阪野 貢 のすべての投稿

横浜市長選の先を見すえる

22日20時の開票を待って NHKが当確を速報した
市民は 衆愚政治に陥ることを断固拒否した
市民の政治不信を如実に表した 正当な結果だった
IR・カジノ誘致反対からコロナ対策批判へと 選挙戦の訴えは変化した
度重なる政権の失態が 自民党独裁政治を否定してゆく

勝てると信じた首相には この結果は予想外だった
メンタルの強い首相には 受け入れがたい結果だった
為すすべのない首相には 総裁選も結果は見えてくる
諦めきれぬ首相には 衆院解散の結果を当てにするしかない
短命を避ける首相には 最後の望みは総選挙の結果しかない

すでに政局となった
引き起こしたのは 市民の賢明な政治的判断
一自治体の市長選挙ではなくなった
国政を変える 大きな渦が生まれる予感がする
横浜開港以来 この街が国政を左右する
首相の選挙区でも 支持者の離反が起こっていた
国政を変えるキャステンボートを握るのは 横浜市民だ

国政に送り込まねば 自民党はひっくり返る
なんと軽快で豪快なことか
自治体は単なる自治体ではないことを 証明する
なんと愉快で爽快なことか
国政を変える大きなチャンスを 国中に知らしめる
なんと痛快で欣快のことか

立憲は決して調子に乗らぬ事だ
実力で勝利したわけでは決してない
立憲が勝ったのではなく 人物で勝利したのだ
今までのぐうだらした野党共闘では 勝ってこない
立憲の党利党略の選挙戦略では 市民は動かない
自分の首の心配ばかりの烏合の衆では 心許ない
立憲はリーダーに覚悟がないから 不信が募るばかりで支持できぬ
ここで浮上できぬなら 解党してまた出直しするしかない

勝因は 自民党支持が割れたのと首相の不人気で票が動いただけ
それでも 横浜市民の国政変革への可能性はあなどれない
日本の夜明けを告げた横浜の意気地を 是非見せて欲しい

〔2021年8月22日書き下ろし。感染拡大でのパラオリの開催の是非の判断は国政選挙でなされる。自民党凋落の兆しが見えてきた。20日アップした「衆愚政治を阻止する」再読を〕

人間狩りが始まった

タリバンに反旗をひるがえす市民のデモに
容赦なく重機関銃が撃ち込まれる
覆面をした黒装束集団はテロリストそのもの
逃げ惑う市民をせせら笑うように銃を懐に抱く
逃げ遅れた母は 背を丸め怯えた子を抱く
情け容赦なく反タリバン勢力を排除する

カブールではタリバンの指導者が会見する
「民間の報道機関は自由で独立した活動を続けていい」
イスラム原理主義を懐に抱いて穏健を装う
イスラムの価値に反しないこと
タリバンの神を押しつける
公平であること
タリバンの歪んだ思想を押しつける
国益や国家統合に反しないこと
タリバンの殺戮の理由を押しつける

3つの条件そのものは理不尽そのもの
そもそも国際社会は国家として承認してない
タリバンの兵士たちは勝手な裁量で狩りを始める
宗教と銃で自由意思を蔑(ないがし)ろにする残虐な暴力的支配
人権すら認めない婦女子への教育や社会参加への否定と排斥

銃を持つ手は正義の使者
反サリバンの殺戮に意気込む
鬱憤を晴らす狩り場となった
誰でもいい
殺したかった

聖戦でもなんでもない
ただのごろつきの殺戮集団
殺す理由はいくらでも作った
逃げ惑う人間狩りこそ快感だった
狂気の者たちに凶器を与え存分に殺しを楽しませた

全ては聖戦であり正義の戦いだと勝利に酔う
ミャンマーの軍事クーデターと相通じる恐怖政治が始まった
赤子といえども殺すには容赦ない
殺したいから殺すという麻薬のような快感を覚えた
敵は人とは思わず人でなしが指揮を執る
言葉と行為が離反した者たちが狂気の世界を生きる
アフガンはテロの温床となり世界中を恐怖に陥れる
聖戦での殉死は神に召される名誉を与える
決して死ぬことを恐れるなと人間兵器を送り込む

戦え! 正義は我にあり! 殺せ!
戦え! 聖戦だ! 死に物狂いで殺せ!
戦え! 怯(ひる)むな! 殺せ!
戦え! ためらうな! 殺せ!

