阪野 貢 のすべての投稿

ステルスオミクロン日本上陸

不気味に変異したウイルスが忍び寄る
防御しても為すすべもなく突破される
当初の目論見は崩れ重症者も死者も出る

爆発的な感染拡大に茫然自失の体を晒す
専門家も行政も2年の経験値は用を為さず
ひたすら現状の対処療法にあたふたする

全国各地で過去最大の感染者数を日々更新する
予防対策の第3回ワクチン接種の実施も心許ない
検査もままならず自宅療養の号令をかけるだけ

保育園や学校で濃厚接触した子は母にすべてを任される
幼子は理解できずに不安とストレスをためて涙する
自宅療養を余儀なくされた感染者は悪化に不安を募らせる
在宅ケアを受ける人も介護者も疲弊するばかり

医療機関にもかかれず苦しむ人がドンドン増える
治療薬の量も投与されているのかも情報は皆無だ
感染拡大を煽るよりも実情に報道の基軸を置くべきだ

特に障がい児者やケアを必要とする家庭へのサポートを重視すべきだ
そのためにはエッセンシャルワーカーに頼るしかない
この困難な状況を少しでも改善し解消するには人の手しかない
国会で論じるべき〈いま〉からっぽやみの弁しか聞こえてこない

自治体は多くの業務がコロナ関連で忙殺される
優秀かつ専門的な能力集団とは言い難い自治行政の体制も
コロナ禍で行政手腕を鍛えられていくしかない

まん延防止等重点措置では従来の抑制効果は厳しい
経済活動と感染抑制の両立はいまさらながら難しい
「ステルスオミクロン」が大手を振って〈いま〉拡散する

※べんこふる:お弁チャラを言う。お世辞を言う。
※からっぽやみ:役立たず。怠け者。

〔2022年1月28日書き下ろし。岸田首相とも頻繁に接触する磯崎官房副長官が、新型コロナウイルスに感染した。東京はこの日1万7631人、死者3人を確認した。1日の感染者8万人を超えた〕

付記
▲オミクロン株の派生株の一つはPCR検査で発見しづらく「ステルスオミクロン」と呼ばれているそうだ。欧州やアジアで拡大し、日本にも上陸した。より感染力が強いという分析もある▲新型コロナウイルスの流行が始まって2年。さまざまな変異株が生まれたが、感染急拡大の局面での新顔登場には身構えざるをえない。これまでの対策で十分か。検討が急がれる。(毎日新聞2022年1月28日余録一部抜粋)

乱読はいい

1月12日出版社に2校正を入れた
納品まで3週間待つだけとなった
ただ2月中旬までの外の仕事はコロナ第6波がぶち壊す
自宅に引き籠もる時間が増えてゆく

本は参考文献でなくなった
お堅い本は脇机から手の届かぬ所に移動する
代わりに買い溜めた本が積まれた

楽しい乱読が始まった
文藝春秋も参考文献ではなくなった
好きな話題を拾い読みする
司馬遼太郎の講演集全3巻はやはり面白い
推理小説は長編ものを選んだ
謎解きは無理だがラストのどんでん返しがいい
筋立ても書き手が違えばバラエティーに富む
作家の名前はすぐに忘れた

時々気の利いた言葉をメモ帳に書き留める
何かに使えるといういじましさがつい顔を出す
気になるページに付箋を付けるのは哀しき習性か

まだ2本書かなければならない原稿があった
締め切りまでの猶予が変な余裕になっていた
積まれた本を横目にそろそろ仕事に取りかかろうか
その前にこの一冊は読み終えようと手に取った
「人間の大地」サン・テグジュベリ著

〔2022年1月28日書き下ろし。読んだ先から忘れてゆく。だから次の本に集中できる。たわいない乱読の楽しさを味わっている。27日道内コロナ感染2856人最多更新中〕

そろばん道路とエッセンシャルワーカー

札幌の積雪は90センチ
例年より20センチ多い
国道12号線は片側1.5車線でアスファルトは出ている
ただ両側は2メートル以上の壁が出来て歩道も歩きにくい

脇道に一旦入ると車一台通れるかどうかの狭い道
轍(わだち)が車を左右に揺らす
時にスリップして人手を借りて脱出作業が始まる
緊急車両も乗り入れるのは難しい
排雪は一向に進まず雪の融けるのを待つしかないのか
融けても排水溝が塞がれ溢れた水が悪さをし続ける

繁華街は算盤道路状態で半球状態の氷が道幅いっぱい覆う
毎日零下10度以下では日中融けた氷も再び凍りつく
凸凹の上を車がバウンドしながらゆっくり走る
すれ違うのも至難の業でヒヤヒヤものである

車が敷地から出られないことを嘆く人の声は多い
そんな道を今日も定時でゴミ収集車は回収作業に追われる
そんな道をガスボンベを積んでトラックがやって来る
雪に埋もれたボンベを雪をかいて取り替える
ついでに裏口の雪をかいて道さえ付けてゆく
灯油の配達も厳寒期には欠かせない
大きなタンクに入れていても消費が早い今冬だ
家に閉じ籠もる生活はネット販売や生協の宅配を頼みとする
荷物を配達する人たちも遅配は言い訳にせず雪道を行く

