阪野 貢 のすべての投稿

美帆という名

相模原やまゆり園で 45人が死傷した裁判が始まった
横浜地裁は 一人を除いて被害者を匿名で審理する
母は「甲1」と呼ばれることに 納得できなかった
「美帆」と呼ばれることを希望した
でも フルネームでなければ認められなかった

この国の人権侵害は ハンセン病問題と同根
ハンセン病家族訴訟も 家族は実名公表を避けた  
参議院議員選挙がなければ 国は上告し
勝訴を勝ち取るまで 家族の苦痛は続いたはず
国家ぐるみの人権侵害 
厚労省 文科省 法務省 そして国会議員
不作為を放置した責任は いまも何も果たされてはいない
裁判に勝訴したからとて 差別と偏見はなくなるはずはない
被害者に その壁を破るだけの余力は ない
実名がわかればすぐに 心ない歪んだ輩が拡散し
非難 中傷 差別 蔑視 嘲(あざけ)り尽くし
社会的制裁を 卑劣に繰り返す
だから 被害者は沈黙を強要され続けるのだ

老人施設が措置の時代であった頃
「劣等処遇の原則」がまかり通った
生活保護者もシングルマザーも
一般社会の生活レベルよりも 常に低く
社会に哀れみをかけられて 
養われていることを 肝に銘じ
黙って従い 物言うな
強迫じみた 沈黙の劣等処遇
いまも 社会の根底に脈々と流れている
払拭できない不当な差別と強い蔑視感

障がい者も 病者も 年寄りも
社会ののけ者 忌み嫌われ者
生きたくば 名前は入らぬ
甲乙番号だけで充分だ
地域社会に それ以上求めるなかれ
隔絶された世界で 
生きながらえる 衣食住があるならば
甲乙番号だけで充分だ
地域社会に それ以上求めるなかれ
人権を侵されようと なにされようと
生かされたくば 沈黙こそ処世術
地域社会は それ以上何も求めない

歪んだ鏡に映る 自分の姿を見て思う
みんなと同じ 五体満足ってなんて素敵なんだろう
歪んだ鏡に映る 自分の心を見て思う
みんなと同じ なんて思いやりに溢れているんだろう
歪んだ鏡に映る 世の仕組みを見て思う
みんな平等 なんて使い勝手がいいのだろう
歪んだ鏡にしか映らない 世の正義を見て思う
みんなと一緒に 異質な者を排除するのは快感です
それが 暗黙の了解 世の習い
社会の歪みは放置され さらに歪みを増して
沈黙の劣等処遇を強化する

いま美帆という名で その沈黙を破る闘いが始まった
 
〔2020年1月10日書き下ろし。相模原事件に注目してください。関心を強く持ってください〕

「沈黙の作法」:肩を並べて「聴いて聴いて聴く」「待って待って待つ」、そこからしか始まらない―山折哲雄・柳美理著『沈黙の作法』読後メモ―

〇1990年代後半から始まったと言われるネット社会、その昨今の進展にはすさまじいものがある。しかしそこには、光と影、功と罪が混在する。ネット社会は一面では、肩を並べて「会話」することを必要としない社会である。人間相互の内的な「つながり」を必要としない社会である。例えば、FacebookやTwitter、LINEなどのSNS(Social Networking Service)空間では、発話を伴わない無機質な場面が繋がり、短文や単語、絵文字や隠語だけが飛び交う。そして、自分とは違う考え方や価値観を持つ他人を排除し、狭い世界を彷徨う。その結果、「本当の自分」を見つけ、自分らしく豊かに生きることができなくなる。
〇そんなことを思いながら、山折哲雄・柳美里の対談本『沈黙の作法』(河出書房新社、2019年6月)を読んだ。そこでは、二人の厳しくつらい経験と時空を超えた思索が縦横に織り成され、感性が研ぎ澄まされ、対話を深化・発展させていく。そして、その語らいは「沈黙」へと収斂する。山折哲雄(やまおり・てつお)の専門は宗教学、思想史であり、柳美里(ゆう・みり)は劇作家、小説家である。周知のことである。
〇以下に、山折・柳の対談の一コマや言葉をメモっておくことにする(抜き書きと要約。見出しは筆者)。それは、「他人の思想の断片をハシでつまんで、その無自覚の浅知恵を上手に働かせて『パク』る」(205ページ)ことではない。「まちづくり」や「市民福祉教育」について思索・思考するための視点やヒントを探りたいがためである。

