昭和44年11月20日、妹鳥居琴代は、交通事故により18歳の生涯を閉じた。
今年五十回忌を迎えるにあたり追悼の意を込めて、彼女の詩を披露することをお許し願いたい。公開することが、せめてもの供養であり、生きた証であると…。
暁に舞う
ある日 少女は目を閉じて
心の唄を きいてみた
それは淋しく 静かにひびき
安らかな 祈りを灯して
咲く花の 命を唄う
あの日 少女は愛を知り
嬉しいはずのほほえみが なぜか悲しく
空を仰いでいながら
暁の目覚める夜半の音に 包まれながら
咲く花の命は 尽きた
暁の舞う夜に 少女は身をとじた
暁の恋に破れて 少女は身をとじた
暁と化して 少女は身をとじた
〔1967年10月1日に書かれた作品。両親と共に眠る墓の横に建てた歌碑に、その一節を刻んだ詩である。彼女が残した数編の詩を、この世に生きた証として、これからも紹介していくことをご容赦ください〕