北国の厳冬期で積雪の多い地域で暮らす人たちには
日々の暮らしを支えるエッセンシャルワーカーが頼りだ
コロナやインフルエンザに感染して戦力ダウンするのが怖い
行政はライフラインを維持する人たちへの支援をどれだけしているのか
全国で3回目のワクチン接種率がたった2%と聞いて岸田首相は声を荒げた
年寄りは出歩かず家で嵐の去るのをじっと待つしかない
エッセンシャルワーカーは待つ人の為に動かざるを得ない
その人たちにこそ優先的にワクチンを接種してほしい

有難うの感謝の気持ちを込めて
我欲を抑える日々を送ろう

〔2022年1月26日書き下ろし。久しぶりに12号線を走る。出入りの多い脇道も車一台の幅しかない。さらに枝道はゆうに及ばず。そこでゴミ収集車を見て感謝の念を抱いた。この日道内の感染者は2000人を初めて超えた〕

27日全道にまん延防止等重点措置発令

札幌市の検査数・陽性率・感染確認状況
19日(水) 3562人 18.2% 650人
20日(木) 3778人 21.0% 793人
21日(金) 4072人 22.7% 902人
22日(土) 4177人 21.7% 907人
23日(日) 4344人 20.8% 903人
24日(月) 2369人 37.1% 880人

25日の札幌は620人 直近1週間で最も少ない
検査数は発表されておらず陽性率も不明
問題は子どもたちへの感染拡大だ
24日現在 市立の小・中・高校などでの学級閉鎖措置は
83校(21日まで37校)154学級(21日まで56校)に上る
先週から小学校でも新学期が始まり21日金曜日の3倍近くになった
24日現在 札幌市の患者数は5882人
重症ゼロ 軽症+中等症が5882人 入院患者は99人である

25日政府は北海道にも「まん延防止等措置重点措置」を
適用することを正式に決定した
期間は27日から2月20日までの25日間
北海道は「まん延防止」としては初めて全道を対象とする
米軍基地が感染源になった沖縄・山口・広島は
その効果は上がらず2月20日まで延長となった

PCR検査もおぼつかない事態が起こっている
軽症者は自宅で療養?
3回目のワクチンの供給見通しはついているのか
発症後5日以内に投与する治療薬も不足している
外国頼みではその確保は〈いま〉に間に合わない
去年の二の舞を踏むようでは信用がならない

先行した3県のデータは飲食を提供する店よりも
市中に拡散したウイルスが家庭も学校も病院も施設も職場も浸食する
道内所構わずクラスターが発生し感染者を上乗せする
前例踏襲で果たして乗り切れるのか疑問ばかりが募る
年寄りは自宅に籠もり寝て待つしかない

〔2022年1月25日書き下ろし。全道の感染1536人。医療のひっ迫だけは避けたい。従来の感染予防に徹するしかない〕

付記
まん延防止 都道府県の状況
◆要請/適用へ 18道府県 1/27~2/20
北海道 青森 山形 福島 茨城 栃木 石川 長野 静岡 京都 大阪 兵庫 岡山 島根 福岡 佐賀 大分 鹿児島
◆延長へ 3県 1/9~2/20
広島 山口 沖縄 
◆適用中 13都県 1/21~2/13
群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川 新潟 岐阜 愛知 三重 香川 長崎 熊本 宮崎

コクワ酒の実を取り出す

コクワ酒を仕込んでから三ヶ月
その実を取り出した
今日から半年酒を熟成させる

コクワの実は仕込んだ時よりも堅かった
2キロ半のコクワの半分は砂糖漬けにした
残りの半分はドライフルーツにトライする

ざるに入れて部屋に置いた
ブランディーの匂いが部屋を満たした
酔いがまわるくらいのアルコール臭だ
暖房を犠牲にロスナイのスイッチを入れた

寝ようとしても匂いは強烈だった
とうてい寝られそうにはなかった
諦めて起き出して机に向かった

果たして思い描いたものになるのか
いっそ寒干しにしたほうがいいかもしれない
干し柿も甘みが増すというから試してみようか

寝不足を覚悟して朝を待つしかない
気楽に考えていた結果に振り回される
己の浅はかさに苦笑いするしかなかった

〔2022年1月24日書き下ろし。2021年11月8日『コクワ酒を造る』をアップした。漬け込んだ日から三ヶ月、コロナの感染が下火になって正月を迎えたが、いまは猛烈な第六波に襲われている。熟成される半年後には美味い酒を飲みたい〕

18歳の決断

少年は二月で18歳になる
18歳の壁は時にいとわしく行く手を邪魔した
ようやく待ちわびた社会人となる

同年代の少年たちは受験期を迎えていた
漠然とした将来に親は大枚の教育費を投資する
目標や目的を持つ子は夢の一步を進む
目標を持つ子はそれなりに夢を追う
目的を持つ子はそれなりに夢を描く
目的も目標も持たぬ子はそれなりの夢を見る