「共苦」によって傾聴する
柳 :(東日本大震災による)あまりにも大きな喪失、目の眩(くら)むような痛みによる沈黙を前にして、自分がどのような言葉を持てるのか? 何がしかの言葉を携(たずさ)えて共闘を呼び掛ける前に、まず共苦(きょうく)による沈黙が必要なのではないかと感じていて、それはやはり聴くことでしかないのではないのか。聴いて聴いて聴くことの先に言葉を持ち得るのかどうかは、わたしにはまだわかりません。(68ページ)
山折:共闘という言葉が促す人間の行動は、人と人を結び連(つら)ね、連帯によって集団を組織して、共同の運動をなして立場を強め、その結果に対して責任を持つことです。柳さんのおっしゃる共苦は、悲劇的な状況に置かれている他者と自分の一対一の関係ですよね。その関係が喚起する在り方というのは、一人の孤独な生き方で、尚且(なおか)つひたすらに沈黙に向かわなければならない。非常に辛い仕事ですよね。(68~69ページ)

人と人との「間」を取り戻す
柳 :人と人との関係は、「間」を見詰めて、相手と自分を客観視することが重要です。相手との差異を共通点と同じ比重で認めることが出来れば、相手を尊重することが出来ると思うんですが、インターネットの世界では、同意・賛成の意見を持った人たちで固まり、異なるものを排除・攻撃するという傾向が顕著(けんちょ)です。(97~98ページ)
山折:科学者や社会科学者の書く文章が「人」に変わってきた。「人間」から「人」に変わる時に落ちるのが「間」ですね。さらには(中略)カタカナで「ヒト」と表記されるようになった。(98ページ)
「人間」「人」「ヒト」という変化をどう捉えるかということですよね。柳さんかおっしゃるように、人間の関係性を客観視出来なくなるということが社会現象化していると言えるかもしれない。(98~99ページ)
柳 :インターネットの世界では「間」がすっぽり抜けています。TwitterやLINEなどのSNSでは、人と人との「間」を飛ばして、いきなり相手に自分の感情を手づかみでぶつける。(中略)今こそ、インターネットの介在(かいざい)で一挙に埋め立てられてしまった人と人との「間」をどうやって取り戻すのかという議論が必要なのではないでしょうか。(99ページ)

不安定さを支える「思想」を持つ
柳 :定着と移動、土着と流浪(るろう)、というのは、わたしも考え詰めて来ました。わたしの場合、考えざるを得ない境遇に生まれたから。(122ページ)
山折:流浪は、場に投げ出され、拠(よ)り所(どころ)が無く、自分を心細い存在にする行為だけれども、塵芥(じんかい)のように流されていくその流れの只中(ただなか)で創造の契機をつかむことはある。そういった緊張感というか、面白さはあるんだ。表現するってことは何であれ、そういう緊張の瞬間を我が物に出来るかどうかでしょ?(123~124ページ)
 :緊張の瞬間を我が物にするためには、自分の軸を持たなければなりません。それには、安定するための思想ではなく、不安定さを支えるための思想が必要です。(124ページ)
 :流浪の民は移動する度に、場所、蓄積したもの、人間関係を失います。でも、新しい場所や人間関係に対する不安や脅威によって、孤独や孤立によって、自分という存在が問(と)い質(ただ)され、予見不可能な事や時へと自分を拓(ひら)いていく覚悟が生まれるわけです。逆説的ではありますが、流浪していた方が、自己に対する在り方を定立しやすいのかもしれません。(129ページ)。
山折:定着するライフスタイルの中に居場所が在るとは限らない。(129ページ)

