阪野 貢 のすべての投稿

依頼と変更

インタビュー原稿の依頼
過去をインタビューされる側で
する側が2人の変則企画

締め切りが締め切りで
3人とも無理を伝えた
次号に延期した

通り一遍のことでは物足りない
読者もきっと興味は湧かない
魅力ある面白いものにならないか

インタビュアーがこの面子なら
わたしにインタビューではなく
わたしがインタビューする
それならもっと刺激的な中身になる

立場を逆転させた
現役の二人の福祉や教育への思いを引き出す
それでもいまひとつ何かが足りない

地域福祉のど真ん中で実践する社協マン
プラスワンしてもっと刺激的にする
想像しただけでワクワクする

企画を編集者に提案した
今までの企画ではなくなった
掲載枚数も倍に膨れた
面白がってゴーサインが出た

連載企画のイメチェン
活きのいいバリバリの40代
福祉と教育のいまと明日を熱く語る

そこを引き出すセンスがあるのか
旭川で4人が揃う1月31日まで
手ぐすね引いて待つとしよう

〔2021年12月9日書き下ろし。仕事への情熱を燃やす3人の実践者の熱いおもいを伝えたい〕

戦争ときずな計画

12月8日 80年を迎えた太平洋戦争開戦の日
戦争の犠牲となった多くの兵士と国民に哀悼の意を捧げます
犠牲と苦渋を強いられ残された遺族の痛みとその後の苦難を想像します
間違えを正そうともせず負ける戦いを命じた者たちを糾弾します
戦争反対者を密告し非国民と嘲り排除した者たちの護身は否定できません
常に戦争を商売にして軍人や政治家と結託して儲けた者たちを許せません
その歴史の教訓から学べぬ者たちがいまも政治の要にいることを批判し続けます
懐古主義者が平和憲法を統治に都合のいい改正を目論むことに反対します
議会政治の根幹をなし崩した者たちへの糾弾と批判はやむことは決してありません

戦争体験した世代がこの国の礎となる
平和な暮らしの中で人として幸せに生きたい
この願いを実現するために貧困にもめげず
一生懸命働きさらに働いて経済を成長させた
自衛の為の自衛隊もしっかりと平和憲法を遵守する

80歳以上の高齢者は戦争の過去を忘れてはいない
予科練で青春の挫折を味わった亡父も94を数えていただろう
世界中の紛争を見聞きするたびに身につまされ憤りを覚える
どれほどか人間は愚かで残虐なのか悪の限りを尽くす

登別市の第4期きずな計画はカタチを成してきている
策定に参画し地域を福祉で耕してきた戦前戦中派の委員の方々
17年間地域で平和を築き上げてきた戦前戦中派の委員の方々
その労苦に感謝しつつ平穏な日々を送っていただくために
次世代の市民は平和な社会を築くために誠心誠意努めたい

戦争ときずな計画は対極にある
武器を持つ手は福祉を拓き耕す手に変わる
誹謗する醜い心は福祉で浄化され寛容の心に変わる
病んで老いて死にゆく身は福祉の支えで平穏無事を保つ
子どもらも若者たちも福祉から平和を学ぶ
次世代は福祉で平和な社会と暮らしを体現する人となる

その指針として地域福祉実践計画きずなを市民と共有したい
平和を希求してやまない市民の願いを知恵と行動に結集する
ここに生まれてよかった暮らしてよかったと語り継ぎたい
きずなのきずなたる大きな福祉力を見える化するのは
ひとりの人として家庭人として市民として地球人としての責務です

〔2021年12月8日書き下ろし。日々の暮らしに当たり前にある平和を登別市きずな計画に見出すことが、悪しき戦争の歴史を繰り返さない決意でもあるかとはたと気づいた〕

小さな社協の話を聞く

事前に郵送された今年度の社協事業計画書
事業一つひとつの実情や課題が
小さな文字で書き添えられていた

同席した友と三人で事業計画をチェックする
たった二人のスタッフで回してきた多くの事業
こなすだけで精一杯の現状に心が痛んだ
事業の改善を声に出してもいつの間にか立ち消えた
見直しも不完全燃焼のまま既存の事業が続いてゆく

