お世話焼きさん ~石狩レポート(3)

人は 様々な人に 迷惑をかけ
人は 様々な人から 迷惑をかけれらながら
生き暮らす
互いに信じ合い 助け合う
ときに うとまれ ねたまれ さいなまれる
そこから 生まれる義理人情
世間というつながりから 善くも悪くも紡がる
世間のしばりから 抜けだすことができぬなら
もっと生きやすく生きたいと思うのは 世の常か

そんな世間で生きてきた 
ひとりの老女の生き様を
語り合って見たい

最初のグループワークは
『義理を果たす』から始まった
8人のグループ編成
一人ひとり 番号をふって確認する
司会の人は 3番目
朗読の人は 6番目と 指名する
読み終わったところで 感想意見を交流する
合図と共に 始まった
読み終わったグループから 意見交換となる
時間を見計らい 2つのグループの司会者を指名して
発表してもらう
「私たちのグループでは…」
いままで当たり前にしてきたグループ発表
中身をまとめようと 努力する
でもそこには こころ動かす言葉が 力を失う
だから「あなたの思いを素直に語ってください」とお願いする

『よほど やりくりが苦しかったのかも知れない。
年に十度ほど 香典を包むという。
葬儀には出ることは出来ないが 香典だけは欠かさない。
いままでお世話になった恩返しに 香典を包む。
義理を果たすことで 報われると信じている。
暮らし向きは厳しいけれども 自分が辛抱することで 義理を果たそうとする気概。
世間に後ろ指を指されぬよう じさまにあの世でよくやったと褒めてもらえるよう
世間の習わしのなかで 懸命に生きてきたのだ。』

祖父母から聞いた田舎の話
でも 現実に起こっていること
いまの自分には とてもできない
まちばでは 義理を欠くことが当たり前
果たすというおもいは ここまで強くはなりえない
葬儀も 身内で済まし 隣近所は弔えない
寂しい別れの 儀式となった
世間のしがらみは どんどん弱くなっていく

『助かるわ』
読み手と司会者を変えて 2本目の朗読が始まる
いくつかのグループで 朗読を終えた合図か 慰労の拍手が起こる
場が 少しずつほぐれだした

『「助かるわ」「助かったわ」ということばは
他人(ひと)とのかかわりを 和ませる
そのかかわりの さりげなさが
いざというときに「助けて」って すぐに伝えることばに変わる』

「助けて」って 困っている人ほど なかなか言い出せない
その気落ちを 察してあげること
それが 御用聞きの大事な役目
世間の良さを 取り戻すことにもなるかもしれないわ 

ほっとけないお世話焼きさん
その様子をさりげなく伝えた詩を 紹介する

『小さな希望のともしびをかかげてください』
おばちゃん 遠慮せず もう少し迷惑をかけてください  
私のこれから行く道に 
おばちゃんが 世の中の風に翻弄(ほんろう)されながらも
かかげる小さな灯火(ともしび)が 
ゆるがない希望の道しるべとなるのだ
だから 明日もまた会いに行こう
「大丈夫?」 
「うん なんともないさ」
「がまんしないでね」
「あんたが 会いに来るから 大丈夫!」

世間のしがらみを よく知るばかりに 
迷惑をかけたくない
他人の手を煩わしたくはない
自分が我慢すればいい
でも構われたい気持ちも 複雑に混じり合う
世間と葛藤しながら生きる人に そっと寄り添う

話題を変える
道内の市町村の民児協事務局は その8割強を行政が所管する
その担当者の意欲如何で 民児協の活動が左右される
だから 新任委員が安心して活動できるよう 支えてほしい
心を込めて 『気概を持って』というエールの詩を贈る
そして 激励の拍手を 委員の皆さんで贈った

※『義理を果たす』:雑感「鳥居一頼のサロン」(5)/2019年6月19日投稿 から引用
※『助かるわ』:雑感「鳥居一頼のサロン」(3)/2019年4月20日投稿 から引用
※『小さな希望のともしびをかかげてください』「鳥居一頼の世語り」(20)/2019年8月5日投稿 から引用

〔2020年1月24日書き下ろし。グループワークの様子をレポート。詩の朗読を通して感想や意見を交換する。詩が媒介になって胸襟を開いていく。『気概を持って』を明日アップしておこう。レポートはこれから佳境に入っていく〕