12月6日朝 鹿角市尾去沢小学校にいた
1年生から3年生
40人ほどの 子どもたちが待っていた
竹取物語のかぐや姫は 宇宙人だった
初っぱなから 驚く子どもたち
月に帰ったお姫さま 人間が恋しくて
宇宙船で迎えに行った
亀の形の宇宙船 乗ってしまった浦島さん
待っていたのは かぐや姫から名前を変えた乙姫さま
ここまで来ると テンションはどんどん上がる
浦島さん 地球に帰ると言ったなら
持たされました 開けちゃいけない玉手箱
そんなお土産 みんなはほしい?
浦島さん 戻って開けたら 煙モクモクおじいちゃん
なんでこんな悲しい目に あわなきゃいけないの
こんなひどい目にあった オレの人生返してよ!
そんな意地悪 なんで乙姫さまはしたのだろうか?
答えは求めず 宿題にしておいた
授業の導入 終わります
子どもたちは ノリノリ
次はどんなお話になるのか 興味津々
いい顔つきに どんどん変わっていきました
みんなは 宇宙人?
大きな声で に・ん・げ・ん
口々に 子どもらは答えます
このタイミングで 約束ひとつ
ねぇ一度にしゃべっても 誰がなにを言ってんのか わからない
言いたいことあったら 先に静かに立ってください
元気な返事が 返ってきます
いま ここに いるって どうして?
えっ 困惑した表情の子どもたち
真顔に変わった この一瞬
それを見るのは 実に嬉しい
「いま」は すぐに昔になったよ
「これから」が すぐにいまになったよ
不思議だね 時計は逆戻りできません
その いまを ここにいるって どうして?
立ち上がった2年生 一人二人と増えていく
さあ 頑張って立ち上がれ 子どもたち
じゃ 前の子から 発表してもらおう
「生きてるから」
そうだよね 同じ時間に生きてるから こうしてここにいるんだね
「生まれてきたから」
そうだよね きみがこの世に生まれてこない限り ここにはいないね
「立たされているから」
えっ そっか 立たされているここ きみはいまここに立っているんだね
「お父さんお母さんに 育てられたから」
うん たしかに誰かに育てられて成長したから ここにいるんだね
「ご先祖様がいたから」
おっと ご先祖様ってなあに?
「じいちゃんやばあちゃん」
「もっと昔の人」
それがどうしたの?
「その人たちがいないと いまここにいない」
鋭い!
1年生が ポカンとしてる
だから ちょっと説明しとこうね
黒板に 目の前の女の子の名前を書く
この子が生まれてくるには お父さんお母さんが いないといけないね
お父さんが生まれてくるには おじいちゃんおばあちゃんが いないといけないねと
「いのちの樹形図」
母を○印 父を△印にして 黒板一杯に描いていく
どんどん時代をさかのぼり たくさんのご先祖様がいなければ
いまこの子は ここには いないねと訴える
書かれた母の印のご先祖様が もしいなかったら
次の人は 生まれてこない
次の人もと どんどん新しい時代のご先祖様を消してゆく
この子のお母さんが生まれてこなかったら この子はいまここに い・な・い
これが「いのちのバトンタッチ」なんだ
いまいのちがあって ここにいるということは
いのちのバトンを お父さんやお母さんが 君に手渡したからなんだよ
「いのちは こころがある」
思いっきり 今日の授業のど真ん中
こんな展開 いままでなかった
あなどれない 小さな哲学者たち
授業は がっつり生ものです
こころ踊る真剣勝負 続きます
〔2019年12月7日書き下ろし。小さな小学校の福祉の授業。いのちとこころを考えた小さな哲学者たちとの愉しき授業は続きます〕