資料の中の理事の数に目がいって驚いた
当初から自治会の協力を得ることを前提に16地区から出してきた
評議員も一時40人を数えた時代もあったという
理事・評議員で現在も40名近い
自治会役員のあて職となってきたことで
理事会の運営もしんどかったに違いない
組織そのもののスリム化と再構築が求められる
幸いにして理事の半数は役場OB
行政職にいた人ならば納得すれば行動は早い
事務局の改革提案では弱く無理である
理事の中にもおもいを持つ人はいる
数人固まればきっと力になる
友はそう助言した
理事者との共同改革の始まりを示唆する

事業計画の基本目標
特色のない一般的な目標である
果たして実質が伴っているのだろうか
計画につながる事業の実態を聴き取った

基本目標1 住民参加を主体とした地域福祉の推進
マチの産業祭に参画したふれあい広場
社協のPRの機会と祭りの賑わいづくりへの高齢者の参加
講演と座談そして懇親会を兼ねた地域福祉推進懇談会
座談はその先の動きにつながらないおしゃべり場
福祉委員活動の推進
各地区から40名の登録があるが活動の実態は把握していない
共同募金会から4団体・小中4校への助成と後期高齢者への歳末物品贈呈
これらの事業で自主財源は吐き出される
自主事業を企画しようにも財源がないから諦めが先に来る

基本計画2 住民一人ひとりが参加するボランティアの推進
高齢化と成り手不足はどこの地域も同じ課題を抱えて四苦八苦
ボランティアセンターの運営は建前論
行政は決まり文句のようにボランティアに期待する丸投げ論
登録ボランティアの弊害と新規登録は期待薄の悲観論
運営委員会とボランティア連絡協議会の二本立ての無理論
愛情銀行の名称が残りすでに馴染んでいて変更不要論

基本計画3 高齢者が安心して一生を送れる福祉サービス事業の推進
相談と生活資金の貸出
町からの受託事業の給食サービス事業は月曜から金曜まで1日12件余
在宅介護者の集いは対象家庭70世帯に対して参加者5名前後
安心して一生を送れる福祉サービスの提供はいかに壮大な計画か

重点推進目標も
推進のために関係機関との連携や
ノーマライゼーションの普及啓発を掲げ
文末は努める・図ると締めくくる
行動目標的な表現は避けられ無難に処理される
実行うんぬんよりも努め図ったことが優先される

これらの目標も数年は変わらず踏襲されてきた
毎年変更するにはこの体制では無理がある
だからこそ中期計画があれば拠り所がきっとできる
地域に密着した地域福祉実践は一般のマニュアル通りにはいかない
その指針となるプランは住民と共に作ってこそ福祉力となる

メールをいただいた
「事業1つ1つを自分自身でもかみ砕いて理解していないこと、視野が狭すぎていることに、改めて反省をしております。何故この事業をするのか、事業によって人を、地域をどのように支えていくのかというところが抜けてしまっていると感じました。自分なりに、事業毎に整理して、改善に向けていきたいと思います。とりあえずは、難しく考えず、頭の中を整理して進めたいと思います」

小さな地域の社協を悩ます現状維持の運営体質
応募してもなり手がいない慢性的な人材不足
この人も長年悩みながら事業をやり繰りしてきた
そこにいくつかの改善の提案やヒントを残してきた
まだまだ改革は先のことになる
どこから手を付けたらいいのか途方に暮れていた段階から
少し前向きになったことが嬉しい