道端にうずくまった母と子は
恐怖の世界にどれだけ生きることができるのだろうか
国外に脱出できても果たして生きていけるのだろうか

〔2021年8月21日書き下ろし。殺しを洗脳された狂気の兵士たちは重機関銃を手に殺戮の限りを尽くすだろう。タリバンの恐怖政治が始まった〕

付記
独メディア記者の家族殺害 「タリバンが捜索、襲撃」報道
ドイツの国際公共放送ドイチェ・ウェレ(DW)は19日、同放送の記者の家族1人がアフガニスタンで、イスラム主義勢力タリバンに殺害され、別の1人が重傷を負ったことを明らかにした。タリバンは現地でこの記者を見つけ出すため、一軒ずつ捜し回っていたという。ただ、この記者は事件当時ドイツにいた。少なくとも3人のDW記者の家が襲われたとしている。
DWは「タリバンはカブールや地方で記者の組織的な捜索をしているようだ。我々には時間がない」とし、政府に対応を求めた。
タリバン幹部は17日の記者会見で「民間の報道機関は自由で独立した活動を続けていい」と述べていた。ただ、「イスラムの価値に反しないこと」「公平であること」「国益や国家統合に反しないこと」などの条件をつけていた。
また、ドイツ政府は20日、カブールの空港に向かっていたドイツの民間人の男性が撃たれたと発表した。手当てを受け、命に別条はないという。(朝日新聞2021年8月21日)

清水将一・伊藤光洋・廣瀬理江・鈴木秀明/学会発表―日本福祉教育・ボランティア学習学会―

(1)第3回大会/1997年11月29日~30日/森ノ宮アピオ大阪(大阪市)

(2)第4回大会/1998年11月28日~29日/長崎大学(長崎市) 

(3)第13回大会/2007年11月24日~25日/静岡英和学院大学(静岡市)

(4)第14回大会/2008年11月29日~30日/四国大学(徳島市)

(5)第19回大会/2013年11月16日~17日/金城大学(白山市)

備考(1)
伊藤光洋・鈴木秀明/学会発表―日本福祉教育・ボランティア学習学会―
(1)第18回大会/2012年11月24日~25日/常盤大学(水戸市)

(2)第22回大会/2016年11月25日~26日/都城市立中郷中学校(都城市)

(3)第24回大会/2018年11月24日~25日/日本福祉大学(東海市)

