朝6時自宅を出た
20数年ぶりに 函館に通じる国道5号線を走った
札幌の奥座敷定山渓温泉を経由して 中山峠を越える
靄(もや)る羊蹄山を右手にしながら ニセコに出る
この道を函館まで2年間通ったことが想い出される
雪道やアイスバーンで何度も危うい目に会った
有珠山噴火の年は 登別までの道が虻田で封鎖された
倒れた父の看病に 札幌経由で通った想い出も懐かしい
あのときは 1年間に4万㎞を走破した
長万部で国道から外れ市街に入る
これも記憶にあるルートの取り方だった
金曜の朝の駅前通りは シャッターが下ろされ沈黙していた
国道に戻ると ドライブインの廃れた姿が哀れを誘う
左に太平洋を見るが まだ台風16号の余波はない
八雲から5号線を外れ 日本海に抜けるルートの熊石峠に向かう
この道は父を連れて釣りに来たことを 想い出させた
道すがら美しい渓流が 渓谷の右や左に展開される
道南八景の紅葉は これからがシーズンだった
カーブの多い峠道を快適に走った
快晴の日本海は 波が穏やかだった
沿岸を南下して江差に向かう途中 崖崩れで通行止め
長い迂回路を走って 11時目的地の厚沢部町に着いた
269㎞5時間のドライブを終えた
疲労はさほど感じず 午後からのボランティア研修会に臨んだ
午後5時町内の温泉旅館に入り 一風呂浴びた
夕食は日本酒を飲みながら たっぷりの肴を味わった
満腹で部屋に戻り また数時間横になった
それからが大変だった
トイレが別にあるので 夜中に3度出入りする
寝不足で朝起きた
部屋から白鷺が2羽飛翔しているのを見て 何だか嬉しかった
9時旅館を出て 八雲までの道を森町落部に抜けるルートにした
最短距離を選択して 整備された山道を木漏れ日の中走る
大型トラックの尻について太平洋を右手に走っていると
大粒の雨が降り出した
中山峠まで降ったりやんだりの悪天候だった
途中低速車を次々と前の車が追い越してゆく
前方を確認しながら 抜くタイミングを計る
トヨタヤリスは1500CCのエンジンに軽い車体がのっかる
アクセルを踏み一気に加速する
すこぶるいい感じだ
雨がやんだ中山峠を越えると 1時間余で自宅に戻れる
いつものスタンドで給油した
走行距離514㎞ 消費ガソリン17.34ℓ 燃費29.64㎞/ℓ
復路の所要時間も5時間だった
ヤリスでの初めての長距離ドライブが終わった
購入して1年近くになるが ようやく4600㎞になった
コロナ禍で遠方に出向くことはなかった
1日の緊急事態宣言の解除は 車の性能を試す機会ともなった
そしてドライバーの老いを 試す機会でもあった
疲れ切った老体は 帰宅後すぐにダウンして4時間爆睡した
夕食後から夜中に目覚めるまで また寝た
なぜかその疲れは嬉しかった
もうしばらくすれば寒くなり雪もちらつく
長距離ドライブは来春の雪解けまでお預けとなる
次は宗谷岬かオホーツクの海を見に行くのもいいかな
ただ父のような釣り吉ではないのが いまは悔しい
〔2021年10月3日書き下ろし。一晩でようやく疲れも取れ檜山の旅の記録を認める。車の性能を確かめたくてうずうずしていたドライブ好きには、楽しい2日間だった〕