阪野 貢 のすべての投稿

正直にある

正直は
裏切りの対価

正直は
背信の悔恨

正直は
慢心の非倫理

忖度せし者たちよ
正直者への冒涜 許しがたし

忖度せし者たちよ
地位を利用した圧迫 許しがたし

その口を塞ぎし者たちよ
犠牲者の死を悼まぬ非情 許しがたし

その口を塞ぎし者たちよ
真実の代償に出世させた魂胆 許しがたし

正直であるがゆえに
悩み苦しみぬいて 自死した者の
その真実とその存在は
否定されてはならない
 
不実な者たちを 
白日の下にさらし
正直にあるがゆえに 
真実を貫く 
不義を裁く

〔2020年8月3日書き下ろし。森友事件で夫の死の真相を究明するため、妻赤木雅子さんが起こした裁判が始まっている。裁かれし者たちの弁明は正直になるかどうかだけだ〕

みんなと同じじゃないといけないですか

みんなと同じっていい
何も考えなくていい 
誰かについて行けば それでいい
誰かの話に相づち打てば それでいい

みんなと同じっていい
中学生は 
特に 同じじゃないといけないって
考えるお年頃
中学生は
特に 目立ってはいけないって
思うお年頃

みんなと違っていいわけない
中学生は
周りの空気を読み取る学習中
中学生は
集団指導で空気を読まされる学習中
中学生は
空気を読まなきゃ 空気を感じなきゃ
これからずっとしばかれる

先生 みんなと違っていいわけない
一斉指導がやりにくい
個性尊重は建前で 校則指導でしばきをかける
違う子相手は 徒労の元凶
みんなと同じでいいと思う 生徒が気楽でいい
みんなと同じじゃないといけないと 思い込ませて
従順なお気に入りの生徒で 空気を作る
進路指導で評判取るには 好都合

わたし みんなと違っていいわけない
クラスで うきます
クラスで 面倒くさいと避けられます
クラスで 一緒になにもできません
クラスの先生 無言で容認します

でも
やっぱりみんなと違っていいんです
先生や同級生の空気を読んで
自分を押し殺すと 窒息します

だから
みんなと違っていいんです
こころ呼吸 思いっきりします
わたしは わたしという人を生きます

いま
みんなと違っていいんです
だれでもない わたしなんだから
生まれてきたことの意味に 
目覚めた 中学生のわたしです
生きるということの意味に
悩み始めた 中学生のわたしです

先生
みんなと同じじゃないといけないと
思わせているのは あなたです
わたしは
あなたの思いとは違うことを
わたしを生きることで 明かします

大人になりかけている
中学生のわたしです
 
〔2020年8月2日書き下ろし。中学生の教師への反骨心を刺激したい。みんなと違うひとりの人間存在としてのわたしを感じてほしいだけです〕

ジャブジャブ

ジャブジャブ 
降ってきた
ジャブジャブ ジャブジャブ 
浴びてみたい
ジャブジャブ ジャブジャブ ジャブジャブ 
このままいたい

ジャンジャン
災害復興の札束が 舞い上がる
ジャンジャン ジャンジャン
過剰な接待を 求めてやまない 
ジャンジャン ジャンジャン ジャンジャン
湯水のように湧き出し 歓喜する 

ルンルン
大手が 下請け差配する
ルンルン ルンルン
上納しないと 下請け外す
ルンルン ルンルン ルンルン
喜び勇んで 分け前に群がる

バレバレ
大手がいままでもしてきたこと
バレバレ バレバレ
大手は下を切れば お咎めなしか
バレバレ バレバレ バレバレ
お役所の監督機能が 不能不全だと

ガツガツ
災害列島 儲けに走る大企業
ガバガバ
災害列島 官庁なめて手にする儲け
ウハウハ
災害列島 助けるのは大手企業優先か
ヘラヘラ
災害列島 悪事発覚すれば しばらく謹慎
ホトホト
災害列島 泣くのはいつも 被災者と貧しき者たち

〔2020年8月1日書き下ろし。大手ゼネコンばかりが儲ける構造、地元企業の恩恵は薄い実態をいつも知らされる。コロナ禍で、湯水のように血税を投入する政策も、電通絡みで発覚する。今回チェックするのが環境庁?〕

付記
復興事業裏金、4社調査 環境省
東日本大震災の復興事業を請け負ったゼネコン支店幹部らに提供することなどを目的に、複数の下請け企業が裏金作りをしていた問題で、田中和徳復興相は31日の閣議後会見で、「大変な事実なので、環境省に事実の把握を徹底するよう要求した」と述べた。環境省は朝日新聞の取材に、ゼネコン4社へのヒアリングを進めているとしている。
ヒアリングを受けているのは、清水建設、安藤ハザマ、鹿島、大成建設(いずれも本社・東京)の4社。朝日新聞の取材で確認した裏金は少なくとも1億6千万円にのぼる。鹿島は、復興事業関連工事に従事した社員1人が2014~18年、協力会社から過剰な接待・供応を受けていた事実が判明、今年3月に懲戒解雇処分としたことをホームページに29日付で公表した。(朝日新聞2020年8月1日)

