捜しもの

札幌も ようやく雪景色に変わった
部屋から望む遠方の山々は 雪煙に霞む

捜す
昨日も お目当ての冬靴を 捜した
もう二年越しの捜索だ
生ゴム底の スノートレーニングシューズ
高かったから 余計に大事にしまいこんだのだろう
でも なかなか見つからない

すっきりしない雪の朝
心に小骨が刺さったままの 不快感
狭い納戸に その手がかりはなく
しまい込んだ 己の記憶の不確かさを 恥じ入るだけ
靴一足のことで 自責の念を深くする
捜し当てられなくて 悔しい
履けなくて 悔しい
忘却の淵にいる己が 情けない

探す
原稿書きの仕事中
関連する文章の一節は 確かあの本の中に
資料が無造作に積まれた机上を 物色する
めぼしき本を手にとって ページをめくる
見つからない
記憶違いか 次の本 いやいや違う
プリントされた資料の山に 手を伸ばす
見つからないから 苛立ち始めて
作業は 強制中断させられる
探し出せなくて 悔しい
無駄な時間を費やして 悔しい
書き進めず焦る己が 情けない

捜す そして 探す
だらしない暮らし方をしてきた しっぺ返し
懲りない己との いつもの葛藤
無能な頭が 手当たり次第に整理した体たらく
いつも己を苦しめ ざまあ見ろって笑ってる
でも その繰り返しの毎日も 決して悪くはない
見つかったときの あの感動 
ニタリと ひとり味わうことができるから
負け惜しみです

〔2019年11月16日書き下ろし。今日も題材を探し求めています。見つかるとニタリとしています〕