少年は夢を現実にする確かな道を探る
中卒後社会を大学にして身をもって生きる知恵を学ぶ
いくつものアルバイトをして社会の仕組みと人間を学ぶ
母親の店に集まる事に秀でた大人たちから人生の価値を学ぶ
多くの人の温情に抱かれ思いやる心を素直に学び育っていく
理解と支援の手に導かれて刺激的な未知なる世界も体験する
恋に縛られることを苦痛に感じて別れの体験もしてきた

世間のものさしの世界から遊離する
世間の学歴偏重の世界から脱離する
世間の同調圧力の世界から乖離する

少年は世間と競うことなく青年となる
自らの夢を叶えるにいま為すべきことがある
少年は世間に怯むことなく青年となる
自分らしく生きるにいま為すべきことがある
少年は世間に抗うことなく青年となる
出る杭に成長するにいま為すべきことがある

〔2022年1月24日書き下ろし。いま為すべき事が明確に分かっていることが、この少年を逞しい青年に変貌させるだろう。2月4日18歳の誕生日を前に末孫に贈る〕

札幌市は3日連続900人上回る

1月23日札幌は新たな感染者が900人台になった」
人口10万人あたりの1週間の新規感染者数は1月22日216.7人
まん延防止等重点措置(まん延防止法)要請の目安となるレベル2を大幅に超えた
1週間あたりの病床使用率は16.2%
21日の使用病床数は確保病床515床のうち101床と約20%
病院以外の宿泊施設や自宅で療養・待機は3819人

道はまん延防止法を国へ要請した
対象は全道域で酒類の提供をする飲食店は「認証店」のみに認め営業は午後9時まで
酒類を提供しない場合や認められない「非認証店」は午後8時までの時短要請となる
旅行助成制度「どうみん割」の新規予約受け付けは停止
まん延防止法の開始1週間後に既存予約分の利用を停止
適用のタイミングで「ぐるっと北海道」も停止
食事券の「GoToイート」も店内飲食を除外しテイクアウトとデリバリーに限定

札幌市は保健所業務を重点化した
濃厚接触者の調査を同居家族やリスクの高い人へ限定する方針を示す
道立保健所も小樽市、函館市も同様の対応をする
今後は知人や友人・職場には陽性と判定された本人から連絡をする
感染の可能性がある人は10日間の健康観察をすることになる
道はオミクロン株の確認に伴いワクチン接種の有無に関わらず
PCR検査は1月8日~2月7日まで「無症状」でも受け付けている

1月21日午後5時現在の検査箇所
「北海道薬剤師会の薬局や新千歳空港、旭川空港、函館空港に加え、札幌市、旭川市、函館市、小樽市、岩見沢市、三笠市、江別市、石狩市、千歳市、恵庭市、北広島市、砂川市、室蘭市、登別市、苫小牧市、名寄市、士別市、富良野市、留萌市、赤平市、稚内市、北見市、網走市、紋別市、帯広市、釧路市、洞爺湖町、倶知安町、島牧村、余市町、由仁町、長沼町、白老町、安平町、厚真町、むかわ町、新ひだか町、浦河町、幕別町、音更町、東神楽町、比布町、羽幌町、苫前町、天塩町、初山別村、猿払村、利尻町、豊富町、置戸町、小清水町、美幌町、遠軽町、滝上町、釧路町、中標津町、別海町、厚岸町、弟子屈町、白糠町、七飯町、森町、木古内町、松前町、鹿部町、八雲町、江差町、せたな町の医療機関や薬局など計269か所に増え、順次拡大している」
ただ予約制としているところが多く発熱などの症状が出ている人や濃厚接触者は対象外
かかりつけ医や健康相談センターへの連絡を呼びかけている

【1月5日以降の北海道の新規感染者数(札幌市分)】
  1月 5日: 34(26):6日ぶり30人台
  1月 6日: 74(28):約3か月半ぶり70人台
  1月 7日: 94(46):約3か月半ぶり90人台 新たに「オミクロン株」11人確認
  1月 8日:132(60):約4か月ぶり100人超 「オミクロン株」札幌で3人確認
  1月 9日:117(48):2日連続100人超 「オミクロン株」札幌で2人確認
沖縄・広島・山口の3県にまん延防止法発令(期間延長検討)
  1月10日:106(51):3日連続100人超(道内各地で成人式が行われる)
  1月11日:117(60):「オミクロン株」旭川市と函館市で初確認 道内計48人に
  1月12日:197(71) 
  1月13日:328(140):約4か月ぶり300人超
  1月14日:467(194):約4か月半ぶり400人超
  1月15日:695(367):約8か月ぶり600人超(過去3番目の数)
  1月16日:692(319):2日連続600人超
  1月17日:643(392):3日連続600人超
  1月18日:698(287):4日連続600人超(過去3番目の数)
  1月19日:1170(650):札幌含め過去最多
  1月20日:1437(793):札幌含め過去最多を更新
  1月21日:1644(902):札幌含め過去最多を更新
東京など首都圏にまん延防止法発令
  1月22日:1605(907):札幌は過去最多更新
(以上23日09:01に配信されたUHB北海道文化放送の報道記事を要約した)

6日にアップした『第六波がやってきた』で感染拡大を予想し書いた
医療体制の整備と確認を市民に周知すべきだろう
医療保健機関の対応が万全なのかは安心の保障である
市民や道民を納得させるだけの手を見せなければならない
いままでの教訓をいかせるのか
政治家のお手並み拝見いたしましよう

