春を告げる雪

北の大地に降る雪が
重たい雪に 変わってきました
風もなく 穏やかな朝
昨夜から 10センチは積もった雪
いまも しんしんと 降り続きます

降る雪の粒が大きくなり もっと積もりそうな予感がします
コロナウイルスの騒動が
閉じ込められていくような 静寂な銀世界
汚れたものを 白く塗りつぶしてゆく 銀世界
人の心を 一時落ち着かせる 沈黙の銀世界

北の大地に降る 湿った重たい雪は
春の訪れを告げる兆しです
もうしばらくの辛抱で 冬が明けます
だからいまは じっと降る雪 眺めています

新型コロナウイルスの伝播も
抗(あらが)うことのできない 自然の摂理(せつり)
民が デマに走り 政治に踊らされるのも
この雪が融ける頃には 
杞憂(きゆう)に終わったと
ホッとできれば…
いまは虚しく 降る雪眺めています

北の大地に降ってわいた 災禍(さいか)は
容赦なくいのちと暮らしを 叩いています
いまはただ じっと耐える日が続きます 
小さな小さなウイルスに 席巻された人間世界
なんと無力で無知で そして傲慢であったかを 思い知らされます
自然の摂理に従って 人は生かされているのです
いまは無欲で 降る雪眺めています

〔2020年3月5日書き下ろし。太平洋沿岸とオホーツクは、今日一日冬の嵐です。新型コロナウイルス感染者の一日も早い快復と、これ以上感染が拡大しないよう祈ります〕