社会劣化の時代における「しんがり」の思想と闘い―鷲田清一著『しんがりの思想』と駒村康平編著『社会のしんがり』のワンポイントメモ―

〇筆者(阪野)の手もとに、鷲田清一(わしだ・きよかず。臨床哲学)が著した『しんがりの思想―反リーダーシップ論―』(〈角川新書〉KADOKAWA、2015年4月。以下[1])という本がある。[1]で鷲田はいう。「縮小社会・日本に必要なのは強いリーダーではない。求められているのは、つねに人びとを後ろから支えていける人であり、いつでもその役割を担えるよう誰もが準備しておくことである」。いま、「新しい市民のかたち」「自由と責任の新しいかたち」が問われている([1]カバー「そで」、「帯」)。
〇鷲田の論はこうである。日本は、高度経済成長の「右肩上がり」の時代から「右肩下がり」の時代に移行し、人口減少や少子高齢化などによる「縮小社会」が進行している。しかしいまだに、この国の政治・経済は「成長」を至上命題として考え、多くの人は拡大思考から解放されないでいる。
〇かつて出産から子育て・教育、看護や介護、看取りと葬送(そうそう)、もめ事解決、防犯・防災などの基本的な生活活動(生命に深く関わる「いのちの世話」)は、地域社会で住民が共同で担ってきた。しかし、高度消費社会の進展が図られるなかで、それらの活動も、納税やサービス料を支払うことによって、行政や専門家、サービス企業に責任放棄・転嫁(「押しつけ」)され、委託(「おまかせ」)されている。別言すれば、市民が「顧客」や「消費者」という受け身の存在に成りさがっている(「市民の受動化」)。それは、「責任を負う」ということをめぐっての、この社会の「劣化」であり、市民の「無能力化」を意味する。
〇いま、こうした「右肩下がり」の時代を見据えて、いかにダウンサイジング(downsizing、縮小化)していくかが問われている。そこで求められるのは、人や組織を引っ張っていく強いリーダーシップ(リーダー)ではなく、社会全体への気遣い・目配りや周到な判断ができ、「退却戦」もいとわないフォロワーシップ(フォロワー)である。それが「しんがりの思想」である。これこそが、市民が受動性から脱して「市民性」(シティズンシップ)を回復させ、それを成熟させる前提になる。「市民性」とは、「地域社会のなかで、みなの暮らしにかかわる公共的なことがらについてともに考える、そしてそれぞれの事情に応じて公共の務めを引き受ける、そんな市民・公民としての基礎的な能力」([1]88ページ)をいう。
〇そして、鷲田にあっては、「市民性の回復」すなわち(対抗的な)「押し返し」の活動は、たとえばボランティアやNPOの活動、Uターン、Iターンの動きなどに見ることができる。リーダーや市民にはいま、「しんがり」の務めと「押し返し」のアクションを行なうことが求められている。その際に重要なのは、リーダーシップではなくフォロワーシップである。
〇鷲田は[1]で、梅棹忠夫(うめさお・さだお。1920年~2010年。民俗学者)の「請(こ)われれば一差し舞える人物になれ」([1]215ページ)という一言を引いて本文を閉じる。「成熟した市民」「賢いフォロワーとなる市民」の姿である。
〇筆者の手もとにもう一冊、駒村康平(こまむら・こうへい。経済学者)が編んだ『社会のしんがり』(新泉社、2020年3月。以下[2])という本がある。[2]は、2014年度から2018年度まで慶應義塾大学で行われた全労済協会寄附講座「生活保障の再構築―自ら選択する福祉社会」をもとに、さまざまな分野や地域で、変化する社会経済が引き起こす諸課題を克服すべく格闘している「しんがり」たちの活動をまとめたものである([2]8ページ)。
〇駒村の思い・願いは、すなわちこうである。「しんがり(殿軍:でんぐん)」とは、戦いに敗れて撤退する本隊を守るために最後まで戦場に残り、敵を食い止める部隊のことである。社会や地域が大きく変化し、その対応に既存の諸制度が対応できないときに、起きている問題に格闘する人や組織は必ず必要である。そうした人々や組織を「しんがり」と呼び、「先駆け(先駆者)」だけが褒(ほ)めそやされる時代に、「しんがり」の活躍にも光を当てたい([2]8~9ページ)。
〇駒村はいう。今日の日本社会は、人口減少や格差の拡大などによる社会の劣化が進んでいる。また、戦前・戦中の適者生存や優生思想が強まり、再び危機の時代を迎えている。LGBT(性的少数者)をめぐる生産性の議論や相模原障害者施設殺傷事件(2016年7月)などがそれである。そんななかで、地域社会を維持するために自ら社会問題を考え、構想し、地域の問題は住民自身で解決するという意識のもとで行動できる市民を育てる。また、平和のために時代や場所を超えて他者の困窮(困りごと)を想像し、共感できる市民を増やす、それが強く求められる。駒村が期待する「市民」は次のようなものである([2]23~24ページ)。