長い「沈黙」を共有する
山折:真の苦境に追い込まれた時、知識として体に染み込ませたものは全て揮発(きはつ)します。最後に何が残るのか? 自分の苦境と、苦境に陥った自分の気持ちも相手に伝えるためには、言葉に拠(よ)るしかない。でも、言葉は一言も思い付かない。長い沈黙が続く。長い長い沈黙を経て、一つ、二つの言葉が出て来る。(145~146ページ)
柳 :沈黙というのは、言葉と言葉の断絶や溝ではなくて、言葉と言葉の梯子(はしご)みたいなものですね。(147ページ)
山折:沈黙は、最高で最終的な宗教言語なんです。沈黙が宗教言語であるということを忘れたから、気の利(き)いた不必要な言葉を沈黙に注入し始めるわけですよ。
沈黙の大切さを忘れた日本人は、ケアだとかカウンセリングなどというカタカナ語に毒されています。(147ページ)
柳 :言葉ではなくて、沈黙によって神や仏や人と結ばれるということですね。(147ページ)
柳 :会話が途切れると、その沈黙を気まずいものとして感じる人が多いですよね。なんとか話が途切れないように、どうでもいい話を次から次へと続けて間を持たせる。話の合間に訪れる沈黙の中にこそ思考の契機が在る。話し合うよりも、黙り合う時間を共有することが大切なんです。(198ページ)

沈黙の「作法」を身につける
 :対面というのは、お互いの内に在る沈黙を突き付け合うようで緊張しますよね。両者それぞれに孤立している硬い沈黙です。(176ページ)
山折:悩みを抱えて来訪した相手の話を聴く。聴いて聴いて聴く。一方的に聴いた後になんらかの方向性を示すか示さないのかというのが、宗教者と心理療法士の差なのではないかというのが、河合隼雄(かわい・はやお)さんとの懸案(けんあん)の課題でしたね。でも、河合さんはその時おっしゃったんだ。心理療法士だって聴いている最中あるいは聴き終えた後に方向性は考える。なんらかの方向性を示す言葉を伝えるよ、と。では、両者の聴き方は同じなのか? 両者が示す方向性は同じなのか? いま、わたしが思ったのはですね、宗教者が示すのは沈黙なのではないかということなんです。沈黙に至る道筋に法則は無いんだよね。でも、作法は在る。沈黙の作法です。(177ページ)
柳 :沈黙の作法、いい言葉ですね。法則は無いけど作法は在る。法則は守らなければならない決まりで、いわばマニュアルですものね。作法は、物事を行う仕方、やりかたです。作法に在って、法則に無いものは、美です。逆に法則に在って、作法に無いものは、実利です。(177ページ)

