「老爺心お節介情報」第46号
「老爺心お節介情報」を送ります。
ご自愛の上、ご活躍下さい。
2023年6月2日 大橋 謙策
< 90日間の禁酒、5月29日に解禁 >
〇皆さんお変わりありませんか。
〇私の方は、2月28日から重粒子線治療のために禁酒生活でしたが、5月29日の診察で、前立腺がん腫瘍マーカーも0・065になり、無事解禁の許可が出ました。その晩のビール、日本酒での晩酌のうまいこと、やはりお酒はいいですね。
Ⅰ 市町村単位での、子育ち、子育ての健全育成システムの構築が重要――久徳重和著『人間形成障害』と岡田尊司著『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』及び成田奈緒子著『「発達障害」と間違われる子どもたち』を読んで
〇1947年に制定された児童福祉法は、すべての子どもの健全育成対策と何らかの支援を必要としている要保護児童対策が法律に盛り込まれている。
〇児童福祉法が制定された当時は、戦前の富国強兵に向けた“産めよ増やせよ”の時代の名残りもあり、世帯当たりの子どもの数も多く(ベビーブームの時期)、かつ近隣の社会関係も豊かにあり、子ども自身もインフォーマルな遊びの中で豊かに育っていた時代であったにも関わらず、児童福祉法で児童健全育成の必要性を打ち出していた。
〇そこでは、子ども会活動、青少年委員による多様な学校外の社会活動があり、都市化が騒がれる1970年代には各地で児童館、学童保育の設置がすすめられてきた。
〇それは、どちらかといえば、児童福祉行政もさることながら、社会教育行政によって推進されてきたという面があったこと否めない。
〇私自身、1970年代に書いた論文で、それら地域での児童の子育ち・子育てに関わる健全育成政策に関し、学校外教育の組織化として考え、論文を書いてきた。
〇しかし、一方で、1970年ころには子ども・青年の発達の歪みが明らかになり、私自身、社会関係を持てない“さあ別に族”や“まあね族”の登場を指摘し、要保護児童ではない子ども・青年の発達保障の必要性を指摘してきた。
〇それは、オオカミ少女アマラ・カマラやオオカミ少年ヴィクトールほどの極端な例ではないにしても、家庭での子育て機能がぜい弱化し、その機能を社会化しなければ大きな問題になることを指摘してきた。それは、ジョン・デューイの教育論、宮原誠一の教育論の改めての見直しの必要性をのべたものであった。
〇それは、1978年に上梓された久徳重盛著『人間形成障害病』のご子息である久徳重和著『人間形成障害』祥伝社)や岡田尊司著『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』(SB新書)、成田奈緒子著『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春新書)でも指摘していることと同じである。
〇発達障害の“グレーゾーン”の子ども・青年を要保護児童として位置づけ、療育の対象と考えるよりも、それらの現象、事象が生活様式や生活リズムを変えることにより改善されていること、うらを返せばそれらの現象、事象は“日常生活における無意識な中での人間形成に由来している“ということをきちんと押さえておく必要があるのではないか。
〇人間の成育を“社会実験”するわけにはいかないが、それらの現象、事象は生活様式、生活のリズムの崩壊がもたらしたものと考えることが重要ではないか。
〇そうだとすると、現象、事象の喧嘩に対し、要保護児童対策として対症療法的に政策を考えても、個別問題を解決できても、また同じような個別問題が創出されるということになり、全体としての問題解決にはならない。
〇市町村を基盤に、子育ち、子育ての新しい文化を児童健全育成として構築し、そのシステム化を市町村に展開することが喫緊の課題ではないのだろうか。
〇現在取り組まれている子ども政策は、どこかこの健全育成のシステム化、学校外教育の組織化の問題は失念されているように思われてならない。