無様な結果が露呈する
想定外と言い訳がましい対策は保健所を機能不全とする
重症者が少ないといいながらも医療機関の受診者は増加の一方
PCR検査も検査場所は道内の一部でしかない
予約制で順番待ちが列をなし即応性はない
成人式後のクラスターの発生が多く報道されたが
13日以降の数値の増加は予想の範囲だ
ズルズルと先延ばしして経過観察を続けるのはいつも通り
そもそも打つ手のない対策の結果がまん延防止法の発令を持つ
いままでの教訓を生かすこともできず飲食店だけを規制する
学校や福祉施設ましてや行政機関でのクラスターが頻発している
社会全体に流感のように広めて社会的免疫を付けるしかないのか
道民を納得させる手立てもボロボロで言い訳はもう聞き飽きた
説得力に欠く政治家たちは金を引き出す国頼みにしか存在価値はない

オミクロン株に置き換われば感染の収束は早いという見立てがある
3回目のワクチン接種も医療者や施設介護者へ随時始まっている
治療薬の効果はまだ報道されていない
凄いスピードで感染が拡大していると煽る報道はもういい
正しい情報の提供が感染防止の最大の戦略だ

メディアに露出する評論家気取りの者たちよりも
研究室や臨床の場で不眠不休で究明と救命に頑張る方々を
いまは信じてやり過ごすしかない
科学的根拠に基づいた感染の山場がどこに来るのか
いまその見通しだけでも示してもらえば希望がもてる

〔2022年1月23日書き下ろし。感染拡大はどこまでいくのか。道内の状況を記録する〕

付記
岸田内閣支持率52% 感染拡大局面でも横ばい 毎日新聞世論調査
毎日新聞と社会調査研究センターは22日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は52%で、2021年12月18日の前回調査の54%から横ばいだった。不支持率は36%(前回36%)だった。これまでは新型コロナウイルスの新規感染者数が増加すると、内閣支持率が下落する傾向があった。今回は感染者数が過去最多を連日更新している局面だが、支持率低下にはつながっていない。
政府は東京など16都県に「まん延防止等重点措置」を適用しており、今後も対象地域が広がる見通しだ。新型コロナ対策として、飲食店やイベントなどの経済活動を規制する必要があるかとの質問では、「感染対策をとっていれば規制は必要ない」は55%に上り、「規制が必要だ」の38%を上回った。まん延防止措置が適用されると、都道府県の判断で、飲食店に営業時間短縮を要請したり、大規模イベントの人数制限などを実施したりできる。
政権の新型コロナウイルス対策については、「評価する」が31%で、前回(46%)より15ポイント減少した。「評価しない」は39%で前回(26%)より13ポイント上がった。「どちらとも言えない」は30%(前回27%)だった。感染拡大を受けて、新型コロナ対策への不満は増えているようだ。
新型コロナワクチンの3回目接種に関しては、「早く受けたいと思う」との回答は61%(前回65%)、「早く受けたいとは思わない」21%(同21%)で、「まだ2回の接種を受けていない」も6%(同6%)あった。前回選択肢になかった「もう3回目の接種を受けた」は3%だった。(毎日新聞2022年1月22日)