備考(2)
伊藤光洋「地域・学校・社協ですすめる福祉教育ハンドブック」『ふくしと教育』第20号、大学図書出版、2016年2月、12~15ページ。

謝辞:転載許可を賜りました伊藤光洋様と大学図書出版に衷心より厚くお礼申し上げます。

安倍チルドレンは戦々恐々

チルドレンは戦々恐々
大して運動することもなく ブームに乗っかり当選した
大した仕事しなくても 3期も税金喰った
大そうな菅首相の不人気 一気に被る

チルドレンは地盤軟弱
大して地元に貢献しなくても 労せずして当選してた
大した仕事できずとも どこでもバッチが物を言う
大そうな見得を切った分 一気に剥げ落ちる

チルドレンは一発勝負
大して自力はなくとも 勝ち抜くのか
大した勝ち馬に乗って 勝ち抜くのか
大そうな総裁選を見極めて 勝ち抜くのか

チルドレンは散る奴隷
大して仕事せぬがゆえに 軍資金も集まらぬ
大した功績残せぬゆえに 一兵卒から昇格できず
大そうなふりして見せても ただ散るだけのあだ花か

散る奴隷は失業対策
大して実績なきタダの人 失業問題降りかかる
大した見込み違いで ハローワークは当てにはできぬ 
大そうな成りして見せても 台所は火の車

失業対策はコロナ失政
大して苦労なき分 巷の失業の悲哀を学ぼう
大した政策なき分 巷の困窮を肌で感じよう
大そうな大義なき分 巷の怒りを身に受けよう

コロナ失政で落選決定
大して落選しても 本意の政治を学ぶチャンスとなる 
大した落選だろうが 本気で政治を目指す座標軸となる
大そうな落選でも 本物の政治家を育てる土壌となる

※自民党が政権復帰した2012年衆院選の初当選組は「安倍チルドレン」として一大勢力を築く一方、不祥事の多さから党内で「魔の2期生」とやゆされた。17年10月公認された97人のうち小選挙区で59人、比例代表で23人の計82人が3選を果たした。

〔2021年8月20日書き下ろし。落選も運が悪いと思えば済むが、本気で政治家を目指す原点回帰。まずは人間らしさはどこから生まれてくるのかを問おう〕

阪野 貢/探しものは何ですか?:思考のない探索の時代を生きる―柴田邦臣著『<情弱>の社会学』のワンポイントメモ―

〇机の上には、最近買い換えたばかりのパソコンがある。手もとにはノートパソコンとアイパッド、それにスマホがある。それらは常時接続されており、容赦なく多様な情報が大量に入ってくる。必要に応じて、あるいは惰性的にそれらのディスプレイを見つめる日々が続いている。それは、情報量が増大・巨大化するなかで、大容量のデータを収集し活用することが前提となる社会、すなわち「ビッグデータ社会」を有意義に生きたい(生きている)というものではない。情報過多の大海原(おおうなばら)を溺れそうになりながら漂流している、といった姿である。そして、それが何よりも問題なのは、情報を整理・分析することなく、“答”についていろいろと思考することを停止あるいは放棄し、ひたすらひとつの“答”を探し回ることである。人はいま、思考のない探索の時代を生きている。「探しものは何ですか?」「まだまだ探す気ですか?」。井上陽水の「夢の中へ」の歌詞を思い出す。この文章の主語は、筆者(阪野)でもある。
〇情報は大雑把には、①それに対するニーズを認識し、必要な情報の性質や範囲を決定することから始まる。次いで、②多様な情報源や多量の情報量から利用可能なものを確定し、アクセスする。③選択・収集した情報を整理し、分析・評価し、それを新しい情報として編集・組織化して既存の知識体系に統合する。そして、④それによって批判的思考や新たな客観的・論理的思考を促し、ニーズの充足や問題の解決を図る。その際の新しい情報については、新奇性(目新しいこと)をはじめ、具体性や普遍性、社会性や文化性、現場性や歴史性などが重視されることになる。情報についてのこうした常識的な理解でとりわけ重視されるべきは、情報の「編集力」と「新奇性」であろうか。それによってその情報は情報力を高めることになる。
〇筆者の手もとにいま、柴田邦臣(しはだ・くにおみ。社会学専攻)の『<情弱>の社会学』(青土社、2019年10月。以下[本書])という本がある。「情弱」=情報弱者について、おそらく日本ではじめて論じた本である。
〇「情弱」といえば、ネガティブな言葉として、障がい者や高齢者、外国籍住民などを想起しがちである。彼らはその環境や状況のもとで、情報弱者の典型となる。しかしときに、最先端の情報処理技術を活用し、あるいは大仰(おおぎょう)な装置ではなく本人の工夫などによって多様な情報を効率よく、正確かつ迅速に活用することができる(活用している)。それよりも、多くの人は、「『情弱』であったりそう呼ばれたりすることを、徹底的に嫌悪し強迫的に回避すべく、必死にスマホを叩きディスプレイを見つめ続ける」(19ページ)、「情報強迫性障害」とでも呼ぶべき過度の「情報」至上主義にある(35ページ)。本書は、情報に関する脅迫的な恐怖を生み出しているビックデータ社会において、人はどのような存在になるのか、すなわち人間の存在と「生きる」意味を問う。そして、生きることを情報システムによって管理・調整したり、排除あるいは統制したりする「生きることの情報化」や、自らが自立し現代社会を生き抜くためのリテラシー、すなわちツールの利用法=「生の技法」を探る。
〇本書では、「生きる」ことそのものをめぐって、特定健康診査やマイナンバー、介護保険などのビックデータ化の成否や功罪について議論する。本書の核心のひとつである。ここでは、断片的であるという誹(そし)りを免れないであろうが、それらの議論に通底するいくつかの言説や論点をメモっておくことにする(抜き書きと要約。見出しは筆者)。

