阪野 貢 のすべての投稿

信じる誰かがいる

少年は 中学3年生だった
勉強は 大嫌いだった
先生も 好きじゃなかった
でも 学校は休まずに来た
茶目っ気があって 憎めない子だった
小さな子だったが 気は人一倍強かった
大きながたい(図体)の同級生でも 
気に入らなかったら つっかかっていった
同級生も 面白がって見ていた

ある子が 風邪で一日休んだ
少年は 寒い玄関口に立って待っていた
そして 顔を見るなり 怒った
「なんで昨日休んだんだ!」
少年の左目は 黒ずんでいた
「どうした?」
「お前がいなかったから 殴られた」

少年は いつものように喧嘩を仕掛けた
しかし 殴られ 負けた
それが 悔しかったのではなかった
いつもなら 仲裁に入る奴がいる
そう信じて 喧嘩を売った
でも 今日はいなかった
裏切られたような気分になった
あいつがいれば なんとかなかったのに
無性に 腹が立ってきた
その鬱憤を晴らそうと 玄関口で待っていた

経緯(いきさつ)を聞いた子は 笑った
少年も 苦笑いした

〔2020年3月9日書き下ろし。15歳の冬、信じて頼ることを少年から学んだ中学時代のエピソード。少年のような子の居場所は、いま学校にあるのだろうか〕

未来志向(これからは)

おきてしまったことは
いまさら どうすることもできません
だから これからは そうならないようにいたします

なにかよくないことをしたというなら
そのしょうこを だしてください
ほらね 
だから これからも ことばにきをつけてください

すわりごこちのいいところ
とても まんぞくしています
だから これからも もっとなが~くいたいのです

かってに きめることなんかしません
かならず うしろにいる ともだちのはなしをききます
だから これからのことは しんぱいしないでください

ただね ときどきひとりになりたい
そんなときって あるでしょう
いってまえって ひとりできめちゃったりしてね
だから これからのことは わかりません

ペット かってる?
いうこときかないと えさはあげないよね
だから これからも みんながうえないようにするのがしごとです

にほんのたたかうちからは せかいで5ばんめ
あめりか ろしあ ちゅうごく いんど そのつぎなんだ
かくへいきをもたなくても すごいだろう
だから これからも せんそうできるつよいくにづくりにはげみます

せかいのくにとなかよくするには おかねがかかる
いろんなところでばらまいて ほてるでたかいせったいもしたんだぞ
コロナウイルスで ちゅうごくとのかんけいがうまくはかどらなくてね 
だから これからさきは ほんとにめんどうくさくなっちゃった

ただね とりまきのやらかしたことで
せきにんとるのは かんたんなんだよ
バカやったのを つきはなすだけのことなんだから
だから これからはじぶんでバンバンなさい

でもね ちょっとつかれてしまったよ
だから これからさきは かんがえることやめよかな
むせきにんだって いうのかい
いやいや いまバカやってるじぶんを つきはなしただけさ

〔2020年3月6日書き下ろし。新型コロナウイルスの対策や対応から見えてくるその場しのぎの後手後手の独断の危うさ。もう政権の力量を超えた事態です〕

春を告げる雪

北の大地に降る雪が
重たい雪に 変わってきました
風もなく 穏やかな朝
昨夜から 10センチは積もった雪
いまも しんしんと 降り続きます

降る雪の粒が大きくなり もっと積もりそうな予感がします
コロナウイルスの騒動が
閉じ込められていくような 静寂な銀世界
汚れたものを 白く塗りつぶしてゆく 銀世界
人の心を 一時落ち着かせる 沈黙の銀世界

北の大地に降る 湿った重たい雪は
春の訪れを告げる兆しです
もうしばらくの辛抱で 冬が明けます
だからいまは じっと降る雪 眺めています

新型コロナウイルスの伝播も
抗(あらが)うことのできない 自然の摂理(せつり)
民が デマに走り 政治に踊らされるのも
この雪が融ける頃には 
杞憂(きゆう)に終わったと
ホッとできれば…
いまは虚しく 降る雪眺めています

北の大地に降ってわいた 災禍(さいか)は
容赦なくいのちと暮らしを 叩いています
いまはただ じっと耐える日が続きます 
小さな小さなウイルスに 席巻された人間世界
なんと無力で無知で そして傲慢であったかを 思い知らされます
自然の摂理に従って 人は生かされているのです
いまは無欲で 降る雪眺めています

〔2020年3月5日書き下ろし。太平洋沿岸とオホーツクは、今日一日冬の嵐です。新型コロナウイルス感染者の一日も早い快復と、これ以上感染が拡大しないよう祈ります〕

死んだ男の残したものは

久しぶりに ひとり野幌森林公園を散歩した
ふと歌詞が浮かんで 歩きながら口ずさんだ

♪死んだ男の残したものは
ひとりの妻と ひとりの子ども

新型コロナウイルスの感染が 拡散している
死者の数が積み上げられ カウントされる
餅で喉を詰まらせて 亡くなる人よりも少ないと
死者の数を比較して 不安がることはないと言う人もいる
3日 WHO〔世界保健機関)は発表した 
新型コロナウイルスの致死率は 約3.4%
季節性インフルエンザの1%未満を 大きく上回ると

♪死んだ女の残したものは
しおれた花と ひとり子ども

ウイルスに冒され 死に逝く者たち
世間は 不運だったと諦め顔で 死者を葬る  
名のなき者たちが 抗うこともなく静かに逝く
その人生を その人なりを 想うことなく
犠牲者として カウントされる

高齢者施設では 感染防止に万全を期して 必死に護る  
零細な自営業は 開店休業を補償されることなく 必死に堪える
学童保育所は 指導員に丸投げされて 必死に世話する 
休校中の学校は 家庭と地域に子どもを預け 静観中です
国会は ウイルスに侵食されて 疑惑はぶっ飛びました

♪死んだ子どもの 残したものは
…思い出ひとつ 残さなかった

※「死んだ男の残したものは」は、谷川俊太郎の作詞、武満徹の作曲による歌。ベトナム戦争のさなかの1965年、「ベトナムの平和を願う市民の集会」のためにつくられ、友竹正則によって披露された反戦歌である。

〔2020年3月4日書き下ろし。新型ウイルスとの戦いです。韓国の感染も止まらない。国境を越えて、共にひとつのいのちの尊さを想像したい〕

矢幅清司「福祉系高校のこれから」―最終講義資料―

(備考)
上記の画像(囲み内)をクリックすると、PDFファイルに保存されている資料(139頁分)が表示されます。

(参考)
第13回福祉教育研究フォーラム開催要項

矢幅清司「福祉科教育法『高校における福祉教育』」―講演資料―

(備考)
上記の画像(囲み内)をクリックすると、PDFファイルに保存されている資料(174頁分)が表示されます。