退任の挨拶文

六十年余に渡って福祉の世界にいた
五十年勤めた法人をこの春退任する
機関誌に掲載する手書きの挨拶文を預かった

便箋3枚に達筆な文字が流れる
見慣れた文字を戸惑うことなくタイプする
気取らぬ平易な文章はその人柄を映す

職員への感謝の思いが溢れている
優しさと思いやりが滲み出ていた
紹介する事例は職員への賛辞だった

決しておごることなく穏やかだった
いつも口調は誰にでも柔らかかった
慈愛のまなざしは分け隔てなく向けられた

常に時代の風を読み舵を取ってきた
新しきことへの鋭い嗅覚と時代感覚は本物だった
判断力は出会った人と書物に比例した

時代に切り込むチャレンジ精神と突破力は半端ではなかった
時代を担うリーダーシップも影響力も半端じゃなかった
時代が求める胆力と寛容の器は半端じゃなかった

ひけらかすこともなく淡々と感謝を表す
気負うこともなく飄々と退任の辞を表す
継ぐ者たちへの新たな舞台に期待を表す

「和顔愛語」のこころと
「Think Future Act Now」
〈未来を考え いま為すべき事を為す〉
揺るぎない理念と心構えが次代に継承される

〔2022年1月21日書き下ろし。我が師の退任の辞をタイプした。感慨無量である〕

阪野 貢/追補/「関係人口」と「よそ者」―田中輝美の論考と大橋謙策の実践研究―

〇地域づくりに関してしばしば、「よそ者、若者、ばか者」という3者が挙げられ、その役割が指摘される。従来のシステムや活動に対して批判的で、新しい見方を醸成する「よそ者」、しがらみのない立場から、新たなエネルギーによって次の時代を切り拓く「若者」、旧来の価値観の枠組みからはみ出し、既成概念を壊す「ばか者」がそれである(真壁昭夫『若者、バカ者、よそ者―イノベーションは彼らから始まる!』PHP研究所、2021年8月参照)。そこに通底するのは、常識や固定観念にとらわれず、客観的にモノゴトを考え、前向きに行動する姿勢や態度である。彼らは地域づくりの現場で、ときに好意的・肯定的に評価され、またときには地域や組織から受け入れられず、軽視あるいは排除される。
〇私事にわたるが、筆者(阪野)がいま暮らす“まち”に定住して25年が過ぎた。そして僭越ながら、ある思いや願いのもとで、地域との関わりにおいて「よそ者、若者、ばか者」の役割を多少とも果たそうとしてきた(している)。しかし、地域からの基本的な評価は、いまだに地域外からの「よそ者」(移住者)である。コトによってはある役割を果たすことが要請・期待されるが、それとて地域に住む一般的な住民とは異質な「よそ者」「見知らぬ者」に対してである。そうしたなかで、「よそ者、若者、ばか者」に無頓着・無関心に暮らす地域住民が多い。これが、多かれ少なかれ伝統的な共同性や社会関係が残る農村部や中山間地域を抱える、地方の小都市(人口約8万6,000人)のひとつの実相である。
〇また、地元の行政やJA等の広報誌などでは最近、「関係人口」に関する記事が目につくようになった。それは、移住者や新規の就農者の増加を図りたいという考えによるのであろう。また、「農福連携」の記事も散見される。農福連携とは、「障がい者等が農業分野で活躍することを通じ、自信と生きがいを持って社会参画を実現していく取り組み」である。「担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性がある」(農林水産省ホームページ)という。そこでは、いわゆる「健康・生きがい就労」が強調され、劣悪な労働条件や職場環境のなかでの就労が余儀なくされている。それは、安価な労働力を補填・補充する、技能実習生として働く「低度」外国人材の非熟練労働の実態と重なる(安田峰俊『「低度」外国人材―移民焼き畑国家、日本―』KADOKAWA、2021年3月参照)。
〇さて本稿は、本ブログの<雑感>(104)「『関係人口』とまちづくり―その概念に関するメモ―」(2020年3月23日投稿。⇒本文)で説く「関係人口」の追記と、「よそ者」の補記である。
〇筆者の手もとに、田中輝美(たなか・てるみ。ローカルジャーナリスト、島根県立大学)の『関係人口の社会学―人口減少時代の地域再生―』(大阪大学出版会、2021年4月。以下[1])がある。
〇「関係人口」という用語は、高橋博之(たかはし・ひろゆき)と指出一正(さしで・かずまさ)の二人のメディア関係者が2016年に初めて言及したものである。「関係人口」とは、高橋にあっては「交流人口と定住人口の間に眠るもの」、指出にあっては「地域に関わってくれる人口」をいう。その後、田中輝美は「地域に多様に関わる人々=仲間」(2017年)、総務省は「長期的な『定住人口』でも短期的な『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者」(2018年)、農業経済学者である小田切徳美(おだぎり・とくみ。明治大学)は「地方部に関心を持ち、関与する都市部に住む人々」(2018年)、河井孝仁(かわい・たかよし。東海大学)は「地域に関わろうとする、ある一定以上の意欲を持ち、地域に生きる人々の持続的な幸せに資する存在」(2020年)としてそれぞれ、「関係人口論」を展開する(73~75ページ)。
〇田中は[1]で、こうした抽象的・多義的で、農村論や過疎地域論に偏りがちな(都市部における関係人口を切り捨ててしまう)関係人口論に問題を投げかけ、関係人口について社会学的な視点から学術的な概念規定を試みる。関係人口とは「特定の地域に継続的に関心を持ち、関わるよそ者」(77ページ)である、というのがその定義である。この定義づけで田中は、関係人口を、移住した「定住人口」でも観光に来た「交流人口」でもなく、新たな地域外の主体、別言すれば「一方通行ではなく、自身の関心と地域課題の解決が両立する関係を目指す『新しいよそ者』」(69ページ)として捉える。その際、地域とどのように関わるかについて、関係人口の空間(「よそ者」)とともに、時間(「継続的」)と態度(「関心」)に注目する。