地域福祉の推進に元気を出していただけるのなら
決してひとりぼっちにならぬよういつでも応援しよう
帰路の車中友と語り合いながら熱くなった自分がいた

〔2021年12月7日書き下ろし。社協マンだった友と語り合いながら、道内の小さな社協で頑張る人におもいを馳せた日となった〕

海陽丸と散歩と見守り

檜山管内江差町鴎島に復元された海陽丸が係留されている
1866年オランダで造船された徳川幕府の旗艦
1867年4月海陽丸は150日の回航後横浜に入港
1868年鳥羽伏見の戦いに敗れた慶喜の大阪脱出にも出動した
大政奉還王政復古の大号令の中戊辰戦争が起こる
旧幕臣榎本武揚は幕府の艦隊を率いて決戦の場を蝦夷地に求める
海陽丸は江差を攻略するため海路で向かった
11月松前から陸路で来る自軍を待つ間に猛吹雪が襲い座礁し沈没する
明治新政府は榎本軍追訴令を発令し函館五稜郭に追い込み降伏させる
1869年こうして箱館戦争は終わった
NHK大河ドラマ「青天を衝け」の回想ともなったが
悲劇の旗艦はいまも江差沖で眠る

鴎島は地域の高齢者の格好のお散歩コース
連れ立つ人もひとりで楽しむ人もまちまちだけど
なってまだ1年足らずの若い民生委員の女性も散歩に訪れる
ここに来ると顔見知りの高齢者とも挨拶したり言葉がけもする
地域を回って歩くよりも日常の中で様子を垣間見ることができる
数日顔見てないなと気にかかると散歩中のご近所の人から情報が入る
観光地を舞台にそこで暮らす地域の人たちがつながっている
民生委員と構えることなく散歩という習慣が安否確認の場となる

日々の散歩で人が穏やかにつながる
健康づくりの散歩はそろそろ今年も終りか
コロナが治まり巣ごもりの季節が始まった
海陽丸まで座礁させた凍てつく日本海からの浜風を受け
新米の民生委員は訪問活動を再開させる

〔2021年12月6日書き下ろし。檜山管内での新任民生委員児童委員研修で紹介された。こうして日々地域の高齢者とつながっている場所があることと活動を意識することなくさりげなくしていることに心惹かれた〕

阪野 貢/追記/「アナキズム」考 ―松村圭一郎著『くらしのアナキズム』のワンポイントメモ―

〇本稿は、本ブログの<雑感>(134)「『贈与』再考メモ―コミュニズムとアナキズム―」(2021年4月28日投稿)で説く「アナキズム」に追記するものである。
〇人は甚大な被害に見舞われた際、とりわけいま新型コロナウイルス禍で、「国家」を意識する。国家はときに、無力で無能な制度と化し、人びとの平和な暮らしを脅かすことがある。国家は人びとにとって強くて大きい存在であり、国家を維持するために国民を犠牲にすることすらある。そもそも国家は、国民全員の生活を十全に支援し、保障する仕組みとして準備(形成)されているものではない。そういう国家のもとで暮らす人びと(弱い存在である生活者)は、国家から一定の距離をとり、ふだんの暮らしのなかで互いに助け合う意識を持ち、その論理を展開する(展開してきた)。そして、国家・社会によって「当たり前」とされているモノやコトを揺さぶり、問い直し、新たな知恵や技法を編み出す(編み出してきた)。そしてそこに、希望と可能性(力)を見出す(見出してきた)。
〇身の回りの出来事や社会的な問題に対処するのは、政治家や行政職員だけではない。その重要な役割を果たすのはむしろ、日々の暮らしを営んでいる一人ひとりの生活者である。政治や行政は、人びとの現実の暮らしのなかにこそ見出される。その点において、現実生活から遊離した観念的で固定的な思考や知識に基づく、しかも「次の選挙を考える」政治家(政治屋)や「前例・横並び主義」に汲々とする行政職員は不要となる。
〇筆者(阪野)の手もとに、松村圭一郎(まつむら・けいいちろう。文化人類学専攻)の『くらしのアナキズム』(ミシマ社、2021年10月。)がある。「アナキズム」というと、「無政府主義」「革命」「暴力」「無秩序」等々のイメージがつきまとう。文化人類学者の松村はいう。アナキズムの本来の意味は、普通の生活者がふだんの暮らしのなかで、国家や市場の支配権力に向き合いながら、自分たちの問題を自分たちで解決していく点にある。その解決のためには日頃から、「人と人が問題を共有し、手をさしのべられる関係や場」を「耕し」ておくことが肝要となる(176、177ページ)。またそこでは、「コンヴィヴィアリティ(共生的実践)の論理や「対話」と「同意」の技法などが必要かつ重要となる。
〇松村の「くらしのアナキズム」に関する論点や言説のいくつかをメモっておくことにする(抜き書きと要約。見出しは筆者)。