〇かつて物事を長い目で見たり、長いスパンで考えたりすることは、ありふれたことであった。しかしいま、「みみっちいほど、せっかちになった」。「待たなくてよい社会になった。/待つことができない社会になった」(鷲田清一『「待つ」ということ』KADOKAWA、2006年8月、7、9ページ)。これも、「つながり」が断絶した社会とともに、いまのネット社会のひとつの実相である。そんな時代や社会にあって、「沈黙の作法」を身につけ、「なぜ生きるのか」「いかに生きるべきか」「いかに死ぬべきか」といった「生きる意義」や「生き死にの問題」(山折:12、13ページ)に深く分け入ることが求められる。「まちづくり」や「市民福祉教育」においても然りである。
〇筆者が住む地元新聞は、2020年1月9日の社説で、「相模原事件初公判」について次のように論じた。「もう一つ、この裁判で目を向けなければならないことがある。公判の冒頭、裁判長は『被害者のうち1人を除き、住所や氏名などを明らかにしない』と説明。検察側は起訴状朗読で死亡者を『甲A、B‥‥』、けが人は『乙A、B‥‥』とし、氏名を伏せた。家族の多くが差別と偏見に苦しめられた経験を持つことに配慮した『匿名審理』だ。/また遺族らの傍聴席は他の傍聴人から見えないよう遮蔽(しゃへい)された。16年(2016年4月)施行の障害者差別解消法が掲げる『人格と個性を尊重し合いながら共生する社会』とは懸け離れた重い現実がそこにあることを忘れてはならない」(『岐阜新聞』2020年1月9日朝刊)。
〇権力者や社会的強者の横暴や理不尽がまかり通り、ひとりの人の声がその隅々まで響き渡る時代と社会。権力や強力に近づき、群がる「人」また「ヒト」。そんななかで、心を閉(と)ざし、身を竦(すく)め、物音ひとつ立てずに暮らす大勢の社会的弱者がいる。「ちんもく」である。それをみんなで破るためには、肩を並べて「聴いて聴いて聴く」。肩を並べて「待って待って待つ」。もう一度、そこから始めるしかない。それによって、「間」が生まれ、「言葉」や「思考」が生まれ、「つながり」と「共働」「運動」が生まれるのである。

補遺

若者を危険に晒す

12月20日イランのロウハニ大統領と会談
自衛隊派遣について 理解を得たつもりでいた

サウジアラビア UAE(アラブ首長国連邦) オマーン
3カ国を歴訪する
その口乾かぬ翌8日 事態急変
イランがイラク国内の 米軍駐留基地をミサイル攻撃
迅速な判断 中東歴訪の中止発表
自衛隊の情報収集よりも 中東3カ国に出向いた方が
事態の収拾を 世界に発信できるのに
なんとも 覇気なき撤退か
アメリカとイランにいい顔できると自認して
仲を取り持つ努力は口先だけで 何もせずに終わります
ただただ 危険地帯に行きたくない
リスクを恐れ 安全地帯で様子を伺う
アメリカのご機嫌伺い 丸見えで 
中東諸国は それ見たことかとあきれ顔

でも自衛隊は大丈夫 
こんな事態だからこそ 派遣に前のめり
「海上警備行動」の発令で 武器の使用が可能です
ここぞとばかりに 集団的自衛権をお見せします
同盟国の得点稼ぎに 若者たちを危険に晒(さら)す

「今年は戦後外交の総決算に挑戦し 新たな外交の地平を切り開いていきたい」
ロシアとの北方領土も 北朝鮮との拉致問題も
韓国や中国との外交・経済問題 
行き詰まり どん詰り 
滞(とどこお)って 何ひとつ解決してはいない
事態の悪化を招いた外交 どんな総決算になるのやら
新たな外交の地平は 見事に8日
その視界を自ら遮(さえぎ)り チャンスを逃す
挑む前から白旗あげる 前触れか

アメリカの大義のプロパガンダが 動いています

※「大義のプロパガンダ」をテーマにした、「鳥居一頼の世語り」(117)/2019年11月9日掲載の「子どもにも分かる嘘」をご覧ください。

〔2020年1月8日書き下ろし。ガソリンが150円以上になりました。灯油の値段も厳冬期の北海道ではヤバイです。自衛官も道内から派遣されます。家族の不安はいかばかりか。偉いお方は、暖かい部屋で相談ぶって命令すれば済むことです〕

一攫千金の夢

はっさん 宝くじどうなった

どうもこうもない 
今年は運が向いてくるなんて 辻占いに言われて
買ってはみたが 全然ダメ
あの辻占いに そそのかされました

当たるも八卦 当たらぬも八卦 
宝くじとて同じ事
もぅ一つ 今年運気があるということは
まだ捨てたもんじゃない
くじを買ったのは 去年のこと
今年の運気で 買ったわけじゃないからね

