初めて市民の前で 芝居した
メンバーは ここ5年ほど毎年演じていた
10月に入ったばかりの新人だった
始まる前は 励ましの言葉にも緊張の色を隠せなかった
始まると 台詞もさまになっていった
7分間の劇は無事終わり 市民の大きな拍手をもらった
ホッとした
その瞬間 仲間になったと実感した
大事な仕事を やり遂げた安堵感と
これからの仕事へのモチベーションを感じていた
市民の前に デビューした日となった
研修会の翌朝 電話がかかってきた
「担当された方は おられますか」
みんな出払っていて 偶然にも担当者しかいなかった
「私が担当ですが なにかありましたか」
昨日参加した年輩の女性からだった
初めて参加した様子で
3人の地区での活動実践発表
花巻からきた人の地域づくりの発表
地域で頑張っている方たちを知って 元気が出ました
まとめのお話で 背中を優しく押されたように思いました
市民の地域デビューは きっと近いだろう
名前を尋ねても 知らされぬまま電話は切られた
電話を受けた担当は 続けてきた地域づくりの研修会が
たった一本の電話で 救われたおもいがした
いままで こんなことはなかった
何かが 市民の中で静かに動き出している予感がした
市民の地域福祉の実践を 正当に評価し支援する
当たり前のことを 丁寧に続けてきたことは 決して間違えではない
地域で頑張る人たちを 広く紹介しながら 地域の元気を引き出す
地域の問題をテーブルに上げて みんなで出来ることを考える
その方法も いまでは市民に定着してきた
地域での懇談会も サロンの運営も
少しずつ市民の手に委ねていかなければ
地域の福祉力は 高まらない 強くならない
これからが正念場
職員も 市民の手で育ててもらいながら 仕事力をつけなければならない
社協は 市民のパートナーとして 共働しなければならない
そこに 地域を耕し暮らしを守る社協の使命感を 再確認した
担当は 市民の地域デビューを誘う 次への構想を思い描く
〔2019年12月8日書き下ろし。鹿角市地域福祉実践研究セミナー後のエピソード。事業は担当者のおもいをカタチにして運営することで、その成果は確実に組織と市民の手中にあることを如実に物語っていた〕