テクノロジーの発展が人間の「生きる意味」の追究を求めている
私たちは、テクノロジーが明確な一線を越えつつあることを、より強く認識すべきである。私たちが生きているのは、テクノロジーが有史以来はじめて、人間の存在とその「生きる」意味に隣接し越境しようとしている時代なのである。私たちの身体や生活の逐一(ちくいち)が、情報技術によってログ(記録)され、ないしはサジェスト(提案)されるようになるのは、長い時を待つまでもないかもしれない。研究者や教育者が真面目に「生きる意味」を考えるべきなのは、この潮流をふまえてのことであろう。(181ページ)

ポスト・ビックデータ社会は「生きづらさ」「情報弱者」を生み出す
ポスト・ビックデータ社会(生活世界の情報化が完了する社会。「生きることの情報化」の最終局面)では、どんなに巧みに設計され、どんなに安全に実装され、どんなに善良に運営されたとしても、それは私たちの生を<擬制>し(あまりにも多様すぎる私たちの生を同一のものとみなし)、その<自粛>を強(しい)い、私たちを<適正化>するように機能する。その中で生きる主体を<弱者>とせずにはいられないということについては、他の論点にまして、考察しておくべきである。(193ページ)

情報弱者/強者に関する議論は「情報格差」の問題である
<情弱>という表現は、ある情報を正確に把握したり、情報の背後に隠された意図を見抜けないといった判断力などを揶揄したりしている面は少なくない。しかしそういった力そのものが養われたり発揮されたりするためには、ディバイス(パソコンやスマホ本体とその周辺機器・ハードウェア)やメディアを使ったり学んだりできる環境や条件が揃っていることが大前提になることは疑いもない。本質的には、情報にかんする「強者/弱者」については、個人の生まれながらの資質や、何らかの努力の結果だけではなく、社会環境の方がむしろ重要になる。情報弱者/強者にかんする議論は、情報にかんする社会的な格差(「情報格差」)の問題として、先ず考えられるべきである。(35、36ページ)

「自立」に必要な自己決定には「自己の主体」化が肝要となる
自立のために必要なのは、「自分についての情報を自分で所有したり、自分のこと(情報)を、自分に納得いくかたちで決める」という<力>である。つまり「自分についての真理」を自らの理性で判断し語る<力>が、自らが生きるための<技>として必要である。(141、142ページ)
主体なき自己がありうるか、理性なき市民が存在しうるか、他者理解なき共存や共生が到来するのか。自己を配慮する用意のないものが他者や世界に配慮できるとは思えない。(145ページ)

「生の技法」には徹底した理屈・論理・考察を必要とする
<生の技法>において重要なのは、すでに情報社会に蔓延し、今後さらに増殖していくような、安易な同情や共感といった感覚的だったり本能的だったりするものではなく、むしろ徹底した理屈、論理、考察である。今、社会的な弱者とされてしまう人も、現在、将来の<情報弱者>も、直面しているのは社会的に構築された問題である。だから、その社会的な問題に感性的に反応するのではなく、冷徹に問題構造を把握し、限られた中でも論理的に回避したり克服したりする意識の中にこそ、生き抜く技――<生きる技法>――が生まれるのである。(198、199ページ)