(1)充実した熟議ができるような市民になってほしい
社会や国に影響を及ぼす大きな政治的な諸問題について、伝統にも権威にも屈従することなく、よく考え、検証し、省察し、議論を闘わせる市民になってほしい。
(2)他者への敬意を払うような市民になってほしい
自分たちとは人種、宗教、ジェンダー、セクシュアリティが異なっていたとしても、他の市民を自分と同等の権利を持った人間と考え、敬意を持って接するようになってほしい。
(3)他者、他国の人の気持ちを想像、共感できる市民になってほしい
さまざまな政策が自分そして自国民のみならず他国の人々にとってどのような意味、影響を持つかを想像、理解できるようになってほしい。
(4)人の「物語」を聞くことにより、人生の意義を広く、深く理解できる市民になってほしい
幼年期、思春期、家族関係、病気、死、その他、さまざまな人生の出来事について、単に統計・データとして見るのではなく、一人ひとりの人生の「物語」として、理解することによって、多様な生き方に共感できるようになってほしい。
(5)政治的に難しい問題でも自ら考え、判断できる市民になってほしい
政治的な指導者たちを批判的に、しかし同時に彼らの手にある選択肢を詳細にかつ現実的に理解したうえで、判断するようになってほしい。
(6)世界市民として自覚し、社会全体の「善」に想いをはせてほしい
自分の属する集団にとってだけではなく、社会、人類全体にとっての「善」について考えてほしい。複雑な世界秩序の一部として自分、自国の役割を理解し、人類が抱えている国境を超えた、複雑で知的な熟議が必要とされる多様な諸問題の解決を考えてほしい。

〇言うまでもなく、地域の問題は地域住民の問題であり、住民自身で解決するという意識が重要である。その地域社会(まち)のありようを最終的に決めるのは、「市民」でなければならない。その点で市民には、鷲田がいう「市民性の回復と成熟」、駒村がいう(1)から(6)の「市民性」(市民としての資質・能力)の形成が求められる。地域の問題はまた、複雑化・複合化し、多様化、困難化している。その点で市民には、多領域の専門家との「共働」が肝要となる。先ずは問題把握や解決に向けて「熟議」する公共的な“場”の構築であろう。さらに市民には、政治や行政に対する一辺倒な批判だけでなく、まちの将来展望を踏まえた課題解決活動や運動の取り組みが求められる。これらは、筆者がいう「市民福祉教育」に通底する。
〇なお、鷲田は[1]で、福澤諭吉の『学問のすゝめ』の一節、「一人にて主客二様の職を勤むべき者なり」(岩波文庫、1978年1月、64ページ)を引く。それは、「ふだんは公共のことがらを、市民のいわば代理として担う議会や役所にまかせておいてもいいが、そのシステムに致命的な不具合が露呈したとき、あるいはサービスが決定的に劣化したときには、いつでも、対案を示す、あるいはその業務をじぶんたちで引き取るというかたちで、人民が『主』に戻れる可能性を担保しておかなければならないということである」([1]197~198ページ)。これは、「顧客」「消費者」としての市民の、鷲田がいう「押し返し」である。世間から押しつけられるものではなく、地べたから立ち上がる、「責任」の新しいかたち(感覚)であ。得意げに口汚くののしるだけの市民(クレーマー)は無用であり、ときに有害でもある。付記しておきたい。

