痛みを分かち合った

〔2022年1月13日書き下ろし。過去の自分の失態を想い出す。ボランティアするからこそ相手から学ぶことの大切さを知らされた。共生とは何かを〕