〇ビックデータ社会で多くの人は、自らを情報の活用主体と位置づけ、情報強者をめざしている。しかし、その社会では、社会的・経済的・文化的発展が実現する反面、情報や生活の管理による人間疎外の促進や社会統制の強化が進んでいる。例えば、個人情報保護法(「個人情報の保護に関する法律」、2003年5月施行)やマイナンバー法(「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、2015年10月施行)は、公権力が単なる行政手続きとしてのそれをはるかに越えて、すべての個人情報を丸裸にし、プライバシーを侵害する「残酷な使命」(102ページ)をもっている。めざすところは計画通りの、巧みな方法によるビッグデータ社会の構築である。
〇そのような認識のもとで、柴田はいう。障がい者や高齢者は必ずしも情報弱者に直結するものでもないが、社会的弱者であるとされている人たちのなかにこそ、情報弱者と化す多くの人たちを開放する手がかりがあるかもしれない(29ページ)。ビックデータ社会を生き残る「技法」は、はるか昔から深刻な社会問題に直面し、それゆえ自らの存在をかけて「自立」と「共生」のリテラシー=「生の技法」を鍛え上げてきたとりわけ障がい者のリアリティのなかにあるのではないか(184ページ)。そうしたことについて探究する際の基本的なもののひとつは、人間はその「価値」の有無ではなくただ「存在」することに「固有の意味」がある、という考え方である。。
〇続けて柴田はいう。命がかけがえがないのは自明であり、他者との相互理解が必要なのは不変であり、社会が多様であることは公理である(202ページ)。多様性とは、私たちが自らの価値観では想像も想定もできない存在の連鎖である。異質の現前(現に存在すること)こそが、その本質である(204ページ)。そもそも人間は、それ同士を比較するにはあまりにも多様すぎる、比較し選別することのできない存在である(160ページ)。人間の生は「多様で、予想外で、それゆえ自由にあふれる」(181ページ)ものである。それ故に、障がい者や高齢者などの態度や行動の「価値」が共有できなくても、理解できなくても、いや「わからない」からこそ、そこにはただ存在する「固有の意味」がある。私たちが共存し共生するために必要なのは、尊重と忍耐だけである(205、206ページ)。
〇筆者(阪野)はいま、共存や共生についての「尊重」と「忍耐」に加えて、望んでいる事柄が実現するという証拠に基づく「確信」(すなわち、別言すれば「信仰」)をもつことの必要性と重要性を感じている。そして、その証拠の科学的探究と思考が続くことになる。付記しておきたい。

衆愚政治を阻止する

乱立する候補者
IR賛成の現職市長の林文子
IR反対の前国家公安委員長小此木八郎
元長野県知事田中康夫
元神奈川県知事松沢成文
誰が抜け出すのか
22日の投票日まで 目が離せない

コロナ禍や緊急事態宣言下の 横浜市長選
なりふり構わず 現職首相もてこ入れする
三百万人の横浜市民が 誰に投票するのか
どんな物差しで計るのか 確かめたい
リーダーを選ぶチャンスは これしかない
衆愚政治のお粗末さは 市政でも国政でも懲りてるはず
地方自治を 市民の手に取り戻すには
衆愚にならぬよう 心しなければならない

政治家の公約は 空手形と全く同じ
隅に書いた公約を重要だと すり替えるのは常套手段
騙されぬよう 賢く判断するしかない
全国が注目する市長選は 国政選挙の前哨戦
衆愚であるかどうか 三百万人の市民が試される

横浜市長選は 地方自治のあり方を問う
疲弊している自治体の これからを示唆する
政治への不信感を募らす市民が 政治に覚醒する
棄権は衆愚となる意志表示 絶望的隷属か