〇こうした定義づけを踏まえて田中は、関係人口が地域再生に関わった事例の分析を行い、関係人口が(1)どのように地域再生の主体として形成されていくのか、(2)地域再生にどのような役割を果たすのか(14ページ)、という2点を明らかにする。そのなかで、現代の人口減少社会における地域再生の方向性と具体的な方法論を示す。これが[1]における「関係人口」研究の目的である。なお、田中が調査対象としたのは、関係人口が島根県海士(あま)町で廃校寸前の高校の魅力化という教育課題に関わった事例、島根県江津(ごうつ)市でシャッター通り商店街の活性化という経済課題に関わった事例、そして香川県まんのう町で過疎地域の高齢者の生活支援という福祉課題に関わった事例、この3つである。
〇上記(1)の「地域再生主体の形成」について田中は、パットナム(Robert D.Putnam,アメリカの政治学者)の「社会関係資本論」をよりどころにアプローチする。社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)論とは、地域・社会における人々の相互関係や結びつきは、ネットワークや互酬性、信頼性などによって規定されるという考え方である。田中は、地域再生主体の形成過程について次のようにいう。先ず、①地域課題に関心や問題意識をもつ関係人口は、その課題解決に向けて主体的に動き出し、その際に関わった地域住民と社会関係資本を構築する過程で地域再生の当事者・主体として形成される。続いて、②その関係人口が社会関係資本を構築する過程で、最初につながった地域住民とは別の新たな地域住民が地域再生主体として形成され、両者(地域再生主体としての関係人口と同じく地域再生主体として形成された地域住民)の「協働」という相互作用によって地域課題に立ち向かう。そして、③その地域住民が自ら社会関係資本を構築する力をつけたことで地域内にまた、新たな地域住民や新たな関係人口との間に多層的な社会関係資本が構築され、連続的に地域課題の解決を図る(250、273、308ページ)。
〇この3つのステップ――①関係人口が地域課題の解決に動き出す。/関係人口が地域住民との間に社会関係資本を構築する。→②関係人口と地域住民との間に信頼関係ができる。/社会関係資本が別の住民に転移する。→③地域住民が地域課題の解決に動き出す。/地域住民が別の地域住民や関係人口との間に社会関係資本を構築する、これが「地域再生サイクル」(279ページ)である。ここでの要点は、地域再生主体とは「主体的に地域課題を解決する人」であり、「地域再生の主役はその地域に暮らす住民」である。田中はいう。「人口減少が前提となる現代社会の地域再生においては、『心の過疎化』に起因する主体性の欠如が報告され続けてきた地域住民が主体性を獲得し、地域再生の主体として形成されることが欠かせない。その形成を促すカギとなる存在が、関係人口である」(308~309ページ)。ここで重要なのは、地域住民が地域外の関係人口をどれだけ呼び込んで活用したかという量ではない。問われるのは、新たな地域住民が「地域再生の主体性」をどのように獲得したかという、地域住民と関係人口との間の関係性の「質」である(309ページ)。すなわち、地域住民が関係人口を資源として客体化するのではなく、地域住民と関係人口が対等な主体として「協働」していくなかで互いが、どのように地域再生主体として形成されていくかが重要になる(312ページ)。
〇上記(2)の「地域再生における関係人口の役割」について田中は、敷田麻美(しきだ・あさみ。北陸先端科学技術大学院大学)の「よそ者論」をよりどころにアプローチする。敷田の言説を引いて、田中はいう。「よそ者」とは「異質な存在」であり、地域住民との関係によってその異質性が左右される。そして、よそ者と地域住民がどのように関わるかによっていろいろな変化(「よそ者効果」)が起きる(116ページ)。その「効果」についての敷田の言説を、田中は次のように紹介・説述する。①地域の再発見効果(よそ者は地域に不慣れなことが幸いして、地域資源の価値や地域のすばらしさを見出すことができる)、②誇りの涵養効果(地域住民は地域外の視点を持つよそ者を意識することで、自らの地域のすばらしさを認識する)、③知識移転効果(地域住民がよそ者と接することで、地域にない知識や技能を補う効果が期待できる)、④地域の変容を促進する効果(地域がもともと持っている資源や知識を、よそ者の刺激を利用して変化させることができる)、⑤「地域とのしがらみのない立場からの解決案」の提案(よそ者は地域のしがらみにとらわれない立場だからこそ、優れた解決策を提案できる)、この5つがそれである(116~118ページ。各項目の表記は敷田による)。
〇田中にあっては、関係人口と地域住民との「協働」によって、このような「よそ者効果」が発現し、創発的な課題解決が可能になる。この点と上述の「地域再生サイクル」の知見から田中は、地域再生における関係人口の役割は、①地域再生主体の形成と②創発的な課題解決の促進の2つであることを明らかにする。以上が田中の議論である。その内容については、地域福祉論の領域から言えば必ずしも特段の新味があるものでもないが、社会学的な視点・視座から3地域の事例の質的研究を地域再生活動の発展段階に沿って丹念に行う。そして、「社会関係資本論」や(以下に記すような)「よそ者論」に依拠して「関係人口」についての整理がなされている。注目されるところであろう。