さすが大家さん よくぞ言ってくれました
その言葉を信じて 今年はもっとくじを買いましょう
一年後 どうぞお楽しみ

おやおや ずいぶん待たせるね
家賃だけは 待てませんよ

一攫千金(いっかくせんきん)の夢を追う 
どこにでもありそうな世情です
でも 博打(ばくち)ともなれば 人も豹変します
カジノを含む総合型リゾート(IR)
運営事業者の選定基準を盛り込んだ基本方針決めるという
博打好きのアメリカさんの肩入れで 
あぶく銭を巻き上げる 一大国家プロジェクト
金儲けしか頭にない輩たちは
こぞって誘致話に 現金抱えてあの手この手で懐柔策を弄する
新年早々ケチがつき 議員の逮捕者出る中で それでも方針変えません 
政権は 無視を決め込み 木で鼻をくくる 
今年も そのおぞましさは変わらない 

いま号外が出た!
イランがアメリカへの報復作戦開始
イラクの米軍駐留基地をミサイル攻撃!

トランプのテロ 
人命を顧みない 身勝手卑劣きわまる大博打
その責任を だれが取るのだ!

〔2020年1月8日8時52分号外! 世界は博徒が闊歩する。体裁繕う政権は終末期を露呈する〕

ふがいない

大家さん 聞いたかい
あの夫婦 別れたと思ったら
また一緒になんちゃら 言い出して
周りの迷惑かえりみず 
ふっつく相談 ぶってんだってさ

はっさん それでどうなった

どうもこうもありゃしない
俺の言い分聞くなら 一緒になってやろうって言い抜かして
あんたの言い分聞いてたら とても一緒になれませんて言い出す始末
双方なかなか 折り合わない

これで何度目だい ふっついたり別れたり
ほんとに呆れかえるね

犬も食わない夫婦げんかとはいうものの
退屈しきった世間様
どんな始末がつくのやら 高みの見物してたけど
今じゃあきれて 世間の関心薄れるままに 
当人同士で つばぜりあい
やっぱり 見ててアホらしい
やってられるか 好きにしてっていうところ 

だから世間は 背を向けたってわけかい

少しは 面白くなるかなと期待した分
こりゃどうにもならないと
みんなも悟った次第です

そもそも ふっつこうというのは 互いの打算
思惑外れりゃ それは無理ってもんだろう
まあまあ 世の中変えるわけでもあるまし
好きにするといい
 
細かいところが気になって
大事なところが見えないこのふたり
寄り合えないじゃ仕方ない
復縁も つぶれるのは道理
はじめから分かっていたことなのに
何を考えているのやら 
事の大事の道筋を つけられないふたりでは
大同団結なんぞ 最初からできるはずはない

ほんとに ふがいないふたりだね

落としどころもない話
落ち度を 責め合うふたりでは
周りはとうてい 落ち着かない
問題は 次の選挙で落ちぶれるかどうか
落ち目の回避だけのこと

これじゃいつまで経っても 意地の張り合い 痴話げんか
内閣の支持率低下の このチャンス
こんなレベルじゃ野党さん 民は愛想尽かしています
この体たらく いつまでさらしているのでしょう
せめて通常国会までに シャキッとしてはいかがです

期待薄…

〔2020年1月6日書き下ろし。野党の共闘この期に及んでまだ寄り合えない体たらく。民心は遠のくばかり。言ってもせんないか〕

ふくしとは

「ふくし」とは
「ふだんの・くらしの・しあわせ」

冬休み 元気に過ごしているかな
給食がないけど 三食きちんと食べている
今日も 子どもだけでお留守番
お母さん 朝から晩まで頑張って働いているんだね
昼ご飯 一人で支度できるようになったんだ
下の子に ちゃんと食べさせなきゃね
偉いぞ