ふだんの・くらしの・アナキズム、その理念と思想
鶴見俊輔は、アナキズムを「権力による強制なしに人間がたがいに助けあって生きてゆくことを理想とする思想」と定義した。(24ページ)/人と人が問題を共有し、手をさしのべられる関係や場を準備しておく。それは政治家や経営者がやれる仕事ではない。むしろふつうの人こそがやっているし、できる仕事だ。(176ページ)/ぼくらはつねに匿名のシステムに依存して生きている。そのシステムが壊れたとき、たよりになるのは、それぞれがつながってきた顔のみえる社会関係だけだ。(それが「くらしのアナキズム」である。)(180ページ)

政治と暮らしが連続線上にあることを自覚する。政治を政治家まかせにしてもなにも変わらない。政治をぼくらの手の届かないものにしてしまった固定的な境界を揺さぶり、越境し、自分たちの日々の生活が政治そのものであると意識する。生活者が政治を暮らしのなかでみずからやること。それが「くらしのアナキズム」の核心にある。(61ページ)

だれかが決めた規則や理念に無批判に従うことと、大きな仕組みや制度に自分たちの生活をゆだねて他人まかせにしてしまうことはつながっている。アナキズムは、そこで立ち止まって考えることを求める。(227ページ)/くらしのアナキズムは、目のまえの苦しい現実をいかに改善していくか、その改善をうながす力が政治家や裁判官、専門家や企業幹部など選ばれた人たちだけでなく、生活者である自分たちのなかにあるという自覚にねざしている。/よりよいルールに変えるには、ときにその既存のルールを破らないといけない。サボったり、怒りをぶつけたり、逸脱することも重要な手段になる。それなら、ぼくらにもできそうな気がする。自分の思いに素直になればいいのだから。(226ページ)

「国家なき社会」における普通の生活者による「公共」
21世紀のアナキストは政府の転覆を謀(はか)る必要はない。自助をかかげ、自粛にたよる政府のもとで、ぼくらは現にアナキストとして生きている。(12ページ)/「公(おおやけ)」とか「公共」といえば、お上(かみ)のやることだと信じられてきた。今度はそれを企業など別のだれかにゆだねようとしている。ぼくらはどこかで自分たちには問題に対処する能力も責任もないと思っている。でも、ほんとうにそれはふつうの生活者には手の届かないものなのか。アナキズムには、国にたよらずとも、自分たちで「公共」をつくり、守ることができるという確信がある。(13ページ)/この無力で無能な国家のもとで、どのように自分たちの手で生活を立てなおし、下から「公共」をつくりなおしていくか。「くらし」と「アナキズム」を結びつけることは、その知恵を手にするための出発点だ。(13ページ)/「国家なき社会」とは国家と無縁の社会ではない。国家に包摂され、近接しながらもなお、それに抗(あらが)い、自律的な空間を保持しようとした(する)社会だ。(148ページ)

不完全性を肯定し異質性を包摂する「コンヴィヴィアリティ」
世界は流動的で、つねに変化しつづけている。そこでの「人間」は、いつも不完全な存在にすぎない、でも、不完全だからこそ、同じく不完全な他者との交わりのなかに無限の変化の可能性が生まれる。(198~199ページ)/不完全な存在どうしが交わり、相互に依存しあい、折衝・交渉することのうち(裡)にある論理を「コンヴィヴィアリティ(conviviality:共生的実践、自立共生、自律共働)という。(199ページ)/コンヴィヴィアル(convivial)な世界(共に生きる世界)では、「改宗」を迫るのではなく、「対話」をすることが異なるものに対処する方法となる。異質なものをすべて包摂することが、その秩序の根幹をなす。自分とは異なる存在は、脅威ではなく、むしろ魅力的なものとして積極的に受け入れられる。(200ページ)/「コンヴィヴィアリティは、異なる人びとや空間、場所を架橋し互いに結びつける。また互いに思想を豊かにし合い、想像力を刺激し、あらゆる人びとが善き生活を求め確かなものとするための革新的な方法をもたらす」(現代のアフリカを代表する人類学者のフランシス・ニャムンジョの言)。(201ページ)