追補
(1)社会保障制度の「しんがり」としての生活困窮者自立支援制度に関するメモ
〇社会保障制度の「しんがり」として、2015年4月、旧来からの「生活保護制度」に加えて、「生活困窮者自立支援制度」が施行された。この制度は、いわゆる「第2のセーフティネット」として、「生活困窮者の自立と尊厳の確保」と「生活困窮者支援を通じた地域づくり」を図ろうとするものである。
〇生活困窮者自立支援制度は、「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」(生活困窮者自立支援法第2条)、すなわち生活保護に至っていない「生活困窮者」に対して、「自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ることを目的とする」(同法第1条)。実施される事業は、必須事業の「自立相談支援事業」と「住居確保給付金の支給」、任意事業の就労準備支援、一時生活支援、家計相談支援、子どもの学習支援、就労訓練などである。
〇これらの事業は、経済的・社会的自立に向けた相談支援の提供であり、現金給付はない。唯一経済給付がある「住居確保給付金の支給」とて、臨時的・緊急的なものであり、対象者や給付期間、給付要件について限定的である。また、多くが任意事業であることによって、支援事業の実施や支援内容に地域間格差が生じる恐れが大きい。
〇要するに、生活困窮者自立支援制度は、就労自立を強調・強制するものであり、福祉の目的を就労の拡大におき、福祉の受給条件として就労を求める。すなわち、就労(work)と福祉(welfare)を組み合わせる「ワークフェア(workfare)」を志向・強化するものである。それはまた、ワーキングプア(働く貧困層)や過重労働を生み出し、就労困難者を事業対象から排除することになる。
〇しかも、貧困の自己責任を前提に、「自立支援」の名のもとで、生活困窮者の私生活への介入が拡大される。そして何よりも、生活困窮者に対する新たな相談窓口が、「就労・自立支援の強化」と生活保護の「不正受給への厳正な対処」(生活保護法改正)等により、生活保護の抑制的な運用(「水際作戦」などの違法行為)を推し進めることになる。
〇さらに、生活困窮者自立支援制度では、行政や関係機関、民間団体、地域住民などによって、経済的困窮と社会的孤立の特徴をもつ生活困窮者の包括的・早期的・創造的な支援を行う「地域づくり」に取り組むことが求められている。それは、困窮(「困りごと」)や経済的貧困の問題を生活困窮者・貧困者の生き方の問題にすり替えたり、生活困窮支援や生活保護についての国家責任を地域・住民に転化したり、地域・社会に生きる生活困窮者の人権や尊厳、生存権を脅かす、そういう恐れがある。
〇いずれにしろ、「自立支援」の考え方は、貧困の原因を個人の怠惰に帰す古典的な理解に基づくものである。経済的困窮や社会的孤立の問題は公的責任に基づく対応が必要不可欠であり、そのもとでこそ地域・住民による主体的・自律的活動が可能となる。生活困窮や貧困の問題を地域・住民の善意に基づく「共助」に引き受けさせることは、社会の不安と分断を拡大させるだけである。
〇別言すれば、「しんがり」(生活困窮者自立支援制度)のなかの“しんがり”のあり方が問われる、ということである。その“しんがり”は、多様な専門家と「共働」しながら、地域経済社会の事象や問題・課題を構造的に把握し、政策・制度や行政の問題や限界を明らかにする。そのうえで、地べたをはって地域づくりに取り組む、そういう市民である。その“しんがり”にこそ、「一差し舞える主(主人)」、すなわち真のリーダーシップ(「先駆け」)を期待したい。

(2)生活困窮者支援を通じた地域づくりと「ケアリングコミュニティ」
〇「生活困窮者支援を通じた地域づくり」に関して「ケアリングコミュニティ」のことが指摘される。ケアリングコミュニティについて筆者(阪野)はかつて、仮説的に次のように述べたことがある。参考に供しておくことにする。
〇筆者(阪野)は、管見ながら、しかもその一部に過ぎないが、人と人が共に生き、共に支え合うこと(「相互依存」interdependence)によって自己成長と相互成長、自己実現と相互実現を促す地域社会、すなわち「ケアリングコミュニティ」(caring community)に関して次のように考えている。(1)地域のあらゆる住民が「安心」して暮らせるまちは、「安全」と「信頼」と「責任」のまちである。安心=安全×信頼×責任、である。(2)まちづくりは、そこに暮らす住民が相互に支援し合う(「相互支援」の)地域コミュニティを創造するために、意識と思考と行動の変革を図ることから始まる。まちづくりは相互支援であり福祉教育である。(3)「自立」(「依存的自立」)は、自己選択と自己決定、そして自己責任に基づく自己実現の過程を通して達成される。それは、個人的なものにとどまらず、歴史的・社会的・文化的状況や背景によって規定される。自立は自己実現のための手段であり、歴史的社会的性格(特徴)を持つ。(4) 自己決定と自己実現は、個人的営為ではなく、自分と他者との相互の認識と行動に基づいた自己成長と相互成長を通じて初めて可能となる。自己実現は「相互実現」である。(5)現在の日本社会では、格差社会や管理社会が進展するなかで、持続可能な相互支援型社会を如何に形成するかが問われている。管理は画一化や受動化を促進し、支援は多様性や能動性を尊重する。地域共生社会は相互支援型社会である。なお、これらとともに、またこれらを可能にするためには、まちづくりや地域福祉についての多様な政策・制度的対応や専門機関・専門家による対応などが必要かつ重要であることは言うまでもない。(<ディスカッションルーム>(68)「支援学」ノート/2017年6月1日投稿)

