老爺心お節介情報/第13号(2020年10月15日)

「老爺心お節介情報」第13号

社会福祉関係者、とりわけ社会福祉協議会職員の統計資料、行政資料を読む力、作成する力の無さに驚くことが多い(かくいう私も数字には決して強くはない)。
社会福祉実践、研究は自然科学とは異なり、数値化はなかなか難しい所があるが、しかしながら、市町村において既存の統計資料を繙き、数字の上でもどのような実態があるのか、どのような傾向があるのかを把握、理解する能力を高めないといけないと思っている。特に、行政との予算折衝や新たな企画提案をする際には欠かせない課題である。
私は、千葉県、富山県、香川県、佐賀県、大阪府等の府県社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーク研修では、府県社会福祉協議会独自に県内状況の資料集を作って貰い、日常の実践において、その資料集を“座右の書”として活用することを推奨している。
自然科学分野では、evidence based という場合、数字を根拠とするが、evidenceとは証拠、根拠という意味であるから、社会福祉分野ではすべてを必ずしも数値化出来ないが、きちんとしたアセスメントに基づく説明ができれば、それはそれで根拠の一つになりえる。社会福祉分野では、ナラティブ(生い立ち、思い、希望等)を大切にしつつ、活用できる数字や数値化できるものは数値化して実践、研究に活かす努力をしなければならない。

Ⅰ 2019年 国民生活基礎調査の概況(抜粋)―『厚生の指標』2020年10月号より―

#1 市町村毎に、一人暮らし障害者(障害種別別)の数字が殆ど把握されていない。「地域共生社会政策」を具現化する上で把握しておきたい数字である。
#2 要介護認定率は65歳以上全体では把握されているが、5歳年齢区分毎の要介護認定率を把握しておかないと介護保険事業計画や地域福祉計画において政策提言や対策が出来ない。できれば、日常生活圏域ごとに、その数字を出せれば、対策を立てやすい。

Ⅱ 「老爺心お節介情報」第12号に関し、山形県鶴岡市社会福祉協議会佐藤幸美さんから連絡頂きました。ありがとうございました。「農福連携」、施設の地産地消の現況です。

鶴岡市社会福祉協議会が経営している「高齢者福祉センターおおやま」では、米、大豆製品(豆腐・厚揚げ・がんもどき等)、卵、しょうゆ、味噌は全て100%の地産地消とのことです。
野菜、果物は季節により変動があるそうですが、50~60%が地産地消です。
その地産地消の食材納入を大山商工会が担ってくれていますが、その割合は12~18%、18社が参加してくれていて、地元の商店街の活性化に役立っています。
その他、いなほ作業所、自立相談支援センターの就労準備事業「したくホーム」の利用者等も「農福連携」で頑張っています。

Ⅲ 「月刊福祉」11月号の以下の論稿を読んで下さい。 

「生活福祉資金制度における支援の現状と課題」杉田健治論文(兵庫県社会福祉協議会事務局次長)
「コロナ禍で課題を抱える人への相談支援の実態――一人ひとりの相談に向き合う中で見えてきたことー」林星一論文(神奈川県座間市生活援護課長)

(2020年10月15日記)