〇ここで、上述の敷田の「よそ者と地域づくり」に関する論考について若干ふれておきたい。そのひとつは、「よそ者と地域づくりにおけるその役割にかんする研究」(『国際広報メディア・観光学ジャーナル』No.9、北海道大学、2009年9月、79~100ページ。以下[2])である。なお、[2]の決定版として、敷田の「よそ者と協働する地域づくりの可能性に関する研究」(『江淳の久爾(えぬのくに)』第50号、江沼地方史研究会(石川県加賀市立中央図書館内)、2005年4月、74~85ページ)がある。
〇[2]で敷田は、意図的に起こる効果と意図せずとも起こる効果の両方を含めて、「よそ者の地域づくりへのかかわりが起こす変化」を「よそ者効果」とする。そして、田中が紹介・説述した5項目を次のように換言し、それらの効果は複合的に同時に起きているが、それがどのように発現するかが重要となる、という。項目の換言は、①技術や知識の地域への移入、②地域の持つ創造性の惹起や励起、③地域の持つ知識の表出支援、④地域(や組織)の変容の促進、⑤しがらみのない立場からの問題解決(89ページ)、である。
〇敷田はさらに、「よそ者効果の活用」についていう。地域づくりの本来の姿は、地域がよそ者に依存するのではなく、よそ者をひとつの「資源」として適切に活用することにあり、「よそ者活用戦略」「よそ者活用モデル」が必要となる。その際、よそ者はあくまで「有限責任」を持つ存在であり、また地域づくりには「最適解」はないことから、地域の多様な選択肢を提示することが求められる存在である。その点に留意し、地域がその主体性を発揮しながらよそ者とどのような相互関係を形成するか、そのプロセスが地域づくりでは重要となる。それによって、一方だけではなく、「よそ者と協働しながら地域もよそ者も相互変容し、それが結果的に地域を持続可能にすることにつながる」のである。敷田にあっては、その「相互変容」のプロセスこそが地域づくりである(97ページ)。この点の「協働」は、筆者(阪野)がかねてから主張してきた「共働」に通底するものであろう。
〇敷田のいまひとつの論考は、「地域づくりにおける専門家にかんする研究:『ゆるやかな専門性』と『有限責任の専門家』の提案」『国際広報メディア・観光学ジャーナル』No.11、北海道大学、2010年11月、35~60ページ。以下[3])である。
〇[3]で敷田は、地域づくりの背景と変遷を分析したうえで、地域づくりにおける専門性のあり方や専門家と地域の関係性について考察する。そして、「ゆるやかな専門性」と「有限責任の専門家」について提案する。その際のスタンスは、地域づくりには専門家が必要であるというものである。なお、「専門家」とは、「ある特定の分野において卓越した知識と技術・技能を持ち(場合によってはそれらを総合化・体系化している)、それを表現することができる人」を指し、そこに研究者を含める。「地域」とは、「一定の地理的広がりを持つ土地や空間と、そこに居住・滞在する地域住民間の関係性」(37ページ)を表わし、社会学で用いられる「地域社会」や「地域コミュニティ」と同義とする(37ページ)。そして、「地域づくり」とは、「地域社会の課題を解決し、よりよい状態を目指すために地域社会にはたらきかけて仕組みを構築してゆくプロセスとその内容」(40ページ)をいう。
〇敷田にあっては、地域づくりはこれまで、①地域の経済の活性化やインフラの整備をめざした「地域振興型」から、②地域の特定課題の解決をめざした「テーマ型」を経て、③総合的な地域づくりのために地域社会全体のデザインをめざす「統合デザイン型」へと質的に移行してきた。それに伴って、地域づくりの専門家に求められ能力や状態も、①知識の提供や特定事業・業務の遂行・アドバイス、②対象テーマ・分野についての調査研究や実践、③地域関係者による地域づくりの課題発見や解決策の創出と課題解決、へと変化した。したがってまた、地域づくりの専門家の関与や責任も、①業務や委託の範囲内での限定責任、②自主的な活動範囲における条件つき責任、③地域との関わりの範囲と内容の拡大による無限責任、へと変化してきた(45ページ)。そのうえで敷田は、地域づくりに関わる専門家の専門性について、「ゆるやかな専門性」と「有限責任の専門家」について言及する。
〇「ゆるやかな専門性」とは、「専門家が自らの専門性の範疇だけで地域づくりに関与するのではなく、専門性を主体的に拡張や拡大することである。また自らの専門性を背景に地域内外の関係者と地域(資源)を関係づけることで、地域づくりを支援する『ゆるやかさ』を維持することである」(51、56ページ)。「有限責任の専門家」とは、総合化した地域づくりのなかで、専門家が地域づくりへの関与を主体的にコントロールして一定の期間と範囲内で地域づくりに関わり、一定の範囲に限定して責任を負うことをいう(54~55、56ページ)。住民が直接の当事者となる最近の地域づくりにおいて、この「ゆるやかな専門性」と「有限責任の専門家」の考え方は、地域の利益と専門家の役割やキャリア形成にとって重要であり、地域にも専門家にも「相利的」(55ページ)である。 [3]における敷田の主張である。
〇ここで筆者(阪野)は、「福祉でまちづくり」の「スーパースター」(田中輝美の言葉)的な「関係人口」や地域づくりの専門家(「実践的研究者」)といえる大橋謙策(おおはし・けんさく。日本地域福祉研究所)の「バッテリー型研究方法」を思い出す。大橋のそれについては、本ブログの<まちづくりと市民福祉教育>(27)大橋謙策「地域福祉実践の神髄―福祉教育・ニーズ対応型福祉サービスの開発・コミュニティソーシャルワーク―」(2018年4月4日投稿。⇒本文)を参照されたい。
〇大橋は、全国各地の地域福祉(活動)計画の策定や地域福祉の研修会・セミナーなどに関わるが、その際の視点や姿勢はおよそ次のようなものである。それは、本ブログに転載されている上記論文から筆者(阪野)なりに抽出・整理したものである。以下でいう「地域」は福祉等の関係者や関係機関・組織、地域住民などを意味し、「関係人口」は大橋を指す。