民主主義の根幹であり生活者がなすべき「対話」と「同意」
いまアナキズムを考えることは、どうしたら身のまわりの問題を自分たちで解決できるのか、そのためになにが必要かを考えることでもある。(151ページ)/国や政治家よりも、むしろ自分たち生活者のほうが問題に対処する鍵を握っている。その自覚が民主主義を成り立たせる根幹にある。結局だれもが政治参加だと信じてきた多数決による投票は、政治とやらに参加している感をだす仕組みにすぎなかった。たぶんそこに「政治」はない。そうやって政治について誤解したまま、時間のかかる面倒なコンセンサス(同意)をとることを避け、みずから問題に対処することをやめてきた。それが結果として政治家たちをつけあがらせてきたのだ。(151~152ページ)/(多数決には少数派に沈黙と妥協を強いる危険性がある。)(納得いくまで話しあい、)異なる意見を調停し、妥協をうながしていく(地味で地道な)対話(コミュニケーション)の技法。それこそが民主的な自治の核心にある。(158ページ)(なお、ここでいう)「自治」は、(自助を求める)国家(政府)を補完するような自治ではない。むしろ国の動きをけん制し、分け与えるよう求め、主導権をとりもどすためのものだ。国によりよき状態を要求し、その力への抵抗の足場をつくる。(222ページ)

厄介な訪問者

月に1度必ず発疹にさいなまれる
虫に刺されたような発疹
それが所々全身に現れる

かゆみ止めの塗り薬はまだあった
アレルギーを抑制する薬を処方された
五日間服用して前回は完治した

体質が変わったのだろうか
原因不明の発疹にハッキリしたこと
自宅でいる時には症状は出ないこと
さらに食べ物ではないこと
食物アレルギーなら時間差はないだろう

医師は診断にいまひとつ確信が持てなかった
今回は症状が軽くて済みそうだ
忙しくしていたことでの疲労が関連するのか
何とも不思議なことが身体の中で起こっていた

70の齢を超えた身体は抗体力が弱くなる
何が起こっても受け入れるしかない
診察券だけでどれだけたまったことだろう
厄介な訪問者は加齢と共に増えることだろう

久しぶりに出た腰痛もようやく治まりつつあった
厄介な訪問者とは仲良くしたくはないけど
時々の体調の変化にどのように対処するのか
介護準備はこうして身につけていくのだろう
いつかの日のために今は安心が求められる

〔2021年12月5日書き下ろし。昼前に函館に発つ。常備薬と腰痛、アレルギーの薬を持って、安心を担保する。今年も今週で旅は終わる〕

町民から出された意見の仕分け

2日第3期月形町あずましプランの第4回策定委員会が開かれた
町民フォーラムに参加した町民から出された300の意見を仕分けする

フォーラムでグループワークを進めた委員全員の感想から始まった
慣れない進行で戸惑いながらも肯定的な意見が場を和ます
1時間で2本のテーマは時間が足りなかったと残念がる
もっと話したかったというおもいが場を支配する
提言も含め指摘されたいくつかのことに感謝する
今夜の仕分け作業の段取りを説明しながら意欲が場に満ちてゆく

ただし有償性に関する40余件は協議から除外する
新規事業に組み入れてプロジェクトチームを設置しモデル事業化する
2期計画でもアンケート調査に色濃く表れ検討を求められていた
ようやく気運が熟してきたと判断して次回に協議することとした
有償性実現への取り組みは3期計画の大きな目玉となるだろう
贈与を個々人の関係から公の関係にする試みがここから始まる

