子どもと生きる~道民児連民生委員児童委員初任者研修レポート その3

「妻の旅支度」は 強烈なインパクトを与えた
80代の夫婦が 添い遂げる実話を描いた詩である
病に冒され 余命3年と宣告された妻は
一人残される夫のために 千日のカレンダーを作り
そこに 家事一切を教えるプログラムを書き込む
覚悟の旅支度は 夫へのレッスンに費やされた
妻の愛の深さと夫の純情さは 静かに情感を揺さぶる
地域で慎ましく生きる老夫婦と オーバーラップしたかも知れない

今回は 民児協担当者の参加はなかった
「気概を持って」は割愛した
ただ道内の市町村単位民児協の担当は その9割余が行政である
2~3年で異動する担当者の気概の有無は 活動を根底から揺るがす
この詩を紹介する意図だけは 伝えた

シナリオ「自分のネットワークを作ろう」は出来なかった
初めて一人で地域を回るのは どれだけ勇気がいたことだろう
初めて一人で当事者と対面したときには どれだけドキドキしたことだろう
そんなときサポートしてくれる先輩がいたら どれだけ心強いことだろう
新人をどのように育てていくのかによって 人材の確保が左右される
道民児連の抱える 人材育成と定着の課題に直結するキーワード
「ひとりぼっちにしないさせない」ことに尽きる
「男女ペアの訪問活動」
「特別じゃない」
「マップづくりと新任民生委員」
この三本は 道内の民児協に出向き 人材を育てる取り組みを取材した
その中で「特別じゃない」を朗読してもらった
定例会での発言に尻込みする新任たちへの配慮は
決して特別なことではなかった
思っていることを 腹にためることなく吐き出すだけだった
この詩は 参観している役員の方々へのメッセージでもあった
他の二本も 長い間継続されてきた取り組みが
いかに人材の育成と定着に寄与しているかを如実に語っている

子どもについて 児童委員への問題提起を綴る
「まっすぐな まなざし」
数年に渡り 学級・学校崩壊と関わった
学校経営を揺るがす問題行動を起こした子らが
小学校を卒業するときに贈った詩である
弾けてしまった子らにも 
まっすぐなまなざしを向けて 生きていくことを信じたい
祈りの詩(うた)ともなった
「ふくしとは」
母子家庭の母と子を描いた詩である
「ふだんの・くらしの・しあわせ」づくりを読む
その一節「ただね 靴が小さくなって 歩くと少し痛い」
想像力を喚起することを強いた
貧しさを静かに訴え 堪える子どもの吐いた言葉を
受けとめる感受性が 求められているのではないかと

そして「この子よい子だ」を歌い出した
シンブルマザーの子育ての様子を
『竹田の子守唄』のメロディーに乗せた
♪「この子泣くなよ わが身がつらい この子笑えば 救われる」
「男の子守唄」は 最後の歌詞だけ披露した
♪「母の残り香 嗅ぐ子に添って メロディーあやしき 子守唄」
参加者が心で歌うことにより 
痛みを分かち合い響き合う場が 静かにつくられていく

子どもの問題は 教育福祉の課題でもある
学校が その機能を充分に果たしているとは言い難い
学校とのパイプ役であることも 伝えなければならない
「地域と学校のパイプ役になる」
さらに子育てで苦労する母親に 焦点を当てながら
社会の寛容性を呼び起こす 乳飲み子の存在を訴えた
「泣く子と寛容」
「乳飲み子は寛容の心の拠り所」と綴りながら
コロナ禍で子育てする母もまた 親として強く育つことを願った

子どもと生きる
子どもに教えられ 人としての道を学ぶ
子どもに信頼され 人としての道を歩む
子どもと生きる
子どものまなざしに 人としての誠心を問われる
子どものまなざしに 人としてのあり方を問われる
子どもと生きる
子どものいのちを 人として守らねばならない
子どもの明日を 社会として護らねばならない

※「妻の旅支度」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2019年10月28日アップ
※「気概を持って」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年1月25日アップ
※「男女ペアの訪問活動」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年10月29日
※「特別じゃない」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年10月27日アップ
※「マップづくりと新任民生委員」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年10月28日アップ
※「まっすぐな まなざし」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2019年7月29日アップ
※「ふくしとは」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年1月6日アップ
※「この子よい子だ」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年6月2日アップ
※「男の子守唄」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年6月9日アップ
※「地域と学校のパイプ役になる」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2019年10月24日アップ
※「泣く子と寛容」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年4月15日アップ

〔2021年3月28日書き下ろし。子どもを中心としたレポートになった。日本の子どもの置かれる貧困の問題にも焦点を当てた〕