卵は孵化するか

北海道の教員採用試験が始まった
前年より450人も少ない4030人
9年連続減少 求める人材の質は保障できるか

今春採用された公立小学校教員の採用倍率
全国平均 2・6倍
過去最低の去年の2・7倍を更新中
公立中の採用倍率の平均 4・3倍
去年は5・0倍だった
 
教員の大量退職で 採用枠は増えたが
長時間労働の悪しきイメージが浸透し敬遠される
去年は教育実習もままならず 不安も当然だ
採用する側も 先生欲しくてハードル下げる
大量退職のピークが過ぎれば 高倍率にシフトする
教員になりたいと思う人には チャンスは続く
数年前まで 十数年も本採用にならず臍を噛んだ人もたくさんいた

向き不向きは別にして 試験をクリアすれば教職に就ける
教員としてやっていけるかどうかは 別問題
学力が低かろうと コンプレックスを持っていようと
採用後は 本人次第で大化け可能
やってられないと思ったら リタイヤすればいい
そんな人もずいぶんいるから 離職で悩むことはない
教員には向かないと思ったら 躊躇なく辞めるといい
子どもにも保護者にも 学校にも有難い
ただし 悩みの向こうに可能性を感じたら考え直そう

大学で習った事なんて 大して役には立たない
一から学び直しをしなければ やってはいけない
授業は下手くそなんだから わかったふりだけはやめとこう
新任研修にもガッツリ食らいついて どんどん仕事を覚えよう
先生面して虚勢を張っても 子どもはすぐに見抜く 
子どもとの意思疎通は 決して粗末にしてはならない

子どもに 身を託してごらん
子どもは 教えられるプロだから信頼しよう
子どもに 教師とは何ものかを学ぶしかない
子どもは 教師を育てる魔法の力を持っている
子どもに ピンチを助けてもらってなんぼの仕事
子どもへ 感謝できなければ この仕事は無理だ

不向きか不向きでないか どう判断するかって
簡単さ
出会った子ども一人ひとりを 好きになれるかどうかだ
ハートだよ 
それしかない
依怙贔屓(えこひいき)なんか もってのほかだ
子どもを粗末にしない共育をめざすなら
きっと見込みがある

教師の卵は 自力で孵化するのではない
子どもが その殻を面白がって破ってくれるのだ
そこに 子どものパワーと魅力がある
だから 余計に子どもが愛しくなる
それが 仕事へのモチベーションとなる
だから 簡単にあきらめず 子どもに学ぼう

※2020年5月5日掲載「子どもを粗末にしない共育」を参照

〔2021年6月27日書き下ろし。四六時中子どものことを考えた。授業のことを考えた。いまもしんどさを夢に見る。時間で割り切る仕事であるはずはない。出会った子どもが忘れられないのは、情熱を捧げたと自負するからか〕

付記
9年連続志願者減少 道内公立学校教員採用一次試験始まる
道内公立学校の教員採用の一次試験が、6月27日札幌や函館、東京など、10カ所の会場で行われています。
6月27日に行われているのは、公立の小・中・高校などの採用試験です。
試験は午前10時半から始まり、札幌の会場となった札幌北高校では、感染対策がとられる中、受験生が真剣なまなざしで、問題に取り組んでいました。
道教委によりますと2022年度、札幌市教委分を合わせた志願者数は、前年度に比べ450人余り少ない4030人と、9年連続の減少です。一次試験の通過者は、8月に行われる面接や実技の二次試験に臨みます。(北海道新聞2021年6月27日)