意見は事務局で4つの基本目標に関することと新規の事業提案
行政などへの要望事項などその他の3つに振り分けた
それらを4つのグループに割り当て3つの視点で1時間の協議に入った
事業として取り上げる
保留して後回しする
取り上げるには無理がある
進行はすべてグループに一任した
協議中質問を受けることは皆無だった
当日参加できなかった委員も活発な討議の輪の中にいた

終了を告げた
もっと協議したいというおもいが会場を包む
2時間という会議の時間は約束されてきた
すぐに立ち去ることが多かった風景は一変した
取り残した意見へのもやもや感を引きずりながら
仕分け作業で熱く語り合った余韻をそのまま残した
会議前不安そうだった委員は笑顔で帰宅の途についた

町民から集めた意見をどのように集約していくのか
委員にはその過程を1ヶ月かけて追体験してもらった
ひとりの生活者として町民として推進委員として
その自覚と責務を自分事にする過程でもあった
そこで垣間見たのは委員の力量と資質の高さだった
前向きの参画にも強い推進力を与えられた
委員個々が相互理解できた機会でもあった

残された仕分けと整理は事務局に引き継がれ束ねられてゆく
翌朝気にかかっていた委員がひとり参加した
とても嬉しい戦力だった
基本目標毎に選別された意見をさらに16のキーワードに分けた
情報の提供や周知が他の事業にも関連している
あずまし食堂の運営方法など事業内容に言及した関連意見も多い
例えばフードバンクの設置など支援の方法も提起されていた
防災に関するコミュニティづくりも大いに参考になる
様々な意見を大事にしてきた過程を踏まえて整理作業は慎重になる
フォーラム後提出された委員のふり返りペーパーからの意見も挿入した
意見は半分以下に精査され夕方ようやく目処がついた

従来の計画の見直しはすでに終わっていた
そこにどれだけ関連付けられるのか
一部データの整理が終わっただけである
さらに類似意見を整理しつつ町のアンケート調査のデータも加味されて
新規事業の創設と既存の実施計画の内容の一部に付加されてゆく
新規事業はその可能性を確定し創設の理由づけが求められる
こうして次回の委員会までに計画の骨子が組み立てられてゆく
楽しく根気の要る作業はまだまだ続く
光明が見えたぶんだけモチベーションは維持される

地域福祉を担う小さな町の社協だからこそ
やらねばならぬことがある
町民とおもいを一つに束ねて動く実践計画
福祉社会の実現に向けてようやく確かなカタチを見せ始めてゆく
まだ先は長い
委員と共に熱い論議を続けたい
それが町民と築く福祉でまちづくりの基調となり基盤となる
社協の事務局長は思い入れの深かったあずましプランが
委員に受け入れられたことを素直に喜んだ

10年かけて福祉でまちづくりの土台をつくってきた
福祉課題と解決への行動指針を共有し行政共々町民と協働する
ダイナミックな動きが生まれることを予感した
昨日まで降り積もった雪は冷たい雨にとかされてゆく
心に積もった福祉へのおもいだけはぬくもりを増していた
胸に去来する熱いおもいを束ねて計画づくりは愉しきものとなる

〔22021年12月4日書き下ろし。町民フォーラムの意見の集約作業が終わった。計画づくりの要の作業を丁寧にすることからしか我が事の計画と実践への動機付けにはならない。地域包括ケアシステムの協議体の欠陥はここにある。建前だけでは民心は動かぬ。月形町の第2期あずましプランはHPで掲載中〕

みんな与党になればいい?