とても寒いね
暖かいかっこうしてるかな
寒い部屋にいないかな
風邪引いていない
えっ 咳してるの 熱はないかい
下の子熱があるから 氷枕で冷やしているのか
病院には 行ってないの
そうだよね 母さん仕事でいないから
お正月だし 病院にも連れて行けないんだね
風邪引いても 買い薬飲んで 我慢して寝るしかないのか
お母さんも心配で 辛いね
何かあったら 連絡できる人はいるのかい
そうか あんまり迷惑かけたくないか
暖かくして やわらかい温かいものと水分だけはとってね
看病してるって 偉いな

今年のお正月も どこも遊びに行けなかったんだね
お年玉を もらうこともなかったんだ
でもなに
お母さんが 新しい服を買ってくれたの
お正月の朝起きたら 枕元に置いてあって
前からほしかった服だから すごくうれしかった
よかったね
お母さん 喜んでくれることが 一番
また頑張って働こうって 元気がでるみたい
今度の休みにその服を着て みんなで買い物に行くって
お母さんと約束したんだ
だから 早く風邪を治してあげたいんだ
やっぱりきみは すごく偉いな

ただね
靴が小さくなって
歩くと少し痛い

ないものねだりせず
わがままもいわず
身を粉にして
いまのくらしを 子どもとまもる

「ふくし」とは 母と子の
「ふだんのくらしのしあわせ」づくり

〔2020年1月5日書き下ろし。「物質的剥奪指標」から母子家庭の貧困について考えてみた。幼気(いたいけ)な子どもたち、母ちゃん、ガンバレ!〕

金持ちは許される

スーパーヒューマン
金持ちは 何でもできる 
金持ちは 気に食わなければ罵倒する
金持ちは 罪を犯してもチャラにする
金持ちは 五億の金も簡単に捨てられる
金持ちは 注目を浴び 英雄気取りで生き残る

憧れる
豪邸に住み 羨望の目を一身に集めることが快感だ
女性はアクセサリー代わりで そばに侍(はべ)らせる
自家用ジェットで 世界中を飛び回る
パスポートは 複数の国から出してもらえる
どんなに苦境に陥ろうと 金に集る者たちが助け船を出す
思う存分自由を満喫し 世界の中心で生きている
 
依存する
金そのものが 人間を評価する
金で 特権階級を 手に入れる
ほしい輩にバラ蒔くことで いつでも安泰だ
ほしい輩がより欲しがるから いつでも家来は傅(かしず)く
ほしい輩はあまたいるから いつでも思惑通り生きていく

人を侮る
日本からトンズラこいた輩は
リストラを強行して得た益金で カリスマと崇められ 巨額の富を得る
このシステムこそが 資本主義
経済の力で 政治も動く世の習い
札束入れた封筒を 配られても知りません
犯罪と知っても しらを切り通すしたたかさ
バレなきゃ 心配入りません
もらったことで 恩義を売り 国を売る
そんな輩がいる限り どこでも平気で生きながらえる

きれいも汚いもない
金で群がる輩の頬をなで回し
強欲さが 人を踏みつける
世界の富の分配など くそ食らえ
自国が富めば それでよし
敵国の英雄を残虐に殺戮し 正月早々世界を震撼させる 
先に仕掛けた張本人 先の報復 テロとは言わず
相手の攻撃未然に防ぐ事前の対処と 正当化の弁をふるう傲慢さ
もう見飽きた 聞き飽きた
あの顔は 強欲張った輩の顔と瓜二つ

もう一人 金よりも権力欲に惹かれ者の顔も同様か
寝耳に水と どんな態度を見せるやら
中東への自衛隊艦船派遣は 何が起こるかわからない
かなりヤバイ状況下になることを 承知で動くことだろう
朋友と共に 
勝てば負く その日の来るのが待ち遠しい

