〇出版はこれで最後と覚悟して編集しました。京都に来て5冊目の発刊です。編集面と出版面の応援者があって実現しました。昨年3月、横浜市立大学の吉永崇史先生のゼミで智頭フィールド学習に取り組んでおられることを知りました。何か役立てばと関係書籍をお送りしたところ、吉永先生から昨年4月11日にメールとともに智頭町に関する論文が届きました。《直感的に、この“コミュニティ”に研究者としての魅力を感じたのだ。あえて言語化するならば、智頭町の人が、雰囲気が、洗練されている。その“洗練さ”は何によってもたらされているのであろうか》、との解析に感動しました。吉永ゼミの胸をお借りして、智頭の魅力と洗練さを探ってみようと思いました。
〇本書は一気に編集したものではありません。当初、吉永ゼミに第1章から第3章を提供(素案)しました。そして、第4章の感想文が届き、第5章の松尾氏のCCPT活動の転換点の視座をもらい、第1章8「エディターシップ」を編集しました。第6章吉永先生の考察と、第7章は2回目の感想文を受け、第2章6「ゼロイチ運動と地域計画」に計画策定をステップ(「四面会議システム」の実践例)を加筆しました。そして、「満点星チーム」と「Cheese」は、コロナ禍の中、智頭町を訪問して第8章のレポートが届きました。最後に、「はじめに」「おわりに」と、全体を精査して加除筆し、「ギブ&ギブ」のキャッチボールで編集しました。
〇振り返ってみますと、理性的・打算的に考えたら“何にもならんことをするな”です。長続きの秘訣は頑なに感性に拘ったことでした。お金や地位や名誉にならんことをしたから、満74歳まで休みなく地域づくりに取り組みました。そして、志のある人々が集まる場を、学ぶ場を、ポジションを、光の当たる場を作って、皆さんに提供しました、そこに贈与と略奪が起こりました。その軌跡を編集しています。
〇私は五段階活動と言っていますが、1.気づく、2.企画する、3.実行する、4.記録する、5.編集する、地域づくりのルーチンによって実現しました。本書は智頭町の地域づくりの通信簿となっています。