先の選挙の総括せぬままにドングリの背比べ
誰がなっても変わらぬ野党というだけの存在理由
党内改革掲げても分裂するのは想定内
すでに賞味期限は切れていた

立憲の代表が決まる
荒海に乗り出す船長の舵取りは未知数
連合貴族から司令され古参が蠢(うごめ)き壁となる

盛り下がった代表選挙気迫に乏しい内輪の論争
闘いし者は要職に就きまずは船出となった
すでにさじは投げられた

政権奪取などあり得ない
夢のまた夢いつまで見てるおつもりか
すでに党員までも見下り半を押す体たらく

野党への不信
政策のちぐはぐさ
政論のつまならさ

いっそ誰かのように与党に鞍替え
与党野党の区別がなくなったらどうだろう
二大政党の米や英を真似るより
専制政治の日本型の議会政治はいかがだろう

中国やロシア如きの人権無視を超えてゆく一党独裁
チマチマするより野望抱いて大同団結
そこで世の中どう変わるのか試してみよう

野党与党の垣根を越えた挙国一致お勧めます
維新も公明批判して自民党内野党を目指してます
立憲も連合の傘下でいるより居心地はきっといい

閉塞した世の中を根底から変える起爆力となる
大政翼賛会もどきが生まれ憲法を改正し軍隊と懲役制度が復活する
治安維持法もどきが制定され人権侵害が当たり前となる
政財界は金儲けにこぞって走り戦争待望論を現実にする
巷では誹謗中傷密告で体制批判は御法度即刻投獄される

いかがです?
野党の存在理由をしっかり認識しアピールしませんか
聞いてくれるなんて努々(ゆめゆめ)考えるなかれ
正義は勝つなんて思い込みこそ敗因でした
努々命懸けで闘ってきた先人たちを忘れるなかれ

〔2021年12月2日書き下ろし。8日真珠湾攻撃から80年の節目を迎える。身の毛もよだつ過去の失政を想い起こそう〕

おばんと漬物づくり

里のばあちゃん
腰はだいぶ曲がってきたが 野良仕事が楽しみだった
ちっさな畑に 食べ切れんほどの野菜ば作った
健康づくりの体操よりも 好き勝手の方がよっぽど性に合った

今年も春を楽しみに 畑仕事の段取りしていた
でも腰の案配さ悪くなって 耕すことができんかった
そろそろここらが潮時かと 寂しくなった
「おばん、畑どうした?」
事情を聞かれた
「なんなら耕して畝(うね)さこさえてやろう」
有難い申し入れに 素直に頷(うなず)いた

今年も種さ蒔けた
おがってくる野菜と話しっこしながら
しみじみと野良仕事できる喜びを噛みしめた
「おばん、畑の始末しておいたよ」
お礼にとおがった立派な野菜を漬物にして届けた
「おばんの漬物、本当にうまいな」
そう言ってもらえるだけで 作った甲斐があった
「おばん、この味教えて。今度手伝わせて」
そう言われて なぜかほっこりしてきた
「おばん、いつでも手を貸すから言ってきてや」
そう言われると 春耕しに気をもむこともなくなった

里で暮らすということは 
善意を地域で回すということ
畑を耕すことの当たり前が途切れた時に
老女は心の拠り所を失う

〔2021年12月2日書き下ろし。人は何か生きがいや張り合いがなければ老いを友にするしかない。この逸話を元に何か仕掛けられないか。アイデアが浮かぶ〕

福祉の歴史を創るひとたち 

市民がつくり担う 地域福祉実践計画
次の中期計画づくりに 参集したひとたち
様々な立場から論議し カタチづくられてゆく

そのひとたちこそ 計画の価値を証明するひととなる
計画策定の目的と実践目標を 正しく理解する
吟味された事業を通して そのおもいを実現しようとする

そのひとたちこそ 実践を担うひととなる
地域を活性化する計画は 市民がつくる福祉となる
その魅力を 広く多くの市民に知らせるメッセンジャーとなる

そのひとたちこそ 労を惜しまず動くひとである
故郷を次世代に引き渡し 継承するための行動提起である
現実の福祉課題に向き合い 迷うことなく多くのひとを巻き込む
故郷へのおもいがひとをつなぎ 暮らしを支える福祉の風土づくりに挑む

そのひとたちこそが 熱いおもいにかられたひとである
福祉を考える・動く・変える
そして 歴史を創るひととなる

〔2021年12月1日書き下ろし。2つのマチの実践計画に携わりながら、策定に参集する多くの市民にエールを贈りたい。機能不全を起こしている「協議体」の話題を聞くたびに、この熱気をどうして引き出せないのか疑問に思う〕