「老爺心お節介情報」第7号
Ⅰ 「農福連携」の新たな展開
我々、社会福祉関係者は、障害者支援の捉え方が、旧来的、救貧的支援に留まっていないだろうか。「社会福祉の普遍化」に伴い、実践現場は多様化しており、新たな発想がもとめられているのではないだろうか。
①「富山県農福連携ガイドブック」(富山県9―「農福連携コーディネーターを配置
農福連携の12のパターンが紹介されている。――私の教え子の吉田勇次郎さんのNPO法人愛和報恩会の実践も取り上げられている。
②「新ノーマライゼーション」2020年7月号 (公財)日本障害者リハビリテーション協会
特集は「みんなで一緒に楽しく働く施設、経営者も」で、私の教え子の山根正敬さんが「恋する豚研究所」(社会福祉法人福祉楽団)の実践「障害のある梨にかかわらず、すべての人が働きやすい環境で美味しいものを作る」を紹介している。
この冊子では、神奈川工科大学の小川喜道先生の「イギリスにおける近年の福祉制度改革」について歩行者等支援情報通信システムも紹介されている。
Ⅱ 子どもの形成と福祉教育
最近の福祉教育の論説と実践には正直物足りなさを感じていた。その要因は、子どもの形成に関わる分析と提供される機会としての福祉教育、福祉学習とが必ずしもマッチしていないと感じていたからである。福祉教育が求まれれる背景には、高齢化の問題以上に、子ども・青年の発達の“歪み”があり、それを解決していく方法の一つが福祉教育であることを再確認して欲しい。
①上記のことを考えるのに、『ふくしと教育』(大学図書出版、2020年、通巻29号)の門脇厚司先生の話はとても重要である。
門脇先生の考え方を基に、野尻紀恵先生の論文を踏まえて、地域での「子育ての社会化」のシステムを地域福祉計画の中で同作るかが問われている。
旧来の療育、治療的児童福祉、要保護児童対策の児童福祉実践、研究から脱皮し、市町村における子育て支援の新たなシステムを々作るかを考えなければならない。
従来の地域福祉研究者には、子育て問題へのアプローチが弱いか、欠落している。
今季の地域福祉計画づくりがとても重要な機会である。
②『江戸東京野菜の物語』大竹道茂著、平凡新書
この本は、江戸東京の伝統野菜の復活について書かれている本であるが、その復活の過程において学校菜園は有効に使われており、ある種の福祉教育の機会になっている。“村を育てる教育”につながる実践である。
伝統野菜の復活は、地域づくりにも関わるもので、地域福祉の立場からも学ぶことが多い。
(2020年8月4日記)