政治は人なり
衆愚政治にしてはならない
先を占う市長選 面白い展開になってきた

〔2021年8月19日書き下ろし。横浜の市長選が秋の総選挙の行方を決める。そう思うとわくわくする〕

不退転の決意

道はたくさんあったのに
いまじゃどういうわけか
八方ふさがり

方法はいくらでもあったのに
いまじゃどういうことか
片手に余る

つまらぬ意地を張ったがために
いまじゃどん底なにもかも
思うままには事は進まず

つまらぬことに頓着したがために
いまじゃドン引きなにもかも
失地回復にはほど遠い

たいしたもんだと自慢したのに
いまじゃタダの老いたる身の上
優柔不断な態度が後を引く

たいしたことだといまさら気づく
いまじゃ誰も信用おけず
コロナの誤算が破滅を招く

おおいに五輪に現(うつつ)を抜かし
いまじゃ大感染の反撃喰らう
快挙虚しく想い出で苦(にが)し

おおいに覚悟を吹聴したが
いまじゃ不退転の決意も乏しく
その座に汲々とする姿哀れなり

目先を変えても効果なし
いまじゃ言うことなすこと信用されぬ
退(しりぞ)くことこそ賢明な道か

民心離れて退陣迫る
いまじゃ老害のるつぼと化した政界は
黄昏(たそがれ)た道連れ多く寂しさ紛れる

〔2021年8月19日書き下ろし。有効な対策を打ち出せず、漫然と追加や延長を繰り返す政府の無責任さは、パラオリでまた再燃する〕

カブール陥落

15日 アフガニスタン政権が崩壊した
反政府武装勢力タリバンは 首都カブールを奪還した
異教徒を敵視する 過激なイスラム原理主義の武装集団は
米軍が撤退を宣言したわずか4ヶ月で アフガニスタン全土を掌握した
米国のアフガン介入は 莫大な金と人命を失い失敗に終わった
戦争は 撤退が最も危険であることをまたもや繰り返した

ベトナム戦争のサイゴン陥落を 彷彿させる映像に見入った
カブールの国際空港に 国外脱出を図ろうと数千人が殺到した
離陸直前の米軍機に駆け込み 中東カタールに脱出した人もいた
離陸直前の機体にしがみつく人や 離陸後機体から振り落とされた人もいた
恐怖が迫り死に物狂いで脱出を試みる凄惨な事態は SNSで世界に拡散した

タリバンは家を焼き払い 婦女子への暴行を加え進軍してきたという
何十万人とも見込まれる難民は 一体どこに逃げていくのだろうか
山岳地帯のアフガンの民は ボートピープルにはなれない
多くの辛酸を嘗めてきた民は 他国の支配や宗教に翻弄され
いままた 砂埃の中で行き場を失う
タリバンの新たな集団殺戮が 始まる予感がする
逃げ惑う子どもの涙が乾いた後には
その子にいったいどんな運命が待っているか

カブールの壁に描かれた中村哲氏の肖像に添えられた言葉
「大地に優しさや愛の種をまくのはいいが問題の種をまいてはいけない」
不毛な大地に緑を甦らせた男は 人間への限りない愛と国土再興の夢を描いた
その夢を打ち砕き殺したのは 紛れもなくタリバンなのだ
人間はどこまで残酷非道になれるのだろうか
タリバンに与する者たちが いま問われる
「人間らしさはどこからくるのか?」