祈りの花火

札幌も いつもの夏なら
週末の夜には どこともなく
花火の音が していた
ベランダから 
小さな花火の輪が 見える夏もあった

コロナ禍は 夜空を彩る花火の
豪快で繊細な光と音の演舞を消した
コロナ禍は 夜空を見上げる花火に
興ずる歓声と感動を葬った
コロナ禍は 夜空の静寂を破る花火で
世の災いを打ち払う祈りを妨(さまた)げた

いつもの8月なら 
老人福祉施設の前庭は
地域と合同の夏祭りで 賑わう
でも 中止された
地域とのつながりは 
こんなことで奪われない
感染予防で頑張った利用者 職員 
お世話になった地域の方々への感謝を込めて
今夏も 花火を打ち上げる

コロナの収束と 無事を願った花火は
前庭に集まることなく 家々から見るだろう
利用者にも職員にも そして地域にも
ありがとう! 
がんばろう!
まけないぞ!
そんなおもいの和と輪を広げる
花火の美しい光と音の競演に 
熱く拍手を贈りたい

願うは 笑顔の連帯
祈るは 地域との共生・共存の約束

〔2020年7月31日書き下ろし。「和顔愛語」のおもいをこめて施設で今年も花火を上げる。夏休みの子どもらへのささやかなプレゼントになればいいな〕

夏の夜話

「こんばんわ」

「待っていましたよ。あがってください」

「遠慮なく。どうなさいました?」

「いやいや、お疲れのところお呼びだてして、申し訳ない」

「なんも、大家さんに何かあったかと、少し心配しましたよ」

「なにね、アベノマスクが8千万枚もまた配られるって聞いて、騙し討ちにあった気分になってしまい、正直久しぶりに堪忍袋の緒が切れましてね」

「珍しい。いつもなら冷静沈着な方が、そうもお怒りになろうとは」

「誰も望んでもいないことを、管官房長官の記者会見でも問題ないとか。ここまで民心を愚弄するのかと。あの人は庶民の気持ちがわかる人かと思ったけれど、やっぱりタダの政治家でしたね。次の椅子は回っては来ないでしょう。いけしゃあしゃあと何事もなくかわすのは、聞いていて不快そのもの、癇に障ります」

「いやあっしも、ビックリ。よくやるもんだと呆れかえっておりました。ただね、どんだけ、違うでしょ、おかしいでしょって声出しても、偉いお方が素直に非を認めるなんて、これっぽっちもありませんからね」

「おっしゃるとおりです。そこで今夜お呼びしたのは、一杯飲みながら暑気払いにひとつ政治談義でもしたら、少しは溜飲が下がるだろうと、手前勝手なことでご足労いただきました」

「願ったり叶ったり。遠慮なくお相伴にあずかります」(缶ビールで正月以来の乾杯)

「さて、とっかかりは〈アベノスローガン〉ですかね。この人も周りの人もよく問題起こす人ばかりだから、丁寧な説明とか、謙虚に、真摯に、責任は私に、を繰り返すばかりで、その言葉の意味すらご存じない。政治的ポリシーすら疑わしいから、生きた言葉に自信がない。自分の言葉がないばかりに、人の書いた原稿なくして語れない。せめて飾り言葉でごまかして繕うしかないから、言葉が薄っぺらい」

「そこで〈アベノスローガン〉ですか。コンパクトでインパクトがあれば、中身がなくてもやります感は伝わるだろうと。それも変わり玉のようにコロコロ変わって、いま何やってるのかよくわからない。覚えているのは、〈一億総活躍〉って聞いて、うちの90になるじさまも活躍しなきゃならんのかって。ほんとギャグかと思いましたね」

「経済振興しか頭にないから、〈デフレ脱却〉から始まって、いまだ事ならず。〈3本の矢〉はすでに折れ、〈女性活躍〉はその機会すら作れず、人材活用も低レベル。〈地方創生〉で、どんどん地方は疲弊して経済格差創世中。〈一億総活躍〉は仰るとおり、なにがなんだかよくわからない。範を示す官僚たちこそ忖度を繰り返して総活躍ですね。〈働き方改革〉、長時間労働や非正規の方々の待遇改善とはならず、そもそも働き方は個人の自由、国に指示されたくもないでしょ。おまけに〈人生百年構想〉、長生きはいいけど、代わりに年金の受給年齢を遅らせる姑息なことをやり始めた。〈人づくり革命〉はそもそもあんたらでしょ。国を動かす者たちから襟を正さにゃいかんでしょ。極めつきは、道徳を教科にしたこと。自分らのことを棚に上げて、よくやりますよね」

