今年の研修は グループワークを回避して
道内9カ所で ステージ型の展開を想定した
コロナで 研修時間も40分短縮され
用意した教材(詩編)を消化するのは 至難の業だった
昨年のステージ型では 舞台に上がった参加者数人に
朗読の後その場で 感想を聞き意見交換するカタチをとった
そうすることで 登壇した参加者のおもいは
館内の参加者と共有され 共感が広がり一体感が生まれた
会場は広い会議室だった
14名は 長テーブルにひとりずつ座った
距離間は確保されたが 協議はままならない状況にあった
提示する一つひとつの詩編に おもいを語ることもできなかった
一人ひとりの心情に訴えることを 主たるねらいにした
40遍の詩編を制限された時間内に どれだけ伝えられるかを課題とした
民生児童委員とその活動に深く敬意を払いながら ここいることを伝えた
「心に響く詩 心を開く詩 心を守る詩」を描くことの己の役目を
「心守詩」により語った
プロローグは「コロナ禍から暮らしを護る」
道民児連の情報誌「アンテナ」に掲載された詩である
コロナ禍で厳しい人たちに寄り添う 全国の民生児童委員へのエールである
そして「はじめに」の章 シナリオ「稼いで半人前」は台詞の一部を紹介した
「仕事をして半人前 他人(ひと)様のために動いて半人前 これでようやく一人前」
委員の依頼を受ける場面を演じることができず やもえず割愛したのだ
「希望」という言葉が これほど意識された1年はなかった
「つながる つなぐ」
「小さな幸せを希望に紡ぐ福祉のまち」
福祉やまちづくりに関わる存在の尊さを訴えた
「地域で生きる 地域に生きる 地域が生きる」
そんなまちにする一人ひとりであることへの 希望を添えた
民生児童委員に委嘱された時の心情は それぞれが事情を負う
「青い手帳」は 静かに個々で振り返ってほしいと預けた
「群像」は 関わる人たちの時代背景やその人生を辿(たど)る
長編の詩文は 関わる人へのイメージを膨らませる手がかりとしてお願いした
そして やりくりがしんどい中 香典を包む一途な生き方をする老いた姿を描いた
「義理を果たす」の一部を紹介し 心にとめていただいた
貧しくとも 夫婦が受けた世間の義理を欠くことをよしとしない
頑なな老女の生き方に 夫との霊魂の交感すら感じられるすごみに
衝撃を受けた エピソードでもあった
さまざまな人が 暮らしや身の困難を抱えながらも 地域で暮らし続ける
その人たちの姿を 参加者の朗読で進めてゆく
ステージは「助けあいの本質とはなにか」を問いかけてゆく場面に変わる
「助かるわ」は「助かるわ 助かったわ なんもさ お互い様」
愛ことばの往来が ぬくもりのあるまちをつくる
「日々是好日」は 独り暮らしをしている人をほっとけない
世間でお節介といわれても 頑張る人の姿を描き出す
マイクは読み手が交替する度に消毒され拭かれ手渡される
そうして ほっとけない人たちの日常の当たり前の動きが
地域のお世話役さんとして 目にとまってゆくのである
「小さな希望のともしびをかかげてください」
民生児童委員のこころづもりと腹づもりを解いてゆく
「人生の棚卸し」
「持ちつ持たれつ」
参加者は詩の朗読を聴きながら テキストに集中してゆく
参観する10人の役員の方々も 一体となって集中してゆく
彼らの強いうなずきが 研修への期待感となって醸し出されてゆく
そのうなずきこそ かけがいのない現任者のおもいの発露であった
※ステージ型(劇場型)のワークショップの成果については、2020年3月28日にブログ「鳥居一頼世語り」にアップした「舞台を創る」を参照されたい。
※「心守詩」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年11月24日アップ。連載500回目記念の日
※道民児連の情報誌「アンテナ」№209
※ 「コロナ禍から暮らしを護る」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年5月25日アップ
※「つながる つなぐ」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年6月5日アップ
※「小さな幸せを希望に紡ぐ福祉のまち」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2019年8月21日アップし、テキスト掲載のため2020年11月改訂する)
※「青い手帳」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2019年12月10日アップ
※「群像」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2019年7月19日アップ
※「義理を果たす」:雑感(84)鳥居一頼のサロン(5):「義理を果たす」2019年6月19日アップ
※「助かるわ」:(80)鳥居一頼のサロン(3):「助かるわ」2019年4月20日アップ
※「日々是好日」:「鳥居一頼の世語り」2019年12月2日アップ
※「人生の棚卸し」:「鳥居一頼の世語り」2019年11月16日アップ
※「持ちつ持たれつ」:「鳥居一頼の世語り」2020年10月21日アップ
〔2021年3月27日書き下ろし。うなずきは同意と確信を与えてくれる。研修はまだ中盤にさしかかったところである〕