Ⅱ 健診とがん告知・その ④
〇新型コロナウイルス感染症の影響のマイナス面は大きいものがあるが、私にとってはある意味、従来の行動パターンを見直す機会にもなったし、事実上研修などが控えられたことで自分の時間が持てるようになった。
〇その所為もあって、前立腺がん治療も滞りなく進捗したし、ついでというのもおかしいが、以前より気になっていた耳鼻咽喉科の検査、眼科の検査も受診しようと考えることができた。
〇結果は、耳鼻咽喉科では補聴器を6月2日より試用的に装用することになり、眼科では10年ぶりの診察で、白内障が進んでいることが明らかになり、8月3日と9月7日に白内障の手術を受けることになった。
〇79歳の年に、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科の診察でクリニック通いが目白押しであり、以前から通っている歯科を加えると、まるで毎日がクリニック通いになってしまった。
〇しかし、これらの“人間改造”も、80歳台を楽しく生きる準備だと前向きにとらえ、一つ一つの経験が興味深く、楽しみながらクリニック通いをしている。
〇昔の人は、実に人間観察が鋭かったのだと最近つくづく思っている。私も、頬の筋肉がたるんできたのか、“瘤取り爺さん”の様相を呈し始めてきており、毎朝洗顔時に顔の筋肉のトレーニングをしているが、残念ながら“瘤取り爺さん”の様相は変えられない。
〇歯肉が痩せ、上顎の犬歯が飛び出す“鬼の形相”にもなってきたのも昔の人の観察と同じである。
〇そのような加齢に伴う顔の形状変化に加えての白内障手術、補聴器装用、前立腺がんと全く自然には逆らえないことを実感する日々である。せめて、足の筋力が落ちないようにと、ひたすら歩いて、体力維持を試みるしかない。
〇前立腺前立腺がんの重粒子線治療後の経過診察が、神奈川県立がんセンターで術後3か月の2023年5月29日に行われた。
〇前立腺腫瘍マーカであるPSA数値は、0・065なので、これはゼロにならなくていいのかと医師に聞くと、なってもならなくても変わらないというので、それは前立腺がんが消滅したことを意味するのかと問うとそうだと理解していいという。
〇お酒は飲んでいいのかと問うとこれもいいという答え。温泉はどうかと質問するとそれも問題ないという。
〇前立腺がんに伴う重粒子線治療で、禁忌になったのは、洪文部を圧迫するために自転車に乗ることを禁止されただけになる。
〇医師の診察を受け、自分としては“準快気祝い”だと考えて、5月29日、お酒を飲む。缶ビールと日本酒を飲んだが、やはり美味しい。
〇10年前の第2回目の四国歩きお遍路の時は、40日間禁酒をした。結願した後の徳島市で、仲間とお酒を飲んだが、その時はビールがまずく、酒席を早々に引き上げた。今回は90日間の禁酒期間であったが、ビールもお酒も美味しかった。
〇この違いは何かと考えてみたがよくわからない。四国お遍路の時は、体重が74キロから68キロまで落ち、体脂肪率も18であったのに比し、今回は禁酒前が72キロ、解禁日が71キロ、体脂肪率が20ということの違いかなと思ったりする。
〇今後は、神奈川県立がんセンターには3か月ごとに通いか、郵送で重粒子線治療を進めた日本医科大学多摩永山病院の3か月ごとの血液検査結果を報告するだけになる。基本は日本医科大学多摩永山病院で3か月ごとの診察とホルモン注射を受けることになる。服薬しているホルモン療法の錠剤は毎日1錠、2024年6月末まで続けることになる。
(2023年6月2日記)
(備考)
「老爺心お節介情報」は、阪野貢先生のブログ(「阪野貢 市民福祉教育研究所」で検索)中の「大橋謙策の福祉教育論」に第1号から収録されていますので、関心のある方は検索してください。この「老爺心お節介情報」はご自由にご活用頂いて結構です。
そこにはまた、3回の「四国歩きお遍路紀行」と「熊野古道(中辺路・伊勢路)紀行」も収録されています。