「いやはや、よく覚えていらっしゃる」

「お酒のせいで、記憶の海馬が活性化したのかも知れません」(笑う)

「確かに、スローガンは掲げますが、どれ一つとして成し遂げてはいません。中途半端に散らかして、次のスローガンを掲げるってのは、目先を変えだけのこと」

「いまの安倍さんの政権としての限界なんですね。やれないとわかるとすぐにぶんなげて、聞きざわりのいい言葉を使って人心を誘導する。中身がないから、また潰れる。その繰り返しの7年間、ゴミ屋敷状態で断捨離できずにいるのでしょう。けじめもつけられず、だらだら引きずっているから、リスク管理には絶対弱い。自分がリスクそのものですからね」

「そう考えると合点がいきます。普通いいも悪いも歴史に残る業績ってなものがありますが、どう考えても浮かばない。ただ選挙に強かったという印象だけです。それもそのはず、民主党が内部崩壊して政権を奪われ、野党となっていまだ浮上できずに相変わらずの意地の張り合い、もう誰も関心なんぞ持つわけない。そんな野党相手の選挙に勝っただけのこと。いま振り返れば別に安倍さんでなくても麻生さんすら勝てただろうと」

「この政権の1丁目1番地は安倍さん。トップが嘘をつくから、下はつかれた嘘の上塗りをしなければならなくなる。だから大臣も官僚も平気で嘘をつく。なんと厚化粧の人が多いことか。その分見返りが大きいから喜んで嘘つきになる。国民の奉仕者だと自責の念にかられ自死した赤木俊夫さんのおもいなんぞ、官僚も大臣も何も感じていません」

「下々の痛みを感じることが出来ないというところが、日本の政治家の言葉に厚みと説得力が生まれない理由でしょうか。政治家の言葉にこころ動かしたり揺れたりする事ってまずないですね」

「閣僚に2世3世が多くなり、言葉に重みが全くない。軽くなって浮いてしまって、しまいに跡形もなくなる。せめてみんなが覚えておくために、スローガンしか思いつかなかったんでしょうね」

「世間じゃ安倍さんの負の業績はなんだろうって。教えてください」

「いやいや、あなたのほうが世間に明るいでしょ」

「狭い世間です。だから大家さんの広い見識にいつも感服しております」

「酒の力でよいしょもお上手(二人笑う)。知っているだけのことしかわかりませんが、一番は、政治への信頼を見事に裏切り棄てたことですね。コロナのリスク対策が、その場しのぎの目先の対策でコロコロ変われば、目に余って支持率下げるのは自明の理でしょ」

「感染を抑えてきたなら、当然評価はあがるはずなのに、ですよね」

「まずはアベノミクスの大失敗ですね。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という3本の矢で〈名目成長率3%〉を掲げたけれど、だいたい経済成長が3%なんて夢の夢。全て的を外して、コロナ禍後の経済不況が追い打ちをかける。一致も察知もいかなってくるでしょ。次の人に後始末させるしかないから、腹心でなければ、失政を暴露されて、負のレガシーがまとわりつくことになる」

「経済、経済っていってる割には、そのブレーンの専門家も大して力がなかったってことですね。みんな忖度するから、耳障りのいい話しか聞かない。昨日衆議院で新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂さんが、〈GO TO トラベル〉の実施判断に時間をかけるように事前に政府に提言していたにも関わらず、採用されなかったといっていましたが、専門家の意見を云々というのは、自分らの都合のいい話だけ食べますってことですね」

「確かにいろんな専門委員会を作りますが、YES委員会に成り下がっているのがほんとでしょ。それから外交の失敗。北海道にとっては北方領土問題が一番大事。お友だち外交っていいながら見事にしっぺ返しを食らって、ロシアに憲法改正され領土は返さないと明言された。厳しい交渉だと分かっていても、お友だちになりましたって仲良しごっこのレベルでしか外交できない。結果が伴わなければ外交はアウトです。トランプとの関係を見ていても、相手はシビアに求めてきても、返す刀もなく言われるがままいい子ぶる。辺野古の問題だって沖縄に丸投げして、知らんぷり。いっそのこと、基地の提供は一切止めて、どうぞ出て行ってくださいっていったら、相手はどう脅しにかかるか見てみたい」

「おっと過激な発言、面白そう! 青森の三沢の米軍基地から道南の江差の方まで飛んでいって、小学校を標的に訓練してたってことがあったけど、日本の空を米軍さんは自由勝手に飛んでいらっしゃる。沖縄や岩国では、コロナの水際作戦中に本国からフリーパスで往来し、挙げ句の果てにコロナをばら撒く。治外法権で一切お構いなし。これで日本が独立してるなんて信じられない」