三人の顔が
だんだん 気持ち悪くなってきた

※勝てば負く(かてばまく):勝った後、心が驕って後に負けることが多い。

〔2020年1月4日書き下ろし。傲慢な人間の顔はどうも同じに見えてくる。年明け早々にきな臭い攻撃が、世界を今年も安眠させない。日本はどうするのか〕

下半身を鍛えよ

老化は 足から始まるという
80歳の師は 
毎日8千歩歩くことを 1年間やり遂げた
午前と午後 忙しい時があっても 
雨の日も 風の日も 雪の日も
散歩をやめなかった

いつも 若々しい佇まいでいる
いつも 時代を読み取る情報の中にいる
師が鍛えているのは
歩きながら考える 脳内活性かも知れない

いまの世の中を どう見ていくのか
いまの若い人たちを どう導いていくのか
机上に答えを探すだけではなく
世間のあるがままの暮らしに見出す
福祉の現場で 若き世代の働き方に見つける 
そのセンスを 枯らすことのないよう
日々歩き 読書する
だから 老いることは妨げられた

下半身を鍛えよ
さらば すぐに動くことができる
さらば すぐに応じることができる
下半身を鍛えよ
血の巡りをよくし 健康を維持する
血の巡りをよくし 思考力を維持する
そして 明日の自分を励まし続ける

〔2020年1月2日書き下ろし。体力不足がたたっています。師に習うことばかりです〕

ことばに託す

ことばが 正義を失いつつある
ことばが 邪悪さに冒される
ことばは 巧みに操られ劣化する
ことばは 翻弄され利欲に集(たか)られた
ことばに 説得力は放棄され むなしさが強くなる
ことばに 寄りかかることは すでに危うくなった

それでもなお 
ことばにしか なしえぬことがある
ことばの生気を 取り戻すことに
あきらめず 誠意を尽くそう 
書くことに 話すことに
いま持てる力を ことばに託そう

〔2020年1月2日書き下ろし。小さな私の決意です〕

言葉が枯れる

元旦の新聞各社の社説のタイトル
毎日 拓論’20 民主政治の再構築 あきらめない心が必要だ 
朝日 2020年代の世界 「人類普遍」を手放さずに
日経 次世代に持続可能な国を引き継ごう
読売 平和と繁栄をどう引き継ぐか…「変革」に挑む気概を失うまい
東京 年のはじめに考える 誰も置き去りにしない
京都 新しい年に「縮小社会」生き抜く知恵を
神戸 視界不良の時代/先人の歩みに未来のヒントが
北海道 多様性の時代に 相互理解と協調への礎を
琉球新報 新年を迎えて 民主主義が機能する国に
河北新報 災害多発の世紀/安全こそが豊かさの基盤だ
秋田魁新報 新年を迎えて 人口減に立ち向かおう
西日本 ワンチーム九州 逆境はね返すスクラムを

各社の論説委員が 年頭に当たって
課題の重さを 書き綴る
一年の計は元旦にあると 
日本の行く末を 書き綴る
ただただ社会の実態は 論ずることの裏返し
許せぬことを 漫然と見過ごしてきた罪過なるかな
社説が担うべき責務は何か 今一度問うてみたい 

その言葉が しおれる
見出しに惹かれる人が どれだけいるのやら 
その言葉が しおれていく
その発する意味を どれだけ理解できるのやら
その言葉が しおれて劣化する
いまを享受する輩には いらぬ説教ばかりやら

捨てきれない 活字文化の最前線
やりきれない 社会認識の低下と貧困の増加
関わりきれない 人や事との複雑なしがらみ
断ちきれない 政権と官僚たちの忖度と傲慢さ

だんだん言葉が 枯れだした
どんなに言葉を尽くしても 益々人は利にさとくなる
さらに言葉が 枯れていく
醜聞だけを追いかけて 低次元の大衆文化に手が染まる
ついに言葉が 枯れはてた
朽ちて土に還らず 霧散する

〔2020年1月1日書き下ろし。新聞の果たすべき役割をふと考えてみた。現代の知的財産の放棄を食い止めるにはどうするのか〕