昇る朝日に

釧路にいた
弊舞橋(ぬさまいばし)の袂(たもと)のホテルの10階
街並みから昇る朝日の神々しさに
その放つ真紅の色に
こころ奪われた
零下10度の冷え切った夜空を裂いて
今朝も街並みに その光を静かに照らし始める

人の世のざわつきも不安も打ち消していく
エネルギーに満ちた光を浴びたい
冷笑するかのように侵略を続けるコロナウイルスを
この光で焼き切ってもらいたい
限りあるいのちと慎ましい暮らしを
遠大なる宇宙をよぎる光で包んでほしい
よこしまな人間の邪悪な思惑こそ
荘厳な光で 消滅させてほしい

陽光に 身を隠す者たちは
嘘で固められた真実が 白日の下にさらされて
いつか身を滅ぼすだろう 
そうあってほしい

陽光に 身を委ねし者たちは
そのエネルギーを いのちいっぱいに浴びて
いつも身を清めることだろう
そう信じて 今日を生きる

〔2020年2月21日書き下ろし。数年ぶりに見た。ただこの高さのパノラマからの日の出は初めてだった。荘厳な日の輝きに宇宙の中の人間のちっぽけな存在を感じた〕