「中国や韓国との関係も、ましてや北朝鮮との関係も難しくなる一方で、そのほとんどは米国に追従してるだけのこと。トランプなんぞ金と次の選挙しか頭にない男。そんな男とお友だちって媚びる男が、〈戦後レジューム〉からの脱却なんて、片腹痛いですね」

「中国はコロナ禍に乗じて世界にのしていこうと、盛んにアピールしていますが、香港の一国二制度の行き詰まりで、共産党専制政治の色を濃くしてしまい、そんな国と渡り合うには力がなさ過ぎます。いつもの遺憾に思うというメッセージも聞き飽きました」

「よく見ておられる。問題は食料。例えば養鶏の飼料の9割以上は輸入に頼っているから、米国や中国との関係はなかなか大変です。TPP絡みでも、北海道の農業や酪農が一番深刻なダメージを受けています。食糧自給率を上げることもしないで、お構いなしにトランプのいいなりに米国の農家を助けるという、馬鹿げた政策がまかり通っている。コロナ禍で心配される食糧難にどう備えられるのか、この政権じゃ心配、心配」

「もしかして、養鶏の飼料が高くなったり制限されると、卵の値段が一気に上がってしまう?」

「もしかしてではなく、近い将来の話かも知れません。そんな不安は口にはしないからね。ましてや、卵が1週間に1個しか食べられないって、言えるわけないっしょ」

「コロナ禍と食糧問題。九州じゃ梅雨の長雨で夏野菜は全滅、ジャガイモもタマネギもアウト。関西に出荷する野菜が足りなくて、ジャガイモなんか1個200円近くするって京都の友だちが嘆いていたけど、食べもんを粗末にするようないまの風潮に、感染病以上に危機感覚えますね。お金を持っていても物がなければ買うこともできない。そんな世界を想像するのは、ちょっと…」

「そこなんだね。そこが、この政権の想像力が乏しいどころか、おぞましくもあるところでだね。だから余計に酒が進む」

「おやおや、やけ酒は嫌ですよ。同じ飲むなら、前向きになれるようなことを大家さんとは語り合いたいものです」

「申し訳ない。お呼びだてして酒の相手までしていただきながらこの醜態、ご容赦ください。」

「大家さん、いまニュースで八千万枚のアベノマスク配るの断念したって!」

「ほう、これは吉報! さあさあ、飲み直しの一杯」(二人でグイとビールを味わう)
夜は静かに更けていきます。二人の話はまだまだ続く様子です。

※TPP(Trans-Pacific Partnership):環太平洋パートナーシップ協定。アジア太平洋地域の諸国が,物品やサービスの貿易自由化や投資の自由化のほか,電子商取引や知的財産など幅広い分野でのルール作りを目指す包括的な経済連携の枠組み。2005年に4か国が締約した経済連携協定を原協定とし,その拡大交渉にアメリカや日本などが参加。15年12か国で合意し,翌16年調印。17年アメリカの離脱により再交渉。18年11か国がTPP11協定に署名し,同年発効。環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定。環太平洋連携協定。環太平洋戦略的経済協定。環太平洋経済連携協定。

〔2020年7月30日書き下ろし。難しい政治の舵取り。誰もが出来ることではない。しかし、そもそもの1丁目1番地が違えば、全てが失政となる。さて二人は前向きになれるのか?〕

次の指導者を選ぼう

成りたがりが 蠢(うごめ)く
分もわきまえず しゃしゃり出る
勘違いして 名乗りを上げる
信望が あるかのように振る舞う
お粗末な言葉で さも知ったかぶりをする

政治観の旧態依然とした 精神構造
危機を察知できない 鈍感構造
被害者の苦痛を感じない アンチ共感構造
政治的能力が高いと自賛する ナルシスト構造
政策運用が縦にしか動かない 機能不全構造 

リスクを俯瞰するのは 至難の業でしょう
リスクの制御など 期待するだけ無駄でしょう
リスクの対策など 判断迷い混乱するだけでしょう
リスクをさらなる恐怖に変えて 収拾不能となるでしょう
リスクの前で怖じ気づき きっと逃げ出すことでしょう

誰が次の座につくのか
信頼に足らぬ者たちの チキンレースが始まった
生来の虚言癖のある者たちの 嘘つき合戦が始まった
リスクにさらした無能な者たちの 見栄の張り合いが始まった
ポリシーすらなき者たちが 数取りゲームに興じ始めた