〔2021年8月18日書き下ろし。隣国パキスタンも大きな影響を受けるであろう。中国、ロシアが触手を伸ばす。不気味に血糊の風が吹く〕

足し算引き算の世界

この世は足し算引き算の世界です
算盤持って ねがいましては
アベ引くスガは プラス3なり
嘘が上手い
駆け引きが上手い
逃げ足が速い

アベ引くスガは プラマイゼロなり
世論に疎い
ブレーンがアホっぽい
コロナで終わる

コイケ引くスガは プラス3なり
口が達者で受けがいい
ノー原稿でも会見こなす
カメラ目線で訴える

コイケ足すスガは プラス3なり
五輪開催勲章もらう
頑固な人柄信念通す
はぐらかし方は絶品

スガ足す閣僚は プラス3なり
五輪成功自画自賛
目立ちたがり屋の自信家ばかり
思いつくまま恐れぬ失敗

スガ引く閣僚は マイナス3なり
足の引っ張り合いで制御不能
虚栄心と慢心の集合体
世間をあざむくあざといコメント光る

スガ引く党派は マイナス3なり
選挙の顔にはご遠慮願う
失政を庇いきれずに狼狽(うろた)える
出たとこ勝負に賭ける気力も消え失せる

スガ引く野党 計算不能
スガの失策得点ならず 不評買うだけマイナスポイント
政治不信をさらに広げて 野党支持率低迷する
やる事なす事 政権優位は揺るがず負け戦さ

よもや忘れもしない1年前 
60%台の支持率が いまは30%前後で低迷
ようやく1年アベのリリーフ勤め上げ
よくも1年持ったと評価され
よくまあ1年持ったと呆れられ
よくぞ1年我慢したかと部下思う

プラスには決してならぬ負の遺産
マイナスを抱えて終わる政権末期
思考力限界 政策能力不全 不信増幅
勘定合わぬ役目は 身の丈を超えた
覚悟なき覚悟のメッキすでに剥げ落ち
後は退陣の刻を待つ

評価をプラスに逆転するには
パラリンピックを中止にするしか手はない
そんな算盤勘定できないがゆえに
いまがある

〔2021年8月16日書き下ろし。算盤は持ったが論語は無用の政権だった〕

欲ばりません勝つまでは

欲ばりません 勝つまでは
帰省も旅行も 諦めろ
買物はするな 買いだめろ
家で黙って テレビでも見てろ
コロナ戦に勝つまで 我慢しろ

権利を捨てても 義務は捨てるな
個人の権利なんか どうでもいい
罹れば 家でおとなしくしてな
言われたとおり してればいい
逆らうなんて 許されない
義務を果たさなければ 非国民だ

醒(さ)めよ国民 今は非常時
すげえヤバいと 分かっているのか
お前のそばで ウイルス笑う
お前の一挙手一投足が 感染広げる
口先よりも 態度で示せ

締(し)めよ一億 心の手綱
守れ日の本 一致団結するしか道はない
ごたごた言わずに 黙ってついてこい
いまは危険水域 心の手綱を強く締めよ
バカするやつは 決して許さぬ

敵より怖い 心の弛(ゆる)み
弛んだ心を 引き締めよ
コロナは そこに見事に付け込む
大丈夫なんてあり得ない
俺を見ろ 五輪で浮上が沈下の誤算
楽観しすぎて 墓穴を掘った

家庭は 小さな大政翼賛会
家族一丸 協力し合え
在宅療養こそ 家族の責任
保健所に 連絡できない入院できない
ばさまの介護と ダブルケアに打ち手なし
順番来るまで 悪化しても我慢せよ

まだまだ足りない 辛抱努力
義務も果たせず 文句は垂れるな
ワクチン回るまで もう一息だ
家から出なきゃ リスクは下がる
頼れるのは己だけ 余計に罹らぬよう努力せよ

任務は重く 命は軽い
チマチマした一人ひとりの命より
国のやるべき任務は重い
IOCとの約束は 反故にはできない
パラリンピックは 中止はしない
感染は五輪のせいだって 
科学的証拠を示してみろ

この一戦 何が何でもやりぬくぞ
倦(う)む心 弛む心を 狙(ねら)う敵
最後の覚悟のコロナ戦 失敗恐れず戦い抜くぞ
戦意高揚 生活統制 精神動員
進め一億 火の玉だ
身を捨ててこそ 国興る
科学戦にも 神を出せ
撃滅へ 一億怒涛(どよう)の体当たり

〔2021年8月16日書き下ろし。戦時中の標語はいまも脈々と政治家のモチベーションとして生き迫ってくる〕