(1) 地域による実践の理論化・体系化と関係人口としての理論仮説の提起と検証(バッテリー型研究方法)を行う。
(2) 地域と長期間にわたって関わり、特定あるいは総合的・統合的な事業・活動への支援を継続的に行う。
(3) 地域による実践活動の活性化と、地域と行政や関係機関との協働を成立させるコミュニティソーシャルワーク機能(触媒・媒介機能)の展開、そのためのシステムの整備を支援する。
(4) 多種多様な、あるいは潜在的な地域課題の解決に向けた専門多職種によるチームアプローチの必要性や重要性を提唱し、その実現を図る。
(5) 地域との相互作用や相互学習の過程を通して、地域内外との交流や福祉等関係者(実践者)の組織化を促す。
(6) 地域による実践のプロセスとその結果の客観化・一般化や実践仮説の検証を図るために、著作物の刊行や地域によるそれを支援する。
(7) 地域による問題発見・問題解決型の共同学習(福祉教育)を徹底的に行い、地域(地域住民や専門家等)の社会福祉意識の変容・向上を図る。
(8) 地域との共同実践を通して地元自治体における福祉サービスの整備や、全国の地方自治体や国への政策提言を行い、その具現化の制度化・政策化を促す、

などがそれである。これらを総じていえば、地域による「草の根の地域福祉実践」を豊かなものにするために「継続は力なり」の意志を体して、理論と実践を往還・融合する探究的な「実践的研究」に取り組み、「福祉教育・ニーズ対応型福祉サービスの開発・コミュニティソーシャルワーク」を追究する、ここに大橋の「関係人口」としての具体的・実践的な視点や姿勢を見出すことができる。しかもそれらは、地域づくりや地域再生に「関係人口」が果たすべき役割や機能のひとつのモデルとして整理されよう。
〇なお、上記の(6)に関する文献に例えば次のようなものがある。紹介しておきたい。表記した地名は大橋が関わった地域である(それはそのほんの一部に過ぎない)。

・東京都狛江市/大橋謙策編著『地域福祉計画策定の視点と実践―狛江市・あいとぴあへの挑戦―』第一法規出版、1996年9月。
・富山県氷見市/大橋謙策監修、日本地域福祉研究所編『地域福祉実践の課題と展開』東洋堂企画出版社、1997年9月。
・岩手県湯田町(現・西和賀町)/菊池多美子著/『福祉の鐘を鳴らすまち―「うんだなーヘルパー」奮戦記―』東洋堂企画出版社、1998年9月。
・富山県富山市/大橋謙策・林渓子共著『福祉のこころが輝く日―学校教育の変革と21世紀を担う子どもの発達―』東洋堂企画出版社、1999年1月。
・山口県宇部市/宇部市教育委員会編『いきがい発見のまち―宇部市の生涯学習推進構想―』東洋堂企画出版、1999年6月。
・島根県瑞穂町(現・邑南町)/大橋謙策監修、澤田隆之・日高政恵共著『安らぎの田舎(さと)への道標(みちしるべ)―島根県瑞穂町 未来家族ネットワークの創造―』万葉舎、2000年8月。
・岩手県遠野市/日本地域福祉研究所監修、大橋謙策・ほか編『21世紀型トータルケアシステムの創造 ―遠野ハートフルプランの展開―』万葉舎、 2002年9月。
・長野県茅野市/土橋善蔵・鎌田實・大橋謙策編集代表『福祉21ビーナスプランの挑戦―パートナーシップのまちづくりと茅野市地域福祉計画―』中央法規出版、2003年2月。
・香川県琴平町/越智和子著『地域で「最期」まで支える―琴平社協の覚悟―』全国社会福祉協議会、2019年7月。

付記
著名な「関係人口」のひとりに、住民主体のまちづくりをワークショップを中心とした手法でサポートする「コミュニティデザイナー」の山崎亮(やまざき・りょう)がいる。山崎については、本ブログの<雑感>(26)「住民主体の内発的なまちづくりとコミュニティデザイン―持続可能な地域再生と住民の主体形成―」(2015年4月1日投稿。⇒本文)と<ディスカッションルーム>(66)「『縮減社会』(小滝敏之)と『縮充社会』(山崎亮):参加・つながり・自治―資料紹介―」(2017年3月1日投稿。⇒本文)を参照されたい。

会えたらいいですね

初めてお目にかかりました
旧知の友のように迎えていただきました
なんと笑顔のステキな人でしょうか
すぐに心が和んで打ち解けました

節度ある仕草にぎこちなさを忘れました
話題が豊富で心置きなくお話ししました
なんと所作のステキなひとでしょうか
すぐに心が惹かれて虜(とりこ)になりました

物言いが柔らかくて引き込まれました
世辞も不要で本題に入っていきました
なんと明晰でステキなひとでしょうか
すぐに心に響いて素直になりました

何を話しても聞き止めてくれました
批(う)たれることもなく共感を覚えました
なんと寛容なステキなひとでしょうか
すぐに心はリスペクトに動きました

構えることなくそのまま向き合いました
警戒心はいつしかゆるみ解かれました
なんとおおらかなひとでしょうか
すぐに心は丸ごと包み込みました

人間が好きだ
その一言がすべてです
一期一会の出会いかも知れません
だからまた会いたい
そんな人たちに会えたらいいですね

〔2022年1月20日書き下ろし。一期一会ならどんな人に会いたいですか?〕