分をわきまえた者たちは 
次の指導者を
手ぐすね引いて待っている

〔2020年7月28日書き下ろし。与野党とも今までの体制を変える動きを活発にすれば、第2波に立ち向かえるかもしれない〕 

悪夢のアベノマスク

♪ え~え マスク
アベノマスク
夏の盛りに 風鈴ならして
アベノマスクを宣伝(ひろめ)てます

♪ え~え マスク
アベノマスク
夏の盛りの 眩しい光の中で
アベノマスクを作っています

♪ え~え マスク
アベノマスク
夏の終わりの 涼しい風が吹くまでに
アベノマスクの納品終えます

♪ え~え マスク
アベノマスク
思いやりの 押しつけマスク
8000万枚 配ります

情報が漏れぬよう
箝口令(かんこうれい)をしいて 
騙(だま)し討つ
耐えて忍ぶ民心を 平気で逆なで
興ざめする 愚弄そのもの

悪夢が甦(よみがえ)る
使い勝手の悪い 布マスク
いまさら配ってなんになる!
いい加減にしろ!

悪夢が甦る
大枚な血税 平然と浪費する
無神経この上ない政権に
配布を止めろと 制する者なし

悪夢は いつまで続くのか
世は コロナストレス爆発寸前!
政権は この世の夏に狂乱する

〔2020年7月27日書き下ろし。夕方知って驚愕した。1ヶ月前に発注したことすらバレぬよう隠していたその姑息さと、その動きすらつかめなかったマスコミの取材力の低さに、ただただ呆れるばかり。許せますか、あなたは〕

付記
布マスク、今後さらに8千万枚を配布 不要論でも発注済
政府が新型コロナウイルスの感染防止策として始めた布マスクの配布事業で、介護施設や保育所など向けの布マスクの発注と製造が続き、今後さらに約8千万枚を配る予定であることが厚生労働省などへの取材でわかった。全戸向けの配布は6月に配布・発注済みの布マスクは計約2億8700万枚にのぼり、総額約507億円の費用がかかっていた。うち郵送やコールセンター、検品などの事務経費が約107億円を占める見通しという。いずれも入札をしないで業者に発注する随意契約だった。
このうち、全戸向けの布マスクは約1億3千万枚を総額約260億円かけて配布。介護施設など向けの布マスクは計約1億5700万枚、総額約247億円で、全戸向けの配布が完了した2日後の6月22日にも、伊藤忠商事など9業者に計約5800万枚を発注していた。契約書によると8月末までに納入される予定となっている。
厚労省によると、介護施設などには職員と利用者を対象に、保育所や幼稚園、放課後児童クラブなどには職員を対象に、1人あたり7枚ほどが行き渡るように配り続ける計画という。(朝日新聞2020年7月27日)

ここにいる

ここにいます
ここから動けません

ここにいます
ここから出られません

ここにいては 涙も流せません
ここにいては 笑うこともできません

ここはどこですか?
なぜ身動きできないのですか?

ここにいます
だれもいない ここにいます
ここにいます
ひとりぼっちで ここにいます
ここにいます
眠気も疲れも 感じません

ここにいるって ほんとうですか?
ただ意識だけが 覚醒(さめ)ています 
ここにいるって 感じています
ここって ほんとうはどこですか?

ここは どこでもないここ
意識だけで 生きているここ
意識だけで 生かされているここ
ここって ほんとうはどこですか?

えっ 機械の中!

〔2020年7月26日書き下ろし。体と脳が活動を終えても、本人の意識の中では「死」を体験せず、コンピューターの中で意識を持って生き続けることができる研究を東京大学大学院工学系研究科准教授の渡辺正峰さんが取り組んでいる。身体的な不老不死ではない。意識を機械にアップロードし、その中で生き続けるという技術だという〕

野暮ですか

あっしらの暮らしぶりも よく知らずに
知ったかぶりしておっしゃるのは 野暮ですね

あっしらの不安ぶりも よくわきまえずに
前とは違うとは 野暮ですね

あっしらが待ち焦がれていたか よくわからずに
二転三転くりかえすとは 野暮ですね

あっしらの我慢のしどころ よく見ずに
ダラダラグズグズするとは 野暮ですね

あっしらも ようやく堪忍袋の緒が切れました
野暮なあっしらでも あんたらの野暮さに
ホトホト嫌気がさしました

あっしらも ここで暮らさにゃならんから
どこにも逃げ出すことができんから
野暮と言われようが 見下されようが
きょうまで 必死に堪えて来ました
もう限界です

あんたらの野暮さに
希望のきの字も 浮かびません
あんたらの野暮さに
失望だけは くっきり見えます
あんたらの野暮さが
さらなる国難を 招いています

世情に疎い
危機管理に疎い
未来展望に疎い
ただ群れてる野暮なあんたらを
お払い箱にしたいのです

〔2020年7月26日書き下ろし。野暮な御仁はもう願い下げです〕